特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『繋がっている私たち』と『パラサイト』を超える大ヒット:映画『エクストリーム・ジョブ』

 今日から6月、社会も動き始めたようですね。
 ボクが知っている例では、少なくとも6月中はテレワーク推奨、という会社が多いようです。今までの世界に逆戻り、では全く意味がないですよね。


 以前にも書いた、うちの近所にある小さなイタリアンはNHKでパスタの作り方を教えるようなオーナーシェフがやっているんですが、この2か月 テイクアウトのみの営業を余儀なくされていました。
 6月から営業を再開するというので、週末に最後のテイクアウトを買いに行ったら、店の若い子たちの表情が明るかったこと!
 その表情を見ているとこちらも嬉しくなりました。

 営業再開と言っても、もともと16席しかない小さな店をソーシャルディスタンスで更に6席に減らして営業を始めるそうなので、経営面では順風満帆、とはいかない筈です。それでも普段の仕事に戻れる、作り立ての料理を出すことが出来るのは料理屋さんにしてみれば嬉しいのでしょう。
 何気ない日常が如何に貴重か、ボクも感謝しなきゃいけないと思った。
●テイクアウトで買ってきた豚のポルケッタ(丸焼き)。バラ肉をウイキョウと一緒にマリネして炭火焼きにしたもの。真空パックされたものを家で湯煎して、フライパンで焼き直しました。付け合わせは豚の脂で一緒に焼いたピーマンのロースト


 昨晩のNHKスペシャル世界同時ドキュメント 私たちの闘い』は中々感動的なプログラムでした。

www2.nhk.or.jp

 この2か月間の世界各地の人々の自撮りをつなぎ合わせただけでしたが、実に雄弁な番組でした。特に医療崩壊寸前のNYを救うために全米から集まってきた看護師たち、人々を励まそうとバルコニーから歌い続けたフィレンツェのオペラ歌手の姿はマジで感動的でした。

 ロックダウンの程度も感染状況も、一人一人が感じる危機感も様々です。が、コロナという環境下で我々は似たようなことを感じているのが良くわかった。不安を感じたり、時にはくじけそうになるけれど、違う国、違う人種でも我々と同じことを感じている人たちがいる。年齢も国籍も環境も違うけれど、彼らは我々かもしれない。

 ミネアポリスと渋谷でさえ、同じことが起きています。我々はつながっている。
●渋谷署の警官が路上でクルド人を暴行、怪我を負わせたのが拡散しています。

ミネアポリスで警官が黒人を殺したことに対する抗議が全米各地に拡がっています。

●NY。昨年 映画『ジョーカー』で見た光景、そのままです。びっくりした。

●非暴力で座り込みをしている女の子を警官が蹴り飛ばした瞬間。

●警察と群衆の間で暴力の応酬も起きています。1枚目、白人女性たちが黒人の抗議者を警察の暴力から守るために、腕を組んで警官の前に立ちふさがっている。2枚目、群衆の中に孤立した白人警官を黒人たちが守っています。

●抗議で逮捕された人たちを護送するのを拒否して車から降りたバス運転手に、周囲から拍手が沸き起こっています。


 一方 アベノミクスもオリンピックも、

 補助金の利益誘導も、政治家連中は我々を古い世界に引き戻そうと懸命です。

 所詮 今時 賭けマージャンなんかやってる連中です。

 我々はやっぱり、前の世界には戻ってはいけない。


 映画館、もそろそろ開くようです。まあ、シネコンはどうでもいいかな、と思いますが(笑)、ミニシアターの経営は心配です。映画館も、再開しても定員は少なくなるから、経営は大変でしょうし。

 今回のコロナ禍で映画も音楽も演劇も大打撃を受けています。
 映画界について、『サイタマノラッパー』や『AI崩壊』の入江悠監督は映画を作る側、俳優だけでなく、アクション関連の人、撮影の人、もちろん映画館の人、様々な立場の人の間で分断が起きることを指摘しています。
movie.walkerplus.com

