特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『現在の構造、晩夏の松茸(ブータン)』

 夢のように楽しいシルバーウィークの5連休でした。
 どこかへ出かけたわけでもなく、特別なことをしたわけでもありませんが、時計を気にせず過ごせただけでも嬉しかった。早く仕事を引退したいものです。
 連休前に自由が丘の駅前に商業ビルが出来ましたけど、人だかりだったので一歩も踏み入れていません(笑)。1か月くらいしたら入ってみるか(笑)。

 一方 東京近辺は大変なお天気でした。幸いボクの家の近辺は何もなかったですが、時間が経つにつれて停電やら土砂崩れなどがあった地域は大変だったみたいですね。
 土砂崩れや浸水など判りやすい絵面の被害と異なり、千葉県の殆どの地域で4万戸以上が停電したのは殆どニュースにもなりませんでしたが、人々に与えた影響は最も大きかったでしょう。停電は2日近く続いたので冷蔵庫の中身はダメ、携帯もつながらない、大変だったみたいです。

 地球温暖化の直接的な影響はこうやって目に見える形で、身近に起きるようになっています。ボクの年代だったら逃げ切れるかと思ったんだけどなあ(笑)。


 今週 ネタニヤフが国連で演説した際、大勢の外交官が退席したそうです。そりゃあ、戦争犯罪人の演説なんか聞いても仕方ありません。耳が腐る。

 これがその現場。会場は騒然としています。この映像ではわかりませんが日本代表は席に残っていたらしい。

 高市の国連演説も空席だらけでした。こういう画面はテレビでは絶対に映りません。

 それに毎度のことながら、これはみっともないなあと思いました。
 日米会談で高市はトランプをドナルドと呼んで親密さをアピールしようとしたんだけど、トランプは高市をサナエと呼ばないばかりか、視線すら合わせない(笑)。全く相手にされてないんじゃないの(笑)。
 わざわざ自分で出迎えに行った習近平相手の時とはずいぶん違います(笑)。

 挙句の果てにはベッセントに続いて、高市はトランプにまで円安を説教されました。

 アメリカと物価高に苦しむ日本国民の利益は一致している。バラマキと円安で実質賃金を圧迫させている高市の政策と一般の日本国民の利益は一致していない。高市は誰の利益を優先しているのでしょう(笑)。あ、自分か(笑)。

 ICCがノーベル平和賞の候補に挙がっているそうですね。

 日本のニュースでは高市が国連演説やトランプとの会談でICCを話題にしたと報じてましたが、演説を見たらICCに触れただけで、何らかの意思表明をしたわけではない。この人、何が言いたかったんでしょう。


www.mofa.go.jp

 ICCを支持する、というのはオランダの首相のような発言です。

 何のためにやっているのかと言えば、旧来型の左翼も高市と大して変わりません。先週日曜のTBSでのマルクス学者、斎藤幸平の的を射た指摘に対して、

 民主党の元議員の川内がかみついています。川内が言うように、憲法9条を守ればなぜ平和が守れるのか、ボクにはロジックが理解できません(笑)。常識的に考えて、憲法9条が有効かどうかはケースバイケース、じゃないでしょうか(笑)。
 斎藤幸平は『現実を無視した訳の判らないことばかり言ってるから若い人に相手にされなくなって、左翼は衰退している』って普通のことを言ってるだけです。

 かといって斎藤が唱える『共産主義』も、現実感ゼロなんですよね(笑)。

 結局 左翼や野党が現実を無視しているように見える分だけ、どんなに失態を重ねても高市がマシに見える。

その結果、円安で実質賃金は低下し、外交もどんどん袋小路に追い込まれている。それが今の日本、現在の構造です(笑)。高市が自分の言いたいことを言えば言うだけ、中国はもちろん、アメリカからも相手にされなくなる(笑)。

 そんな現実を無視した政治家を支持してしまう民度の低さが右、左関係なく、真の問題なんでしょうけどね。


 8月の終わりに、いつもの、近所の和食屋さんへ行ってきました。有名料亭、菊乃井の東京店の料理長が独立して開いたところです。

 やっぱり、最初はシャンパン。

 自家製のゴマ豆腐と裏ごししたトウモロコシ。上には土佐酢のゼリー。銀杏は今年初めてでした。

 八寸。左上は鱧の塩辛を鱧の子で和えた共和え、その右がスイカのすり流し、枝豆にサツマイモのミョウガの酢漬、左が鯛の寿司。

 お椀です。

 松茸と冬瓜です。8月の末の松茸というのもまさに『はしり』。この松茸はブータンのものです。だけど、結構香りがあります。全然満足です。大量に入っているし(笑)。中国産のものとは全然違います。最近は採った翌日に日本に届くそうです。

