特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『シン・ちむどんどん』

 今年はまだまだ暑いですが、朝晩は虫の声が聞こえてくるようになりましたし、空は秋空に変わりつつあります。


 今日は911(嘆息)。あれからもう、20年以上経ちました。
 あの頃にはスマホもなかったし、世の中の格差も多分 今ほどではなかった。世界はどんどん血生臭くなっている気がしますけど、どうなんでしょうか。

 日本は、と言えば、茶番としか言いようがないジャニーズの記者会見の騒ぎに辟易していたのに、

●流石 朝日。大衆扇動は戦前からの伝統です。

 週末にNHKをつけたら、ゴリラが大勢映っていたので直ぐ画面を消しました(笑)。
 ラグビーだか何だか知りませんが、韓国の軍事政権を始め独裁政権の良くやる『手』である、国民の関心を政治から背けるための3S政策(スポーツ、セックス、スクリーン)が日本でも行われているとしか思えません。

 次から次へとくだらない騒ぎが延々と続いているのを見ると、政府やマスコミの洗脳工作はアホ国民には成果があるのでしょう。岸田の支持率が下げ止まったのは記者会見の連発で露出が増えたから、という説もあります。


内閣支持率「38.7%」で“下げ止まり”の背景と、若い世代ほど岸田内閣に“厳しい”実像【JNN世論調査解説】 | TBS NEWS DIG (2ページ)

 流石 民度の低い日本人です(笑)。
 せめて、テレビなんか極力見ない、というのが庶民に出来る僅かばかりの抵抗でしょうか。それでも政府や組織、マスコミに頼らず、自分の頭で判断することが如何に難しいか、痛感します
 20年前と比べて最も大きな違いはそこかもしれません。


 と いうことで、配信で映画『シン・ちむどんどん

 2022年9月。沖縄県知事選を取材するためラッパーのダースレイダーと芸人のプチ鹿島が沖縄に乗り込む。候補者に突撃取材を敢行し、その人物像を浮き彫りにする。さらに、アメリカ軍の辺野古新基地建設に反対する人々が座り込み抗議を行っているところへも二人は突撃取材を行う。

www.shin-chimudondon.com


 実家が新聞、放送局を保有する世襲議員3代目の平井と床屋の息子の小川淳也との激突となった衆議院香川選挙区での選挙戦を取材した『劇場版 センキョナンデス』の監督・出演の東大出身のラッパー、ダースレイダーと芸人のプチ鹿島が、2022年の沖縄県知事選を取材したドキュメンタリー。プロデューサーは前作に続き『なぜ君は総理大臣になれないのか』などの監督、大島新。

www.senkyonandesu.com

 前半は22年の沖縄知事選の候補者への突撃取材です。この時の選挙戦は自民が推す佐喜眞淳と現職の玉城デニー、さらに元維新の下地幹郎の三つ巴でした。


 
 『センキョナンデス』では自民の平井陣営の閉鎖的な雰囲気と小川陣営の開放的な雰囲気の差が非常に印象的でした。
 今回は沖縄と言う土地柄でしょうか、どの候補も比較的和やかに二人の取材を受け入れます。自民の佐喜眞ですら、平井のように取材拒否はしない。

 特に下地は劣勢ということもあるのでしょうか、観衆が二人しかいないのに30分も街頭演説を行うフレンドリー振り?です。

 ちなみに下地は中国のカジノ業者から金を受け取った疑いで維新を除名され、復活した人物です(笑)。

 3年前の吉村はこうtweetしていました(笑)。まさに『政界のビックモーター』

 候補者3人とも新聞では好きなテレビ番組として『ちむどんどん』を挙げていました。そこでダースレイダープチ鹿島は『ちむどんどんのどこが好きなのか』を突撃取材することにします。それによって候補者が本当に番組を見ているかどうか判る。その人となりが判るだろう、と。


 
 佐喜眞淳ははっきり『私は番組は見ていません』と断言します。下地も同じく。あっさり嘘であることを認めてしまう。玉城は『方言や地域の雰囲気が良い』とあらすじとは関係ないところを褒めます。
 確かに、こんなところにも各候補の特徴が出てきます。佐喜眞ははっきりした物言いですが、後先は考えない。玉城はある意味当たり障りがない。こなれて居る。ここは面白かった。ただ平然と嘘をつくような人間が候補でそれが大した問題にもならない、というのも日本の政治の劣化を見るような気がしました。

