特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

読書『平成デモクラシー史』と『0412再稼働反対!首相官邸前抗議』

 今週は思いもがけぬ寒さでびっくりしました。4月になりましたけど、冬のスーツをしまうタイミングが中々ありません。
 このままゴールデンウィークまで、スーツをしまわずに耐え忍びたい!そうすれば、もうクールビズで、春夏物のスーツを出さなくて済みます(笑)。新たなスーツを出すのは良いんですが、気まぐれな春の雨に見舞われてズボンの折り目が消えちゃうのがいやなんです(貧乏性)(笑)。
●雨上がりの木曜日の朝、舞い散る桜の花びら。寒い今年は桜が長持ちしました。
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 さて元号だの、お札だの、ピエール瀧氏だの、ゴーン氏だの、TVのニュースでは相変わらずくだらないことばかりやっています。ボク自身はTVはそれほど気にしてません。ちゃんと物事を理解するには自分で調べて自分の頭で考えなければムリと思ってるからです。

 一方的に情報を垂れ流すTVはその反対の存在ですから、最初からあてにしてない(笑)。たまにニュースを解説しても幼稚だったり、浅い意見ばかりじゃないですか。深夜のドキュメンタリーやドラマを別にすれば、TVの存在価値は速報性だけです。あとは観なければいいんですよ(笑)。
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 でも、流石にこの2,3年 NHKの夜7時、9時のニュースはやっぱりおかしいと思います。ボクは見てませんが民放はもっとひどいんでしょ?いずれにしても次から次へと、TVではくだらないニュースばかり流している。

 かって韓国の軍事政権は3S政策(スポーツ・セックス・スクリーン)で、国民の政治への関心を逸らしました。今の日本のTV放送もそれと同じです。スポーツ、スキャンダル、あと何だろ(笑)。韓国では国民は3S政策に飽き足らなくなって軍政は倒れた。日本人はどうでしょうか。

 いずれにしても経済/外交失政だけでなく、国民の政治への関心を逸らせ、統計すら改竄し、私利私欲に走る今の日本政府は途上国の独裁政権に近い。それくらいの認識で間違いないのではないでしょうか。極右のソフト独裁かな。
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 今週は 読書の感想です。『平成デモクラシー史』。と言ってもまだ、全400ページの半分、小泉内閣のところまでしか読んでないんですが、先週の選挙の結果を見て思うところがあったので。

平成デモクラシー史 (ちくま新書)

平成デモクラシー史 (ちくま新書)

 日経の政治部記者が、デモクラシーというか、平成になってからの政治史を描いたものです。政治家だけでなく、佐々木毅飯尾潤など、実際に政治に影響を与えた学者たちにも取材しており、内容はなかなか深いです。一方的になんらかの立場を押し付けるようなものではありません。

この本を読んで、ボクは以下のような感想を持ちました。

1.90年代の『政治改革』は大失敗だった。
 小選挙区制を中心とした『政治改革』は万年与党と万年野党、自民党社会党がいわば馴れ合いで政治を進めていた55年体制の『コンセンサスモデル』からイギリス型の『多数決モデル』にさせるための制度でした。

 確かに55年体制は『物事を決めているのは政府なのか、与党なのか判らない』、『高度成長期のように経済のパイが増えることは考えにくいので、これからは従来の利益分配政治を続けるのは難しい』、『中選挙区制は金がかかる』などの問題がありました。
 しかし、小選挙区制ではあまりにも死に票が多すぎて、多様な国民の意志が反映されにくい党執行部の権限が強すぎて独裁体制になりがち、などのデメリットはあまりにも大きい。また多様化し利害が複雑に入り組んだ成熟国では多数決で右か左に極端に方向がぶれるのは望ましくありません。成熟国が急に方向転換するのは難しいし、犠牲になるものも多すぎる。
 
 結果として、小選挙区制は小泉然り、安倍然り、首相の権力維持の道具に使われるばかりでした。その一方 死に票は増えて投票率は下がるばかり。確かに政権交代はありましたが、それ以上に小選挙区制のデメリットばかりが目立ちます。
ちなみに『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を書いたエズラ・ヴォーゲルは『小選挙区制になってから議員は目先の選挙に追われて、大物の指導者が生まれにくい時代になった』と言っています(東洋経済 4月20日号)