 ここで日本酒をもらいます。

 お造り。鳴門の鯛と淡路の鱧。ちょうど鳴門へ旅行に行ってきたばかりですが(笑)、現地で食べたものと質は負けていませんでした。鯛には自家製の唐墨が載っています。

 お凌ぎは波照間島の太いもずくと丹波の黒豆。豆も大きいです。

 郡上鮎の炭焼き。

 鳴門のホテルや京都の瓢亭では長時間 炭焼きにして柔らかくして頭から食べられるようにしていましたが、こちらは大きさそのものが頭から食べられるジャストサイズです。それでも30分くらいは遠火で焼いてました。付け合わせは素麺かぼちゃ(金糸瓜)と蓼の味噌ペースト。

 ウナギの白焼き。お決まりのメニューだとどこかの和牛のローストなのですが、ボクは事前に『(霜降りが嫌だから)和牛は止めてくれ』とお願いしてあります。
 炭火で焼いたウナギはとんかつのように皮がパリパリ(笑)。鰻屋のものよりはるかに美味しい。ソース代わりの付け合わせはジャガイモのペーストとイチジク味噌。

 トウモロコシと枝豆、それにスッポンの土鍋炊き込みご飯。スッポンの出汁で炊いてます。

 爽やかさと甘さ、それにコクがあって最高です。一口だけ食べたら、あとは折詰にしてくれるので次の日の夕飯になります(笑)。
 以前はご飯と一緒にすり流しが出ることが多かったのですが、最近は味噌汁が出るようになりました。ご主人が良い味噌を見つけたそうです。出汁を温めたら火を消して、味噌汁をさっと溶かすだけ。判ってはいるけど家では同時に他のものを作っているから、中々これができない(笑)。香りが違います。

 いつも通り、最後は作り立てのわらび餅。

 お腹いっぱいになったら、遊歩道を15分ほど歩いて帰りました。穏やかな晩夏の夜。今にして思えば、これが今年の夏の終わりでした。

映画「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」

 楽しい楽しい連休です(笑)。今日の東京は雨が続いています。一部で警報が出ているくらいの大雨です。普段はボクの家からは東京タワーや虎ノ門、渋谷などの高層ビルが見えるのですが、全然前が見えない。

 昨日の日曜日、TBSで自他ともに認める左翼・マルクス主義者の斎藤幸平が日本の左翼・リベラルについて語った言葉が話題になっています。『彼らこそ同じ主張ばかり繰り返している保守派で、このままでは高齢化で消滅していくだけだ』と。

 まったくその通りだと思います。平和を守れ、憲法九条を守れと言ってるだけでは、平和を守れるわけがないでしょう(笑)。
 旧来の日本の左翼・リベラルは何十年も同じ主張を繰り返すばかりで、国民とあまりにも乖離しています。彼らから、平和を守るための具体的な方策が全く出てこないのは自分たちの人気取りを優先して、要するに国民のことなんか本気で考えていないように見える。まして国際環境の変化や経済の変化にどう対応するか、なんて彼らから聞いたこともない(笑)。

 しかも絶対に自分たちの非を認めない。この記事↓にあるように共産党の田村が記者会見で沖縄の知事選での敗北をなぜか(笑)政府の介入のせいにしたのが典型です。旧来の日本の左翼の多くは常に他責志向、自分たちが正しい、自分たちは悪くない(笑)、です。

 来年は内閣広報費が前年の10倍だそうです。ちっとも収まらない物価高などの経済運営、トランプにこびへつらうだけでICCの赤木さんを積極的に守ろうともしない外交、しかも経歴詐称や総務省が文書を捏造したなど嘘ばかりついている高市の悪政が続くのは

 無能な野党が高市政権の応援団を務めているのも大きいに違いありません。


 と、言うことで、今回は他責志向ではなく、自分で自分のことを引き受けることについての映画です。
 新宿で映画「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」

