特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『アップルパイのソフトクリーム』と『ナイキのCMが言ってること(バカウヨは顧客ではない)』

 早くも12月、今年もあと1か月です。
 大変な1年でしたが、それでも時の流れは信じられない速さです。早く過ぎて、もうちょっと良い世の中になればいいな。
 今朝は寒かったですが、澄み切った空の朝焼けはきれいでした。こういう心境になりたいものです(笑)。


 一部には呆れるような大馬鹿もいますけど。日本のTVではどう考えても、E-TVが一番まともなのに。


 感染が再拡大しているのも関わらず、相変わらず政府や一部自治体の無策には呆れます。


コロナ「最大限の警戒必要」 通常医療と両立「困難も」 専門家組織:朝日新聞デジタル

この期に及んで東京をGO TOの対象から外さないのですから、本気で感染を抑える気があるのかすら、疑います。

 と、同時に日本人の思考停止もどうかと思う。キャンペーンがあろうがなかかろうが、自分が危ないと思ったら旅行や宴会なんかやめれば良いし、大丈夫と思えば行けばいいじゃないですか。政府のキャンペーンごときに自分の行動がどうして左右されるのか。それに改革と称してリストラや非正規化ばっかやってた連中をどうして支持してたのか。

 観光業の苦境は判るけど、GO TOと言うのは需要の先食いに過ぎません。短期的な経済効果を追求し過ぎると、そのあとの反動で観光業は更に苦しくなるはず。
 それに今の医療崩壊寸前の状況も、GO TOにしろ、病床の準備不足にしろ、半分は政府や知事の人災ですよね。
 今回のコロナ禍は単にウィルスだけの話ではなく、今までの日本人の思考停止、というより、思考放棄がそれに輪をかけていると思います。


 また北参道へソフトクリームを食べに行ってきました。前回はブドウでしたが、今回はアップルパイのソフトクリーム💛

 
 いつもどおりソフト屋さんの実家の牧場のミルクから作ったふんわりソフトの上にアップルパイの部品(笑)がちりばめられています。上には薄いパイ皮、薄く切ったリンゴ、リンゴのピューレ、シナモン、ソフトの下には温められたリンゴのワイン煮が詰まっています。熱で溶けてくるソフトもこれまた美味しい。
 ボリュームがあって、これだけでお昼ご飯になってしまいますが、美味しかったなー。


 さて、前回のエントリーでもちらっと取り上げたナイキ・ジャパンのネットCM『動かしつづける。自分を。未来を。 The Future Isn’t Waiting.』を巡る騒ぎは一層大きくなっています。
●関連記事を幾つか挙げておきます。最初のものは事実関係、2番目のものは深く考えているかな。
www.afpbb.com

gendai.ismedia.jp

diamond.jp


 差別や偏見にめげず頑張る在日朝鮮人、アフリカ系とのミックスの女の子たちを取り上げた、このCMに対してバカウヨ連中から抗議が殺到していることが、BBCを始め、ロイター、ワシントンポスト、ガーディアン紙などで世界中に報じられています。


 約2分間のCM、ボクは本当に感動しました。日本にも存在する差別という恥部を真正面から取り上げ、相対化し、まともな人々に勇気を与える素晴らしいフィルムです。

 抗議の声が出ているのはナイキが何かをミスったわけではなく、単に知能指数が雀ほどもない(推定)ゴミウヨがCMに群がってイキっているだけ、ということでしかありません。バカをあぶり出すリトマス試験紙ですな(笑)。
●CMを再掲します。結果として良いね!を付けてる人の方が遥かに多い。
www.youtube.com



 ナイキがこういうCMを行うのは初めてではありません。2018年にはアメリカ本国でアメフトで人種差別に抗議した選手を起用して物議を醸しましたが、キャンペーンは大成功でした。今回も、もちろん確信犯に決まっています。
 

 今回のナイキのCMに対するネガティヴな反応は2種類あると思います。
1.『日本を貶める反日広告』(笑)と怒るバカウヨ
 日本社会に存在する在日の人への差別は勿論、最近の大坂なおみさんへの反応を見れば、別にこのCMは単に事実を述べているだけに過ぎないことが判ります(実話だそうです)。事実を描写するのが何の問題があるのか(笑)。こういうバカウヨが存在していること自体が日本に差別があることを証明している(笑)。連中のおかげで日本が人種差別国家であることが世界に知れ渡りました(笑)。