 選挙結果はゼロ打ちで現職のデニー候補の勝利に終わります。対抗馬である佐喜眞は『沖縄の米軍基地を30年までに廃止する』という周囲も心配するような(絶対不可能な)演説を行ったり、統一教会との濃密な関係が明らかになるなど当初から劣勢だったのもあるのでしょう。


 後半は選挙の背景にあるアメリカ軍の辺野古新基地建設に関する突撃取材です。

 二人は基地問題に詳しい、沖縄国際大学教授の前泊博盛にも話を聞きに行きます。

 ボクはこの人の話は結構いい加減なので評価していないのですが。この映画でもエビデンスに基づかない抽象論に終始します。

 他にも辺野古の座り込みの現場へ出かけて、沖縄平和運動センターの山城元議長の話を聞いたり、元琉球SEALD’sの元山仁士郎氏に話を聞いたりします。

 住民投票で民意が明確になっても、結局は日本政府は沖縄の言うことを聴かない。これは沖縄だけの問題ではなく、福島の汚染水も事情は同じです。日本の政府は国民に結論を押し付けるだけで、説明しようとか、納得してもらおう、という気はない。

 映画の前半で取り上げられますが、今回の選挙では玉城候補が勝つと中国が沖縄を占領する、というデマが少なからず、ばら撒かれました。沖縄では選挙のたびに同様のデマがばら撒かれています。辺野古の座り込みに対してもデマが飛び交っているのは皆さんがご存知の通りです。

 デマが飛び交うのは今や日本と言う国の沖縄統治の正統性がどんどん薄れているからです。沖縄の民意は聞こうともしない。負担ばかり沖縄に押し付ける。沖縄は本土の植民地扱いです
 それでは日本の沖縄統治の正統性がどんどん薄れていることは、バカウヨも含めて多くの人は無意識にでも判っている。だから、デマがばら撒かれる。

 特に沖縄は顕著だと思いますが、将来アメリカでも中国でも他の国が今の日本政府に替わって日本を統治する、となっても怒る人も困る人もあまりいないのではないですか。ボク自身は強圧的な中国に統治されるのは抵抗がありますが、他の民主主義国が今の政府に替わって統治するのなら全然構わない。日本政府なんかなくなっても全然困らない
 そう考える沖縄の人が増えているであろうことは容易に想像できます。それこそ中国の思う壺、でもあるんですが(笑)。

 沖縄の人たちが銀座で辺野古反対のデモをした際 沿道から罵声を浴びせられた話は胸が痛みます。ボクは『そんなことをやってたのはごく一部のバカウヨだけ』と言う認識だったのですが、当事者にしてみればショックは大きかったのでしょう。薩摩藩の時代からの『沖縄は本土の植民地』という事実が改めて突き付けられる。

 画面からは座り込みをしている人たちの徒労感、どん詰まり感も感じられました。それは当然でしょう。
 でも『頑張ろう』とかいう歌詞のフォークと演歌の出来損ないのような気持ち悪い歌を歌って集会をやっているのには思わず退いてしまいました。この人たちとは関りを持ちたくない、とすら感じます。生理的にムリ。何で沖縄民謡を歌わないのだろう。
 

 一方 辺野古のゲート前に立ち並ぶ警備員たちの前で、ダースレイダー基地問題を取り上げたフリースタイル・ラップをかますシーンはそれこそガチの緊張感がありました。感情を押し殺す警備員たち。この映画で最も面白かったシーンです。

 ダースレイダープチ鹿島の切れ味は相変わらず鋭いです。二人が言うように『自分の時間をこれだけ使って反対の意思を表明している人がいるのだから、賛成出来ても出来なくても、茶化したりせずにまず、話を聞いてみるべきではないか』は心から賛同します。右も左も政府も野党も短絡的な発想ばかり目立つ今の日本で一番欠けていることです。

 ただ、話としては知っていることが多かったので、ドキュメンタリーならではの発見は正直 乏しかったです。判り切った話だなと思ってしまうし、ヤマトンチュも日本政府もアホだから仕方ないじゃん、とも思ってしまう。この倦怠感、惰性こそ、沖縄の人たちが直面している最大の敵かもしれません。


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