特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『教育と愛国』

 また、1週間が始まってしまいました。楽しい週末が過ぎるのはあっという間です。
これ、面白い法律だなーと思いました。

 凄く良い法律だと思う。ローカルのコンテンツを取り入れることになってネットフリックスのためにもなるでしょう。ネットフリックスだけでなく、アマゾンでもマイクロソフトでもフェイスブックでも、進出先の国に投資することを義務付けるような法制度を作っても良いのではないでしょうか。
 国内産業の衰退やタックス・ヘイブンなどグローバリゼーションの弊害は企業だけが悪いのではなく、既存の法制度の不備も問題なのですから。


 沖縄復帰50年だそうですね。もう何年も現地には行ってないので最近の沖縄のことは良く判りませんが、現状はこれ↓に尽きる、のではないでしょうか。

 占領後も米軍基地の大部分を押し付けられた現状は、週末のTBS報道特集が『沖縄は本土の植民地』であると同時に『アメリカの軍事植民地』と表現していたのはまさに的確でしょう。


 
 単に迷惑施設である米軍基地を本土から離れた沖縄に押し付けているというだけでなく、憲法9条と安保という戦後体制の矛盾が沖縄に集中しているわけです。安保があるから米軍基地があり、同時に憲法9条があるから安保を結ばざるを得ない。更に9条があるから日米地位協定も改定することができない。

 フィンランドスウェーデンが示している通り、今の世の中 安保を止めて自国だけで安全保障が成り立つとは思いません。

 また、憲法9条を変えても日米地位協定を改定できるわけじゃありませんが、琉球大の山本准教授が石橋湛山賞を取った著書『日米地位協定』で言っているように、有事の際アメリカと一緒に戦う姿勢を持つこと(集団的自衛権)と日本の野蛮な司法制度の近代化は、地位協定を改定するために米議会を説得する最低条件でしょう。これは良い悪いじゃなくて、現実的な話です。

www.u-ryukyu.ac.jp

 天皇制など戦前の残滓を残しつつ民主主義国家になった戦後は最初から矛盾をはらんだ存在でした。三島由紀夫のような右派も政党や市民運動等のリベラルも矛盾に向き合ってこなかった。どちらも反米ということだけで思考停止してきた。ベトナム戦争をやってるような時代はそれでよかったかもしれないが、環境が変わったらブラッシュアップするのは当然でしょう。
 もちろん安倍晋三のようなバカウヨが妄想する『親米+戦前回帰』(笑)も答えではありません。いずれにしても簡単に解決するような解決策はない。
 まず日本人が今の現実を直視すること、そして議論をすること、それが沖縄の基地問題を改善する第一歩だと思います。


 と、いうことで、吉祥寺で『教育と愛国

www.mbs.jp

第1次安倍政権下の2006年、教育基本法が改正される。それ以降 教科書検定の強化や大手教科書出版社の倒産などが起きる。また太平洋戦争における従軍慰安婦沖縄戦の記述のある教科書を採択した学校への抗議が増え、歴史教育に携わる関係者への抗議や中傷など、教育と政治の問題をインタビューでつづったドキュメンタリー

 
 大阪毎日放送で17年に放送され、ギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞した「映像’17 教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか」に追加取材した映像を加え、再構成したドキュメンタリー。

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 監督を務めるのは毎日放送でドキュメンタリー番組に携わってきた斉加尚代。語りは俳優の井浦新。公開されたら是非見たいと思っていたドキュメンタリーです。

 斉加監督は『2012年5月、当時、風雲児として人気絶頂の橋下徹大阪市長の「君が代斉唱問題」の囲み記者会見で、市長に質問を繰り返し、市長から「勉強不足!」「ふざけた取材すんなよ!」と30分近く延々 面罵された人だそうです。その時 周囲の記者は誰も止めなかった。大阪のマスコミの維新への迎合は当時からでした。

news.yahoo.co.jp

 昨日は朝刊に千葉工大のこんな全面広告(クリックすると広告が全て見られます)が載っていました。教師の過剰労働が問題になっていますが、教育の分野もきな臭くなってきている。


