特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『フラッグ・デイ 父を思う日』

 立春を過ぎたということで、お天気も三寒四温に変わってきました。文字通り春の足音が聞こえてきます。早く元気にならなくちゃ。

 世界に恥を晒した岸田の秘書官の差別発言もドラ息子の件も酷いなあ、と思います。汚職世襲が幅を利かす、どこかの発展途上国の政府みたいですよね。
 それを許している民度も含めて、日本の実体はやはり発展途上国なんでしょう。

 普通だったら政権が吹っ飛んでも仕方ないし、日本もかってはそうだったと思いますが、今は野党も政権担当能力なんかないことは国民も含めて皆が判ってますから、無能な政府が継続してしまう。
 この10年、全く変わらない。自民党政権をアシストしているのは無能な野党と非現実的な妄想から脱皮できないアホな左寄りの野党支持層としか言いようがありません。

 例えば共産党党員が『代表選を』と主張しただけで除名するような政党なんですから、外部のまともな人間が共産党に投票するわけありません。こんなの、民主主義でも何でもない。自民党以下でしょう。

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 右も左も自民党をサポートしている。それでは、いくら無能でも政権が続くはずです(笑)。かくして、日本は奈落の底へ落ちていく


 と、いうことで、日比谷で映画『フラッグ・デイ

1992年のアメリカ、アメリカ最大級の贋札事件の犯人であるジョン(ショーン・ペン)が、裁判を前にして逃亡する。彼にはジェニファー(ディラン・ペン)という娘がいた。警察に呼び出されて父の犯罪の顛末を聞いたジェニファーはつぶやく──「私は父が大好き」。
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 今やアメリカを代表する名優、ショーン・ペンが監督と主演を兼任し、実際に起きた贋札事件を基に映画化したドラマ。第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された作品です。
 ジャーナリストのジェニファー・ヴォーゲルの著書を原作にしたストーリーで、ジェニファーをショーンの実娘であるディラン・ペンが演じています。ちなみにディランの母、ロビン・ライトショーン・ペンも離婚していますから、どうしてもそういう目で見てしまいます。

●父と娘が父と娘を演じています。

 個人と国家の葛藤というショーン・ペンお得意のテーマを取り上げた作品でもあります。
 ウクライナへのロシア侵攻が迫ったころショーン・ペン渡航警告を顧みず、ロシアの圧力をドキュメンタリーにするため、ウクライナに滞在していました。
 侵攻当日もウクライナのキーウに居た彼がゼレンスキー大統領と会談し支援を訴えたのは覚えている人も多いでしょう。

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 映画はジェニファーが警察に呼ばれるところから始まります。警官から父が何をしたか告げられる。

 タイトルの『フラッグ・デイ』とは、6月14日のアメリ国旗制定記念日のこと。この日に生まれたジョンは、自分は生まれながらにして祝福されていると感じ、特別な存在として成功する当然の権利があると信じています。
 もちろん、こういう男はろくでもない奴です。会社でもそうですが、ダメな奴ほど他人のせいにするって世の中の真理じゃないでしょうか。『日本すげえー』が典型で今や日本全体がそうなりつつある( ´艸`)。


 
 ジョンはジェニファーの母とジェニファーと暮らすために、借金をして農場を買い込みます。母もジェニファーも大喜び。しかしジョンには借金を支払う能力も気力もなかったのです(笑)。
 家庭では喧嘩がたえなくなり、ジョンは外で浮気をしたり、母に暴力をふるったりします。母も精神を病んでいく。

 母とジェニファーはジョンと別れて暮らし始めますが、やさぐれた母はジェニファーに辛く当たるようになります。お父さん子だったジェニファーは父が恋しくてなりません。 

 そこでジェニファーはジョンを頼っていくと、大歓迎はしてくれるものの生活はめちゃくちゃ、さらに裏社会とのつながりもあることに気が付きます。
 ジェニファーは母と父の間を行ったり来たり、彼女自身も薬とセックスにおぼれていきます。

 この典型的な下層の白人労働者階級(ホワイト・トラッシュ)の貧困描写がすごいです。貧困、暴力、アルコール、薬、近親相姦。リアルです。ジェニファーたちがぬかるみに落ちていく様は実際にアメリカの元工業地帯で起きていることです。

●やたらと迫力がある義父役のジョシュ・ブローリン

 それでもジェニファーは薬や暴力から逃れ、奨学金で大学へ入学、ジャーナリストとして自立します。出自を問わず、意欲と能力がある者には手が差し伸べられるところはまた、アメリカの一面でもあります。しかし、どうしても這い上がれない者もいる。

