特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

ポリティカル・ダンサブル・エンターテイメント!:映画『アメリカン・ユートピア』

 ああ、また月曜日(笑)。
サミットでこれなんだから、オリンピックもこうなりそう。

 この週末、青山を歩いていたら、国連大学の前でミャンマーの人たちが集会をやってました。

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 今のミャンマーの状況は深刻なものでしょうし、それ以前に彼らが何をしゃべっているのかも判らなかったですが、多くの参加者は女性だけでなく男性も頭に花を挿していて、とても和やかでした。参加者も、特に女の子たちは普通の女子高生みたいな若い子たちばかりで、雰囲気も非常に『開かれた』ように見えました。この『開かれた感じ』がひたすら自己満足に勤しむ日本のバカ左翼の集会と違うところです。


 街を出歩くのは好きじゃありませんが、時には自分の知らないことに出会うことがある。認知症の予防というだけでなく、まだまだ知るべきこと、学ぶべきことが沢山あることを実感します。

 今 スプリングスティーンThe Killersと一緒に吹き込んだ’’Dustland''(ゴミだらけの地)がI Tunesで1位になっています。若いバンドと組んだこともあって渋さはありませんが、齢70を過ぎて未だに畳みかけるように初期衝動を刺激してくるところがカッコいい。
 ボクも新鮮なものに触れ続けないとやばい。世の中が腐っているからといって、自分まで腐る必要はない
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 と、いうことで 六本木で映画『アメリカン・ユートピア

americanutopia-jpn.com

 NYのニューウェイブバンド、トーキング・ヘッズのメンバーで、現在はソロ活動をするデヴィッド・バーンが2019年から行っているブロードウェイの舞台を映画監督のスパイク・リーが映像化したもの。

 トーキング・ヘッズの83年のコンサートを故ジョナサン・デミ監督が映像化した『ストップ・メイキング・センス』はスコセッシ監督の『ザ・ラスト・ワルツ』と並んで、コンサート映画の金字塔として知られています。この映画のデヴィッド・バーンの巨大なスーツ姿は日本でもサントリーのCMに使われ、お茶の間にも知名度がありました。

 今回の舞台を映画化したスパイク・リーは『ドウ・ザ・ライト・シング』やアカデミー脚色賞を取った『ブラック・クランズマン』などお洒落な映像と人種差別を告発するメッセージ性の高い作品で知られています。
デヴィッド・バーン、69歳も踊るってよ。

 ボクはデヴィッド・バーン、あまり好きじゃありません。トーキング・ヘッズは嫌いじゃないし、『ストップ・メイキング・センス』は超カッコいいと思います。でも彼のソロ作は美術学校出のインテリの嫌味がどうしても鼻につく、うっとおしいんです。


 この映画も評判は高いのですがいずれ配信で見れば良い、と思ってました。しかし、各方面から絶賛の嵐、あまりにも評判が高いので劇場に見に行った次第。


 舞台は特に装置もなく、左右と後ろに金属製の簾がかかっているだけ。人間が最も関心を持つのは人間だから、敢えて装置を排することで人間そのものを表現したかったそうです。シンプルな空間の内外を使って、デヴィッド・バーンと11人のバンドが縦横無尽にショーを繰り広げます。
 メンバーはおそろいのグレーのジャケットにパンツ、そして裸足。シンプルな舞台と簾を効果的に使った演出は実にスタイリッシュです。


 
 舞台の上にいるのはボーカル&ギターのデヴィッド・バーンとダンス&コーラスの2人、ギター、ベース、キーボードが一人ずつ、それにパーカッションが6人!というのが特徴です。それぞれの楽器はワイヤレス。国籍はアメリカ、ブラジル、フランス、カナダ、性別も人種も様々です。

 12人が立ち位置迄 完璧にそろったダンスをしながら、見事な演奏を繰り広げる。あまりにも隙が無い演奏なので最初はテープだろう、と思ったのですが、途中でデヴィッド・バーン本人も言うようにテープじゃなく生演奏。踊りながら演奏する、それも完璧な演奏をするってこれは凄い。

