特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『麗しの天丼』と映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』

 今日で8月も終わりですか。今年も1年の3分の2が過ぎました。
 世の中は安倍の辞任で持ち切りですが、冗談じゃない、です。あいつの残した負の遺産民主党政権以上に積みあがった莫大な財政赤字、下がりまくった実質賃金、文書改ざんなどの官僚機構の破壊、沖縄の問題、韓国・ロシアとの関係etc。あ、オリンピックもあった(笑)
 コロナ対策だけでもボロボロなのにマジで問題山積、敗戦処理だらけ(笑)。

 安倍の唯一の功績は株価が上がったことですが、要は日銀と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が株を買って価格を上げているだけです。日銀の買入額は3月末で31兆円と限界に近付いているわけですから、今の状態は長くは続けられない。

www.asahi.com

 既に日経平均225社の内 87社が日銀が、83社がGPIFが筆頭株主になっている。日本はマジで社会主義国です。


www.jcp.or.jp

 ここから脱却するには、特例法を作って日銀の持っている株をGPIFに譲渡するしかない、という話もありますが、この後始末はどうしたらいいのか、流石に想像もつきません。


 株価一つとってもこうですから、財政赤字、官僚機構の立て直し、沖縄の問題、外交の問題、そう簡単に片付くとは思えない問題ばかりです。

 石破が週末のTBS『報道特集』で次の総理大臣について、こう言ってましたけど、まさにそう。次が二階と組んだ菅というのなら、自業自得ではあります。


 安倍政権はどういうものだったのか、良く整理されていると思うので、TBS『報道1930』の松原キャスターの連続tweetを貼っておきます。『パンとサーカス』なんてローマ時代からの実にセコい手だと思うけど、それでもアホな日本人はそれに引っ掛かっちゃうんだからなあ(嘆息)。






 それでも、連合が音頭を取った野党合流の輪郭がやっと見えてきましたが、どうにもハッキリしない。
 新党の綱領には『原発ゼロ』、理念では原発には触れない=「低廉で安定かつ低炭素なエネルギーシステムの確立」を目指し、「その際には二項対立的思考に陥ることなく、科学的知見に依拠する」じゃあ、流石に良く判らない(笑)。




mainichi.jp

 なるべく大きな塊を作ろうという連合の考えは理解できるけど、原発維持の電力総連や電機労連を取るか、国民を取るか、もはや二者択一だとボクは思います。これは判断力の問題。
 妥協の産物とは言え、良く判らない理念を掲げて国民の支持を得られるとでも思っているのでしょうか

 組合と市民の連合がなければ政権は倒せないのは事実ですが、組合だって昔とは変質している。組合員自体が新自由主義しているんですから。そんな連中は市民の敵=PUBLIC ENEMY

●2017年の記事ですが、今も事情は変わらないでしょう。

www.sankei.com

 これだってひどい。

 石垣は立憲所属にもかかわらず、山本太郎に同調して消費税を廃止しろと無謀な主張をしてきた当選一期目の参院議員です。単純に頭が悪い
 同じバカでも経済だけは判ってる麻生太郎よりひどいかも。須藤元気もそうでしたが、山本太郎のシンパってどうして、こんなにアホばかりなのか。類は友を呼ぶ、にしてもあんまりです。

 安倍のようなアホを7年以上も政権に就けてしまったのは野党のふがいなさが最大の原因だった、と言っても良いでしょう。奇しくも安倍の退陣とともに野党再生の芽が出てきたのですから、国民の側は叱咤しながら育てていかなければいけない、と思います。


 これは土曜日のお昼ご飯。天丼は大好きですが、美味しい店は東京の東側に集中しています。東京の西側に住んでいるとまともなものを食べる機会は滅多にありません。2002年に東京最古の天ぷら屋(天丼屋)、新橋の橋善が閉店してしまったのは返す返すも残念です。天ぷらと天丼は違うんです(笑)。