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 6月から仕事を始められる人もいれば、そうでない人もいる。映画館や俳優さんの問題だけでなく、撮影や小道具の人もいる。
 これからは撮影するにしても、キスシーンやアクションの殺陣はどうしたらよいのでしょうか。エキストラを集めて群衆シーンというのも難しい。
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 監督はこう言っています。
 今回のコロナ禍はさまざまな立場の人々の間の分断をグラデーションのように生じさせている。そしてコロナ禍で最も恐ろしいのは誰にでも当てはまる明快な解決策がないこと。その分断を乗り越えるには一人一人が想像力を働かせていくしかない。

 映画を作る側、映画館の側、見る側、大資本に自主製作、シネコンにミニシアターとそれぞれ事情は全く変わってくる。すべての人を救える明快な解決策は確かにない。
 これは映画に限った話ではありません。職業、雇用形態、住んでいる地域、性別に国籍。ある意味、今の世の中の縮図でもあります。

 ボクが映画を見る理由の一つは、世間知らずの自分の世界を広げるため、です。特にボクは人間嫌いですから、世界が狭いのは自分でもわかってる(笑)。
 入江監督は、『分断を乗り越えるために想像力を働かせること』についてこう語ってます。

 映画のスクリーンは『世界を見つめる窓』であり、私たちはそこで他者を見つめる視力を鍛えられてきたはずだ。

 ボク自身は人間というものにあんまり興味がないので、他者への想像力、という面では甚だ心もとない。それでも目を見開いて、世界を感じていかなければいけない、と自戒しています。バカになっちゃうから。

 我々は孤立してはいるけれど、繋がっている存在でもあるからです。今回のコロナ危機から学ぶべき点はそれじゃないか、と思っています。


ということで、アマゾンの配信で映画『エクストリーム・ジョブ
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 班長率いる5人の麻薬捜査チームは実績を全く残せず、解散の危機にひんしていた。彼らは大物麻薬組織の情報を入手し、潜伏捜査を始める。コ班長とメンバーのチャン刑事、マ刑事、ヨンホ、ジェフンは組織のアジト前にあるフライドチキン店を買い取り、営業しながら24時間体制で監視を行うが、フライドチキンがおいしいと評判になって客が殺到してしまう- - -

 韓国で『パラサイト』を抑えて2019年度NO.1ヒットを記録しただけでなく、韓国歴代興行収入ランキング第1位に輝いた大ヒット作です。年初に劇場公開されましたけど見損なったので、配信になったのはちょうどよかった。


 お話はコ班長率いる捜査チームが現場へ踏み込むところから始まります。彼らはビルの屋上からロープで釣り下がり、犯罪組織がいる部屋の窓から踏み込もうとします。
 普通だったら窓を蹴破って部屋へ侵入、逮捕となるわけですが、窓を蹴破ると発生する賠償金に怖れをなして、チームの面々は中々踏み込むことができない(笑)。結局 犯人たちを取り逃がしてしまいます。

 ドジばかりの捜査チームは上司の署長に捜査費用の削減と将来的な解散を告げられます。
●チームの面々。確かにパッとしない顔ぶれですが- - -

 窮地に陥った彼らは麻薬組織のアジト前にあるフライドチキン店を買い取り、24時間体制で監視、組織を壊滅させようとします。しかし、マ刑事が故郷のレシピで作ったカルビ味のフライドチキンが大ヒット(笑)、店は大繁盛して捜査どころではなくなってしまいます。

 お話はコメディ。
 大財閥とそれ以外という格差社会の韓国は、手軽に日銭を稼げる商売としてフライドチキンで起業する人が多いと聞きます。焼肉より安価で、チキンは手軽な庶民の味として親しまれているそうです。

 あちらのチキンは揚げたものだけでなく、この映画のようにタレを絡めたものもあるそうです。身体に悪そうだけど、美味しそう。新大久保へ行けば食べられるのかな。
●これが水原風カルビチキン