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 映像は舞台をシンプルに捉えただけです。これが退屈しない。舞台の上下左右から、観客席上のショットまで、視点が多彩だからでしょうか。メンバーの立ち位置までばっちり決まった振付の見事さにも感心させられます。
 それにコンピュータ制御もしてないのに生演奏の曲の展開に応じて縦横無尽に変化する照明はどうなってるんだとしか言いようがない。
実はワイヤレスの楽器も照明も超ハイテクが使われているそうですがそんなことは観客にはみじんも感じさせない。肉体性だけが浮き彫りになっている。
 また、映像にはピーター・バラカン氏の訳詩がついているのも非常にありがたい。

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 冒頭 デヴィッド・バーンは『我々は歳をとるにつれ、脳から人と接触するためのシナプスが失われていく。今はアホのプラトー状態にある。』と説明します。トーキング・ヘッズ時代もそういう曲が多かったですが、デヴィッド・バーンはコミュ障、人間が嫌いなんでしょうね。そして似た者同士だから、ボクは彼の作品があまり好きじゃないのでしょう(笑)。

 とにかく、『我々はアホのプラトーにいる』という前提のもとに、舞台では曲が展開されていきます。デヴィッド・バーンはもともとアジるような歌い方をする人ですが、69歳にもなって声が一層たくましくなっている。演説をしているかのように歌っています。

 一見 脈絡が無いショーのように見えますが、次第にトーキング・ヘッズ時代の名曲も含めて、政治も含めた明確なテーマがあることがだんだん判ってくる。何故ユートピアなのか、ユートピアの文字がさかさまなのか。謎解きと言っても良い。その過程が非常に感動的です。自分の内にしかユートピアはない。終盤は涙が出てきました(笑)。ショーが演じられたのが大統領選挙前という事も勿論影響しています。 

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 見事な演奏、スタイリッシュな舞台、ダンス、そしてメッセージ性とAクラスのパフォーマンスを味わうことができます。ロックコンサートというより、現代美術を鑑賞しているような感じです。客席の中をバスキングして回るというのは10年前にムーンライダーズもやってましたが、ここまでの意図的なスタイリッシュさはない(笑)。

 これからコンサートや映画、舞台だけでなく、CMなどでこれを真似するアーティストは日本でも山ほど出てくるでしょう。ただ、このパフォーマンスは政治性があるから感動的なのであって、上っ面だけパクっても全く意味がない。


 お洒落でスタイリッシュ、躍動感にあふれ、尚且つ政治的。そして、最後に感動する。肉体性と知性の融合がハイテクによって裏打ちされ、政治性を帯び、人間の存在を考えるモノにまで昇華されている。
 今年見た映画では『あのこは貴族』と並ぶか、
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それを抜いて暫定ベスト1かもしれません。

 それだけでなくコンサートを収めた映画としては約40年前の『ストップ・メイキング・センス』を越えている。ということは、史上最高のコンサート映画ということです。


 それくらいAクラスの体験、時間を過ごさせてくれる素晴らしい映画でした。これは映画館で見るべき作品です。音楽映画と言うより、美術鑑賞と思って見るべき
 宣伝文句にトーキング・ヘッズの名曲をもじって『一生に一度の体験』(Once In A Lifetime)とありますが、それは嘘ではない。デヴィッド・バーンがあまり好きじゃないボクが言うのですから、間違いありません(笑)、終演後、楽屋から出てきたデヴィッド・バーンが自転車で帰っていくのも笑いました。参った。

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『報道1930(''人新世の資本論''特集)』と『首吊りの国』(ムーンライダーズ)

 今日の東京は梅雨の合間の気持ちの良い晴れ。
 しかしオリンピックはやるようですし、心は晴れません。

 政府は政権の維持と電通パソナの利権の方が国民の命より大事なんだから、まったく酷い国です。

 でも政府の目論見通り、バカな日本人はオリンピック中継を見て忘れちゃうんだろうなー。元々甲子園みたいな旧日本軍のパロディを見て本気で喜んでいるような人種です。そのあと変異株がやってくるにしても、その時はその時で記憶から消去されているのでしょう。

 政府も酷けりゃ、大都市の知事もクズばかり。それを選んだ日本人ってどれだけ特殊な有権者(つまりバカ)が揃ってるんでしょうか。

 


 さて、先週11日の金曜日 BS-TBSの『報道1930』に『人新世の資本論』の著者、斎藤幸平氏が出演していました。約1時間の特集です。

 なんでも『人新世の資本論』は32万部も売れたそうで、大ベストセラーです。

 この本の内容を一言でいうと『地球の温暖化などによる環境破壊を食い止めるにはSDGsなどでは間に合わない。不必要な仕事を創ってまで成長しようとする資本主義そのものを見直すしかない』というものです。
●日本を含む世界の富裕層10%が二酸化炭素の大半を排出している。斎藤氏は格差が温暖化を作り出しているというのです。