2.『ナイキもバカウヨも、どっちもどっち』という差別加担者
 右左関係なく存在する、こういうのが一番始末が悪い。もちろんナイキは昔は下請けでの児童労働が問題になったし、ホームレスを強制排除して作られた渋谷の宮下公園の命名権を買ったことにしても、別に立派な企業ではない。そんなの、バカでない限り誰でも知ってます。イメージ回復のために最近は社会的メッセージを意識しているのかもしれませんが、所詮 広告は広告に過ぎません。プロパガンダ
 しかし、このCMで描かれている差別は日本の社会に明らかに存在するという事実とナイキという企業の体質は関係がありません事実は事実
 それを、したり顔で『どっちもどっち論』を唱えるのは単に事実と向き合っていないに過ぎません。事実の隠ぺい、差別への加担ともいえる。こういう連中はバカウヨと同類か、もっとたちが悪い。事実に向き合おうとしない能無しの役立たずです。


 この問題の本質は今回のCMもまた、マーケティングである、という事です。
 このCMに反発しているのは、twitterで怒っている投稿者を見ても大多数が中高年の男ども、でしょう。
 ナイキはそういうクズ連中は相手にしていない、ということです。バカウヨ連中は不買と騒いでますが、ナイキにしてみれば、こういうクズ連中に製品を買われるのは迷惑、ブランドにとってイメージダウンになると考えている(笑)に決まっています(笑)。

●どうせ、お前はナイキなんか買ったことなんかないだろが(笑)。


 

 このCMはすでにYouTubeたった5日間で1000万回以上再生されました。CMとしては大成功です。
 つまり、ナイキのように若い人を主要顧客とする、それも付加価値で商品を売っていこうとする企業にとって、差別主義者のバカウヨは顧客として要らない(笑)、ということです。

 ナイキだけではありません。
 今夏 有名なアパレルメーカーのフレッド・ペリーが黒地に黄色のラインが入ったポロシャツの販売を北米で停止しました。これです↓。

 

 トランプ支持者のプラウド・ボーイズがそのポロシャツを制服のように愛用していたからです。

 ボクも何枚かこの会社のポロシャツを持ってますが、今夏は着るのが恥ずかしくてタンスにしまったままでした。欧米ではそういう人は多いんじゃないですか。 

www.cnn.co.jp
 
 同社は声明を出しました。『創始者のフレッド・ペリーは労働者階級の出身で社会主義者の下院議員の息子だ。彼は東欧からのユダヤ人移民と一緒にこの会社を始めた。こんな声明を出さなければならないこと自体が恥ずかしい。我々の信念と従業員一同にかけて、我々はプラウドボーイズに反対する。』とまで述べています。まさに怒りの声明です(*プラウド・ボーイズは反ユダヤ主義でもあります)
help.fredperry.com
www.wwdjapan.com
 
 ちなみにトランプ支持者のファッションはやっぱり、これ、’’BBQ,BEER,FREEDOM’’ですよね(笑)。この、絵にかいたようなバカウヨの姿を見て我に返った人も多かったのではないか(笑)。アメリカの誰かがググって調べたらこのシャツはWalmartで僅か1ドルで売ってたと言うオチ?(笑)もサイコーでした。今 日本のアマゾンでは2400円で売ってます(笑)。

bbq beer freedom
https://www.youtube.com/watch?v=2W6E1jxrADg



 今のマーケティングでは不特定多数に受けるより、熱狂的なロイヤル・カストマーを如何に増やすかが勝負です。マーケティングをやったことがある人には常識ですが、その方が費用対効果は大きいからです。だからミウヨなんか切り捨ててもよい。これから伸びていく企業ほどそう考えるはず。

 もちろん、その逆張りでクズウヨを主要顧客と捉える企業、特に政治家(トランプのような)は出てくる可能性はありますが、世界的に今のミレニアル世代がリベラルな傾向が強いことを考えるとそういう企業や政治家の将来は暗い。


