特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『アベノミクスの終わり』と『本当の積極的平和主義』、それに0911『再稼働反対!首相官邸前抗議』&『戦争法案に反対する金曜国会前抗議行動』

先日ちょっと変わったものを食べました。
パキスタン北インドの料理で『パヤ』というものです。牛とか羊、ヤギなどの骨を大量に煮込んで骨髄を味わうものだそうです。
写真は以前 ビリヤニ(インドのピラフ)を食べた六本木のハラル認証イスラム法的に合法ということ)のレストランで食べたもので、ラーメンのお椀みたいなお皿の真ん中に羊の脚骨、周りにレモンやトマトが浮いています。溶け残った脚の皮らしきものは若干残っていましたが、肉は殆どありません。あくまでも髄を味わうものだそうです。カレーの一種ではありますが、ミントとにんにく、それにウイキョウなどのスパイスがたっぷり入っています。骨髄と言えば、フランス料理ではオーブンでグリルしてスプーンですくって食べたり、イタリア料理でもトマトで煮込んだオッソ・ブーコみたいなものがありますが、こういう料理もあるんですね。髄だけを食べるという発想はまさに骨まで食べつくす肉食人種ならでは、なんでしょう。写真右のパスマティ・ライス(インドの香り米)と一緒に食べたのですが、髄が溶けたソースのトロリとした味がおいしかったです。
世の中にはまだまだ変わったもの、美味しいものがあると思いました


さて、9月10日の日経朝刊『アベノミクス第2ステージ』という記事でアベノミクスを推進してきたとされる内閣官房参与の本田悦郎が『次は所得再分配だ』と言っていました。えっ(笑)。曰く、
『国内経済で一番大事なのは消費。』
『消費増税が中低所得者層の消費行動に大きな影響を与えてしまった。これは予想外だったと反省している。』
『来年夏の参院選に向けた次の一手となるのは所得再分配政策だ』
『次の重要な柱が再分配だというのは首相も良くご存じだ』
『本来の所得再分配は給付付き税額控除で実現していくべきだ』            
                                                       
つい この間までと言ってることが全く違います(笑)。要するに、選挙も近いしアベノミクスはもう終わり、ということでしょう。失敗するのは最初から判ってたんだけど(笑)。ボクのブログでも経済のことを書くと時々、まともな日本語も書けないネトウヨかリフレ論者が訳の分からないコメントを書き込むことがありましたが、所詮 こんなもんです(笑)。
                                              
ただ、ここで猛省しなければいけないのはネトウヨではなく野党です。安倍晋三はどうだか知りませんが、従来の自民党の良いところは状況に応じて柔軟な、悪く言うと節操のない政策を取る点です。小泉の時でも不良債権処理を強硬に進めてきた竹中平蔵があっさり宗旨替えして、りそな銀行を救済してから、金融危機が収束に向かいました。竹中平蔵は問題ある人物だと思いますが、節操の無さが世の中にメリットをもたらすことだってあります。
                                                
共産党は別にして、まともな野党が当初から所得再分配で消費拡大して経済を再生する、ということを唱えていれば、政治状況は全然違ったのではないでしょうか。安倍政権が続いてもらったら日本の為にならないとは思いますが、野党の力不足はいかんともしがたいのは事実です。白井聡氏が言うように、モノ申す市民と対話することで政治家が磨かれていくしかないのかもしれません。そういう意味でも市民の直接行動は意義があるのだと思います。

●毎度お馴染み日本人ジョーク

                                                                                       

もう一つ、シリアからEUへなだれ込んでいる難民の件に触れないわけにはいきません。トルコの海岸に打ち寄せられた難民の子供の死体の写真はさすがにショックでした。ハンガリーチャンネル桜極右TVの女性カメラマンが難民の子供を蹴り上げたり足をかけて転ばせる映像逃げる移民を蹴った女性カメラマン、世界で怒りの声 写真10枚 国際ニュース:AFPBB Newsには流石に怒りがこみ上げました。
                                        
