いやあ、暑いです。
熱中症で亡くなる人のニュースが毎日のように流れますが、最近はクーラーがなければ文字通り命に係わるような状況です。クーラーを持たなかったり、電気代の高騰でクーラーを稼働させられない人だって居ると思います。この国はどうなっているのでしょう。
ボクだって、きっと70歳を過ぎれば体力も気力も落ちて、それこそ夏の暑さに怯えるようになるのに。
「うどん1玉を4人で分ける」「どんなに猛暑でもエアコンつけたことない」困窮家庭ひっ迫する夏休み【認定NPO法人キッズドア調査】 MBSニュース https://t.co/5npL14FHfC
— 保坂展人 (@hosakanobuto) 2023年7月30日
例えば今回の調査で、食費が1食当たり110円以下の家庭が4割という結果が出ています。調査に寄せられた声で食事に関するものでは…
それでも土曜日 明治神宮の森の中を歩いたら涼しかったので驚きました。お昼の時間帯でも全然OK。自然の力は大したものです。
当面 地球温暖化は止められないのだから、緑を増やしていくしか我々の生き延びる手段はないでしょう。まさに自滅国家、ニッポン(笑)。
“暑さ警報”初の全米規模 10億ドルの植樹支援へ
— ロッシェル・カップ (@JICRochelle) 2023年7月29日
日本とあまりにも対照的ですね🥵https://t.co/eVFm7FKmRJ
先週 ボクの出身高校(大学の付属高校)が甲子園に出るのが決まりました。たまたま同席した大学の関係者に話を聞いたら『この炎天下に応援に行くとか冗談じゃない』とか『寄付の申し込みがうざい』とかブーブー言ってたのが面白かったです。『なまじ勝つと余計に金がかかる、勘弁してほしい』というのはまさに本音でしょう。
こんな炎天下で野球をやったりスタンドで応援をするなんて、文字通り狂気の沙汰です。関係者ですら、アホらしいと思っている。
それでも中止するとか、時期をずらすとか、夜にやるとか理性的な解決策は全く出てこない。これまたいかにも日本人らしい。
改めて、都市博中止した青島幸男は偉かったと思う。この国が最も苦手とする「中止」を実現できたのだから。いまからでも遅くない、中止だ中止。 #大阪万博失敗 https://t.co/oFzXRVxSW5
— 太安萬侶(おおの やすまろ) (@onoyasumaro) 2023年7月31日
ボクの出身校は丸刈りなんてバカなことはしてませんが、選手たちの健康を顧みないことや旧日本兵みたいな坊主頭なのも含めて、甲子園って、文字通り日本人の狂気の象徴です。殆ど因習に近い。
甲子園みたいな個人への抑圧を社会ぐるみで大々的にやっている限り、日本人に民主主義が定着するはずがない。
花火大会には行くが、選挙には行かない多くの国民。
— カイトビオ (@M3jsV9fKcTep) 2023年7月30日
絶望しかない。
しかもマスクをしていない人が多いのだから、これでまた更にコロナ感染拡大するな。😖https://t.co/vhuhn8atSe
それを後援しているのが朝日や毎日などリベラルと称しているマスコミなのですから、それもまた日本のリベラルの偽善的な体質を象徴しています。こいつらの民主主義や平和主義は偽物です。また戦争が始まったら、連中は80年前と同じように国民を散々扇動するに決まっています。
「命に関わる暑さです。不要不急の外出を控え、熱中症に充分お気をつけ下さい。それでは、高校野球の試合結果です」というコメントほど、矛盾というものを鮮明に表したものはないんじゃなかろうか。
— 鴻上尚史 (@KOKAMIShoji) 2023年7月31日
と、いうことで、新宿で映画『ランガスタラム』
舞台は1980年代半ばのインド。チッティ(ラーム・チャラン)は、インド南東部の農村、ランガスタラム村で暮らしている。モーターを使って田畑に水を送る仕事に就く難聴の彼は、近所の娘ラーマラクシュミ(サマンサ・プラブー)に思いを寄せる。一方彼らの村は、親子代々村長を務める貸金業者兼地主で『プレジデント』と呼ばれるブーパティ(ジャガパティ・バーブ)が支配していた。
『RRR』、『マガディーラ』などのラーム・チャランが主演を務めるアクション。ラーム・チャランが自ら最高傑作の一つと言っています。2018年に作られた作品ですが、『RRR』の大ヒットでようやく公開されました。
ちなみに『RRR』は日本公開後1年経っても、まだ上映が続いているどころか、夏休みになって公開館がまた拡大しています。そのパワーには呆れるしかありません。
舞台はインド南東部。親子代々村長を務める貸金業者兼地主の『プレジデント』に支配されるランガスタラム村。そこには難聴の青年、チッティが住んでいました。
ある日 チッティは近所の娘ラーマラクシュミに恋をします。
チッティやラーマラクシュミら村人たちは借金と金利に追われ生活は苦しい。しかしプレジデントに反抗することなど思いもよらず、プレジデントは数十年間にわたって無投票で村長に当選しています。だから州政府も手がだせない。