 この映画、なんといっても脚本がうまい。刑事ドラマというよりコントのようにお話が進んでいきます。

 その中で登場人物たちはダメ刑事の烙印を押されても刑事として生きるべきなのか、大繁盛のチキン屋として生きるべきなのか悩みます(笑)。こういうの、好き💛

 麻薬捜査チームの面々は最初は顔の区別もつかないくらいだったのですが、お話が進むにつれ、コ班長の中年の悩みなど、メンバーのキャラが明確になってきます。段々愛おしくなってくる。

 それがクライマックスで見事に回収されます。
 


 韓国映画らしいどぎつい描写は少ないし、ケラケラ笑いながら楽しんで見ていられます。ほんと、よくできている。感動するとか、そういう話ではありませんが、純粋に楽しい、そんな作品でした。大ヒット作、というだけのことはある。既にハリウッドでのリメイクが決定しているそうです。


映画業界に「チキンの匠」誕生!『エクストリーム・ジョブ』特別映像

『憧れの晴耕雨読(笑)』と『アジア最大級のコロナ被害を受けた日本』

 そろそろ、5月も終わり。早いですねえ。
 会社にいる時間は早く過ぎて欲しいのですが、歳はあまりとりたくない(笑)。路傍の花で心を慰めながら、定年までの日数を指折り数える毎日です。20代からずっと同じですが(笑)


 緊急事態宣言が終了して、街に人は少しずつ増えてきました。
 まともにPCR検査をしてないですから、正直 日本でどれくらい感染が広がっているのか実態は判りません。でも、そろそろ経済活動を始めなければ、皆が干上がってしまいます。そろそろと(笑)活動を始めていくしかありません。
●道端のデニーズの看板。サラダバーもオーダー式になりました。これもニューノーマル。ファミレスなんか20年以上行ったことありませんが(笑)。

 この2か月、育児や介護を抱えている人は本当に大変だったようです。幸いボク自身は感染リスクと経済的なことを除けば(この2つが問題なんですが)、この2か月間 個人的な生活自体はそんなに悪くなかった。

 宴会・飲み会が全滅したり、満員電車が無くなったりしただけでなく、晴れの日は運動がてら片道1時間半の徒歩出勤、大雨の日はテレワーク、という世の中を舐めた(笑)勤務形態は快適でした。
 朝の眩しい日差しを避ける真っ黒なサングラス+ポロシャツの徒歩通勤は勤務先じゃなくリゾートへ行くみたい~と思いましたもん(笑)。

 いや、これぞ憧れの晴耕雨読みたい(笑)。あー、隠居したい。


 緊急事態宣言後も日立や富士通など一部の企業は週2,3回のテレワークや時差出勤を推奨するようです。
business.nikkei.com

 今更 毎日 満員電車とかありえませんよね。ついでにボクは会社行事の宴会も徹底的に潰してやろうと思ってるんですが(笑)。
 日立はこれを機に仕事内容・成果を細かく定義したジョブ型の雇用形態にするそうです。労働強化にもなりかねませんが、ロジカルではある。本当にできるかどうかは知りませんが、それはそれで悪くない。

 ただ、ですね。これから経済はますます厳しくなる。資金繰りから考えて企業倒産のピークはこれからでしょうし。今現在も大変な人が大勢いるし、程度の差こそあれ、自分も含めて更に多くの人がこれから大変になる。

 しかし、政府のやってることは相変わらず。
●給付が遅い、と揉めているコロナ持続化給付金の業務を受託したのは電通パソナトランスコスモスが作った幽霊法人だった。


www.tokyo-np.co.jp


 それだけじゃありません。国民は知事を仕事より、ワイドショーの出演回数で評価する

 ワイドショーに扇動された国民は雨合羽を送って倉庫の肥やしを作る。なおかつ市役所や病院の職員の余計な仕事を増やす。(笑)

 そして大阪ではカッパ祭り続行中!(笑)