 映画は18年に正式教科にされた道徳の教科書に載っている問題から始まります。朝 挨拶をするとき『おはようございますというのとお辞儀をするのとどっちが先か』というのです。目を疑いました。そんなくだらないことに正答があるのでしょうか?(笑)

 さらに道徳の教科書に出てくる『パン屋』が文科省の検定意見で『和菓子屋』に変えられたという事件が紹介されます。『伝統と文化の尊重、国と郷土を愛する態度に照らして不適切』とされたそうです。ニュースでも広く報じられてたと思いますが、文科省の担当者は正気なのでしょうか。

 映画の冒頭の時点で『この国の教育はもうダメだ』とボクは思いました(笑)。アホすぎるでしょう。

 近年の教科書への圧力が紹介されます。シェアが断トツだった大手教科書会社、日本書籍の歴史教科書に従軍慰安婦の記述があったことで右翼団体の抗議が相次ぎ、自治体の採用が激減、倒産したそうです。日本書籍の教科書はボクも子供の時使っていましたが、そんなことになってるとは知らなかった。
●その教科書を執筆した一橋大の吉田教授

 安倍晋三をはじめとした日本会議のウヨ連中は教育への介入に熱心です。第一次安倍政権で教育基本法を変えたのが典型で、やたらと教育に手を突っ込みたがります。
安倍晋三や維新の連中は育鵬社のウヨ教科書を広めるためにセールスマンのように活動しています。

  
 ただ、ボク自身は教科書自体はあまり気にならなかった。普通 子供は教科書なんか真に受けないだろう、と思うからです。ボク自身は小学校から高校まで、教科書なんか全く気にしたことがありません。興味があることは教科書なんか相手にしないで自分で本を読むし、興味ないことは教科書に書いてあろうがなかろうが全然頭に入らない(笑)。
 だから教科書への圧力ってあまり問題意識になかったんです。 

 映画でも触れられていますが、元々日本の教育は歯車として働く国民を大量生産することが目的でした。教科書に拘っていること自体、上位下達の体質の表れに見えます。その点はウヨもリベラルもあまり変わらないように見える。

 子供に考えさせることを主眼にしたリベラルな歴史教科書を採用したら、採用した学校に自民の国会議員が圧力をかけてきたり、学校に大量に匿名の抗議が送られてきた事件も取り上げられます。抗議の手紙も大量に送られてくる。全て同じ文面です。数少ない記名の抗議には森友学園の籠池や山口県防府市長(教育再生首長会議の会長)がいました。インタビューに答えた籠池が、日本会議から指示がでたことを証言します。

 映画では高校の名前は出ませんでしたが、この教科書を採用したのは灘高や慶應の付属校などです。教科書は所詮教科書に過ぎませんが、そういうものを採用する学校とそうでない学校とでは生徒の質がますます開いていくだろう、とは思いました。
 全体では日本の教育はますます劣化していく。

 他にも自民党のバカウヨ議員、杉田水脈従軍慰安婦を取り上げた阪大の教授の研究に文科省補助金が使われたことにイチャモンをつけたり、

●阪大の牟田教授は杉田水脈を名誉棄損で告訴、裁判中

 従軍慰安婦の存在を授業で取り上げた高校教師にバカウヨやそれに乗せられた市民から抗議が殺到、市教委から戒告を受けた事件なども取り上げられる。
●授業内容ではなく、新聞社の取材を受けたことに対して戒告を受けたそうです。


 ドキュメンタリーとしては驚くような感じではありません。『主戦場』のように相手の本音を引き出すようなところは少ない。しかし、近年 政治家やバカウヨからの日本の教育への圧力はますます酷くなっているのはよく判ります。