 
 少子高齢化が進む日本は『バカウヨのジジイだらけの貧乏国になりつつある』ということはたびたび、このブログでも書いてきました。まあ、ゴミウヨが滅びるのは自業自得です。典型的な自滅パターン(笑)。
 でも、ナイキのCMの騒動が示唆しているのは、日本が世界から『バカウヨだらけの貧乏国なんか地球上に要らねーよ』ってことになっていかないか、ということです。

 ボク自身も『バカウヨの能無しジジイだらけの貧乏国なんか地球上に存在する必要はない』と思いますから(笑)、それもまた構わないのですが、日本の衰退はこんなところからも加速していく。そう思います。


 ということで、 感染の拡大で原発再稼働反対の金曜官邸前抗議は今週もオンラインです。その前に良いニュースが飛び込んできました。


 今日の午後 大阪地裁から画期的な判決が出ました。大飯3号機4号機の耐震性が不十分として、原子力規制委の設置許可を取り消したのです。


www.nikkei.com

 まだ判決の詳報は入ってきていませんが、規制委の設置許可が取り消されたのは初めて、です。今までの規制委の判断はザルとまでは言いませんが、活断層の有無にしろ、避難計画にしろ、判断には大いに疑問が残るものでした。

 まだ地裁とは言え、規制委のあり方にメスが入るのは今までの我が国の忖度司法を考えれば画期的なことだと思います。規制委の連中に少しは緊張感を持たせないと。

セルフ・ネグレクトの物語:NHKスペシャル『ある、引きこもりの死』と映画『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』

 昨晩放映されたNHKスペシャルある、引きこもりの死』は思わず、見入ってしまいました。
 番組はいわゆる8050問題、つまり80代の親が40~50代の引きこもりの子供を養っている問題を描いていました。40~50代の引きこもりは推計61万人、親が亡くなると子供は生活の糧を失い、周囲からの援助を拒み、引きこもったまま亡くなっていくケースが多々あるそうです。その年代の子供たちは山一ショック~小泉不況の就職氷河期世代であったことも引きこもりを助長している。
www.nhk.jp

 このこと自体は当時から指摘されていましたが、政府は大した手は打たなかった。それから親も子供も歳を重ね、近年はいよいよ来るものが来た、ということなのでしょう。

 番組で見た、引きこもりの人を何とか支援しようとする役所や福祉協議会の職員の姿には正直 頭が下がりましたが、支援を拒む人も多い。自ら餓死に向かっているかのような、やせ細った手首や足首は映像で見るとショックでした。雑草が生い茂った家に住んでいる姿は、ジャングルに残った日本兵のようだった。

 引きこもったまま亡くなっていくのも、ある意味 本人の自由意志です。ボクだって出来れば人と関わりたくないし、人間には孤立死する権利はあると思う。
 しかしセルフ・ネグレクト(自己放棄)という言葉にあるように、自分で自分を見放すことを全て自己責任で考えてよいのでしょうか。

 番組で描かれていたような経済的な問題でなくても、健康や気力の衰え、精神疾患、もしくは何らかの拍子で自暴自棄になってしまうことは誰にでもあります


 今の社会はあまり人間を大事にしていないと思います。政治だけでなく、ボクも含めて多くの人々も人間を大事にしない。生産性とかだけで人間を判断するバカ議員すらいる。そんな風潮だと自分自身の存在価値が感じられずに、セルフ・ネグレクトみたいなことが増えてくる。

 本当は政治や社会全体にだって責任があるのに、そちらは頬かむりして、一個人にばかり責任をおしつける。コロナと同じ構造です。

 この国は多くの人が自己責任という病気に集団感染しているかのようです。生きることは人間の権利って発想にどうしてならないのか。人材が有効活用できるだけでなく、社会の多様性だって増すのだから、社会としても利益が大きいはずです。
●今夏公開された映画『カセットテープ・ダイアリーズ』では親の失業で悩む移民の高校生の主人公が、スプリングスティーンの『生きていることは罪ではない』という歌詞を聞いて立ち直ります。

 甘っちょろい生活を過ごしているボクですら、毎日がサバイバル、綱渡りをしているような感覚はあります。この国では一歩 足を踏み外しただけで社会から転落しかねない。番組に出てきた人が言っていた、自分自身から逃げたいって気持ちだって、時々感じます。
 あの番組に映っていた人たちは全くの他人事、とはボクにはとても思えませんでした。