 逆に、有能な知事は却ってバカウヨに攻撃される

 政府も政府なら、国民も国民です(笑)。客観的な事実を伝えないマスコミのせいもあるけど、自分で事実を調べようともしない国民もバカ過ぎる。これは同罪でしょう。

 感染リスクもまだ残っているし、活動再開、と言って、はしゃぐような気持にはボクはなれません。

●宇都宮氏がまた都知事選に立候補するそうですが、記者会見はこんな感じだったそうです。いつもながら、これだけ周りが酷いのは本人も問題があると思う。これじゃ、普通の人は投票できないでしょ。

●結局、宇都宮氏は政治センスが無さすぎる。だから支持者にしても、田中龍作や岩上安見みたいな自称ジャーナリストにしても、他で相手にされない左巻きのゴキブリばかり寄ってくる。正しいことを言っていても、まともな人は近寄らなくなる。


 さて 今のところ、日本でのコロナの死亡者数の絶対値は欧米に比べれば、あまり多くありません。偶然かもしれないにしても日本のコロナ対策は成功したのでしょうか。
news.yahoo.co.jp

 死亡者が少ない理由は、握手やハグをしないから、マスクの習慣があるから、とか色んなことが言われています。
 アホなネットメディアだけでなく、朝日ですら、これです↓。ま、朝日もアホですけど(笑)。
www.asahi.com

 安倍晋三まで調子に乗って、日本のコロナ対策が優れていた、と寝ぼけたことを記者会見で言ってましたけど、本当にそうでしょうか。


 ちょうど慶応医学部の先生が論文を書いていたので、それを引用します。今まで色んなニュースを突き合わせて考えてきたんですが、現状についてはこれが妥当な見方、とボクは思っています。論文を要約します。

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<結論>
 日本は死亡者の絶対数は欧米に比べて少ないが、元々アジア諸国は欧米諸国に比べて,感染者数も死亡者数も圧倒的に少ないアジア諸国間で人口10万人当たりの死者数を比較すると日本は,フィリピンに次いでアジアの中で2番目に多く,日本の対策が優れていたとは言い難い
 アジア諸国の感染者数,死亡者数は,欧米に比べて圧倒的に少ないのであり,その中で最大級の被害を受けているのが日本である。

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www.jmedj.co.jp


<人口10万人当たりの死亡者数>
 スペイン,イタリア,フランス,英国での死亡者数は10万人当たり40〜60人。欧米諸国の中で高く評価されるドイツでも,10万人当たり死亡者数は9.5人。
 一方 アジアでは最も死亡者数の多いフィリピンでも10万人当たり0.77人、次いで日本は0.56人。インド,中国,韓国,台湾などでは,10万人当たり0.03〜0.51人となる。
 欧米とアジアとの死亡者数には100倍の違いがあるが,原因は不明。可能性としては①人種の差,②年齢構成の違い(アジア諸国では若年層が多い),③BCG接種の影響,④欧米諸国では高い感染力を持ち病毒性の強い,アジアとは別の新型コロナ流行株が出現した─等が考えられる。

<日本の実態>
 日本のコロナ対策が成功したという報道は誤りである。人口10万人当たりの死亡者数をアジア諸国で比べると1位はフィリピン,2位が日本であり,日本は最も多くの死亡者が発生した国の一つ。医療崩壊した武漢など,ウィルスの発生源とされた中国をも上回っている
 最も死亡者が少ない国・地域は台湾で,感染者数440人で死亡例はわずかに7人である。台湾の人口は2370万人なので,この割合を日本に当てはめると患者数2350人,死亡者数は37人と驚異的な低値となる。日本では700人以上の死亡者が出たが,対策によっては,まだまだ多くの命を救えた可能性がある。

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 今回のウィルスは何故かアジアでは被害が少なかった(人種?BCG?)のはラッキーでした。山中京大教授によると、アメリカや日本で治療薬として承認されたレミデシビルはアジア人には効果がない、という治験が国際調査で出ているそうですからワクチン、治療法に関する科学論文、特に人種は関係があるかもしれない。