 この映画、映像と音楽が非常に美しい。これが実話とは思えないくらい、結構 酷い話ですが、見ていてそれほど辛くならない(正視できる)のは特筆すべきだと思います。ショーン・ペンの映像作家としての成熟でしょう。

 お話は父と娘の愛情、それに愛情を成り立たせることが如何に難しいかを描写し続けます。ショーン・ペンの監督デビュー作『インディアン・ランナー』はブルース・スプリングスティーンの『ハイウェイ・パトロールマン』という歌の歌詞をそのまま映画にしたものですが、今回は非常によく似ている。

 哀愁とやさぐれ感を醸し出すショーン・ペンの演技の素晴らしさは言うまでもありません。ジェニファーを演じるディラン・ペンもすごい。父親と相対するとき見せる複雑な表情は親が離婚した自分の境遇と重ねるところがあったのかもしれません。ショーン・ペンと演技合戦をして渡り合えるのですから大したものです。

●本物の弟であるホッパー・ジャック・ペンも弟役で出演

 お話の内容とは異なり、映画は穏やかで美しい描写で終始します。アメリカでも有数の大量の偽札作りに関わったジョンはどうしようもない、単なるアホでしかない。
 でもジェニファーと対比させることで国家権力では抑えきれない個人の存在が深く心に残る。誰もが心の中に国家や組織では抑えきれないもの、説明しきれないものを隠し持っているのではないでしょうか。
 我々の社会はそれをバッサリ切り捨ててしまっていいのか。だからこそショーン・ペンが映画化したのでしょう。なかなかの佳作でした。


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『譚仔三哥』と『木内登英氏講演会』

 この3年間 ボクは殆どテレワークはしていませんでした。徒歩通勤は楽しかったし、身体を動かさないと精神的にも滅入りそうだったからです。
 でも先週 頭を打って流石に毎日1時間半歩く勇気はなかったので、今週は半分以上テレワークでした。

 これが快適(笑)。冬の寒い時に外へ出ないでいい、というのはこんなに素晴らしいことだったのか(笑)。
 なんといっても精神的に楽。夜明け前に起きていた朝もゆったりと寝られる。今までは7時間くらいしか寝られなかったのが、今週は毎日9時間以上熟睡してました。まだ顎が痛いので、モノを噛むのはあまり得意じゃないのですが、食欲も出てきました。身体が治ろうとして、エネルギーを欲しているのでしょう。
 多少頭はクラクラするし、顔の痣など完治にまだまだ時間はかかるでしょうけど、健康な生活ってありがたい、と痛感しました。

 やっぱり人間 普段の生活をもっと大事にすると同時に普通の生活が送れることにもっと感謝しなくてはいけない、と改めて思いました。 

大阪府知事選。野党陣営はどうしてどうして、いつもいつも、こんなにアホなんだろうか。これで共産党の辰巳コータローと共倒れ。立候補依頼を受ける方もどうかしてる。


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 昨年 香港で大人気という『米線』専門店『譚仔三哥』(タムジャイサイゴー)が昨年 丸亀製麺とタイアップして日本に進出しました。

 雲南地方などで食べられる米線は以前 雲南出身の人が作る店へ食べに行ったことを書きましたが、その名の通り米の麺を鶏などのスープで食べる料理です。

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 香港では、その米線を麻辣などのスープと組み合わせて出す店が3年連続ビフグルマンで1位になるなど大ヒットしているそうです。それが、この店『譚仔三哥』です。

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 日本では新宿、渋谷吉祥寺、恵比寿と店があるのですが、新宿と渋谷吉祥寺は話題になる程の大行列が続いていて、とても入る気力がありません。唯一恵比寿だけは空いているので、食べてみました。

 最初に麻辣やクリア、トマト味など6種類のスープと辛さを選びます。その後 好きな具を選ぶシステムです。
 ボクは全く食べたことがない味のウーラー(ちょっと辛いスパイス味)を選びました。具はミックス。

 出てきたのがこれ。左側が付け合わせの大根の漬物や肉味噌です。

 米線は胃への負担が少ないし、何よりも具材が多い、特に野菜や豆腐などヘルシーな具材が多いのが嬉しいです。スープは滋味を感じるほどではありませんが、化調くささもなく。まあまあ、でしょうか。何よりも脂っぽくないのはとても良かったです。

