特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『コロナのあとの就職事情』と『真冬の花火』

 今朝の東京は雪。予報通り、朝6時の段階ではボクの家の周りも結構な雪でした。


 
 幸い、昼間は温かったので雪は残りませんでした。三寒四温でゆっくりと春が近づいてくるのは、地球温暖化と言えども変わらないようです。


 ボクの勤務先でも、来年の新卒の採用面接をやっています。もう終盤です(笑)。
 以前と比べて、目に見えて変わったことがあります。コロナ前は書類選考をパスして対面の面接にあがってくるのは東京や大阪近郊の大学の子が殆どでした。コロナ後は地方の国立大の子が一気に増えた。

 1次面接などはオンラインで行うようになった影響だけではありません。コロナ以降 従来だったら東京の大学に行っていたレベルの地方の学生がそのまま出身地の国立大へ流れているようなんです。

 実際 知り合いの某慶應大学の元学部長も『最近は東京の大学ではなく、地方の国立大に行く優秀な学生が増えた。』と言ってました。理由は『学費に加えて都市部の生活費高騰による経済負担の重さ』。コロナで経済的な負担感が一気に増したそうです。

 現にコロナ以降 生活保護の申請は一気に増え始めています。大企業が多い東京とは違い、地方の景気はより深刻なのかもしれません。

  しかし学費は東京も地方も変わりはない。特に理科系だったら最近は大学院卒の方が多いから、猶更です。6年は通うわけですから私立なら学費だけでも1000万に近い。
 ただでさえ、昨今は学生の半分が奨学金を借りている状況です。


奨学金を受けている学生の割合はどれくらい?|ライフイベントから見る生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター

 そんな状況なのに、更に東京での生活費まで負担できる家庭はそれほど多くない。地方の国立大へ行く学生が増える訳です。
 因みに元学部長氏は『大学の経営は赤字だが、学生の質が落ちるから、慶應は簡単には学費は上げない』と言ってました。学費をあげると学生の質に直ぐ変化があるそうです。最近は私大の学費は横並びになりつつありますが、昔から慶應は比較的学費が安いことで知られています。
 
 企業としては東京出身者だけでなく、地方出身の人もいた方がいい。最近は新卒で日本の企業に就職する外国人学生も増えていますが、色んな出身の人がいる方が企業としては有利です。発想が豊かになるからです。

 しかし社会全体で見ると、良いことではない。大学に行ける家庭は一定以上の収入が必須となると、学生の育った環境や考え方はどうしても同じ傾向になる。そんな子たちが海外、特に発展途上国のハングリーな若者たちと競争できるでしょうか。

 大新聞やテレビ局の報道がダメなのはその影響も大きいでしょう。若い新聞記者などと話しても彼らは学生時代にデモや集会に行くなんて夢にも考えたことがない。日経も朝日も記者は高偏差値の大学出身者ばかりですから、多くは豊かな家庭で育っているでしょう。
 そういう記者たちの多くは、東京で数千人単位のデモが起きても、現場へ行って取材する発想がない。ロイターやAPに載った外国のデモは、転載して数百人規模でも記事にしますけどね(笑)。

 そういう連中ばかりの大マスコミの発想はこんなもの↓です。参入規制に守られて社員の平均年収1000万以上なんだもん(笑)。転職してもそれだけの給与はもらえないから、社員はどうしても会社にしがみつく。だからTV局も新聞社も経営が悪化してリストラが起きる(笑)。

 リベラルと言われる朝日も毎日も東京も、新聞が自分たちへの軽減税率適用を主張したことは記憶に新しいですが、大新聞は自分たちの利権を守ることが第一で、本質的には自民党と変わらない。嘘ばかりのネット記事が良いわけでもありませんけど。

 まして、官僚や政治家などは何をかいわんや、と言ったところでしょう。


 それにしても、お金をかけて大学を卒業して企業に入っても、そんなに良いことないと思うんですよね(笑)。それだけでは大した暮らしはできない。今の東京では、東京に実家がある人か、夫婦が揃って大企業の正社員でないと、家を買うのも難しい。今 23区の新築マンションの平均価格は1億を超えていますが、

www.yomiuri.co.jp

 購入者の平均世帯年収は1019万円。一方 日本全体の平均世帯年収は545.7万。平均年収の2倍です。格差社会アメリカほどではないにしろ、こんなのはもう、普通じゃない。
 バブル崩壊じゃないですが、絶対天罰が下りますよ。

news.mynavi.jp

 家どころか、都内出張のホテルも泊まれないらしい(笑)。

news.yahoo.co.jp

 それに加えて物価も高い、教育費も大変じゃあ、子供が増える訳がない。その結果 日本の市場が狭まり、日本中が貧しくなっていく。
 それが今 起きていることです。明らかに人災です(笑)。