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 再開発ビルの店にうまいものなし、というのがボクの持論ですが、通りかかったオフィス街で天丼のでかさに惹かれて(笑)100年以上やってるという店に入ったら、それほどでもなかった。まあ、空いてたから良かったですが。
 天丼は吉原大門にある、土手の伊勢屋が一番おいしいに決まってますが、ボクの家からは遠すぎる。東京の西側の住人にも、天丼だけは何とかしてもらいたいものです。



 と、いうことで、六本木で映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー

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longride.jp

 成績優秀な女子高生エイミー(ケイトリン・デヴァー)とモリー(ビーニー・フェルドスタイン)は勉強一筋で高校生活を過ごし、一流校に合格した。しかし卒業式前日、遊び放題だったクラスメートたちも一流校に合格しているのを知ってショックを受ける。二人は今まで遊ばなかったことを後悔し、卒業パーティーで3年分遊ぶことを決意して町へ繰り出したが。


 各国の映画祭で25部門受賞、65ノミネート、宮藤官九郎がラジオで絶賛したり、評論家から『今年のベスト1』、『青春映画の新しい古典』とまで言う声が幾つも挙がっている大変評価が高い作品です。

 これが監督デビューのオリビア・ワイルドは今まで美人女優として様々な映画に出演してきました。最近ではクリント・イーストウッドの最新作『リチャード・ジュエル』ではFBIの捜査官と寝て特ダネをとる新聞記者役が記憶に新しい(こんな役を造形したことで#metoo運動と絡めイーストウッドはかなり非難されました)。

 超美人であるがゆえにそういう役が多かった彼女はそれでも監督業への進出に備えて、演出などを学んでいたそうです。
●監督のオリビア・ワイルド。超美人ですが悪役顔ですよね(笑)。

 それをバックアップする製作総指揮は『俺たち』シリーズや『マネーショート』などのウィル・フェレルとアダム・マッケイ。ボクが大好きな、ウルトラリベラルで権力や権威に全くこびない、容赦のないお笑いを作ってきた人たち。

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 主人公の女子高生コンビは『ショート・ターム』などのケイトリン・デヴァーと俳優ジョナ・ヒルの妹で『レディ・バード』などに出ていたビーニー・フェルドスタイン、ビーニーは本作で第77回ゴールデン・グローブ賞の女優賞(コメディー/ミュージカル)にノミネートされています。
●『マネーボール』でのジョナ・ヒル。妹と顔を体型もそっくりです。


 お話はモリ―とエイミーが登校するところから始まります。親友の二人は明日で卒業。
 生徒会長を務めていたモリ―は名門イエール大学に入学が決まっています。長年 市民の権利のために戦い、昨年 日本でも映画が公開された最高裁判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグに憧れている彼女は法律の道に進み、将来は最高裁判事になるのが夢です。

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 エイミーは『ウォール街の天敵』と言われる超リベラルな大統領候補エリザベス・ウォーレンの選挙運動やデモに度々参加するなど政治的意識が高い女の子です。ルース・ベイダー・ギンズバーグの母校、コロンビア大学に入学する前に、1年間アフリカを見てこようと思っている。
●モリ―(左)とエイミー

 いわば意識高い系の二人は高校生活の間 勉強に励み、成績優秀。遊び惚けている同級生たちと自分たちは違う、と思っています。

 しかし、遊び惚けてアホだと思っていた同級生たちも実はイエールやハーバード、ジョージタウンなど一流校に入学が決まっていました。進学しない奴がいたと思ったら就職先は学歴不問、新入社員でも1000万円以上の超高給で知られるグーグルです。
●同級生たち。一見アホばっかりに見えますが、実は彼ら・彼女らも一流校に進路が決まっていました。