●ナイキはかっての児童労働や宮下''ナイキ’’公園の件などはありますが、真正面から在日朝鮮人や混血の子を取り上げたこのCMには感動せざるを得ませんでした。必見です。ボクはちょっと泣きました。このCMにバカウヨがいっぱい群がってますが井の中のバカ蛙はさっさと滅びるのみ。これが世界標準の感性。

●前回 カカオの問題を取り上げましたが、補足。2025年までに明治や森永など大手メーカーは児童労働や搾取に考慮したカカオ豆に切り替えるそうです。
news.nissyoku.co.jp


 ということで、吉祥寺で映画『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-

hillbilly-eregy-movie.com

 2016年夏に発売された無名の弁護士の自叙伝「ヒルビリー・エレジー」は、2016年から17年にかけて全米NO1の大ベストセラーになりました。著者のJ・D・ヴァンスはイエール大を卒業した弁護士ですが、アパラチア山脈にあるケンタッキー州ジャクソンに生まれ、ラストベルトのオハイオ州ミドルタウンで育った人物です。
 本の発売がトランプの当選と重なったこともあって、彼が描く貧困者の暮らしや考え方がラストベルトのトランプ支持者を描き出しているとして、大変話題になりました。

 立ち読みした(根性!)この本には、大変印象に残る一節がありました。

 彼らはとにかく、オバマが嫌い、というんです。政策の問題ではありません。ハワイ生まれのシングルマザーに育てられたオバマはハワイやジャカルタで暮らした後、奨学金で本土のハーバードのロースクールへ進み、人権派弁護士になりました。卒業後はラストベルトからほど近いシカゴで貧困対策の社会運動に従事して、政界へ進出しました。
 貧困層の味方だし、努力で積み上げてきた非の打ちどころがない経歴です。しかし、そこが嫌いだそうです。

 何故なら、彼らはオバマを見ていると『自分が責められているような気がする』から
 努力してキャリアを切り開き、なおかつ社会のために働こうとするオバマに対して、自分たちは仕事も不安定で、酒や麻薬に溺れ、家族を満足に養うどころか、DVすら起こしてしまう。オバマを見ていると、自分たちの存在自体が否定されている気がするそうです。

 その気持ちは判らないでもありません。事実に基づいた見解ではありませんが、ある種の人間にとっては真実ではある。昨日のNHKスペシャルある、引きこもりの死』で描かれていた、周囲からの援助を拒み続ける引きこもりの人たちとも、ある意味 共通する。ただ、規模が違う。こちらは地域ごと、世代ごと切り捨てられている。

 オハイオなどラストベルトの斜陽化は70年代から始まり、現代も続いています。戦場からラストベルトの故郷へ帰ってきたベトナム帰還兵が失業して『俺はUSAの敗残者だ』と悲痛な叫びをあげるスプリングスティーンの『Born in The USA』は85年の作品です。

Bruce Springsteen 'BORN IN THE USA' live 1985

 その当時でも街にはホームレスがたむろする状態だったわけですが、今は一層ひどくなっている。職もない、麻薬と暴力が蔓延する。福祉団体のわずかながらの食糧配給で生命を繋ぐ人も多い。それが40~50年も続いている。

 それに対して金持ち優先の共和党は勿論、金融やITを優先させたクリントンが典型で、民主党だって十分な手を差し伸べなかった。見捨てられた人たちがトランプの嘘八百に希望を託してしまうのは判らないではありません。


 今作は、そのラストベルトの人たちを描いたベストセラーの映画化です。監督は『ビューティフル・マインド』でアカデミー監督賞を受賞、「ダ・ヴィンチ・コード」などの巨匠ロン・ハワード、出演は「魔法にかけられて」や『メッセージ』などアカデミー賞ノミネート6回のエイミー・アダムス、「天才作家の妻」などアカデミー賞ノミネート7回の大女優グレン・クローズなど大変豪華な映画です。