 
 先週に続いて 熱海旅行の続きです。
 夕食後 部屋に戻って30分ほどすると、電話が鳴りました。フロントからです。
 『花火大会があるので、希望するお客様は花火が良く見える場所にタクシーでお連れします。』というのです。

 『えっ?』と思いましたが、否のはずがありません(笑)。
 2月の末です。外の気温は10度を切っている。コートとマフラーを着込んで出かけました。

 タクシーが着いたのは熱海港を見下ろす熱海城。宿から2,3分でした。

 改めて見たら、熱海の夜景って素晴らしいんですね。そういえば昔 何かの宣伝で『熱海の夜景は100万ドル』とか聞いた気がします。宣伝文句の『100万ドル』なんて、今は死語かも(笑)。

 一時期寂れてしまった熱海は客寄せのため、夏だけでなく、冬でも花火大会をやっているそうです。そんなことは考えてもみなかった。

 始まりました。

 人ごみもなく、遮るものもなく、近くで見る大きな花火に、年甲斐もなく喜んでしまいました(笑)。これだけ条件が良い花火見物はたぶん、生まれて初めて。

 熱海港のいろんな所で打ち上げたり、

 花火の種類がバラエティに富んでいたり、

 段々、高く、大きくなっていったり、

 様々な工夫が凝らされていました。

 時間が過ぎるのはあっという間でした。色々な場所から、色々な花火が次々に打ち上げられる様は素晴らしかった。

 そろそろ寒くなってきたところで、終わったのも良かったです(笑)。大満足しました。

 部屋に戻ってくると雲の切れ間が更に遠くの沖に移っている。海の表情も変わっていた。

 部屋の温泉風呂で温まって、寝ました。


 翌朝は生憎の雨。いずれにしても部屋からは出ないです。

 食べる事しか楽しみはありません。今度は朝ごはん。

 朝ごはんは近所の農家のサラダ(かなり美味しかった)と、

 焼いた鰆と、

 おかゆ

 そのあとはまた、海を見ながら温泉三昧。写真にはボクの足が映ってます(笑)。よく考えたら温泉も久しぶりでした。肌が少しピリピリするのも心地良い。

 チェックアウト時間までゴロゴロしていました。
 帰り道、熱海駅周辺は大渋滞でしたが、急ぐ旅でもなし。渋滞の中 タクシーの運転手さんはこんなことを言ってました。
 『今まで沢山のホテルが潰れたけど、近頃は外国の資本がそれを買って、建設ラッシュが始まった。
 『最近は一泊10万円以上の宿と1万円以下の宿ばかりになって、真ん中がなくなってしまった。
 『今までは若い人は安い宿に泊まっていたけど、高い宿に泊まっている若い人も増えた。若い人も二極化している。

 こちらも世相を反映しています。地方へ行ったら、景気のことはタクシーの運転手さんに聞くのが一番良い。

 また、こんなことも。
 『テレビで東北大震災の津波を見て熱海などの海辺には観光客が来なくなり、そのあとは集中豪雨の崖崩れ、更にコロナが続いて旅館やホテルも沢山潰れてしまった。最近はやっと人が戻ってきたけど、みんな駅周辺で海鮮丼とプリンを食べているだけ(笑)。』

 確かに熱海プリンというものが流行っているそうですが、プリンを食べるために行列するほどボクは暇じゃないです(笑)。


熱海プリン オフィシャルサイト|熱海温泉街で初めての“プリン専門店”


 帰りも東京まで電車で1時間。
 我ながら、グータラ旅行でした(笑)。グータラだけど世の中の動きとも無関係ではいられません。
 世の中を捨て竹林の中に籠って、ただ心安らかに生きていければどんなに幸せだろう?今の世の中は何でそんなことすらできないのだろう?
 ボクは『老子』を初めて読んだ小学校6年生の時から、そう思っています(笑)。