特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

夏よ、終わらないで:映画『コット、はじまりの夏』

 3月2日は『イスラエルはラファから手を引け』というグローバル・アクションの日だったのですね。


 世界中で抗議が行われたそうですが、NYではアカデミー賞女優のスーザン・サランドンが感動的なスピーチをしていました。やっぱり この人、好き💛

 東京でもアクションがあったらしいのですが、全然知らなかった。行きたかった。くっそー。
 今 この瞬間にもイスラエルのクソどもが罪もない人たちを殺しているか、と思うと、無力な自分が悔しくてなりません。


 ボクは何年も前からイスラエル製品、オリーブ油やデーツなどの農産物、それにヨルダン川西岸の違法入植地で商売しているソーダストリームなどの企業の製品はボイコットしています。同じように極右の企業、アパもDHCもサーティワンバーガーキングも一切買いません。ゴーゴーカレーもそうだったのか↓。新入社員は毎年研修で靖国神社へ行くそうですよ(怒)。

 昔、一度だけ食べて酷かったので元々、2度と行く気はなかったけど、靖国神社遊就館に出かけるようなバカウヨは皆、金に汚いのは面白いです。単に頭がおかしいだけじゃなく、バカウヨは人間性そのものに欠陥があるように思えてなりません(笑)。

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と、いうことで、新宿で映画『コット、はじまりの夏

 1981年夏、アイルランドの田舎町。親からも姉たちからも疎まれ、学校にもなじめない9歳の少女、コット(キャサリン・クリンチ)。父親は酒浸り、母親は出産するために世話ができないということで、コットは親戚であるショーンとアイリン夫婦の農場で過ごすことになるが

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 第72回ベルリン国際映画祭でグランプリ受賞(国際ジェネレーション部門 Kplus)、第95回アカデミー賞アイルランド語映画初の国際長編映画賞ノミネートをはじめ、世界の映画賞で42受賞、60超ノミネートという作品です。
 どう考えても超地味な作品に見えますが、アイルランド語映画として歴代最高の興行収入を記録したそうです。半信半疑で見に行ったのですが、大丈夫か??(笑)。

 9歳の少女コットは家では年が離れた姉たちに疎まれ、学校でも虐められています。母親は彼女にかまっている余裕はないどころか、時々家出までする。父親は酒とギャンブルで身を持ち崩しています。直接的な描写はありませんが、経済的にも破綻していることがわかる。
 コットちゃん自身も極端に無口で控えめ、しかも夜尿症です。彼女は自分の意見や感情を表現する術を知らないのです。

 どこにも居場所がないコットちゃんですが、なぜか親のことは慕っている。まるで川に流れる木の枝に縋り付くかのようです。

 例えば父親が場末の酒場でビールを飲んでいる間、コットちゃんは一人、後ろのベンチで静かに座ってるんです。正直、ボクはブチ切れそうになりました。というか、マジでブチ切れた。

 コットちゃんは母親が出産するため、親戚の老夫婦、ショーンとアイリンの農場に預けられることになります。クズの父親がおんぼろ車で彼女を農園へ連れていくのですが、彼女の荷物を降ろすことすら忘れて、さっさと帰ってしまう。こんなクソ親はさっさと死ねばいいのに。

 新しい環境になかなか馴染めないコットちゃん。アイリンは優しく接してくれますが、

 夫のショーンはぶっきらぼうで殆ど口も利かない。

 それでも自然に囲まれた農園で、アイリンに髪をとかしてもらったり、ショーンと一緒に牛の世話をしたり、農園で老夫婦と働きながら暮らしているうちに、コットちゃんは変化していきます。

 老夫婦はコットちゃんに優しいだけではありません。彼女にできそうな仕事をやらせるし、何かしてもらったら『お礼を言いなさい』とちゃんと指摘する。9歳のコットちゃんを一人前に扱うんです。

 ぶっきらぼうなショーンも実は優しい心の持ち主です。コットちゃんの無口さを肯定し、認めてくれる。今まではそれが虐められる原因だったのに。

 物語が進むにつれ、実はショーンとアイリンもコットちゃんに支えられていることがわかってきます。

 穏やかな時間が過ぎる中で、コットちゃんはやっと自分の居場所を見つけたような気がします。でも いずれ コットちゃんはクソ両親の元に帰って学校に通わなければならない。この夏が終わらなければいいのに。

 コットちゃんは自分の居場所を見つけただけではない。自分自身をも見つけることができた、のです。

 ボクのシニカルで、干からびた(笑)心が揺さぶられました。コットちゃんのことも他人事とは思えません。激泣きです。

 演出や脚本など制作面での技巧もめちゃめちゃ優れています。けれど、それだけではない。アイルランドの人々の素朴な風土と作る側の精神性が感動を呼び起こしたと言っても良いでしょう。
 傑作としか言いようがない。日本でもロングランなのは当然だと思いました。


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