 一緒に頼んだ焼き豚のニンニクソース。好みもあるでしょうけど、これはサイコーでした。本気でうまかった。

 所謂ファストフードですが野菜が多い、自分が好きにアレンジできる、大量生産臭さが無い、という点で良かったです。スープなどは大量生産しても味は悪くなりませんし、米線は胃への負担は小さい。わざわざ食べに行くかというほどではないですが、手作りのちゃんとした料理が食べられそうもない時の選択肢としては悪くない。
 また、機会があったら食べたいと思います。

 
 先週 元日銀審議委員の木内登英氏の新春講演を聞いてきました。アベノミクスには当初から批判的で、最近もNHK7時のニュースなどでもコメントが引用される有名エコノミストです。
●今週31日、NHKで『安倍晋三が日銀に物価目標を押し付けた』と木内氏は証言しました。

www3.nhk.or.jp


 今年の景気はどうなるか、という話ですが、やはり前半は厳しい、と。

 これは殆ど全ての経済評論家が言っているとおりです。今 アメリカやEUはインフレ対策で金利を上げて金融引き締めに走っています。住宅などに影響がでているようですけど、インフレが続けば引き締めも続くでしょう。中国だって経済は大減速中。

 

 一方 日本は欧米ほどの物価高、インフレではない、と政府は言っています。確かに物価上昇率はそうですけど、生活実感とは違いますよね。木内氏は『日本は賃金が上がっていないのだから、物価高の打撃は欧米と変わらない』と喝破していました。なるほど、頭いいです。

 次にアベノミクスの10年を木内氏は総括しました。要約すると『当初は過度な円高を是正して景気刺激の効果はあったが、あとは全く効果がなかった。相対的にみて物価も大して上がらなかったし、経済成長も起きず、産業構造も変わらなかった。その一方 財政破綻リスクや為替の不安定さなど副作用は増大した。

 木内氏いわく『日本と欧米では経済構造が違うのだから、同じ物価目標2%を目指すこと自体が間違っている』そうです。確かにそうですよね。少子高齢化も産業構造も欧米と日本では事情は大きく異なる。

 最初から分かっていることですが、金融緩和して円安にして物価と賃金を上げて成長しようというアベノミクスという発想自体が間違っていた少子高齢化や産業構造や生産性といった日本の経済の仕組自体に手を入れなければ成長率なんか上がるはずがない。金をばら撒くだけで我々の生活が良くなるなんて話がある訳がない。

 木内氏は『アベノミクスの後始末には15年か20年くらいはかかる』と言っていました。そりゃあ、そうです。 
 日銀は国債は500兆円以上、株式も50兆円以上も買い込んでいるのですから、放出するにしてもゆっくりやらなければ、それこそ恐慌が起きる。

 この10年間、日本はなんてバカな政策をとってきたのか。改めて痛感します。
 政府だけの問題じゃありません。大勢に流された国民もバカでした。それなのに山本太郎など反緊縮と騒いでいる連中のように未だにMMTだ、金融緩和だ、と言ってるウスラバカまでいる。バカには右左はありません(笑)。

 国民がこんなバカな政策の総括すらできなければ、将来の日本はお先真っ暗でしょう。総括できても真っ暗かもしれませんが(笑)。

映画『ヒトラーのための虐殺会議』

 我ながら仕出かしてしまいました。金曜夜の真夜中、トイレに行く途中 寝ぼけて転んで顔から落ちてしまった。
 ズキズキする痛みに耐えながらまた、寝たのですが、朝起きたら辺りが血まみれでした。あわてて救急車に乗って病院でCTを受けたら顔の骨は骨折、頭を打ったので2,3日は安静、ということでした。

 我ながら間抜けな話です。その日は仕事で会社全体の人事異動の話が有ったので、そのストレスのせいかもしれません。
 それでなくとも先月末に家の階段で足指を捻挫して2,3日歩けなかったのですが、今月はこのざまです。今の家を3月に引っ越すことが決まってから、どうも家の中で怪我をする。お祓いに行こうと思っています。


 と、いうことで、有楽町で映画『ヒトラーのための虐殺会議

1942年1月20日。国家保安部代表のラインハルト・ハイドリヒは、ナチス親衛隊と政府高官ら15名を、ドイツ・ベルリンのヴァンゼー湖のほとりにある邸宅に招集する。「ユダヤ人問題の最終的解決」についての会議が開かれ、彼らはヨーロッパの全てのユダヤ人を抹殺する計画について話し合う。会議ではユダヤ人の移送、強制収容、強制労働、計画的殺害などが異論なく議決される。

klockworx-v.com

 第二次世界大戦中 ユダヤ人絶滅政策を決定したはベルリンの高級住宅地、ヴァン湖(ヴァンゼー)で開かれた会議を描いた作品。ナチス戦犯アドルフ・アイヒマンが記録した会議の議事録に基づき、ヨーロッパの全ユダヤ人虐殺計画が立てられていく会議の様子が淡々と再現されます。