それでもEUは難民を16万人、各国が受け入れると言っています。なんだかんだ言っても理念がある共同体としてのEUは死んでいないようです。特にドイツ。6月は難民を約3万4千人受け入れ、難民向けに新たに予算を8400億円拠出するそうです難民問題に臨んでメルケル首相が行なった歴史的決断 (4ページ目):日経ビジネスオンライン
                                                  
ミュンヘン駅では市民のボランティアが難民を歓迎して物資を配っています。7月末の世論調査ではドイツ人の約6割がもっと難民を受け入れるべきと答えているそうです。経済も国家財政も絶好調のドイツだから出来ることかもしれませんが日本との違いを感じざるを得ません。地理的な違いはあるにしろ、日本が受け入れたシリア難民はたった3人!だからです。シリア難民と日本 | HuffPost Japan

ドイツが難民を受け入れる理由について、こういう意見があります。                          
ドイツが難民の受け入れに踏み切った背景には、ナチス・ドイツが行った暴虐に対する反省がある。ナチスユダヤ人や周辺諸国の国民を徹底的に弾圧した。一部のユダヤ人や反体制派が生き延びることができたのは、スカンジナビア諸国やスイス、米国などが亡命申請者を受け入れたからである。たとえば、60〜70年代に独連邦政府の首相を務めたヴィリー・ブラントは、第二次世界大戦中にナチスに迫害されたが、ノルウェーに亡命したために、一命を取り留めた。(中略)ドイツが亡命申請者に対して寛容な態度を取る背景には、ナチス時代の経験を教訓として、戦争や政治的迫害に苦しむ市民に手を差し伸べるというこの国の「理念」がある 難民問題に臨んでメルケル首相が行なった歴史的決断 (3ページ目):日経ビジネスオンライン
                                                                                        
これが本当にそうなのかはボクには判りません。でも、敢えてこのことを取り上げたのは、本当に困っている難民を受け入れることこそが『積極的平和主義』という言葉にふさわしいのではないかと思うからです。難民を受け入れることによる治安への影響だけでなく、難民の中にはISのスパイ、テロリストが混じっているかもしれないのはドイツだって分かっているでしょう。それでもドイツは受け入れた。目先の治安のリスクより、道義的・倫理的な判断をすることで長期的な平和につながることのメリットのほうが大きい、と判断したからでしょう。
                                                      
日本はどうでしょうか。シリアから遠く離れた日本に大勢の難民が押し寄せてくるとは思えません。だけど3人しか受け入れてないというのは論外でしょう。土地が幾らでもある?とは言え、オーストラリアは12000人受け入れると言っています。ちなみに昨年 難民申請者5000人のうち、日本が難民認定したのは11人だそうですシリア難民と日本 | HuffPost Japan。これはもう、世界中に『日本の恥』を晒しているとしか思えません。それで『積極的平和主義』なんて、お笑い種でしょう。ここで日本が自ら手を挙げて難民を積極的に受け入れる表明をすれば、それでこそ積極的平和主義だと思います。世界中から、特に中東の人たちからは感謝されるし、日本の安全保障に大きく資するでしょう。スティーヴ・ジョブスはシリア難民の子供だそうですが、将来 大きな雇用を生むような人が日本に生まれるかもしれない。
                                                                                             
しかし安倍晋三法務省だけの問題ではありません。我々にだって関わってくる問題です。例えば将来 北朝鮮が崩壊したら大勢の難民が、おそらく万の単位で日本に押し寄せるでしょう。その時 日本人はどうするでしょうか。日本国内はどうなるでしょうか。ボク自身 難民を歓迎できる心を持てるだろうか外交で平和を守る、というのも簡単ではない、と改めて思いました。
平和を守るのは頭も体も心も使わなければならない。呑気に憲法九条を守れと言ってるだけじゃ足りないでしょう。一人一人が考え続け、実際に行動もしなければならない。少なくとも緒方貞子氏が言うように、そんな日本に自衛隊を海外に派遣して、アメリカの手助けしてる余裕なんかあるわけがないシュプレヒコールの先にあるものは?:『0821 再稼働反対!首相官邸前抗議』と『戦争法案に反対する金曜国会前抗議行動』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)、のは確かだとは思いますが(笑)。
                                                                                              