 ニューヨークの貧しい家庭に生まれたアフリカ系アメリカ人のアレン・ネルソン(ロドニー・ヒックス)は、貧困や差別から抜け出すために18歳で海兵隊に入隊する。沖縄のキャンプを経てベトナム戦争の最前線へ送られた彼はジャングルの戦場でただ人を殺すことを強いられ、人間らしい心を失っていく。帰国しても彼は過酷なPTSDで戦場の記憶に苦しめられ続ける。大きな音や暗闇に怯え、家族との関係も崩壊しホームレスとなった彼を退役軍人病院でカウンセリングを行うダニエルズ医師(ジェフリー・ラッシュ)が救い出そうとするが。

nelsonsan.jp

 『鉄男』で世界的に高い評価を得、俳優としても活躍する塚本晋也監督の新作です。『野火』、『ほかげ』に続いて戦争を取り上げた作品。ベネチア国際映画祭に出品され、「レオンチーノ・ドーロ賞(Leoncino d’Oro/金の小獅子賞)」を獲得しています。
 初めて聞いた賞でしたが(笑)、高校生が選ぶ賞だそうです。と、言っても、昨年は『ヒンド・ラジャブの声』、他にも『ザ・ホエール』や『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などの名作が獲得していますから、バカにしたもんじゃありません。

 アレン・ネルソン氏はベトナムで海兵隊に従軍、帰国後PTSDに苦しみながら、日本を中心に世界中で軍隊での加害経験を語り続けた人です。従軍時に受けた枯葉剤の影響で2009年に亡くなり、日本の寺で眠っています。彼の自伝が映画の原作です。

 木下グループが出資して作られたこの映画、突然公開規模が縮小され、木下グループの映画館などごく限られた規模で公開となったことでも話題になっています。
 ベネチア映画祭に出展されたこの映画、ボクが見ただけでも塚本監督のインタビューは3回もNHKで流れました。話題の映画なのに東京での公開は新宿と立川だけ、はどうしたって違和感がある。

www.youtube.com

 どこかから圧力があったのでは?という話もありますが、事情はわからない。ボクは陰謀論には組しません(笑)。真相は明かされていませんが、映画評論家の町山智浩氏などは『上映を希望する映画館もあるのに配給の木下グループが公開拡大を抑えている』とも伝えています。それが本当なら、自分たちが出資した映画なのに奇妙極まりない。

 しかし公開されている新宿の木下グループの直営館では連日 朝から晩までフル公開が続いています。

 客入りも良く、この映画館にこんなに客が入っているのは見たことがない、という声が上がっています(笑)。ボクもこの映画館がこんなに混んでいるのは初めてでした(笑)。

 映画は、『(塚本作品にしては)お金がかかってる』というのが第1印象(笑)。出ているのはアメリカやベトナムなど外国の人ばかりだし(笑)、ロケ地も外国です(笑)。塚本監督が戦争を取り上げた『野火』も『ほかげ』も自主制作だったのとは雰囲気は大違い(笑)。

野火 [DVD]

野火 [DVD]

  • 塚本晋也
Amazon

 ネルソンさんを演じるロドニー・ヒックス、ブロードウェイの有名ミュージカルRENTのオリジナルキャストだし、

 医師役のジェフリー・ラッシュはオスカー俳優です。画面にヘリコプターが3機も飛んでるし、同じジャングルの戦いでも『野火』とは大違いです。

 しかし、ずっと見ていると、この映画は『野火』や『ほかげ』の延長線上にあることが分かります。音響表現や、容赦なく人体が損壊され、あっけなく死を迎える戦場の描写は塚本監督ならではです。監督の集大成、と思いながら見ていました。

ほかげ 「特別版」 [Blu-ray]

ほかげ 「特別版」 [Blu-ray]

  • 趣里,塚尾桜雅,河野宏紀,利重剛
Amazon

 ネルソンさんはベトナムから帰って以降 PTSDに苦しんでいました。大きな音や風の音、暗闇に怯え、悪夢にうなされる。感情も不安定になり、時には暴力も振るってしまう。人間関係は崩壊し、ホームレス状態です。そんな時 小学校の教師になっていた同級生に半ばムリヤリ引き出され、子供たちの前で戦争経験を語ることになります。

 ネルソン氏の過去はベトナムの戦場だけではありません。ベトナム戦争当時の米兵たちの沖縄での乱行、過去の家庭での貧困と壮絶なDV経験、帰国後も繰り返される暴力やPTSDの発作。映画ではネルソン氏がどうやって形成され、どうやって傷ついた人間になってしまったか、がカウンセリングを行う医師との対話の中で描かれます。
 