 以前は『反日』なんて言葉を使うのは街宣右翼だけで、まともな人は使わなかった。しかし近年はマスコミなどですら使われるようになってきている。そういう雰囲気が出来てきてしまったのは、日本会議のゴミウヨ連中が粘り強く教育にターゲットを絞ってきた影響かもしれません。連中はバカなりに賢かったのかも。日本としては衰退の道まっしぐらの自滅行為なのですが(笑)。
●作る会のウヨ教科書(育鵬社)の主任執筆者、東大名誉教授の伊藤(取材当時89歳)。加藤陽子先生の指導教授ですが『歴史に学ぶことはない』、『育鵬社の教科書の目的は、左翼ではない「ちゃんとした日本人」を作ること』と断言していました(笑)。

 と、同時に学校や教育委員会は事なかれ主義、一般の国民もバカウヨの発言に乗せられたり、無関心だったりで、学問や言論の自由を大切にしようという雰囲気は薄い。
 例の学術会議の任命拒否の件も政府から拒否された早稲田の岡田教授の元に抗議が殺到、ゼミのTwitterが使えなくなったそうです。バカウヨもしくはDAPPIのように政府の金で広告会社がやっているのかもしれませんが国民のレベル低下も酷い。

 現在は『従軍慰安婦』、『強制連行』という言葉は教科書には使えないそうです。『慰安婦』、『徴用』と言い換えなくてはいけない。沖縄の集団自決を取り上げるのにも圧力がかかる。アホかと思いますが、そのような教科書への圧力から学術会議の問題までが一本の糸でつながっていることは映画を見て再認識できました


 終わってから斉加監督と澤田プロデューサーの挨拶がありました。
●斉加監督(右)と澤田プロデューサー

 監督は、’’プーチンがこの10年、愛国教育をやってきて、その結果が今のウクライナ侵攻にもつながっている’’と話していました。確かに、その通りですね。
 澤田プロデューサーは’’最近の民放、特にゴールデンタイムは酷い。自分はNHKとBSしか見ない’’と言ってた。ボクもそうです。会場には映画に感謝のクレジットが出ていた『なぜ君は総理大臣になれないのか』の大島新監督も来ていました。
 監督は『教育の現場は酷くなっているが、まだ希望はある』と仰っていました。こういう映画が作られること自体は希望だと思いますが、僕自身は非常に心もとなく思ったのが率直な感想です。問題は日本人の民度なのかなって。
 それでも、ボク自身は全く黙る気はありませんけどね。


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『アヒルとチャーシューの山盛り!』&『財務省に叱られる!(笑)』

 やっとこさ、週末です。ゴールデンウィークが終わったばかりですが、早くも疲れました。週末になるとホッとして、精神的な疲労、気疲れもどっとやってくる(笑)。

 東京の繁華街ではコロナ禍で多くの飲食店がなくなったあとに、郷土料理など中国の味そのままの『ガチ中華』、『マジ中華』が続々と出店しています。『家賃が下がった』、『中国の人が増えている』、『もはや中国の人のほうが経済力がある』が理由のようです。ボクは見てませんが、今週 有名TV番組『マツコの知らない世界』でも取り上げられたそうです。

www.tbs.co.jp
 
 高くて不味くて身体に悪いから、ファストフードやコンビニの食べ物はあまり口にしたくありません。だからガチ中華が増えるのは大歓迎、手作りの店が多いからです。値段に関係なく、ちゃんと作った料理は美味しいものです。

 この前 新宿の妖しい雑居ビルにある店で食べたのが『香港風焼き物の盛り合わせ
 

 アヒルとチャーシュー、塊のまま窯で焼いた熱々のお肉が山盛りです。店のお母さんに勧められたアヒル(手前)は骨付きのぶつ切りで、やっぱり骨の周りの肉は美味しい。チャーシューは柔らかくて肉汁たっぷり。なんで、こんなに柔らかく焼けるのかなあ。

 中国料理は味のレベルが高いことが多い、と思います。我々と感覚は違うところもあるけれど、食べ物に拘る中国の人は多い。平均で見たら日本人より遥かに拘っていると思います。これでサラダとスープ、ご飯、デザートがついて値段は1200円くらい。美味しかった!