 しかし、日本はアジアでも最大級の被害を受けた、が、事実に即した正しい認識です。

 インド映画を見ると都市のスラムの光景にビックリすることがありますけど、そのインドや最貧国のバングラパキスタンより、日本は人口当たりの死亡者数は遥かに多い

 日本人の清潔好きなんか、ウィルスには関係ありません(笑)。


 論文を書いた菅谷先生によると、このところ2年続けてインフルエンザの流行は少なかったそうです。したがって今冬はコロナ第2波、第3波とインフルとの同時流行の可能性がある、と指摘しています。

 日本を含めたアジア諸国では,第2波は,欧米諸国と同じような激甚な流行となる危険性もある。そのため,日本の第2波対策は,欧米の被害状況を詳しく分析して,慎重に立案,準備する必要がある。特に今季は,A/香港型とB型の大規模なインフルエンザ混合流行が予測され,インフルエンザと新型コロナの同時流行にも備える必要がある


 こらあ、おっかない。実際に同時流行になるかどうかはともかく、可能性の話としては筋が通っているから、余計におっかない。

 もっとおっかないのは『日本モデルが優れている』とか『日本人は清潔好きだから』なんて馬鹿げた勘違いが広まる事。

 現実には日本のコロナ対策は失敗だったし、ICUの病床数も足りない
 たまたまアジア人には致死率が低いウィルスだったから良かったもののアジア人にも強い変種が出てきたら今の日本では一巻の終わりです。

●日本のICU厚労省の補正データ(下記*7)を見ても医療崩壊を起こしたイタリアなどと比べて大差ないレベルです。更に病床だけでなくマンパワーが足りないことは厚労省も学会も指摘しています。
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https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000627782.pdf

 おまけに日本は民度も低い。多くの日本人の脳味噌に自己責任ウィルスが取りついている。

this.kiji.is
 

 客観的な結果として、日本の為政者(政治家、役人)は人命よりも経済を選んだ、のでしょうね。『国民より国』という、いつものロジックです。ただ間抜けなのは経済すら救えそうにないということ(笑)。これもいつものパターン(笑)。


 小康状態?になった今のうちに医療資材を備蓄し、病床や保健所を増やしておかないといけません。
 例えば感染症に対応するのは保健所ですが、1996年は845か所だったのが現時点では469か所に減少しています保健所は激減、保健師は激増…コロナで露呈した「保健所劣化」の本質(井上 久男) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)。これは政治の責任です。
 
 我々個人にできることは少ないかもしれませんが、それでも政治に『コロナ対策は手を抜くな』、『医療体制の縮小を許すな』と言い続ける必要はあるでしょう。今だってこんなザマなんですよ。少なくとも雨合羽なんか送ってる場合じゃない。

 何よりも大事なのは『「日本は大丈夫」のような根拠のない思い込みに囚われないこと』でしょう。昨今のTVが良い例ですが、実態が悪い時ほど、人間は『ニッポン・サイコー』とか根拠のない妄想に取りつかれるものです(笑)。
 ウィルスより妄想の方が怖いかも(笑)。
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『おしゃれをとめるな♥』とアカデミー作品賞「パラサイト」の元ネタ!?:映画『しとやかな獣』

 この週末は残り少ない(笑)髪の毛を切りに、久しぶりに神宮前へ行ってきました。
 電車や近所の駅では人は確実に増えていますが、渋谷や原宿はまだ閑散としています。
 土曜日でこれですからね。


 ボクが幼稚園の頃は、表参道にはフランセ(東郷青児の包み紙で有名な昔のケーキ屋)とかレモン(芸能人ばかりの喫茶店)や外人スーパー、米兵相手の土産物屋くらいしかありませんでした。あ、あと、ボクが生まれた病院もあります(笑)。
 とにかく、今のこの風景を見て、昔は原宿も人がまばらだったのを思い出しました。


