特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『前門の外国と後門のAI』と『0215再稼働反対!首相官邸前抗議』

 相変らず寒く、乾燥した日々が続いています。だんだん身体が辛くなってきた(笑)。
でも、団々と陽が長くなってきたし、着実に春の足音が聞こえてきています。ああ、早く暖かくならないかなあ。3月は3月で世俗の行事は多いし、例え自分じゃなくても人事異動だのなんだで、ストレスが溜まるんですけどね。
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先日ご紹介した技能実習生制度を告発した『バリバラ
spyboy.hatenablog.com
を始め、NHKの良心的な番組はこのブログでも度々取り上げていますが、そのほとんどを作ってきた部門(だけ)が今 解体の危機にあるそうです。

これ、許せない!。民放は元からダメだし、見るTVが無くなっちゃうよ。残るのはTBS『報道特集』とテレ東の深夜ドラマくらいか。TVなんか無くなってもいいけど、ほんと、独裁国家みたいになってきました。
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 さて、『前門のオオカミ、後門の虎』という言葉は皆さんも良くご存知だと思います。先日『今の日本はまさにそうだなあ』と つくづく感じられる出来事がありました。

 先日 アメリカの企業とTV会議をしたんです。情報システムの話だったのですが、アメリカの会社が雇ったシステム屋さんはインド人。日本側が雇ったシステム屋さんは中国人。
●東京、中国、アメリカを結んだTV会議。大きく映っているのはシカゴに居るインド人。時差もあって、眠そうです。

 打ち合わせの9割はインド人と中国人が英語でまくし立てていました。要するに実質的に仕事をしているのは彼らです。今はまだ最後の意思決定は我々とアメリカ人(イタリア系)でやりますけど、この状態では『いずれ日本人もアメリカ人も中国やインドに追い抜かれて仕事を取られてしまう』のは容易に想像できます。それは彼らが優秀だからです。打ち合せの内容より『俺たちの将来は暗い(笑)』というのが我々の感想でした(笑)。
●いよいよボロが出てきました。『金融緩和で昭和の輸出の夢よもう一度』のアベノミクスなんか、今の時代にうまく行くわけありません。とどのつまりが『統計偽装』(西日本新聞頑張ってます)。

統計手法 官邸意向で見直しか | 2019/2/15(金) 6:27 - Yahoo!ニュース
this.kiji.is
www.nishinippon.co.jp


●野口教授には必ずしも賛成できないことも多いのですが、これはアベノミクスの虚妄を的確に書いています。




 それだけではありません。ボクがお昼ご飯を食べる安くて美味しい中華料理屋でもそうです。
●これで750円。ダイエットのためにご飯の盛りは通常の半分です(笑)。

 800円も出せばお腹一杯食べられるこの店の客層は日本人7割、中国人3割くらいです。日本人客は工事やメンテなど現場系の中高年が中心、高齢でも現場作業をしている人が多いのは驚くばかりですが、他は自己管理が出来てないデブや喫煙者が多い。要するに、それなりの客層(笑)。

 一方 中国人客は若い男女が中心。彼らの多くはIT系の仕事です。料理が出てくるまでスマホを見ながら株取引とかやってる。今 日本の企業でもシステム・エンジニアには中国の人が大勢います。ITの知識だけでなく、彼らは日本語、英語、中国語を喋れるからです。だいぶ近くなってきたとは言え、人件費も日本人より安いだけでなく、仕事の質も高いことが多い。
 この場末の中華料理屋の風景を見ているだけで、日本の将来はある程度想像できます。

●まして政治がこれじゃあね。
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もう一つは 先週土曜日のTBS報道特集。AIの特集でした。
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www.tbs.co.jp

 内容は以前もご紹介した『AIに学習させて東大受験に合格させる』というプロジェクトを行っている新井紀子教授の『人間の読解力が著しく落ちていて、このままでは人間の仕事自体がAIに奪われてしまう』という警鐘です。新井教授のベストセラー本の内容は昨年夏にご紹介しました。番組の内容もほぼ同じです。
spyboy.hatenablog.com