●先週のTBS『報道特集』は酷かった。ロシアの言い分を一方的に垂れ流すアホ教授にビックリ。ロシアが侵略してきたのは、NATOが拡大したからではなく東欧の人々がNATO加盟を望んだから。それにNATOが軍拡したからではなく、ウクライナに送った武器が少ないので『楽勝!』とプーチンが勘違いしたから。こんなデマまがいの話を放送で流していいのか侵略戦争を擁護するバカで嘘つきが大学教授とは。


 さて、今週 フィンランドのマリン首相が来日しました。NATO加盟の是非を国会で議論している大事な時にわざわざ日本にだけやって来た。岸田とはロシアの問題だけでなく、国連改革や再生エネルギーの共同開発の話をしたそうですね。
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 レズビアンのシングルマザーに育てられ、貧しいのでバイトをしながら大学に通った、という36歳の女性首相が、『欧州だけでなく世界の安全保障環境がはっきり変わった』、『原発は短中期は維持するけど、長期では廃止する』と明確に言い切る姿を見て、ボクはとても羨ましかったです。

 戦後70年間維持してきた中立政策を止めてNATO集団的自衛権の下に入る、という大転換を、彼女達は決めました。日本で言えば、改憲みたいなもの。彼女は『NATO加盟は将来 子供たちを戦争に巻き込まないようにするためだ』とインタビューで言ってました。

 そんな歴史的な改革に際して、彼女は自信たっぷりに見えました。NATO加盟にしろ、原発にしろ、この国は普段からきっちり論点を話し合ってやるべきことをやっているから、だと思います。安全保障ではステルス戦闘機のF35 を大量購入しているし(小国にも関わらず、日本の半分の約80機)、国民のシェルター整備率100%、NATO加盟申請中の安全を確保するため昨日、イギリスと相互安全保障宣言を結びました。原発は世界で唯一、廃棄物の半永久保管施設を稼働させているのは有名です。
 社民党出身のマリン首相ですが、5党連立政権の舵取りをしながら理想と現実のバランスをきっちり取っている


 一方 日本では参院選の事前運動が始まっています。昨日、家に入っていた(日本の)社民党のチラシは『憲法は希望』と大書していました。

 あと、街角で見かける東京選出の共産党の議員のポスター。こちらも『憲法が希望』とあります。

 ま、山添議員は頑張っているし出身が弁護士だからしょうがない、とは思いますが、どちらも『ズレてるなー』と思うんです。

 今度の選挙の結果次第では改憲という可能性が高いから、こういうことをアピールしたいのでしょうが、なんで憲法が希望なのでしょうか意味がわからない(笑)。しかも両党、全く被っている。
 若い年代を中心に日々の生活が厳しい人なら『憲法が何をしてくれるの?』と感じるでしょう。説明すれば判ると言うかもしれませんが、クドクド説明しなければならないというだけで負けです。傲慢です。

 相変わらず、日本の野党はマーケティング感覚が乏しい、自分たちの言いたいことだけ訴えて、国民のことは考えていない同じリベラルでもフィンランドと日本では大人と子供ほど差があります

小泉今日子先生のtweet。勿論 まともな議論もしないまま改憲すれば良い、と言うわけではありません。

 
 面白い話、がありました。連休前に財務省が財政審議会で次期防衛計画の防衛費について出した資料、タカ派の議員やバカウヨが発狂していました。


toyokeizai.net
財務省の資料原本 https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings_sk/material/zaiseisk20220420/03.pdf
 
 財務省が言っているのを要約すると『ウクライナ危機で日本の安全保障環境は変わった。だけど安全保障を考えるには財政など総合的な観点が必要なのに、戦車とか次期戦闘機とかくだらない正面装備にばっかりカネ使いやがって、少しは頭を使え』という話です。

 例えば、こういう話です。『高いカネ出して戦車を自主開発するより、ウクライナを見習ってジャベリンでも買えや!』
 戦車1台14億円、装甲車1台7億に対して、ジャベリンは1発2300万だそうです。