 ベトナムの戦場での過酷な経験は言うまでもありません。米兵が無抵抗の村民を虐殺したソンミ村事件は良く知られていますが、それだけではない。米兵はこんなに残酷なことをやっていたのか、と思いました。
 ネルソンさんの記憶では、ベトコンは村民に交じって襲ってきました。よく言われる話です。米兵にとっては「目の前の村民の中に敵がいるかもしれない」という恐怖が一層 残虐な手段に走らせる。かといって、恐怖は蛮行の免罪符ではない。戦場での残酷さでは米兵もベトコンや北ベトナム軍もあまり変わらないでしょう。相手を殺さなければ自分も殺されてしまいます。

 次第にネルソンさんは自分の人間らしい気持ちを喪失していきます。彼は加害者ですが、被害者でもある。これをどう考えたらいいのか。

 

 映画としては充分良くできています。残酷描写はある程度控えているし、塚本監督が得意の音響でビビらせる演出も冴えています(笑)。米兵の加害シーンを見ていると、アメリカ映画のベトナム戦争描写は正直 日和ってるなあ、と思いました。

 ただ、言いたいことがありすぎて詰め込み過ぎた感は否めません。ベトナムでの描写だけでなく、沖縄で米兵がやっていたこと、DVは世代を超えて連鎖すること、最前線に送られたネルソンさんの部隊は黒人ばかりだったこと、軍は貧しい家庭出身の者を徴兵のターゲットにしていること、言いたいことを過不足なく描いているとは思いますが、映画としては焦点がぶれてしまう点は否めない。ただし、それでも、PTSD描写は強烈でした。

 この映画を見たら誰でも戦争反対、と思うでしょう。だけど自分は戦争をしたくなくても、相手が勝手に襲ってきて、老人や子供を殺すことだって十分にあり得る。実際にネルソンさん自身がそうだったわけです。我々はベトナムでのネルソンさんのような相手と向き合ったときどうすればいいのか。

 この映画で捕虜になったベトナム人が殺される前に『どうして黒人がベトナムに攻めてくるのか。アメリカで黒人解放のために戦うべきじゃないのか』というシーンがあります。米兵が理不尽に襲ってきて蛮行を繰り返したのがベトナム戦争だったし、太平洋戦争の日本軍もそうだったでしょう。病院を爆撃したり子供を数万人も殺しているガザのイスラエル軍や土地の収奪を繰り返すヨルダン川西岸のイスラエル人入植者、町を焼き大勢の子供をロシア本土に誘拐しているウクライナでのロシア軍も同じです。残念ですが、平和と唱えるだけでは平和は守れない。

 充分良くできた映画だけど、切るべきところは切った方が更に感動は深まったのではないかとは思います。ネルソンさんの一生を描かなければならないという使命感もあるから仕方がないのかもしれませんが、あまりにも盛り沢山なんです。

 様々なエピソードが語られる中 ネルソンさんと医師とのカウンセリングを通じた心の旅は感動的です。戦争によって壊された人間が、自分の中の人間性をどう取り戻したかを描いているからです。ネルソンさんがやっと辿りつく答えは素晴らしかった。長年の葛藤の果て、彼は自分自身を受け入れる。それは自分の罪を背負うことでもある。

 この映画が最も素晴らしいのは、反戦メッセージだけではなく、戦争によって壊された人間が自分の罪を含めた過去を引き受けることで人間性を取り戻そうとするところです。
 映画として焦点がぶれてしまう印象は否めないものの、間違いなく「日本人がいま見るべき、感動的な作品」です。
 

www.youtube.com

ヒップホップとピカソと鰻

 はっきりしないお天気が続いていますが、たまに晴れると秋らしい爽やかさを感じます。
 明日から天気が悪くなるようですが、連休です。嬉しいな。

 今回は文化と政治についてのお話です。
 内閣改造で高市が維新の前科者(談合で最高裁で有罪が確定)、中司を入閣させていました。さすが維新。前科がある人間の入閣は史上2度目、前回29年前の佐藤孝行はあまりにも激しい世論の集中砲火で1か月持たずに辞任しています。最近の国民の世論、見識はどうなんでしょうか(嫌味)。

 他にも裏金議員、統一教会のオンパレード。さすが高市、と言わざるをえません(笑)。高市の正体なんか最初から判っているのだから、こんな奴を放っておくアホな国民が悪い。