 ところが、配給はやっぱりネットフリックス。以前ご紹介したネットフリックスの『シカゴ7裁判』同様、アカデミー賞候補、という下馬評も出ている作品ですが、東京では1館・1日1回の公開です(今は上映館も増えました)。これは、どうしても見たい。根性で吉祥寺まで行ってきました。
●右が著者のJ・D・ヴァンス。

 映画は主人公(著者)の幼少時のケンタッキーでの描写から始まります。
 ケンタッキーなどアパラチア山脈の周辺に住む人たちはヒルビリーとか、ホワイト・トラッシュ(クズ白人)などと呼ばれています。昔『じゃじゃ馬億万長者』ってTVドラマ・映画がありましたけど、あれの原題はBeverly Hillbillies。ヒルビリーの一家がLAのビバリーヒルズに住んだらどうなるか、というコメディです。

 アパラチア山脈周辺はイギリス系、アイルランド系の白人が開拓してきた地域ですが、深い森と山に囲まれて地理的に孤立しており、文化的・経済的に取り残されていました。カントリー音楽の源流の一つとなったブルーグラスの発祥の地でもあります。辛い労働を慰める労働歌の発祥の地。
●この映画で描かれたアパラチア山脈の村。深い森が広がる中で白人貧困層が住んでいます。

 白人の中でも最貧困層が多いことで知られていますが、主産業は衰退産業である炭鉱ですから、さらにひどくなっている。著者のJ・D・ヴァイスは『自分たちは白人と思ったことはない』と言っていますが、文化や教育、言語などの差から白人の中でも露骨に差別されているだけでなく、近年は麻薬や加工食品メーカーの食いものにされてきたことでも知られています。失業率が高いだけでなく平均寿命も短い。
 この作品はヒルビリーたちとラストベルトの労働者たち、二重の苦境を描いている。そこは見るまで気が付かなかった。

 主人公一家は祖母(グレン・クローズ)が13歳で妊娠・出産したことから、ケンタッキーから離れ(そういうことが多発する地域にもかかわらず、保守的・閉鎖的な地域です)、近隣のオハイオ州へ移り住みます。
●主人公の祖母(グレン・クローズ)(左)と母(エイミー・アダムス)。二大女優の競演です。二人ともジャンクフードばかりのホワイト・トラッシュを演じるため、10キロ以上 体重を増やしています。

 オハイオ州ミドルトンは鉄鋼業の街。かっては栄えていましたが70年代後半以降、衰退の一途をたどっています。
主人公の母(エイミー・アダムス)はそんな街で看護婦として働きます。主人公を出産しますが、ほどなく離婚。その後も知り合う男たちともうまく行かない。次から次へと男も住むところも変わっていきます。
●ラストベルトで暮らす母(エイミー・アダムス)と兵役でお金を貯めてイェール大に進学した主人公(右)。

 お話は名門イェ―ル大学のロースクールに入学した主人公と過去のオハイオでの暮らしが交互に描かれ進んでいきます。主人公はイラク戦争に従軍して学費を貯め、さらに奨学金ロースクールに進みます。賢くて優しいインド系の彼女も出来た。しかし、学費がバカ高く、文化が全く違うエリートの世界とのギャップにずっと苦しみ続けます。
 過去と現在のお話を交互に描くことで、主人公が名門大学で感じるギャップがいちいち、過去のオハイオでの暮らしに起因していることが判ります。
●母(エイミー・アダムス)は息子である主人公を愛してはいるものの、感情をコントロールできません。

 オハイオで看護婦として働く母は麻薬に手を出すようになります。周囲の人間も含めて、麻薬があまりにも身近にある環境です。子供まで麻薬をやっている。親も何も言わない。
 ただでさえ失業率が高い不況の街で職を失った母親は、低賃金の職と様々な男の家を転々とする。

 大人しく内向的だった主人公も段々とチンピラもどきになっていく。それを救ったのは祖母でした。

 グレン・クローズエイミー・アダムスも10キロ以上体重を増やし、言葉遣いも全く変えて、白人貧困層の姿を熱演しています。どすを利かせた徹底して下品で無教養なしゃべり方です。二人とも、良くこんな役を受けたなあと思います。
●イェールのロースクールに通っている主人公(中央)は母(エイミー・アダムス)(右)がヘロイン中毒で病院に担ぎ込まれたことでラストベルトの故郷に帰ってきます。