 今回番組を見ていて思ったのは、人間の能力が低下しているのは読解力というより、ロジカルに考える力=論理性と思いました。番組の中でも新井教授は『文章の内容と図やグラフの意味が同じかどうか判断することが、今の高校生の3割くらいしかできない』という報告をしていましたが、論理的に考えることが苦手な人は大人でも結構いる。さっきのような問題はボクでも時々間違える(笑)。安倍晋三を筆頭に政治家もそんなのだらけだし、憲法9条守れしか言わない(言えない)市民運動の連中も似たようなものでしょう。
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 番組では対策として、読解力・論理性を鍛えるトレーニングを取り入れる学校や自治体が紹介されていましたが、確かにトレーニングである程度はクリアできます。ただし、そこから落ちこぼれる人がかなりの程度出てくることも予想できます。

 人には得意・不得意があるから別に論理性がないからダメ、という訳じゃありませんが、これからAIが社会で使われるようになると、そういう人の仕事は『機械にはできない仕事(判断や癒しの仕事)』もしくは『機械でやらせる価値すらない仕事(不定型な荷物の積み下ろしなど)』にならざるを得ない。前者だったらともかく、後者はかなり厳しい。いずれにしてもAIが増えると社会の格差はどんどん広がります。

 これからは、外国の人との仕事にしろ、AIにしろ、避けることはできません。資源が少なく少子高齢化の日本では尚更です。今の我々が置かれている状況は『前門の外国と後門のAI』という訳です(笑)。

 『環境変化に対応できるよう自分たちが努力すること』、『過度な格差が広がらないよう再分配の仕組みや哲学を考えること』、この2つがこれからの日本の大きな課題ではないでしょうか。インチキ政治家やマスコミに踊らされたくない人、自分の運命は自分で決めたい人は一人一人がよほど勉強をしてないと本当に危ない時代です。

 日本の社会に自己責任みたいなプアな発想しかなければ、99%とは言わないけど、90%くらいの日本人は沈没するだけです。『前門の外国と後門のAI』という状況に対応できなければ、我々には地獄が待っていることになります(笑)。




●東京 銀座(2/23,12:15~)、福岡(3/9)、安倍ヤメロ(AbeOut)デモが予定されています。
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ということで、今週も官邸前へ #金曜官邸前抗議
昼間の東京は雪がぱらついた、寒い日です。午後6時の気温は5度、参加者は420人。
●抗議風景



14日の日経は面白かったです。
 一つは2面の『迫真 消えた原発輸出』という記事で、イギリスへの輸出が失敗した内幕が載っていました。
www.nikkei.com

 日立は自分だけでリスクを負うのが嫌なので、他社に出資してもらい万が一の責任を分散することを狙っていました。その第1候補は東電。東電の会長は前日立会長の川村。今の日立会長の中西を引き上げた人物です。普通は出資するはずです。

 しかし、東電は出資しなかった。東大で原子力を学んだ川村でさえ、日立が原発の建設から運営まで関わるのはムリ、と考えていたからだそうです。さすが日立の経営を立て直した川村は、東芝の連中より遥かに賢かった(笑)。
 もちろん東電が金を出さなければ、他の会社が金を出すわけがありません。責任を取りたくない経産省安倍晋三も動かなかった(笑)。かくして日立の原発輸出は潰れました(笑)。



 もう一つは15面の『原発、高まる経営リスク 九電が玄海2号機廃炉を決定』。
www.nikkei.com

 その中に『アメリカの投資銀行の試算では18年時点で原発のコストは石炭火力の1.5倍、ヨーロッパで普及が進む太陽光や陸上風力発電と比べると3.5倍』という記述があります。日経にこういう数字が堂々と載る時代になったんです。

 どちらの記事も原発の安全性云々だけでなく、原発には建設/運転コストや再稼働できない政治リスクなど経済的な問題が基になっています。基本的に原発はムリ筋だってことがますます露わになってきたと同時に、各地で起きている原発に反対する動きがボディブローのように効いてきていることを実感せざるをえません。

 原発の再稼働を防ぐ時間が長引けば長引くほど原発の老朽化が進むだけでなく、技術者の数は減り、更に減価償却が進み廃止コストも下がる少さくても反対の声を挙げることには、想像以上に大きな意味があるのかもしれません。