 この本では『成熟国では他党制、比例代表制の『コンセンサスモデル』の方が優れている』と、当初 小選挙区制を提唱した米政治学会会長、レイプハルトが政治状況を見て意見を変えたことが紹介されています。海外の学者が言ってることを上っ面だけ輸入するのが明治以来の仕事になっている日本の学者はだから、ダメなんです。政治だけでなく経済学者も含め、自分の頭で理解できてない奴が多すぎるから、環境に応じた見直しや修正が中々できない。

2.小沢一郎は疫病神
 『多数決モデル』をビジョンとして提示したのは小沢一郎ですが(佐々木毅などの学者の力を借りて)、結果として小沢は政争を繰り返すばかりで政治的には何も成果を上げられませんでした。
 そもそも多数決モデルは手段で、目的である『日本をどうする』というビジョンは与野党ともに甚だ薄かった。最初は竹中平蔵小沢一郎のブレーンだったんですから(笑)、小沢一郎は権力を取るためなら何でもいいんですよ。小選挙区制に反対した小泉、森などが首相になったのに対して、小沢一郎は多くの敵を作り政党の離散集合を招いた『だけ』なのは皮肉でした。

3.野党は常に分裂したまま。
 小沢一郎にかき回された面もあったにしろ、野党は常に分裂していました。左派系(社民、共産)、中道/中道左派系(新進、民主、さきがけetc)、公明。これでは絶対に小選挙区制で勝つことはできません。
 しかも、この状況は90年代、00年代、そして今に至るまで変わっていません。民主による政権交代は一度 実現しましたが、所詮は寄せ集め、分裂したのは皆さんもご存知のとおりです。自民の中も政治的立場は幅広いですが、『権力維持』という一点では明確に結びついています。

4.どういう日本を目指すかのビジョンがない。
 小選挙区制にしろ、郵政改革にしろ、与野党ともに、どういう日本を目指すかのビジョンは有りませんでした。だから政治改革も行政改革も小手先の技術論に終始した。民主党が当初は新自由主義的な『緊縮財政・小さな政府』を目指していたのが、中道左派的な『生活が第一』を包含する形に変わって行ったのがそれを象徴しています。権力維持だけが目的の自民と同じことをしていても勝てない。

 唯一 安倍晋三は『改憲』、『美しい日本』(笑)というビジョンというか、妄想/ルサンチマンはあります(笑)。それが安倍晋三にとって吉と出るか、凶と出るかはまだわかりません。ちなみにボクが安倍晋三だったら『脱原発』を宣言します。そうすれば野党も論点を失って壊滅だし、改憲だって楽勝ですよ(笑)。

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 今回の地方選を見ていて思ったのはこの『平成デモクラシー史』で感じたことが、今もそのまま再現されている、ということです。特に野党は分裂したままだし、相変らず小沢一郎は疫病神じゃないですか。
 地方議会でも立憲民主だけは議席を増やしたとはいえ、旧民主党、共産・社民・自由なども合わせた野党系の議席は前回、前々回の選挙より減り続けています。知事選を見ても、大阪でも北海道でも野党共闘』だけでは勝てません。以前の新潟知事選など、このところの選挙はずっとそうですよね。
●なぜ維新は勝ったのか。色々な意見がありますが、『議員定数削減など維新のある程度の実績?』や『対立候補の組織が分裂状態』ということは共通しています。対立候補は『反維新』というプアなビジョンしか打ち出せなかった。
hbol.jp
●北海道知事選。立憲が野党共闘に加えて、新たな『旗印』を立てない限り北海道の二の舞になると、ボクも思います。
webronza.asahi.com

