特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

NHKスペシャル「Z世代と“戦争”」と『台風前の志摩』(夏の旅行DAY1)

 楽しかった夏休みは終わってしまいました。今の気持ちはただ、ブルーです(笑)。仕事始まりに備えて夕食の作り置きをしたり、さぼっていた日課の体操を始めたり。
 今年の愉しみもあとはお正月を待つだけ、です(笑)。普段の生活の中で少しでも美点を見つけていくしかありません。

 休み明けにまた 35度超えの陽気が戻ってきましたが、夜 家の前の林から聞こえてくるのは蝉の声から虫の声に変わりました。そろそろ夏も終わり、です。


 8月15日放送のNHKスペシャル「Z世代と“戦争”」は保坂正康氏や小泉悠氏など充実したゲストが出ていたので、つい見てしまいました。
 基本的にボクは世代論なんか信じません。良くある世代論や男女差論や他国人論などは世間話くらいならいいけれど、現実には個人差の方が大きいに決まっています。そういう大雑把な議論で物事を判断するのは間違いの始まり、とボクは思っています。世代論なんて電通博報堂の陰謀でしょう(笑)。

 ただ、ボクとは異なる世代の人がどう考えているか、意見は聞いてみたい。確かに最近の若い人は生活意識は保守的ですが同性婚や家事分担の意識は比較的リベラルな人が多い、とは思います。
 
 番組の内容自体はゲストと若い世代との大した議論もなく、期待外れでした。

www6.nhk.or.jp

 しかし冒頭に流れた、Z世代へのアンケートは興味がありました。まずは『今後10年で日本が戦争に巻き込まれる可能性はある』とZ世代の半分以上が考えていました


www.nhk.jp


 ウクライナ侵略のことを考えても、『最近の若い子が日本も戦争に巻き込まれる可能性があると考えているのは尤もな話』と思いました。日本が攻めたり、脅威となるような武器を持っていなくてもどこかの国が攻めてくる可能性は幾らでもあるのに、武器を持たずに外交で、と具体論もなく念仏のように唱えているほど若い世代はバカではない、ということでしょう。
 ウクライナ人というNHK国際部ディレクターの女性(20代)が『話し合いが全く出来ないような国が襲ってくる時にはどうしたらよいのか』、『戦争は防げないこともある』と涙を溜めながら言っていたのは説得力がありました。彼女は平和を守るためには武器で戦わなくてはならないと考えています。病院や学校が攻撃されたり、一般住民が虐殺や拷問されたり、子供がさらわれているからです。
 『平和のためにウクライナは早くロシアに降伏しろ』なんて無責任な寝言をほざいていた東大名誉教授の和田春樹なんか、さっさと死ねばいいのに。

 さらに、戦争に巻き込まれた場合 どういう態度をとるか。『戦争に反対する』がトップに来たのは、いかにもリベラルと言われる世代らしい


 
 面白かったのは小泉悠氏が『徴兵制があるウクライナ人と違って、一般の日本人は銃の撃ち方も知らないのだから、闘えるはずがない。普段の生活に徴兵制など軍事的な制度を採り入れる覚悟が日本人にはあるのか』、保坂正康氏が『理由に納得がいかなければ反戦デモが起きるアメリカやイギリスとは異なり、日本ではWW2のことを考えても、始まってしまった戦争に反対したり逃げたりするのは至難の業』と、アンケートの選択肢そのものを真っ向から否定していたこと(笑)。
 いざ戦争が始まってしまったら、戦うにしても反対するにしても一般の国民が出来ることは少ない。そして我々は(ボクも含めて)戦争に対するリアルさがない。


 平和実現のための手段への回答を見ても、『他国のことをもっと理解する』や『国際交流』を除けば、対外的な働きかけは少ない。発想が内向きです。他の国に日本のことをもっと判ってもらう、互いに話し合い聞き合う=仲良くするという発想、つまり戦略性がない。番組ではそういうことへの突っ込みは全然ありませんでした(笑)。

 内向きなのはZ世代に限ったことではありません。
 小泉悠氏は『10年前と今とでは国際環境は全く前提条件が違う』と言っていました。世の中の環境変化はそれだけ激しい。宮崎駿ですら、『戦後民主主義のままでは今の時代の変化についていくことは難しい』と遺作と言われる作品で示唆する時代です。戦争の形だって、ドローンやサイバー攻撃でかってのものとは大幅に変わっている。
 Z世代に限らず誰もが、過去の思考やルールが通用しないかもしれない未知の時代に直面しています。不安だから発想が内向きになる。左右を問わず陰謀論やスピリチュアル、カルトまがいの発想が出てくる。

 だけど内向きにならずに事実を直視しオープンな議論を重ねていけば、何とかなるとは思うんですよね。特にZ世代は先行する世代よりは随分賢いようには見える。正確には何とかならないかもしれないが、その場合は人類は滅亡するしかないから、結果は同じです(笑)。