 これが炎上した。防衛費倍増を狙っていたバカ議員や軍事オタクが『ジャベリン撃つ前にやられたらどうすんだ』って激怒(笑)。

 いやー、そういう問題じゃない。そもそも相手の戦車が日本に上陸してきた時点で制海権も制空権もないってことなんだから、もう負けじゃん(笑)。
 ちなみに日本が高い金を出して自主開発した戦車は改良された最新型(10式)を除いて、重すぎて自力では道路を移動できません。スペックを重視して日本の道路が耐えられないような重戦車を作っちゃった(笑)。無能にもほどがあります。

 同じページに北朝鮮ミサイル防衛の話もあります。

 北朝鮮のミサイルは1発3~10億円。それに対してPAC3などで係る経費が1300億円(3年間)、洋上化したイージスアショアで1800億ちょっと。いくら金が有っても足りません(笑)。それに北朝鮮が何十発も撃ってきたら(飽和攻撃)、対処できない。

 財務省は『こんな金を使うんだったら、国民に充分説明責任を尽くさなければいけないのではないか』と言っています。

 ごもっとも!

 今 防衛費をGDP比で2%にしよう、と自民党が言い出しています。今の倍です。
 各国の防衛費って実のところ、どんな感じなのでしょうか。通常報じられている各国の防衛費は集計基準が違うから簡単には比べられません。財務省は基準を合わせて比較しています。
 NATO基準だと21年の日本の防衛費は614億ドル(6.9兆円)GDP比1.24%。ニュースでは普段、日本の防衛費は約5兆円って言ってますよね。

 一方 20年のロシアの軍事費は約617億ドルです(2月の読売新聞の記事)。


軍事力はロシアが圧倒、予算は10倍以上…ウクライナには正規軍以外に民間人の「領土防衛隊」も : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン

 日本は既にロシアなみの軍事大国です。防衛費が本当に足りないなら増やしてもいいけど、既にロシア並みに金を使っています。山ほど戦車や飛行機、核ミサイルを持っている国と同じだけ金を使っている。これで足りないはずがないし、足りないのなら防衛省がよっぽど無能だってこと。バカに漬ける薬はありません。バカが金を使っている限り、防衛費を2%に増やしたって足りるはずがない
 ちなみにGDP比2%にしたら日本の防衛費は世界3位。世界1の借金大国なのに(笑)。おまけに少子高齢化自衛隊の定員すらまともに充足できていないのに(笑)。

 財務省は各国のGDPと防衛費を比較して、こう分析しています。

 これ以上防衛費を増やすのなら、(画面右下の)アメリカや韓国のように福祉などの他の予算を削るか、(画面左上の)ヨーロッパ諸国のように増税するしかないと。ちなみにロシアの侵攻で急遽決めたEU各国の軍拡は全て財政の裏付けもセットで行っているそうです。

 更に、軍備だけで安全保障が出来るわけではない、とも言っています。具体的には、中国との有事では経済面でこんな問題が起きる、と指摘しています↓。しかも有事なんて自然災害や感染症が起きたときにこそ、狙われる、とも。

 つまり『普段から有事に耐えられる経済・金融・財政の運営体制を取っておかなければ、そこを相手に突かれる』って話です。


 
 資料の主旨は『今みたいな借金だらけの財政状況じゃ、安全保障なんか出来るわけない。(増税するか財政予算を減らして)まず借金体質を改めろ』ってことです。
 要は借金を嫌う財務省の省益の話です(笑)。やっぱり財務省の連中は頭がいい。頭の使い方は間違ってるけど。でも、言ってることは間違ってない。


 
 財務省の結論も正論です。
軍備を増やすのなら、真に効果のある装備をもたなきゃいけないんじゃないの』、
防衛力強化は経済・金融・財政を強化することも含めて考えなければいけないんじゃないの(国民の生活・経済・金融が安定してこその防衛力)


 野党もマスコミも市民運動もどうしてこういう指摘ができないのでしょうか。防衛費が1%とか2%とか、敵基地攻撃能力とかどうでもいい今の日本には、日本の安全をどうやったら守れるか、という根本の議論が欠けています