 『広告代理店やコンサル、金融などの虚業が本当に世の中にとって必要なのか』、『感染リスクに耐えながら世の中に不可欠な仕事をしているエッセンシャルワーカーとテレワークで高給を貪る代理店やコンサル、金融との格差など、今回のコロナで理不尽な格差が可視化された』という著者の指摘は全く同感です。あと、本の中で指摘されていた『稀少性の議論』は非常に刺激的でした。ここは勉強になった。

 しかし『資本主義はもう無理。マルクスをよく読んで(笑)脱成長コミュニズムを目指そう』という結論は噴飯もの、子供の議論にしか思えません。今の資本主義はロクでもないけれど、どうしてそれがいきなり、コミュニズムに結びついちゃうのか(笑)。同じ左翼の白井聡もそうですが、『(机の前に座ってるだけじゃなく)ちゃんと、自分でまともに働いてからモノを言え』と思ってしまう。全員とは言いませんが、学者だってある意味、虚業です。
 そういえば、番組では斎藤氏の『1日ウーバーイーツ体験』等も紹介されていました(笑)。それくらいで働いたつもりになってんのか。舐めてんのか(笑)。

 ボクは斎藤氏の言ってる事より、コメンテーターのパックンの『主旨はよく判るけど、斎藤氏の言ってることはSDGsと同じ、資本主義社会の微調整に過ぎない。コミュニズムとか言わないで、素直に微調整と言えば賛同する人も増えるのではないか』がしっくりきました。
 番組で解説を担当する堤伸輔氏は『コロナ禍にうまく対応できたのは女性政治家がトップだった国が多い。それらの女性政治家に共通しているのは人々のエンパシー(共感)を大事にしたことだ。コミュニズムより、70近い爺さん政治家を退場させて女性に置き換える方が速いのではないか?』と指摘していました。おお、同志!(笑)。パックンの指摘にも堤氏の指摘にも、斎藤氏はもぐもぐ言うだけでまともな反論はなかったですが、そういう事です。

 斎藤氏の指摘は新鮮に聞こえる部分もありますが、所詮は昔の左翼と同じように革命幻想を振りまいてるだけです。
 例えば彼は本の中で『企業の自主管理』を強調していますが、40年前のチリの失敗とか判って言ってんのか、と思ってしまう。競争をしなければいいと斎藤氏は言いますが、競争がない組織は東電のような独占企業やソ連共産党のように必ず腐る
 そもそも、この複雑な時代に経験も知識もない社員がいくら集まっても、高度な経営戦略どころか運営だって出来る訳がないのはバカでも判る。逆にそんなことすら判らないのが、能天気な日本の左翼(笑)。

 バカウヨの『ニッポン、サイコー』のような妄想も困りますが、こういう安易な革命幻想にも困ったものです。『消費税廃止』もそうですが、人間、どうしても単純かつ現実を無視した解決策もどきに頼りたがるものです。人間の性かもしれませんが、それでは問題は解決しない。
 現実は複雑だし、判らないことが沢山あるけれど、それでも向き合いながら一歩一歩、改善していくしかないんだけどなあ


 さてさて 先週土曜日にムーンライダーズを見に行って、久方ぶりに感動(笑)、今週はずっと旧作を聞き直していました。
●当日の模様

 その中で91年の傑作『最後の晩餐』のこんな歌詞に気が付きました。

最後の晩餐

最後の晩餐

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黄色い月の黄色い海に、黄色い肌の強いボクの姿
神がいる国だから国民はいない
怖いものなんか生まれたときから、ボクたち知らないやい

はい!はい!はい!はい!憲法の中で
はい!はい!はい!はい!銃を下げて
はい!

つんつんてる天の脳みそをからかわれたら相手を殺すだけさ。
首吊りの国に悪い奴なんていないやい
片言の言葉話すことだけじゃ、君たち住めないやい

はい!はい!はい!はい!ニュースの中で
はい!はい!はい!はい!嘘をついて、はい!