 そもそも野党は共闘してるのかすらはっきりしないし(笑)、小沢一郎が言ってるような比例区の統一名簿』なんて最初からピントがずれています共闘しなくてはならないのは比例区ではなく1人区です。
 まして野党間の共通ビジョンが『安倍やめろ』『安保法廃棄』だけでは国民の支持、特に将来が心配な若い人の支持を得られるとはとても思えません。普通に考えたって『野党共闘』なんて、もう飽きたでしょ(笑)。特に経済・社会保障でどういう社会を目指すかがはっきりしなきゃ厳しいですよ。
●そうなんです。『野党共闘』なんて一般の国民には関係ない。単なる手段=選挙戦術に過ぎません。
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 そう考えると、安易な共闘をしないという立憲民主のやり方は時間はかかるかもしれないが、正しいのかもしれません。政策も組織も野党第1党としての中心軸を作って、そこに弱小政党が相乗りするという形でしか野党共闘は機能しないでしょう。
●頭の悪い菅直人こそ、さっさと政治家を辞めろ。かえって票を減らすばかりだから。
www.j-cast.com

www.asahi.com


 ただし現実には、立憲民主は野党共闘どころか与野党相乗りも地方では散々やっているし、ヘイト候補や『ヨーソ剤の替りにイソジンを飲め』と命に関わるようなデマを公言するおしどりマコのような詐欺師を選挙に擁立している時点で全く信用できません。
 他の候補よりマシなら戦略的に投票することはあるかもしれませんが、ボクは立憲民主は支持しない。というか、今の野党は全て支持はできないな。
●もともと共産党支持だったデマ芸人のおしどりマコを立憲民主に引き込んだのもクズの菅直人。どっちもどっち、似た者同士か。
菅直人事務所忘年会 - 菅直人公式サイト


 

 どうせ、アベノミクスなど長年の放漫財政と少子高齢化を放置してきたツケでこの先 数十年は日本は浮かび上がれません
 戦術的に少しでも自民や極右の票を減らしつつ、国民のあいだで『どのような日本を目指すのか』(ボクは北欧型の重福祉・重課税・集団的自衛権道州制国家が良いと思いますが)、現実的な議論をしていかなければいけないんでしょう。
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 今のような極右のソフト独裁はごめんですが、55年体制に戻るわけにもいきません。経済も、税制も、安全保障も、選挙制度も、地方分権も、考えるべきことは沢山ある。結局 希望は自分たちの力で作っていくものですね。

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ということで、今週も官邸前へ #金曜官邸前抗議
このところの東京は花冷えもいいところです。午後6時の気温は10度。4月とは思えません、寒ーい。参加者は360人。
写真4枚目、浪江町『希望の牧場』は街宣車よろしく、伊福部先生のゴジラのテーマを流していて感動しました😁。
●抗議風景


 今週10日に福島県大熊町の避難指示が一部解除されました。

 大熊町の一部、放射線の年間積算線量が20ミリシーベルト以下になることが想定される地域が解除されたわけですが、特に年配の人だったら住み慣れた地域に戻るのは嬉しいですよね。良かったと思います。

 ただし、年間20ミリシーベルトという基準に対してはこのような意見↓があることは忘れてはならないと思います。事故前は政府は年間1ミリシーベルトまでって言っていたのに、急に20ミリシーベルトと言い出したんですからね。
 避難指示解除は報じられますけど、こういうことはあまり報じられない。日本の報道機関は本当に複数の視点から見ることをしない。

www.nikkei.com

 日本政府は大丈夫と言っていますが、何かあっても政府や東電がまともに責任をとってくれるわけではありません。
 言葉は悪いけど、帰還する人はある意味『実験台』として政府に扱われているのかもしれません。日本社会お得意の『自己責任』という訳です。結局 各自が自分の年齢や事情に応じて判断するしかない。

 実際 避難指示が解除される『大川原、中屋敷両地区の面積は約30平方キロで、町全体の38%を占める。一方で住民登録(3月末)は138世帯367人と町全体の3.5%に過ぎない』。
<全町避難>大熊町避難指示解除、町に人や車復興徐々に 活気回復へ高まる機運 | 河北新報オンラインニュース

 もちろん、何事も究極は自己責任です。しかし、この国では、国も国民も公的な責任というものをあまりにも軽く考えていないか、ボクは不思議でなりません。