 髪の毛を切った後、いつも通っているアイスクリーム屋さんへ行きました。オーナーの実家の牧場のミルクで作った、甘くないけどコクがあるソフトクリーム。
 一口食べると、思わず『ああ、美味いなあ』と声が出てしまいます。太るリスクがあるので、2,3か月に1回しか食べないようにしてるんですけどね。
●この日はティラミス・アイス。換気のために店のドアは開けたまま。この前 まいうーの石塚君が取材に来たらしい。ちなみに石塚君はうちの近くをサウナスーツを着てジョギングしてます。彼もダイエットしてるんです(笑)。

 しかし東京を代表するような繁華街の原宿ですら、潰れた店を幾つも見かけました。表参道ヒルズですら空き店舗があった。
 

 都市部はどこもこうでしょうから、これから大変です。それなのに政治はこんなのばっかりで良いのでしょうか。国民のレベルが反映されていると言えばそれまでですが。

 政治家もワイドショーばかり見ている国民も文字通りバカばかり

 先入観念や先延ばしばかりで現実を直視しない連中ばかり、だからこうなる。

 例えば大阪の雨合羽の話も実に恥ずかしい。政治家も政治家ですが、邪魔になる雨合羽を送る市民も市民ですよ。最初からこうなることは判ってるのに頭が悪すぎる。

 往々にして、バカの善意が間接的に人を殺すんです。

 コロナ危機がどうしてこういう大事になったのか。少なくとも日本では感染防止より、オリンピックを優先させようとしたからです。

 そんな世の中ですけど、ボクは青山で休業中の店舗に飾ってあった、この言葉↓に希望を託したいと思います。
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 造物主が作ったウィルスと一緒にするのは気が引けますが、残念ながら、この世界には悪しきモノがあります。ネトウヨ安倍晋三のような連中だけでなく、我々の心の中にも悪しきモノがある。
 だけど、悪しきモノの中に我々の中に確かにある、善きものを埋もれさせてはいけない。

 おしゃれもその一つです。 
 そういえば、今年はまだ、一度も春物のスーツを着てないや。



 と、いうことで、アマゾンの配信で映画『しとやかな獣
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 舞台は出来たばかりの近代的な団地の一室。そこには元海軍中佐(伊藤雄之助)と妻(山岡久乃)が暮らしている。しかし芸能プロ勤務の息子(川畑愛光)は横領、娘(浜田ゆう子)は愛人稼業、父と母はその上前を撥ねて生計を立てている。そこに息子に金を横領された芸能プロ社長(高松英郎)と会計係の幸枝(若尾文子)が押しかけてくる。知的でしとやかに見える幸枝は実は男から男を渡り歩き金を巻き上げるしたたかな女だった……。

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 原作・脚本/新藤兼人、63年に逝去した川島雄三監督の晩年、1962年の作品です。彼の50年代の作品を3作見たので、今度は60年代の作品を見てみようと思ったのです。2年前にデジタルリマスターされた評価の高い作品だそうです。


 主演の若尾文子は映画出演本数およそ160本。半世紀以上にわたって銀幕を彩ってきた大女優、有名建築家、黒川紀章の奥さんですね。
 実は最近 若い女性の間でこの人の人気は高くて、一昨年には東京映画祭でこの人の旧作が上演、今年3月にも『若尾文子映画祭』が開かれたほどだそうです。

www.tbsradio.jp

 でも、ボクは見るのは初めて(笑)。ホント、ボクは芸能界って疎いんです。この人も名前しか聞いたことしかありません。
若尾文子

 舞台はできたばかりの晴海の団地。今はタワマンが立ち並ぶ一等地ですが、当時は工場ばかりです。
●当時の晴海。荒々しさと眩しさを感じます。

 その一室では上品そうな言葉遣いの夫婦が調度品を片付けています。居間に飾ってある絵をしまい、テーブルクロスや灰皿を安っぽいものに変える。最後は二人が安っぽい服に着替えて完成です。奇妙だなと思っていると、やがて芸能プロの社長の一行が押しかけてきます。
●左側が芸能プロ社長(高松英郎)と会計係(若尾文子)。中央の白いスーツのインチキ臭いおっさんは小沢昭一