 ただ日本人には右も左も直ぐ感情論に走る、つまり事実を直視しない、という病があります。結果として政治も外交も他人任せ。この点は楽観はできません(笑)。


 さて、お盆休みは2泊3日で旅行へ行ってきました。台風が心配だったのですが、6号は進路が左に逸れ7号はスピードが遅かったお陰で、ボク自身は台風の影響もなく、スケジュール的にはラッキーでした。ただ、訪れた地域が軒並み台風の直撃を受けてしまったのは心配ではあります。

 1日目は東急線が繋がった新横浜から志摩へと向かいました。良く考えたら昨年も、志摩の違う宿に泊まったのですが、景色はいいし、食べ物は美味しい、何よりも観光地の割には人が少ない。鄙びている(笑)。東京からは遠いけど良いところです。

 名古屋から近鉄に乗り換えます。何年か前に初めて、この路線に乗ったときは四日市周辺の寂れ方にはびっくりしたのですが、少しは新しい建物も増えてきたように思えます。いずれにしても新幹線ではなく在来線の車窓から眺める景色からは人の暮らしが見える。まるで地方経済の厳しい現状を目の当たりにしているような気がします。

 まずは車内で『みそかつサンド』から(笑)。

 冷えた食べ物なんか美味しくないので、駅弁なんて10年以上買ったことがありません。物珍しさに惹かれて手を伸ばしたら、普通のカツサンドでしたが、お腹が空いてたので美味しく感じました。

 宿は海を見下ろす丘の上にありました。部屋の窓からは英虞湾が広がっています。

 プールもありますが誰も泳いでいない。ただの池ですな(笑)。プールサイドで手入れをしている人に申し訳ない。

 部屋はゆったりしていていい感じでした。冷蔵庫の中身もフリーだし、特に窓つきのお風呂は気に入りました。


 それからラウンジへ行って、まずは泡を一杯。
 『あー、お休みだ~』(笑)。
 『チェックインしてから泡を一杯』が毎年恒例、ボクのお休み始まりの儀式(笑)。海を見ながらの一杯は文字通り、命の洗濯、です。


 
 観光地とかは興味ないので、旅行へ行ってもボクは食べることくらいしか思いつきません。6時に予約していたホテルのレストランでも泡を一杯。
 この日の夕方は曇っていて、楽しみにしていた英虞湾の夕陽が拝めなかったのは残念でした。

 最初はアミューズ

 野菜のディップ。ソースは鮑の肝でした。これは💛

 前菜は車海老やキンメダイ、鮑など海の幸のゼリー寄せの上にトマトのかき氷が載ったもの。

 宿名物の伊勢海老のスープ。下には茶碗蒸しが敷かれ、上にはホイップしたミルクがトッピングされています。確かに濃厚な味は美味しかった。

 鮑のロースト(右)と伊勢海老のリゾット(左)。
 大根おろしに一晩漬けて柔らかくしたという鮑もこの宿の名物と言われています。美味しいと言えば美味しいですが、大したことはない(笑)。海藻をマヨネーズに混ぜ込んだソースも食べ進むうちに大雑把な味に感じました(笑)。だけどリゾットはばっちりだったので許します(笑)。

 低温調理した松坂牛のヒレのローストと地元産のワサビ。
 松坂牛なんか脂ばかりで肉の味がしないので食べたくないですが、地元産の食材だから仕方がない。出かけたら、なるべくその土地のものを食べるのはポリシーではあります。  
 ヘタクソな低温調理にありがちな肉汁が流出しているなんてことはなかったし、ヒレだから霜降りもそれほどは酷くなかった。調理は上手と思いましたが、肉がでかすぎる。単調で飽きました。付け合わせのツルムラサキ(右上)がこのお皿の中では一番、美味しかった(笑)。

 いつの間にか、窓の外は暗くなっていました。文字通りの’’Blue Hour’’です。海の色と空の色が溶けあう様は美しい。 

 デザートはチョコのタルトの上に地元の柑橘のシャーベットを載せ、飴細工を載せたもの。

 とどめのお茶菓子(笑)でお腹いっぱいです。
 地元ならではの伊勢海老と鮑と松坂牛、不味くはないけど大箱のホテルのレストランらしい、若干 大雑把な料理でもありました。それでも旅の初日だから、それほどは気にならない。これもラッキーです(笑)。

 

 食後 屋上へ行ったら花火大会をやっていました。夏休みらしい光景ですが始まって5分で雨が降り出して、すぐ終わってしまいました(笑)。写っている建物は村野藤吾が作った志摩観光ホテルの旧館。

 お腹いっぱいになったらすぐ睡魔が襲ってきます。
 曇り空でしたが、空を見上げたら星が一杯でびっくりしました。星ってこんなに沢山あるものなのか。東京ではそんなことすら、気が付きません。普段の自分が如何に非人間的な暮らしをしているか、ということでしょう。
 食って寝るだけのバカ旅行ですが、そんなことを改めて感じただけでも、出かけて良かったです。