特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『’’古いものは直しても良くなるもんじゃおまへん’’の400年』(夏の旅行DAY3)

 8月も終わってしまいました。
 TVは相変わらずバカなニュースばかり報じています。中国はこういう手段を取ることくらい最初から判ってるのに汚染水排出を強行した日本政府の方がバカ(笑)。無能すぎる。
 

 野党も相変わらず頭が悪い。

 そうか、今日は9月1日ですね。


 今週 池袋の西武本店のストがニュースになっていました。デパートのストは61年ぶりだそうです。

 一時は日本一の売上を誇っていた池袋の西武がストで閉館する、なんて隔世の感があります。バブル期には『池袋西武の売り場の課長やバイヤーの家には盆暮れに山ほど届く業者からの付け届けをしまっておくための部屋があった』なんて話を良く聞きました(笑)。

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 ボクは最盛期の頃から西武百貨店は大嫌いです。本業がいい加減なくせに、コピーライターの戯言と上辺だけの文化事業でごまかすインチキ企業、と思ってました(笑)。でも労働者がストの権利を行使すること自体は良いことです。頑張れ~。

 しかしコロナの影響が大きかったにしろ、この4年間ずっと赤字だったというのですから、親会社のセブン&アイ・ホールディングス外資のファンドに売却するのも無理からぬものがあります。デパートなんて労働集約型産業の最たるものですから、リストラ以外に経営を改善するのは難しそうです。

●水野誠一の応援なんて逆効果かもしれません(笑)

 組合が雇用維持のためにストを起こすのは当然です。だけど消費者がデパートというものを求めていないことも確かです。だから日本中のデパートで赤字が続いている。それなのに雇用を守れ、と言われてもムリがある。地方ならともかく、色々な店がある都会に住んでいたらデパ地下以外、デパートなんか用ないでしょう(笑)。品ぞろえも悪くて高い、店員さんの商品知識だって専門店には及ばないんだから。

 セブンは自分たちで従業員をリストラするのは嫌だから、強引なリストラが得意の外資ファンドにタダ同然で叩き売ったのでしょう。これ、M&Aでは良くある「手」です。

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 でも今回は外資と言ってもファンドの親会社は日本企業、ソフトバンクです。それを殆ど報じないTVニュースも相変わらずです。直ぐ安直なナショナリズムを煽ろうとする

 こうなる前にセブン&アイの経営側が銀座松坂屋のようにテナント業に業態転換するなり、少しずつ人員を縮小すればよかったのでしょうが、経営者も神様じゃないからなあ。それでも、結果責任は絶対にあるけど。

 組合のストは頑張って欲しいけど、期限の延長や退職金の上乗せなど条件闘争以上のことはできないでしょう。逆にリストラしないと企業自体が存続できない。古いものをただ、残してもどうにかなるものではありません。難しいものです。


 さて、夏休みの旅行、京都の最終日です。
 朝 宿の部屋の障子を開けると、目の前には保津川の流れが広がっていました。

 そんな景色を眺めながら部屋で朝食。冷凍の生地を部屋備え付けのオーブンで焼いて、焼き立てパンを食べるという趣向です。一時期流行った冷凍生地の焼きたてパンも微妙なんですよね。家庭ではオーブンの火力が弱いから、どうしても中途半端になる。

 メインはぐじのカツレツ。高級魚が朝からカツになって出てくる意味は良く判りませんが(笑)、野菜もたっぷりで美味しい朝食でした。

 午前中は部屋でノンビリ、景色を眺めて過ごしました。何も考えない。本を読む気もしなかった。

 帰りも船旅です。渡月橋に向かって、今度は川を下っていきます。別世界から喧騒の世界へ(笑)

 普段は買い物なんかしないのですが、今回は四条にある和菓子屋、亀屋良長の本店に行ってみました。今年で創業220年だそうですが、売っている物も店員さんも古さとモダンさのバランスが取れた、すごくいい感じのお店でした。

 美術館で時間を潰したあと東山を横目に見ながら、夕食を予約した和食屋へ向かいます。最後は京都らしく正統派の和食で締めようという訳です。

 普通の道路にこんな門が残ってたりするから、京都は侮れません。

 お店です。

 今回通された座敷はやたらと年季が入っていました。茶室を模したのか入口の戸口の高さは低いし、天井の高さも200センチくらいでやたらと低い。まさにタダ者ではないという感じです。