 失業、経済的な貧困、文化・生活面での貧困、暴力、行政の無為無策、それが何十年も続いている。日本では全く想像できない驚くべき実態ですが、見ていてそれほど暗くなりません。二大女優の演技合戦に魅入られてしまうからです。

 エイミー・アダムスは早くも来年のアカデミー賞候補に噂されています
www.salon.com

 『ガープの世界』以来 ボクは大ファンのグレン・クローズのすごさは今更言うまでもありませんが、今回もすごい。

ガープの世界 [DVD]

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  • 発売日: 2011/12/21
  • メディア: DVD

 主人公が立ち直るきっかけになる、セリフ無しの表情だけで、十分説得力がある。見ていて、今回も号泣でした。表情だけで泣かされてしまう俳優って、ボクにとってはこの人だけかもしれません。


 主人公はイラク戦争に従軍して学費を貯め、更に奨学金をもらって一流大学へ進学、弁護士になります。この境遇から抜け出せた例外的な存在です。
 新自由主義にかぶれた政治家や竹中平蔵みたいなエセ学者は構造改革が必要、と言いますけど、石炭や鉄鋼産業に勤めていた人がIT産業に移れと言っても、ムリな話です。
エイミー・アダムスのヤク中演技もすごい。ラストベルトでは多くの人が薬におぼれている、と言います。

 バブル以降 日本は莫大な財政赤字と引き換えの公共投資で何とか地方経済を成り立たせてきた。それでも地方の商店街にはシャッター通りが拡がり、工場の閉鎖は続いている。
 多くの日本企業が落ち目になり、更に今後 少子高齢化が進み医療・福祉関連予算が増える一方 公共投資で地方経済を今のまま維持するなんてことは出来ない。この映画で描かれたことは他人事ではないんです。


 女優さんの見事な演技合戦と大監督の巧みな演出、暗くならずに凄絶な労働者階級の実態を見ることができる。考えることができる。豪華だけどミニシアターでかかるような志を持った作品。
 エンドロールで映った本物の祖母も母も主人公も映画とそっくりなのは、ビックリ。そこまでやらなくていいのに(笑)。超よくできた映画だし、心に残ります。ネットフリックスで公開中。

Hillbilly Elegy a Ron Howard Film | Amy Adams & Glenn Close | Official Trailer | Netflix

『お皿の上の物語』と『マルクス・ガブリエル氏の講演''New Normality''』

 コロナの感染はいよいよとどまるところを知りません。
 誰がいつかかっても不思議ではない状況。それに加えて、バカ政府やアホ知事連中は国民に責任をおっかぶせるばかりで、まともな対策をとらない。

 空襲には防空頭巾を被れとか町内会で消火しろとか言ってただけで政府はまともな防空手段を取らなかった、太平洋戦争もこんな感じだったんでしょうね。広島の原爆なんか空襲警報を解除したところで落とされて被害を大きくしたんだから。

 結局は個人任せ。マヌケ政府やクズ知事は税金を取るだけの役立たず。とにかく遅いし、ピントがずれてる。

 どうぞ皆さま、お気を付けください。 


 さて、これは少し前に近所のレストランで食べた『桜エビと香茸とアマゾンカカオのパスタ』です。

 
 珍しい組み合わせですが、美味しかったです。静岡のサクラエビと岩手の香茸、海と山の強い出汁が手打ちパスタに染み込むことで、溶け合ってます。その上からアマゾンで作ったカカオがまろやかさを加えています。

 ボクは『創作料理に上手いものなし』と思ってますが(笑)、ここのシェフはNHKでパスタを教えてたりするだけあって、オーソドックスなところもちゃんとしているので、まあいいかな、と(笑)。
●ソムリエ氏が合わせたワイン。Vivinoというアプリでボトルの写真を撮るとAIがネット上の画像を検索して、銘柄から凡その値段まで判別します(画像下)。AI、恐ろしい(笑)。