 父親(伊藤雄之助)の息子が芸能プロの金を着服した、どうしてくれる、というのです。会計係の女は無言ですが、やけに存在感があります。一方 やたらと腰が低い父親は謝罪しながらも、ひたすら惚け続けます。
●元海軍中佐という父親(伊藤雄之助)。終戦後様々な商売に手を出しますが失敗を続けています。どこか胡散臭い。

 部屋にはTVだの、冷蔵庫だのが家電がやたらと揃っています。そして近代的なコンクリート造りの部屋に豪華そうな絵がかかっている。登場人物たちはどこか胡散臭い。この部屋に似合っていない。この微妙な雰囲気づくりは見事です。

 実は夫婦はバー勤めだった長女をベストセラー作家の2号さん(愛人)に仕立ててお金を巻き上げさせ、さらに息子にも芸能プロダクションのお金を横領させています。一家はそのお金で豪勢な暮らしを営んでいるんです。
●やたらと色っぽい長女(浜田ゆう子)

 一家はかって極貧にあえいでいたようです。終戦直後 雨風が吹き込む長屋暮らしを、夫婦が『あれは犬や猫だって耐えられないねえ』と語るシーンがあります。単にそのセリフと表情だけで恐ろしいほどの貧困であったことを観客に納得させてしまう名脚色です。

 その貧困から抜け出すためには手段を選ばない。一家は心に誓っています。
●母親役の山岡久乃。『御免あそばせ』などやたらと上品な言葉づかいなのに佇まいは上品じゃない。どんなことがあっても全く表情を変えない。この映画の中で最強・最狂の役柄です。

 若尾文子演じる会計係は団地を訪れたときは一見しとやかそうでした。にこにこして一言もしゃべらないがやけに存在感がある。が、団地から出たばかりのこのシーンを見れば男たちとの力関係は明確になります。

 そう、会計係の女は一家の息子、それに芸能プロの社長、税務署の担当官など様々な男を自分に夢中にさせて、金を巻き上げていたんです。
●息子は女に夢中です。横領した金は大方 彼女に巻き上げられていました。

●社長も彼女に夢中です。

 最初万引き家族みたい、と思ってたのですが、途中からアカデミー作品賞の『パラサイト』そっくり、と思いました。どちらも極貧だった一家が金持ちや会社に寄生して、豪勢な暮らしを営もうとする。
 団地は当時の庶民にしてみれば豪邸でした。豪邸を舞台にした一家のドラマなのも同じです。そして、一家を凌ぐラスボスがいた、というお話の筋も全く同じです。どちらも貧困と金に狂った世相を皮肉る密室劇です。

 敢えて違いを言えば『パラサイト』はエンタメよりに振ったのに対して、『しとやかな獣』は知的・芸術的な脚色へ振った、また中心が『パラサイト』は男優(父親役のソン・ガンホ)、『しとやかな獣』は女優(もちろん若尾文子)という感じでしょうか。

 登場人物たちのセリフには、『安保といったって、よその国が他国を守ってくれるわけがない』とか『あの飛行機は核爆弾を落とす訓練をしている』といった印象的なものがあります。当時の人々はそう考えていたんでしょうね。今の政治家や国民の何も考えてない、もしくはアメリカ盲従の姿勢をみたら、彼らはビックリするかもしれません。
『しとやかな獣』の狂言のような音楽、時折 急展開する演出はカッコよすぎます。まるで武満徹の前衛音楽を視覚、聴覚、演技の総合芸術としてやっているかのようです。

 そして人生の抽象的なシンボル、暗くて白い、長い階段。女は常に階段を登っていく。


 スタイリッシュで切れ味鋭いブラックコメディ。実にカッコいい。
 もちろん今の方が生活は豊かですが、当時の日本人の感覚は今よりおしゃれ、モダンな面もあったことが良く判ります。日本人は60年前より劣化したのかも。

しとやかな獣