●今週のジャパネット、かっこいいな!一人一人が行動するってこういうことなんでしょう。この会社、大企業になっても地域の雇用を守るために、創業した長崎のオフィスを動かさないだけのことはあります。映画監督の松江哲明氏のツイートより。


と、いうことで、官邸前+国会前へ。昨日までの大雨は嘘のように今日の東京は晴れ渡っています。東京だって明日は我が身ですが、被害にあわれた方々には申し訳ない感じがします。
安保法案反対の抗議が始まって金曜日の帰宅が1時間遅くなり、ますます夕飯は作り置きの必要性が増してきました。家に帰って5分か10分で食べられるようなもの。ちゃんと作ったもので尚且つ赤・青・緑の野菜+キノコを使ったもの。今夏は冷蔵庫から出したらすぐ食べられる、アナゴや貝などのゼラチン寄せと野菜スープが大活躍しました。気温も冷えてきたし、そろそろ他のメニューを考えないといけません(笑)。

今日は戦争法案反対!国会正面前集会ということでSEALDsと『総がかり行動実行委員会』戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が合同でやるとのことでしたが、最初は『総がかり行動』の担当だったので まず、いつも通り官邸前で『再稼働反対』のコールをしてきました。
今日は人数が少ないかなと思って官邸前へ行ったのですが、最初は少なくても時間が経つにつれ人は続々と集まってきました。参加者は主催者発表で1300人。
●抗議風景@官邸前




川内2号機が稼働して、1号機も稼働しようとしています。避難の計画も訓練も整備していないままの再稼働は誰がどう考えてもムリ筋だと思います。地元の人たちはそれでいいのか不思議でなりません。もちろん目先のカネの方が大事、という判断だったら理解できます。他人に迷惑をかけない限りにおいて、それは人間の自由です。でも本当にそう思っているんでしょうか。政府や自治体は人々の声を聴いているのでしょうか。

                   
そのあと 国会前へ。
人が集まりすぎて車道に溢れだした8月30日の影響でしょうか、警備が厳しい!敵対的という感じではありませんでしたが、相変わらずの過剰警備です。それに対して団塊世代のジジイが警察に訳も分からない抗議(半分は言いがかり)をして、騒然とする光景もありました。大勢だと色んな人がいるのは仕方ないんですけど、酒臭い息で汚い罵声をあげる奴もいるし(臭いんだよ、ボケジジイ!)、ヒステリックに怒鳴ってる奴もいるし、そういうのはいつも団塊世代のジジイたちです。勿論この世代でも立派な人も居るんですが、今日は救いようもないバカを目の前で見て少しムッとしました(笑)。
総がかり行動の人たちも相変わらずでした。スピーチは何を言ってるかわからない。しかも話が死ぬほど長い、シュプレヒコールも100年1日が如く定型文句しか言わないから超退屈。この人たちは感覚がマヒしていて、他人に対して真剣に物事を伝えようという気がないのだと思います。もちろん雨の日でも国会前に座り込んでくれたり、集会のノウハウとかは持っているし、この人たちの活動に感謝もしてはいるんですが、少なくともこの人たちは前面に立たない方がいい。こういうことを言うと排他的とか言う奴もいるかもしれませんが事実を言っているだけです。ボクですらこれだけうんざりするんですから、少しでも多くの人を集めるという点では逆効果でしょう。
●あかりちゃん(ひげの隊長に教えてあげた女の子)のtweet

                                           
それ以外は問題ありません!(笑)お母さんも子供も学生も男も女も色んな人が集まっている。いい感じです。SEALDsがマイクを握ると途端に辺りは活気づきます。こちらの参加者は主催者発表で10000人。ボクは話を聞けませんでしたが、上野千鶴子も来たそうです。
●抗議風景@国会前。今日はいつもの場所ではなくメインステージと反対側の道路最前列に陣取りました。







●警察の警備。30日に人があふれ出たからでしょう、国会前の車道の柵は二重になっていました。人が溢れたら逆に危険です(1枚目)。人が全くいないところでもバリケードを作っています。税金の無駄遣いです。こいつらにも残業手当が出るんじゃないだろうな(2枚目)