 このパスタを食べるときに店の人から聞いたお話をしようと思います。

 静岡名物のサクラエビは、ここ数年 不漁が続いています。特に今年は史上最低だそうです。

www.at-s.com


 原因は資源の乱獲とも、湾に流れ込む富士川水質汚染とも、言われていますが、はっきりしない。多分両方なのでしょう。
www.at-s.com

 今年春にはあまりの不漁に『乗り子』と呼ばれるエビを取る漁師さんがおおよそ700人のうち50人くらいが集団退職すると言う騒ぎが起きました。

 国の補助で手厚く守られている船主とは対照的に、乗り子は不漁で一か月の給料が数千円にしかならない人もいる。乗り子さんたちは『船主と乗り子で50:50だった取り分を変えてくれ』という要求を出したそうです。昔は乗り子が60、オーナーが40の取り分だったのが、近年はオーナー側の取り分が増えてしまった。ここにも新自由主義の影響が出ている。
www.at-s.com

www.at-s.com

 資源の問題だけでなく、労働者と資本家の報酬の配分だって持続可能性の問題です。静岡のちゃんとしたフレッシュなサクラエビはもうすぐ食べられなくなるのでは?と言う話はここ数年 色々なレストランでよく聞きます。 


 香茸はスーパーなどでは見かけない、あまり馴染みがないキノコです。強い香りはマツタケとも比べられるそうですが人工栽培が難しく、東北など産地も限られるそうです。この店はジビエをやっているので岩手のマタギさんが猟の間に見つけてくるものを使っています。西洋のポルチーニ茸(セップ茸)に近い味・香りです。

 ところが、最近は店で使えるキノコが減っているそうです。野生のキノコですから、311以降は放射性物資がたまっています。勿論 検査して出荷されていますが、近年は放射性物質の濃度が濃くて使えないものが増えているそうです。岩手のマタギさんだけの話ではありません。
www.asahi.com

 こんなところにも、原発事故はまだまだ終わっていないことを改めて実感します。


 カカオはご存知の通りチョコレートの原料ですが、カカオベルトと呼ばれる赤道を挟んで緯度が上下20度の地域で栽培されています。主に先進国で消費されますが、カカオは国際市場や政府の定める安価な価格で取引され、農家の多くは日々暮らしていくために十分な収入が得られず、児童労働などの温床になっていることが世界的に問題になっています。
 それに対して一部ではフェアトレードやチョコレート屋がカカオ豆の栽培から携わる『ビーン・トウ・バー』などの取り組みが行われていますが、まだまだ足りません。
dandelionchocolate.jp

 このパスタに使われたカカオは、店にワインを卸していた人が一念発起、フェアトレードを志してアマゾンで自ら栽培を始めたものだそうです(笑)。店では、彼を応援するためになるべく、それを使っていると言ってました。

 チョコレート大好きなボクは、なるべくフェアトレードビーン・トウ・バーのチョコを買うようにはしてますが、入手できる機会自体が少ない。結果として発展途上国の搾取や児童労働に加担していると言えなくもありません。かといって通常のチョコレートやカカオ製品をボイコットしても解決するような問題でもない。難しい問題です。
 

 サクラエビ、香茸、カカオ、素晴らしい組み合わせでしたが、それぞれ難しい問題を抱えています単純に日本の自然環境や資源を守れという話で済む話ではありません


 TPPを反対する人が良く『日本の農業を守れ』とか言ってましたが、ちゃんちゃらおかしいと思ってました。現在の日本の農業は石油をじゃぶじゃぶ使い、現代の奴隷制度=技能実習生で成り立っています。TPPに反対しても日本の農業が守れるわけでは全くない。
 日本の農業は安全性や味などで差別化すると同時に、機械化・大規模化で生産性を高めると同時に、自由貿易で海外への輸出を増やしていく以外にはない。他の産業と一緒です。


 料理の説明をしてくれるお店の人の話を聞きながら、環境汚染、労使の不公平な配分、原発事故、発展途上国との不公正な貿易(南北問題)、様々なことが思い浮かびました。パスタ一皿とっても我々の生活は様々な問題を抱えていると改めて思いました。


 昨日は、今を時めく?哲学者のマルクス・ガブリエル氏のオンライン講演を聞いてきました。

 この人の対談本『未来への大分岐』や『全体主義の克服』は本屋でも大きく扱われたベストセラーになってますよね。

 