 この件については財務省、素晴らしいです。核シェアリングだの騒ぐ自民党のバカ議員は勿論、『憲法守れ』や『平和を守れ』とか『軍拡辞めろ』を念仏のように繰り返すことしか能がない野党や自称市民運動の面々より、財務省の方がよほどマトモで建設的です。なぜ、マスコミはこの話をもっと報じないのでしょうか。野党も防衛費の問題は財務省と組んで政府を追求すればいいのに
 自民党を今のままにしておくわけにはいきませんが、政権交代はまだまだ遥か彼方のようです。
 

この切実さと熱量を:映画『マイスモールランド』

 楽しい楽しいゴールデンウィークは完全に終わってしまいました。今の気分は思い切りブルー。夏休みだけが生きる希望です(嘆息)。
 それまでは一日中布団をかぶって世の中のことから目を背けていたい。雑事から逃れて、静かに、心安らかに過ごしたい。
 毎度毎度の話ですが、早く定年にならないかなあ。

●日本の出生者数減を報じるニュースを受けて、イーロン・マスクtweet。ボクは日本が消滅したほうが世界のためになるような気がしますが。

 キーウをU2のボノとエッジが訪問したそうです。5月9日を迎えてミサイルが飛んでくる可能性が高まっている中、地下鉄の駅でキング牧師のことを歌ったヒット曲’’PRIDE’’をウクライナの人たちになぞらえて演奏した。
 
newsdig.tbs.co.jp
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 誇らしげな観客の表情が何とも言えません。日本だと『音楽と政治は別』と言い出すようなゴミクズが湧いてきます(笑)。

 トルドー首相もキーウと虐殺があったイルピンへ行った。ゴールデンウィークに外遊してた岸田は何をしたかったんでしょうか(笑)。


 今回は 先週末に公開されたばかりの映画の感想です。

 新宿で映画『マイスモールランド


mysmallland.jp

 祖国での民族迫害を逃れて家族と共に来日、日本で育った17歳のクルド人・サーリャ(嵐莉菜)は、埼玉の高校に通っている。父のマズルム(アラシ・カーフィザデー)、妹のアーリン(リリ・カーフィザデー)、弟のロビン(リオン・カーフィザデー)と暮らす彼女の夢は小学校の先生になること。サーリャは大学進学の資金を貯めるため、父に黙ってコンビニでアルバイトをしている。日本語で生活して日本の高校に通い、教師を夢見て大学進学を目指しているが、父親の難民申請が却下されたことで在留資格を失ってしまう

 
 先日、日本の入国管理局(入管)を取り上げたドキュメンタリー『牛久』を見たばかりです。入管の実態を改めて眼で見て、連中の非人道性や人権を考慮しない態度、そして無知と無関心で非人道的な行為を放置し続ける日本の社会に辟易しました。絶望的な気持ちになった。実際に収容されている人や家族は、絶望すらできないわけですが。
spyboy.hatenablog.com


 『マイスモールランド』は、その問題を正面から取り上げた劇映画です。昨年のベルリン映画祭で特別表彰を受けた作品。
 初の商業映画で監督、脚本を務めた川和田恵真氏は是枝裕和監督の助手だったという人。企画段階からサポートしたという是枝監督はプロデュース(資金集め)にも加わっています。良くこんなテーマの映画をメジャー資本で作れた、と思います。
 制作はNHKと共同、今年3月末にBS1でドラマ版が放送されています。
www.nhk.jp

 ボク自身はドラマ版はスルーしたし、この映画も見に行くかどうか、迷ってました。と、言うのは日本の状況があまりにも絶望的で、ドキュメンタリーならともかく、うまく物語にはできないだろう、と思ったからです。この映画も前評判は高かったけど期待せず、時間があったから見に行った、という感じです。

natalie.mu


 舞台は埼玉県川口市クルドの人たちが民族衣装を着て、婚礼のパーティーを行っているところから始まります。実際 埼玉には約2000人のクルドの人たちがいるそうです。彼らはトルコやシリアの弾圧を逃れて日本に逃げてきた訳ですが、ほとんどの難民申請は認められず、宙ぶらりんの状態で日本で暮らしています。