『はい!はい!はい!はい!』

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 比喩やメタファー、嫌味(笑)は使っても『直接的な言葉遣いなんか粋じゃない』と言うバンドが『首吊りの国』なんてストレートな言葉を使っていたのは意外でした。曲自体はあまり好きではなかったので当時は聞き流していたんですが、91年の時点でもう、そうだったんだ、この国は。

 今週16日に日本とアメリカ、対照的な記事を読みました。
 日本では東大や京大の学生の就職先として国家公務員の人気がダダ下がり、外資系コンサルを選ぶ人が増えている、というのは随分前から言われています。
www.asahi.com

 そりゃあ、当然です。今は昔のように公務員の給料が民間に比べて安いなんてことはないですが、極端に高いと言うわけでもない。大量の残業に耐えながら苦労して仕事しても、やらされるのはバカな政治家の尻ぬぐいと忖度、場合によっては自殺にまで追い込まれる。そんな職業に就きたいなんて思う人は普通、居ませんよね(笑)。

 優秀な人だったら残業は同じように多くても、給料は高い、男女の差は全くない、若くても実力本位で仕事が出来る外資系コンサルに行くのは当然です。各種の白書が典型ですが、今は官庁の仕事も外資系コンサルや野村総研に丸投げしてることも多いから、やる仕事は同じでも給料は遥かに高い、なんてこともあり得る(笑)。
 
 優秀な学生ほど、バカらしくて日本なんて国は相手にしてられない(笑)と思っている。この国の衰退を端的に象徴する出来事でもあります。

 

 一方 アメリカではどうか。同じ16日にアメリカの公正取引委員会連邦取引委員会(FTC)の委員長にハーマン・カーンという32歳の女性が選ばれました。日本もアメリカも巨大企業を抑えるには独禁法が最大の武器です。それを司る公正取引委員会/FTCの役割は非常に大きい。本来は最高裁長官より大きいと思う。
www.nikkei.com

 彼女は名前から想像できるようにパキスタン系。クイーンのフレディ・マーキュリーと同じようにロンドンのパキスタン系の家庭で育ち、11歳で渡米。911直後にイスラム系に向けられた差別に直面したことで社会の不公正さに関心を持ち、独禁法を武器に戦おうと思ったそうです。
 彼女がエール大の法科大学院に在籍中に書いた、アマゾンを独禁法で規制すべき、と言う論文「アマゾンの反トラスト・パラドックス」を大統領候補のエリザベス・ウォ―レン氏が取り上げる等 大きな反響を巻き起こしたのはボクも耳にしていました。

 彼女は「消費者のみに焦点を当てる考え方が、我々をアマゾンの強大な力に対して盲目にした」と言っているそうですが、確かに鋭い指摘です。頭いい。
 企業の独占的な行為を消費者に対する直接的な影響があるものだけに絞る理由なんかどこにもない。社会の利益のためには、競争を阻害する独占的な行為があるかないかが問題の筈です。目からウロコ、でした。

www.nikkei.com

 アメリカは大きな問題を抱えた国であるにしても、優秀なだけでなく社会をより良いものにしようというパキスタン系の32歳の女性が政府機関のトップに抜擢されるような国でもあります。このこと一つとっても、やっぱりアメリカのダイナミズムには敬服せざるを得ません。
 と、同時に日本とのあまりの違いに頭が痛くなります。やはり日本は自ら自滅する『首吊りの国』かな(笑)。

バラが無くちゃ生きていけない:『ローズ・ブーケのソフト』と『ムーンライダーズ45周年ライブ』(moonriders 45th anniversary “THE SUPER MOON”)

 関東も今日から梅雨入り。
 この2か月弱、徒歩圏内でしか生活していませんでしたが、この週末はお出かけをしてきました。

 まずは渋谷から北参道へ歩いて、いつものソフトクリーム屋さん。店の名物、『季節のソフト』はいちごからローズ・ブーケに変わっていました。バラの甘い香りと自家製ミルクのハーモニーが素晴らしい。

 この辺りは交通規制も始まったし、どことなく物々しい。ボクの知る限り国立競技場近くに住んでいる人は全員オリンピック反対ですが、最近はこの辺りから変異株が広まらないか、住民の間で不安が広がっているそうです。知り合いが『オリンピックなんて狂ってる』と吐き捨てるように言ってたのが印象的でした。