 集まったのは親衛隊、軍、占領地や本国内務省や外務省などの官僚たちです。当時のナチスは占領地が拡大するうちに支配下ユダヤ人の人数も増え、処理に苦慮していました。

●山荘に高官たちが続々とやってきます。

 
 それまではユダヤ人はドイツから追い出して東方へ隔離する、という方針でした。しかし戦争が激化するにつれ、そうも言っていられなくなった。

 会議ではそれぞれが勝手なことを言いあいます。ハインリッヒら親衛隊は『ユダヤ人はまとめて殺すしかない』と主張し続けます。占領地の行政官は『俺の支配地でのユダヤ人をどうしたらいいんだ』と訴え続けます。

 占領地で知識人や聖職者、ユダヤ人やロマ、共産党幹部などの民間人を大量虐殺していた秘密部隊、アインザッツグルッペン(移動虐殺部隊)の事が公然と語られていることも見逃せません。曰く、虐殺に従事するアインザッツグルッペンのメンバーの精神状態もおかしくなってきている、と。   

●会議を主催する親衛隊のハインリッヒ。野心家で悪逆非道な男として有名です。後年チェコパルチザンに爆殺されました。

 本国の官僚は『WW1でドイツ人として戦ったユダヤ人、特に戦傷を負ったり勲章を受けているユダヤ人をどうするんだ』、『精神障害者身体障害者に対して行われた「強制的な安楽死」であるT4作戦が与えた世論へのショックの再来にならないのか』と懸念を主張します。
 それに『殺すにしても貴重な弾薬が勿体ない』とか、『殺害するドイツ人への精神的ショック』も重ねて指摘されます。そもそも『1000万人を銃殺するのでは人手も弾も埋葬場所もとても間に合わない』。

 或る意味 合理的な議論が行われています。様々なことまで考慮するのは流石官僚、ですが、大人たちが集まって大真面目にこんなことを議論している、そして誰一人としてユダヤ人を殺すことをなんとも思ってないのには衝撃を受けます。

●内務や外務の役人たち
 

 アイヒマンの議事録を忠実に再現した、ということで、表面上は淡々とした展開が続きます。アイヒマンと言えば戦後は逃亡し、60年代にイスラエルモサドに潜伏先から拉致され、裁判で絞首刑になりました。
 裁判の記録フィルムを見ると、アイヒマンはおどおどした口調で『私は命令に忠実に従っただけだ』と抗弁したのが印象的でした。それを哲学者のハンナ・アレントが『凡庸な悪』と評したのは有名です。

 しかし、ここではアイヒマンは事務方として高官たちにユダヤ人の効率的な!殺戮方法の具体案まで提案するなど、終始積極的な役割を演じ続けます。いやいや、こいつ、平凡な小役人どころか、1000回くらい死刑にしなきゃダメでしょ。

●親衛隊たち。一番右が実務を取り仕切るアイヒマン

 弾も使わず、ドイツ人の手を汚さず、効率的に殺すためにアイヒマンが提案した方法がポーランドアウシュビッツなどに収容所を作ってガスで殺し焼却する方策でした。

 積極的にユダヤ人を殺せと主張するのは人種的偏見に取りつかれたナチスのみです。が、恐らくは普通の感性の人たちであろう他の出席者も誰も反対しないし、誰も疑問に思わない。淡々とした描写が余計に恐ろしさを引き立たせます。いざという時、人間はこうなってしまう。 

 やっぱり今 こういう映画が作られること自体、ドイツは日本よりまともです。
 日本のお花畑のリベラルとは違って、ドイツのリベラルは現実的です。緑の党は積極的にウクライナへの軍事支援を主張し、社民党出身の首相は時間をかけつつもようやく戦車の供与に踏み切りました。しかし、その現実的な態度は過去に犯した過ちを直視した上でのものです。だから判断に逡巡もある。判断に重みがある。

 日本では政府や保守派は過去の過ちを直視しないし、歴史まで修正しようとする。一方リベラルは平和とお題目を唱えるだけで現実を直視しない。代替案も出さずに反対を唱えるだけ。
 戦争時の日本の会議はどうだったんだろう、と思いました。同じように狂っていても、ここまで合理的な、そして冷徹な会議にはならなかったのではないでしょうか。現実を直視しないという点では現在の日本と戦前の日本は続いているからです。
 2度と間違いを犯さないためにはまず現実をみなければなりません。大変ユニークな、見るに値する映画だと思いました。


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