●警察がメインステージへ続く横断歩道を封鎖しました。あふれた人たちがその場で抗議を始めます。逆効果でした(笑)。そのあとSEALDsの頼りなげな(笑)男の子が誘導灯を持って指示を始めると皆それに従ってスムーズに人が流れ、全く問題がなくなりました(2枚目)


今日、8・30のデモ後に実施した世論調査の結果が出ました。たぶんデモ後の調査としては初めてかも。『時事通信が4〜7日に実施した9月の世論調査によると、安倍内閣の支持率は前月比1.2ポイント減の38.5%。政権復帰後、初めて4割を切った前月を下回り、最低を更新。』http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015091100646

やはりデモは効果があったんです!それでも、もう10ポイントくらい下げなければダメでしょうけど。

                                                           
                                                                                   
来週は強行採決というニュースも飛び交っています。まあ、おそらく採決はされてしまうのでしょう。それについてSEALDsの子たちがドミューンのインタビューで大変良いことを言っていました。
『安保法制が通ろうが通るまいが、主権者であることには変わりがないし、民主主義は俺たちの問題であることも変わらない。』
『安保法制だって、通ったあとも俺たちの問題であることは変わらない』
『たとえ法案が通っても、私の生活は続いていくから絶望している場合じゃないんですよ。バイトしなきゃ。稼いで生きていかなきゃいけない。』
interview with SEALDs 温かく緩やかな「ユナイト」の兆し  | シールズ、インタヴュー | ele-king

こういう発想になるのはこの子たちが企業とか運動体とかの組織ではなく、あくまでも自分個人の立場に立っているからだと思います。それは学生の特権かもしれませんが、他人事ではないです。様々なしがらみがある社会人だって個人の立場を見失っても良い、というわけではないからです。社会人だからこそ、自分を見失わないために知恵と体を使わなければ。社会人も上のほうばかり見ていると、ヒラメになっちゃいます。自分の勤務先がNHKや東芝のようになっちゃいます(笑)。

                                                       
その、個人としての立場を見失わない心性って、どういう事でしょうか。彼らはそこから更に、震災後に作られた園子温の映画『ヒミズ』のラストについて言及していました。絶望的な状況に追い込まれた二階堂ふみちゃんと染谷将太が苦痛に満ちた顔で走る、でも見る者に希望を問いかけるようなシーンです。
『園監督に、ああいうラストにしたのは、希望に負けたから、諦めるのを諦めたからだ、と言われた。』
『諦めることを諦めるって超重要なんですよ。絶望なんてくだらねえ、と笑い飛ばす(笑)。』
                                                                 
そう、ダメなのは最初から判ってるんです(笑)。世の中、そう簡単にうまく行きません。そこで諦めてもいいけど、それでは社会も変わらないし、自分も変わらないじゃあ、どうするかって話、ただそれだけです。映画『ヒミズ』を見て、彼らがボクと全く同じこと子供たちに手渡すものを:映画『ヒミズ』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)を感じていたのは嬉かった。ボクのオツムが高校生・大学生並みということかもしれませんが(笑)。

ヒミズ コレクターズ・エディション [DVD]

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所詮 デモはひと時のものにすぎません。時間が過ぎれば消え去ってしまいます。でも ボクの人生だって一瞬一瞬の積み重ねにすぎませんその一瞬を諦めて沈黙して過ごすか、机の前で文句だけ言ってるか、自分の責任として引き受けるか、そこには大きな違いがあるでしょう。自分に対する態度の問題です。
                                                 
物事をやるにあたって成否を考えないのはバカです。でも成否だけを目的にしてしまうのもプアです。『目的の為に手段を選ばず』という組織が堕落していった例は歴史上いくらでもあります。
                                             
来週は山場で抗議も連日予定されています。14日の大規模抗議は行けないんですけど、あとはなるべく参加するつもりです。でも 安保法案が成立しようとしまいと、人生は続いていきます。ボクはこの世の中にそれほど希望を持っていません。だけど 絶望している暇もないんです。夕飯の支度もしなくちゃいけませんし(笑)。

●メインステージへ向かう赤毛のパンクの男の子。こういう子が来る気になるような抗議でないじゃないとダメなんだと思います。