 その中に一人の少女がいます。高校3年生のサーリャ(嵐莉菜)です。
●中央がサーリャ(嵐莉菜)。彼女の叔母役を演じるサヘル・ローズ氏(左)は実際に入管に収容されている人たちのサポートをボランティアで行っているそうです。

 サーリャは難民申請中の父と中学生の妹、幼い弟との4人暮らしです。



 父親は産廃業者で働いています。妻を亡くした彼は家では頑なにクルドの習慣や文化を守っています。サーリャは来日当時は言葉や虐めで苦労したものの、今では普通の日本の高校生と同じように暮らしている。自分の勉強もしながら、翻訳などクルドの人たちと日本人たちとの橋渡しもしている。その忙しさはまるでヤング・ケアラーかCODA(ろう者の親を手助けする聴者の子供)みたいです。
 一方 幼い時から日本で育った妹と弟は日本語しか喋れません。サーリャの周囲の他のクルド人の中には、親が10代半ばの娘に一方的に結婚相手を定める若年婚のような因習に振り回されているものもいる。同じクルド人でも、世代や立場によって大きな違いがあります。


 父や周りのクルド人と助け合いながら、そして弟や妹の面倒を見ながら懸命に生きるサーリャですが、将来は小学校の先生になりたいという自分の夢を持っています。そのために家族や学校には内緒で部活を辞め、橋を一本渡った東京のコンビニでバイトをして大学の学費を貯めています。
 そこで彼女は同じ高校3年生の聡太(奥平大兼)と知り合います。クルドや外国人が置かれた立場など何も知らないけれど、呑気で気持ちは優しい。いかにも今時の男の子です(笑)。

 

 サーリャ達一家はある日、入管に呼び出され、父親の難民申請が却下されたことが告げられます。通告は一方的で理由すら告げられません。
 難民申請が却下されると不法滞在になり、県境をまたぐ移動は禁止されます。いつ入管の施設に収容されるかもわからない。働くことも認められません。それでどうやって生きていけばよいのでしょうか。

 日本は先進国として表向きは難民条約の批准国として難民を受け入れ、保護することを世界中に宣言しています。しかし実態は違う。
 難民を殆ど認定しないばかりか、認定しない外国人に対する長期無期限の収容という非人道的な扱いを行っています。極力 外国人を日本に受け入れたくないのです。条約の批准を運用で捻じ曲げる日本の役人お得意の恣意的な通達行政、つまり法治ではなく中国共産党と同じ人治主義がまかり通っている。
 『日本が難民を受け入れないと宣言していれば、最初から他の国へ逃げたのに』と多くの収容者が語っています。


www.nhk.or.jp
  
 難民申請が却下されてから、サーリャ達の暮らしは暗転します。入管だけの問題ではないのです。サーリャ達に表立って敵意を見せなくても、日本の社会には外国人に対する無知や無関心、それに事なかれ主義がはびこっています。大学への推薦だけでなく、コンビニでバイトすることさえ、不法就労の告発を怖れて難しくなる。
 人々に悪意はないだから余計に始末が悪い

 日本で育った子供が自分で学資を貯めて教育を受けたいと願うことすら、かなわない。出演者たちはクルドの人たちの元へ行ってワークショップを行ったそうですが、こういう環境の子供たちが何人もいるそうです。ちなみに映画を手伝ったクルド人たちは入管から不利な扱いを受けることを怖れて、顔出しできなかった人が大勢いるとのこと。
  
 正直言って、中盤以降『日本みたいなクソ国家、さっさと滅びちまえ』と思いながら映画を見ていました。それだけ、描写がリアルだし、巧みなんです。川和田監督のリサーチが余程しっかりしているのでしょう。その語り口は悲憤慷慨の告発調ではなく、誰かを一方的に悪者にするわけでもない。観客の想像力を発揮させる余地を残しながら、言うべきことは明確に表現している。