 そのあとは六本木へ徒歩で移動。
 日本最古?のロックバンド、ムーンライダーズの45周年ライブがあったんです。ライブに行ったのも昨年2月末のPerfume以来。
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 さすがにライブはちょっと怖いなーとは思ったのですが、大好きなムーンライダーズだからリスクを冒す価値あり、と判断しました。バカには判らない音楽なので、客にもアホはいないと思いましたし。


 
 ボクは日本のバンドでは、ムーンライダーズが一番好きなんです。高校生の時からずっと聞いている。このブログの第1回もムーンライダーズのネタです。漫画家の江口寿史山本直樹など色んな人に色々な影響を与えたバンドですけど、ボクもゴダールの映画のようにムーンライダーズを聞いていなかったら知らなかったものが沢山あります。

 明治期の私小説からの伝統なんでしょうか、日本の音楽の歌詞ってフォークでもロックでも歌謡曲でも自意識過剰で気持ち悪いものが多いですが、ムーンライダーズはシャイだけどクールな歌詞が良いし、演奏もカッコいい。日本でほぼ最初にシンセサイザーを使い始めたり、常に最先端のテクノロジーを取り入れてきたバンドでもあります。
●10年前のライブにて『スカーレットの誓い』:バラが無くちゃ生きていけない

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 メンバーはスタジオ・ミュージシャンもやっていて映画やゲーム、CMの音楽も多々手掛けていますが、ムーンライダーズとしては資生堂ミノルタを始めとして様々なCMタイアップをやっても全く売れなかった(笑)。
 ムーンライダーズの音楽は、ボクはいたってノーマルと思ってますが、友人家族、誰に聞かせても『変だ』、『ひねくれている』と言われます。レコード会社に『難解過ぎる』と言われて、作ったばかりのCDが発売中止になったりもした。
●ちょうど今週発売された昨年の無観客ライブ。この演奏も凄い。
 


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 メンバーは皆、アラ70歳(笑)、この10年くらいはメンバーの入院もあったし、ドラマーのかしぶち哲郎氏は亡くなってしまいました。10年前の35周年ライブで活動休止を宣言したのですが、
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その後 活動休止の休止を宣言(笑)、活動を続けています。

 入場時に手指消毒、検温、マスク、おしゃべり/歓声禁止。場内は換気もガンガンやっています。ボクはN95マスクをしていきました。

 演奏は4人のメンバーでのアコースティック演奏(ギター3本+バイオリン)で始まりました。これは誤魔化しが利きません。気合が入っているのがよく判ります。
 中盤以降は若いバックミュージシャンが7人加わった’’スーパー・ムーンライダーズ’’仕様の演奏。これは一段と良かった。トリプルドラムにツインベースの重くて跳ね回るリズム隊、それにサックスとトランボーンにメンバーの武川雅寛氏のトランペットが絡む。12人という大人数ですが、音に無駄がない。
 選曲も普段はライブでやらないような珍しい曲が多いだけでなく、アレンジも全く変えている。それでもほとんどの曲は知っていますけど、最近は人間だけでなく曲名も思い出せないんだよなー(泣)。
 テクノロジーにしろ、演奏にしろ、元々必ず新しいことをやってくるバンドですが、相変わらず攻撃的というか、攻めている。

 人間、70にもなったら良くも悪くもゆったりした、レイドバックした演奏になりそうなものですが、この日の演奏は今まで見たムーンライダーズの演奏で一番上手い、と思いました。
 ムーンライダーズはシンセだけでなく、演奏にコンピューターを利用し始めたのも元祖みたいなものです。今や殆どどんなバンドでもコンピューターでカウントを取りながら演奏している。しかし、今のムーンライダーズはコンピューターは全然使っていない、人力の演奏です。2時間休みなし、若いミュージシャンをうまく使って躍動感を作り出している。

 若い時はテクノロジー命だったバンドが歳をとるにつれ肉体回帰していくのは面白いです。もしかしたら、アラ70歳ばかりのこのバンド、今が絶頂期なのか。
 アンコールで、今年初めに自宅前で転んで入院、リハビリを終えて、前日に退院したばかりのキーボードの岡田徹氏が加わったのも感動的でした。

 単に演奏が良かっただけでなく、自分がどうやって歳をとっていくかも考えさせられるような充実した2時間でした。最後に鈴木慶一氏は『50周年もやるぞ』と言ってましたので、それを希望に生きていこうと思います。