 座敷の方が人間より風格がある( ´艸`)。 

 この店には一部屋だけ創業当初から400年経った座敷があるというのは聞いていたので、これか??と思いましたが、質問は取っておきました。ボクのような一見の観光客に貴重な部屋を使わせるとは思えないし、いきなり燥いで質問するのもバカにされそうです(笑)。

 最初は梅酒のソーダ割。この店にはグラスシャンパンはありません。でも梅酒の方がアルコール度数が低いので、実は嬉しい。

 まずはゼリー寄せとインゲンの胡麻和え。インゲンは以前も出てきたので夏のお決まりなのでしょうか。

 ボクは建築は素人ですが、数寄屋作り風の部屋の中で簾天井や竿縁天井、様々な形式が使われています。ボロそうに見えて実は贅沢。京都の恐ろしさ?です(笑)。

 お造り。鯛と鱧。塩と醤油とトマト醤油で。
 この店では明石鯛が必ずでてきます。季節によって熟成具合を変えるそうです。

 また鱧の落しも他の店とは異なり、氷水に晒して締めません。その方が水っぽくないし、皮が硬くならないので美味しい、と言うことだそうです。
 何も言わないけど、この店はポリシーが色々ある( ´艸`)。ちなみにボクは鱧は氷水で締めても良い、とは思います(笑)。

 お椀はぐじ。前日までは茂魚だったそうです。お皿のなかではもう、秋が始まっています。

 八寸。この半熟卵も店のお決まりです。これも必ず出てくる。今は卵なんて珍しくありませんが、昔は貴重品だったからでしょうか。

 そうめん状の滝川豆腐と蒸し鮑。上には雲丹と鮑を蒸した際に出てきたエキスをジュレにしたものを載せています。今回の旅行では3日間 鮑が出てきましたが、これが断トツに美味しかった。
 

 鮎。ここの鮎は凄いんです。他の店のように稚鮎ではなく、普通の鮎を炭の遠火で20分くらい焼き、遠赤外線で柔らかくして骨まで食べられるようにしているんです。
 魚と火との距離や火の具合はどうやっているのでしょうか。初めて食べたときは驚嘆しました。柔らかさと香ばしさが両立しています。

 お皿にも蓼の模様が入っています。

 ドジョウの柳川。これはもうちょっと臭くても良かったけど、お上品な味(笑)。

 この店で肉が出てきたのは意外でした。近江牛のローストビーフとその下には肉の味を吸ったズッキーニ。と言っても、牛肉は塩こうじに漬けてあって柔らかく臭みもない。脂っぽさもない。これならOK。流石です(笑)。

 枝豆ご飯とお漬物、赤だし。ちゃんと炊いたご飯、ちゃんと作ったお漬物と赤だし。これだけで本気で美味しいです。

 中庭も暗くなってきました。ここで大女将が挨拶に来ました。迫力あります(笑)。
 歩くときは杖をついているのに、床に座るときはビシッと正座します。思わず『大丈夫ですか』と尋ねたら、『足が悪くても、慣れているから正座の方が楽。』って言うんです。流石、というか。

 部屋のことを聞いたら、やはり400年経った一番古い部屋だそうです。大女将の言うことが振るっています。
 曰く、『古いものは直しても良くなるもんじゃおまへん』(京都弁はいい加減です)。謙遜かもしれませんが、今 直してもこれより良い部屋は作れるわけねーじゃん、と言っていると、ボクは解釈しました(笑)。見事な矜持というか、これまた流石です。

 この部屋は掘りごたつにもせず、ずっと400年前の形でやってきたそうですが、今年からこのテーブルを入れたそうです↓。古い形を極力残しつつ、変化させるところは変化させる。曰く『そうやって私らはやっていきますさかいに』。カッコいい(笑)。

 最後は卵のアイスクリームとメロンと白桃。

 『撫子』という季節の和菓子。撫子の季語は初秋。
 

 新幹線の時間があるので2時間半で、とお願いして食べ始めたのですが、お店の前に呼んでおいてもらったタクシーに乗ったところで丁度2時間半。参りました(笑)。

 こういうのは単に食事というより、まさに体験です。今年の旅行の有終の美を飾る体験でした(泣)。