そんなある日 チッティの兄クマール(アーディ・ピニシェッティ)が出稼ぎ先のドバイから一時帰国します。クマールは、村の窮状を目にし、30年間誰ひとり立つことのなかった村長選の対抗馬として名乗りを上げます。
クマールは民主主義政党の州議(プラカーシュ・ラージ)の支援も取り付けるが、プレジデントは反抗する者の命を奪うことを辞さない男です。
チッティは兄を命がけで守ろうとします。一方、ラーマラクシュミとようやく恋仲になったのに、権力者プレジデントに反旗をひるがえしたことで、結婚話は暗礁に乗り上げてしまう。はたして若者たちと村の運命は──?、というお話です。
インド映画のお約束、上映時間は3時間(笑)。
前半はチッティのラーマラクシュミへの恋物語がミュージカル調に展開されます。
圧倒的なスピードと人数のダンス。村人も神様も踊りだす(笑)。歌詞はシニカルなのに、曲は明るく、リズムは無意味に切れ味が良い(笑)。やたらと大勢なのに指の先までシンクロしてる。これ、ちょっとおかしいレベル(笑)。
はっきり言って最高です。ダンスシーンは今まで見たインド映画の中でもかなり質が高い、と思いました。
ちょうど最近 某有名テーマパークの社長(日本人)と話をしたばかりなのですが、彼は『インドの大学のゼミの教授と学生を数十人、パーティーに呼んで1時間くらい経ったら年配の教授も学生も脈絡なく(笑)皆で踊りだしたので、びっくりした』と言ってました。あの人たちは本質的にダンスが大好きみたいです。
ヒロイン役の女優さんも超美しいし、画面を見ているだけでめちゃめちゃ楽しい。退屈なんか微塵も感じません。
人が良くて、頭が軽いチッティはインド映画によく出てくるパターンのキャラクターですが、パワーと笑顔で思わず感情移入してしまいます。
80年代のお話、ということですが、ヒンドゥーの神々の名前がちりばめられたお話はどこか神話調でもあります。
ところが、お話は段々とダークな色調を帯びてきます。
村長を務めるプレジデントは村人の無知につけこみ、金を貸し付け、高利をむさぼっていました。借金のカタに土地を取り上げられ自殺する村人も出てくる。
それでも村人は反抗など思いもよらない。それだけの度胸も知恵もないし、従来からの慣習を変えるのが恐ろしい。村長選は延々と無投票が続きます。
まるで日本のどこかの市町村と同じじゃないか、と思いました。人々が守ろうとしなければ民主主義は全く機能しないのはインドも日本も同じです。
合法的に選出されたプレジデントには州政府も手が出せません。それに敢然と立ち向かったのが一時帰郷していたチッティの兄、クマールです。クマールは単身 村長に立候補することにします。プレジデントは政敵を裏で殺すことも厭いません。チッティは兄を命懸けで守ろうとします。
そこからお話は政治劇となり、復讐劇となり、思いもよらぬミステリーに変わっていきます。ダンスと恋物語で押し通していた(笑)前半とは全く異なる、しかし、見事なプロットです。
最終的にお話のポイントとなるのは今もインド社会に根強く残るカーストですのでとっつきにくいところもあります。しかし何もわからない第3者の我々だからこそ、カーストの根深さ、悪質さを余計に強く感じられるかもしれません。
時には民主主義の理想よりカーストのような因習のほうが強い。日本でも未だに無投票当選や女性差別が蔓延っているのですから、他人事ではありません。日本の男女の家事分担への意識なんかインドのカーストと変わらない。
人間社会では理想より、因習や不合理が力を持つこともある、それが現実ではあるのでしょう。
お話の面白さとしてはAクラスです。前半のダンスや恋物語は文句なしに楽しいし、後半の政治シーンは高揚するし、復讐劇には血沸き肉躍る、ミステリー劇にはあっと言わされます。退屈している暇がない。
もちろん『RRR』や『バーフバリ』の奇想天外さ、スケールの大きさにはかないません。この2作は特別。しかし『ランガスタラム』は圧倒的に面白い映画であることは間違いありません。
今年 人口世界1となったインドは世界最大の民主主義国になりました。でも貧富の格差やカースト、有象無象の因習などインドの闇も我々の想像が出来ないくらい深い。
実際 インド駐在の人に話を聞くと、『現地の社員の間では表立ってはカーストのことは言わないし仕事上は全く関係ないが、彼らの中では会社の地位に関係なく、誰がどのカーストか判っている』と言います。
あんなに賢い人たちが、どうしてカーストとかアホなことを言ってるのかボクには理解できません。それも含めてインドなのでしょう。
それでもランガスタラムのようなパワーを持った映画を見ると、これからはインドの時代だなーと思います。得意とするジャンルが違うと言えばそれまでですが、既に日本映画は逆立ちしてもかないそうもありません。圧倒的です。