 勉強ばかりだった自分たちの高校生活は何だったんだ!
 モリ―とエイミーは卒業前夜に行われているパーティーへ繰り出して、一気に3年分遊び倒すことを決意します。しかし勉強ばっかりで頭でっかち(Booksmart)な彼女たちはパーティーがどこで行われているかすら判らない。パーティー会場を探して、二人の深夜のLA地獄めぐり?が始まります。

 この映画の第1の特徴は多様性です。
 主人公が優等生、というのは珍しいですが、頭でっかち=BOOK SMARTだから、案外マヌケです。そこがギャグのポイントです。
 優等生たちも恋人を作りたい、セックスもしたい、クスリもやってみたい。もちろん自分のキャリアも掴みたい。そんな思いが赤裸々かつ等身大に描かれている。それが当たり前になっている。

 彼女たちの一人はレズビアンですが、それも当たり前。そのことで引け目を感じたり、悩んだり、するはずがない。そういう段階は完全に通り越している。
 クラスメイトや教師どころか、親すらもそれを普通に認めている。主人公たちが恋した相手同士がくっついてしまって、二人とも失恋、なんて、このドラマならではです。

 彼女たちのクラスメートも人種の多様性は勿論、同性愛もトランスジェンダーも当たり前。学校のトイレも男女兼用で誰も気にしない。男だから、女だから、なんて登場人物たちの発想の中には皆無です。ゼロ!そんなことでコンプレックスなんか感じるはずもない。驚くような大金持ちの子供も、一般家庭の子供もいる。実際、西海岸ではこういう学校は結構あるそうですね。
 なんでもスマホで検索、移動はリフト(ウーバーみたいな配車ソフト)、スマホの充電が切れたら行動不能。学校の先生は副業で運転手をやってる。

 西海岸の最新の習俗、音楽、ファッションの洪水の中で、多様性が力みやルサンチマンもなく、ごく当たり前のように語られる。そこがいいんです。

 女性主人公たちの下ネタも屈託もない。それを演じる主人公の演技は二人ともすごい。頭でっかちの主人公二人の成長物語としてもすごく良くできていると思う。二人の友情にはマジでグッとさせられます。

 

 ボクが思ったのは、映画の中の話ではあるけれど、こんな連中とは日本人はとても競争できない、ってことです。

 おバカコメディの映画に出てくる高校生たちは恵まれた環境ではあります。
 人種や性別は様々ですが、ほとんどの子は中産階級以上ではあるでしょう。それでも事実として、連中は頭がいいだけでなく、遊びも知ってる、デモに行ったり政治に関わるのも当たり前。それでいて他人の多様性も尊重する。男女や人種の差別なんかあり得ない。
 自分の信じることのためなら警察に捕まることも恐れない。クラスでもそういう子が英雄視される。そんな子供たちが一流校に入ったり、GAFAシリコンバレーベンチャーに就職する。

 日本だと仮に一流校に入っても、付き合うのは同じような階層・環境の友人たち、企業に就職しても同じような階層・環境の人と付き合うのが普通じゃないでしょうか。仕事が終わっても同じような仲間とゴルフに酒(笑)。

 そんな日本人が、自分の頭で考え、多様な人たちと触れあい、尚且つ自分のやりたい放題やっている高校生たちが入社するアメリカの企業や政府に頭脳も発想もバイタリティでも、敵うはずがありません。ムリムリ(笑)。
 日本はアメリカの属国で良いんです。こんな人材とは競争できないですよ。


 全ての女の子に自由と現実を笑いとばす勇気を
 女は男のために生きているのではなく、キャリアだけのために生きているのではなく、世間の妄想や因習に従って生きているのではなく、自分のために生きている

 ハチャメチャな青春コメディには、こんなスピリットが込められています。強烈なギャグと下ネタの嵐ですが、日本とかけ離れている物語である分だけ考えさせられます。多少 とっちらかっているところもあるけど、傑作コメディであることは間違いありません。

8/21(金)全国公開『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』/日本版30秒予告編