 入管施設に収容されたサーリャの父が『クーラーはかからないが、食べ物は冷たい。』、『こんな冷たい扱いをするのが日本のお・も・て・な・し、か』と弁護士に皮肉を漏らします。奇しくも入管施設で隠し撮りされた『牛久』で収容者が言っていたのと全く同じセリフです。『マイスモールランド』には文化庁補助金が入っていますが、役人に忖度してません(笑)。


 重い話ではありますけど、画面にずっと引き付けられっぱなしでした。脚色の巧みさもさることながら、高校生二人が爽やかさ、瑞々しさすら感じさせるからです。

 特にサーリャを演じる嵐莉菜という人。この人のことは全然知らなかったのですが、雑誌VIVIの専属モデル。母がドイツと日本のダブル、父は日本国籍を取得しているイラン・イラク・ロシアのミックスで、日本で生まれ育った5カ国のマルチルーツの人。

 劇中 サーリャは知らない人相手にはクルド人ではなく、ドイツ人と名乗っていました。日本社会で欧米系以外の外国人がどう扱われているかを非常に良く示す描写ですが、嵐莉菜自身がそういう経験をしていたそうです。あくまでもオーディションの結果で偶然だそうですが、サーリャの父、妹、弟も彼女の実の家族が演じているそうです。
 この人、演じる姿が本当に切実に見える。そして、力強い。思いもよらぬラストシーンの説得力には驚きました。今年の映画祭の新人賞はぶっちぎりでしょう。

 彼女が唯一心を開く聡太を演じる奥平大兼君も素晴らしい。気持ちが優しいだけが取り柄の今時の男の子(古い世代のバカ男どもよりはマシですが)を演じながら、真剣で切りかかってくるような嵐莉菜の演技をうまく受け止めるしなやかさがある。そして彼もまた、不器用に成長していくのを見せる。

 サントラにも触れない訳にはいきません。担当したのはROTH BART BARON (ロットバルトバロン)という日本のバンドだそうですが、映画のエンディングにかかる『もう祈ることはやめよう』と語りかける主題歌『New Morning』を始めとして、静かで力強い、魅力的な音楽です。帰宅して直ぐ配信で買いました(笑)。1日で10回聴いた(笑)。

 主題歌の『New Morning』(ディランとは関係ない)は、マジで名曲。映画の出演者が登場するミュージックビデオは川和田監督が作っています。


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 前述のようにこの映画、テーマは良いんだけど、劇映画になるのだろうか?と見る前には思っていました。現実の日本の法務省並びに入管の人権感覚の無さ、それに日本人の民度の低さがあまりにも絶望的だからです。

 連日TVで報じられているようにウクライナからの人を受け入れているのは良いことですが、ミャンマークルド、その他の国の人たちはどうでしょう。日本政府はタリバン復権した際 アフガン大使館で働いていた現地の人やその家族すら、まともに救おうとしなかった。

 今やコンビニの店員さんや建築現場で働いているのは殆どが外国人です。産廃などを扱っている人たちにも大勢いるでしょう。彼らがいなければボクらは暮らしていくことができない。その中には現代の奴隷制度と言われる技能実習生やサーリャやその家族のような立場の人たちもいるでしょう。遠い世界の話じゃない、我々が生きている、すぐそこで起きている出来事です。これもまた、現実です。


 『マイスモールランド』には絶望的な現実に立ち向かい、乗り越えようとする物語があります。もっと完成度の高い話は作れるかもしれないけれど、溢れるばかりの切実さと熱量がある。
 難民のことを正面から扱っただけではなく、瑞々しい青春映画です。リアルな脚本と嵐莉菜ちゃんの演技が、語られなくてはいけない物語を見事に紡いでいる。見る前はこんな物語になるとは思いもよらなかった。単に感動しただけでなく、久々に映画を見て勇気を貰いました
 忖度しない脚本(笑)、巧みな脚色、我が事として演じる出演者たち、そして物語の説得力、と、今年のベスト10には必ず入るような映画です。


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