 そんなことより、今週 ボクはこのニュースに注目していました。

 9月の始め、超有名ミュージシャン、エド・シーランのツアーの前座に起用されていたグラミー賞ラッパー、マックルモアが、ニュージャージーのスタジアムでイスラエル軍によって殺された5歳の少女、ヒンドちゃんの死への抗議運動を歌った『Hind’s Hall』を歌って『パレスチナに自由を』と10 万人近い大観衆に向かってスピーチしました。最初の動画は日本語訳付です。

●マックルモアの「Hind's Hall」のMV。コロンビア大のガザ虐殺への抗議運動で学生が講堂を占拠、『ヒンドちゃんの講堂』と改名したことを歌った歌。わざわざ歌詞が入っています。

 それに対して、スタジアムの持ち主でもあるプロモーターやイスラエルアメリカ人評議会などのユダヤ系団体がマックルモアをツアーから降板させるよう圧力をかけていたのです。

 マックルモアは5歳のヒンドちゃんがイスラエル軍に300発以上の銃弾を浴びせられて殺された直後から、ずっとこういうことを続けてきました。何を今さら(笑)。

spyboy.hatenablog.com

 今週 エド・シーランは圧力に負けて、今後のツアーからマックルモアを降板させたところ、他の前座ミュージシャン全員とエド・シーランのバックバンドがそれに抗議して降板したことがニュースになったのです。かっこいいな。

 降板した前座ミュージシャンには超々有名ミュージシャン(笑)であるビリー・アイリッシュの実兄で曲を全て書いているフィニアスもいます。アイリッシュは降板した兄を『誇らしい』と発言しています。

 エド・シーランは『降板を決定したのはプロモーターだ。自分は中立で、ガザで行われていることに巻き込まれたくない』と弁明しましたが、イスラエルが行っていることは虐殺です。虐殺に対して中立はありません。自分に人間としての良心があるかどうかが問われている。

 ちなみにマックルモアは、ニュージャージーでのライブのギャラ、100万ドル(1.5億円)をそのままパレスチナ系団体に寄付、自分を降板させた億万長者のプロモーターにも同額の寄付を呼び掛けています(笑)。

 文化は人間の営みです。普段は縁遠く見える政治も人間の営みです。だから文化もまた、政治とも無関係ではいられません。
 『音楽に政治を持ち込むな』とか言ってる日本のファンやミュージシャンなどは文化というものを理解していない(笑)。そういう連中は小学校から人生をやり直すか、ロックやヒップホップなんか聞かないで、精神年齢10歳くらい(Byマッカーサー)のJ-POPでも聞いていればいいんです(笑)。
 


 久しぶりに 六本木へ行ってきました。目指すは国立新美術館。

 『ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ』という展覧会です。


www.nact.jp

 パリの国立ピカソ美術館が所蔵する20世紀を代表する芸術家パブロ・ピカソ(1881-1973)の作品を英国のファッションデザイナー、ポール・スミスのデザインによる会場に並べた展覧会。ポール・スミスはピカソ美術館をスポンサードしているみたいです。

 東京の美術館、メジャーな展覧会は混むのでどうしても足が遠のいてしまいます。この美術館は金、土は夜8時までやっているのでゆったりみられるかなと思って。

  絵に合わせてポール・スミスがデザインした鮮やかな色彩の会場に、初期から晩年までの作品群を緩やかな時系列に従って並べたものです。
 これなんか、ピカソが華やかなベル・エポックの時代の中から画業を始めたのが良く判る展示です。

 これに限らず、鮮やかな色彩の中に初期から晩年までの作品群が緩やかな時系列に従って並んでいます。年代別に作風が大きく変化したピカソですから、壁の色などデザインもやりやすいのでしょう。

 これは『青の時代』のもの。青春期は往々にして憂鬱なものです(笑)。夏休み、徳島の大塚国際美術館で『青の時代』のレプリカが沢山 展示してあるのを見ましたが、文字通り深い青の空間の中で見ると印象が違う。
 

 事物の形態のみならず、世界の現実そのものの『解体』を始めた、キュビズムの影響を受け始めた時代は赤。何となく頷けます。

 これなんか絵の中の人物の服の模様と壁の模様がシンクロしています。いかにも、ポール・スミスのセンスですよね。普通の美術館ではありえない。

 ピカソのトレードマークである横縞のシャツの中で作品を展示するスペースもありました。これも面白い視点です。

 ピカソが描いた絵皿が皿の中で飾られています。横縞模様のシャツの展示も絵皿の展示も、ピカソの存在そのものを相対化しています。


 
 ピカソの数々の展覧会ポスターをバックにした展示。

 比較的ゆっくり見られましたし、時系列の切り口も面白かった。
 ピカソと言えば『ゲルニカ』で有名ですが、それだけでなく戦中期は陰鬱な作品ばかりだったし、90歳を超えた最晩年の数年間は3日に1枚の割合で数百枚の絵を描き続けていたのも知らなかった。