またE-TVが今夏、この人の連続番組を放送していたのをご覧になった方も多いと思います。

 この人は、80年代から90年代にかけて流行った「全体の構造、関係性の中では全てのものは等価である」という相対主義構造主義を越えて、『世の中には普遍的なものが存在するという新実存主義』という立場を唱えている人です。一言で言うと、『世界には普遍的なものはない、という普遍的なものがある』という風にボクは理解しています(違っていたら教えてください)。

 ボクはロックファンなので、実存を信じています。ビートに合わせて踊ることで生じる肉体的感覚は構造によって生じるものではなく、確かに関係性から独立して実在しているからです。

 何より、関係性の中では全てのものは等価、とするのは世の中に対して害が大きすぎる、と考えるからです。バカウヨの陰謀論歴史修正主義はまともに論じることすらしちゃいけないでしょう。そんなものは等価じゃない。
 言論の自由は重要だけど、一定の限度を超えると社会に害をもたらします。一般的なモラルなんてボクは信じませんが、人間には最後の守らなければいけないラインがある。それが普遍的価値だと思います。


 ガブリエル氏の講演は最初に『ユニヴァーサル・バリュー』(普遍的価値)と『New Normality』(新しい価値基準)についてお話します』、と宣言して話が始まりました。最初にポイントを述べるのは、海外の人に良くある判りやすいプレゼンのスタイルです。

 ユニバーサル・バリューについて、彼はこう言っていました。

 今回のコロナ渦でモラルの革新が始まっている。マスクをすることは自分だけでなく他人を慮って、社会を感染から守ることでもある。アジア圏では従来からそういう習慣があったが、そういう習慣がなかった欧米でも広がりつつある(例外もあるが)。
 資本主義についても同じで、どうやって自由市場を守っていくが、維持していくかが課題になっている。そのためには児童労働の禁止や環境対策など『他人を傷つけてはいけない』という発想が強くなってきた。ブラック・ライヴズ・マターが黒人だけでなく白人にも拡がりをみせているのも、多くの人が『他人を傷つけてはいけない』と考えるようになったからではないか。

 私は共産主義者=COMMUNISTではない。しかしCO IMMUNISD(共同で免疫を持つ者)ではある。人間は共同しなければ生きていけないことが明確になりつつある。
 人間は科学や技術の進歩で他の人間、環境、動物に対して多大な影響を及ぼすようになっており、それだけの責任がある。

『新しい価値基準』については以下のようなことを言っていました。

 例えば疫病学者は、コロナの感染を防ぐためには他人と会わないのが最良の対策と考える。しかし、それは現実的ではない。経済学が唱える自由市場などの概念も同様である。ある意味 科学はプロパガンダの性質を持っている。
 Qアノンのような陰謀論がはびこるのは科学がプロパガンダの一面を持っているからではないか。科学は一見 客観的なものに見える。しかしコロナも気候変動も示しているものは所詮『モデル』であり、現実とは異なる。コロナはモデルより被害は少なめだし、気候変動はモデルより遥かに進行は深刻である。
 いずれにしても科学は現実と異なる場合もあり、そこに陰謀論が付け込んでくる隙がある。
 それを打ち破るには共同・協力という価値基準が必要ではないか。科学や技術が進歩したように価値基準(モラル・倫理)も進歩させていく必要がある。
 私は資本主義を否定はしないが、今のまま続けていくのは難しいことが今回のパンデミックで明らかになった。特に気候変動への対応には時間的余裕はほとんどない

 物事は全て良い方向に進んでいるわけではないが、今回のパンデミックによって『モラルの革新』の萌芽がでてきたこと、そしてトランプを排除できたのは、人間にとって最後のチャンスではないか

●記事によると2035年には本州の半分くらいの広さに相当する100万平方キロメートルの陸地が水没するそうです。


 講演の内容は最近 彼が話している事と重なります。例えば、これ↓。
www.vogue.co.jp

 ボクはガブリエル氏の言ってること全てに賛同するわけじゃありませんが、今回の禍を奇貨として、チャンスにしなければいけない、というのは賛成です。仕事でも生活でも、世の中がマシな方向へ進むためのチャンスを諦めずに見つけて行かなければいけない。それが今、一人一人が出来ることだと思います。



 と、いうことで感染症の拡大で今週も金曜官邸前抗議はオンラインです。