 今回の展示では天才と言われるピカソもまた、時代の中で生きた一人の人間であることが強く感じられました。ロックやヒップホップと同じように、美術もまた政治とは無関係ではいられません。中立なんかあり得ない。ピカソもまた、時代や政治から自由ではいられなかったのです。我々と同じように。
 ただ、やっぱりピカソは凡人とはエネルギーが違いますけどね(笑)。 

 ポール・スミスが造形した印象的な空間の中で、個性が強いピカソの作品を味わう、文字通りキュレーションの妙、を味わった、そんな感じです。ピカソの作品のみならず、空間も加わって、もう一つのアートになっていました。


 そのあとは夕飯を食べに行きました。いつもお花見に行くミッドタウンのフレンチです。店が綺麗で、料理がおいしいだけでなく軽いし、六本木の喧騒から完全に離れているのでつい、『ここでいいや』と思ってしまう。店選びが面倒くさいと思ってしまうのは、老化現象です(笑)。

 最初はシャンパン。3代続いて女性の当主が伝承しているナチュールのシャンパンだそう。

 アミューズ。
 手前はビーツなどのタルト3種。後列はキューリのゼリーとフロマージュブランのムース。春来た時と一緒だったような気もするけど(笑)、美味しいです。

 ウナギのテリーヌです。
 スモークを掛けたウナギの間にはアーティチョークが詰められており、ゼリーで固められています。ソースはウナギの骨から取ったエキスをヴィネガーと合わせて煮詰めたもの。付け合わせは焼きナスをサラダ仕立てにしたもの。ボクはテリーヌって大好きなんです。

 ブルゴーニュの白。細かいことは忘れたけど(笑)、ヴォリュームあります。美味しい。

 ホタテのクッション仕立て。
 クネルとは言ってなかったけど、はんぺんみたいなムース状にしたホタテの中に形を残したホタテが入っています。上には大量のキャビア。ソースは枝豆とハーブを合わせたシャンパンソース。この店のシャンパンソースはバターが多めなのがちょっと問題なのですが、ハーブが大量に入っていたので美味しかった。

 ローストしたイサキ。
 付け合わせはグラタンにしたジャガイモとリボン状のズッキーニ。茶色いソースはイサキの骨からとった出汁を煮詰めたもの。黄色いソースはサフラン。

 ムルソーの赤。珍しい。赤は初めて飲みました。ソムリエ氏も『初めてでしょう』と言ってました。やっぱ、良いワインは美味しい。

 じゃーん。メインです。テラスに飾ってあるオリーブの木の枝でいぶしたオマールブルー。

 火入れもレアで完璧でした。燻してレアなんだから大したものです。しかもオマールブルーの深い味がします。イセエビなんか問題にならない。やっぱ、美味いわ(笑)。
 付け合わせはビーツとマンゴーのチャツネソースは殻から煮だしたアメリケーヌソース。

 ワインが残っていたので、シェーブルをもらいました。まだ若い、とのことですが、逆にまろやかな味。

 ハーブのソルベ。
 下にはキウイとライムのジャム(マルムラード)。ミントのオイルがたらされています。

 ココナッツのデザート。
 最下段にココナッツのムース。キャラメルをかけたパイ生地を挟んで上にはココナッツのソルベ。周囲に飾られたジャム状のパイナップルとパッションフルーツがアクセントです。

 最後はハーブティーをもらいました。

 お茶菓子は奥が生ティラミス、右がなんかのゼリーとムースを組み合わせたもの、左がなんかのサンドイッチ(美味しかったけど忘れた)(笑)。
 

 手が込んでいて家では絶対に作れない料理(笑)ですが、この店はさっぱりしているし、たまに食べるとやっぱり美味しいです。出てくるワインも上質だし(大量仕入れなので良い割に安い)、店が静かなのが良い(客層はおしゃれというか、チャラい。女性のノースリーブ比率が異常に高い(笑))。
 美術館もご飯も楽しかった六本木の夜でした。