特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『#入管法改悪反対 4/28全国一斉アクション』と映画『ブルックリンでオペラを』

 やっとゴールデンウィーク、気持ちが良いお天気です。

 昨日の選挙の結果自体は良かったとは思います。しかし中身を見れば全然良いことはない。

 特に驚いたのが投票率です。この期に及んで選挙に行かない人の知能指数を疑ってしまいます。

 3選挙区とも前回の選挙より大幅に下がっているのですから、勝った野党も国民の不満の受け皿にはなっていないのでしょう。

 野党共闘がどうの、というのもくだらない話です。確かに野党が乱立していたら勝てませんが、消費税や安保など立憲民主と他の党は根本的なところで政策が違います。結果として共闘になるのなら良いですが、共闘を目的にするのは間違いです。
 それで勝っても長続きしないだけでなく、共産党と組んでも、最も数が多い無党派層には浸透できない前回の選挙で判っていることです。

 立憲、国民、共産など地方組織同士の関係が比較的良いところは共闘すれば良い。

 前々から言われていたこととはいえ、東京15区は酷かった。
 立憲民主の酒井という人はまともだと思いますが(腰が据わらない立憲のなかでどこまで正気を保てるかは不安ですが)、

 それ以外はマジで狂人が揃ってた。

 得票2位が山本太郎が応援した須藤元気というのも酷い。数年前 宇宙人との対談本を出した人でしょ(笑)。

 百田尚樹河村たかしと組んで、陰謀論を吹聴してた飯山陽が2万も得票したのにも驚いた。乙武より多いんです。

 右も左も老人のノスタルジーに引きずられているのですから、そりゃあ、日本が落ち目になるわけです(笑)。

 
 と、いうことで、昨日は上野へ改悪入管法施行反対のデモへ行ってきました。

 日本はまともな難民審査も行っていないくせに改悪された入管法では難民申請者の強制送還や監理制度など危険な制度が盛り込まれ、時として収容者を死にまで追い込む入管の体質も改善されないスリランカ人のウィシュマさんが医療を受けられず名古屋入管で殺されたことだって誰も責任を取っていないじゃないですか。

 法律は6月から施行されますが、人々が黙らなければ運用に影響を与えることはできるかもしれません。

 この日のデモは全国各地で行われました。東京は上野。主催は若い学生さんたちが中心でした。彼らは普段から留学生に接していますから他人事ではないのでしょう。

 良いお天気でデモ日和(笑)ではありました。デモの参加者は180人だそうで、日本人が8割くらい。テーマがテーマですから沿道の関心は必ずしも高いとは思いませんでしたが、明日は我が身なんですよね。
 上野は観光客だけでなく、働いている外国の人が多いですから、デモを見ている人は大勢いました。
 

 歩いていて気が付いたのですが、沿道には肌の色が異なる子供を連れてデモを見に来ている人がいる。この日は入管から移動許可が下りずに参加できなかった人もいたそうですが、当局の嫌がらせなど様々な理由でデモに参加できない人もいる訳です。
 なんの制約もないボクのような人間には微力でも声を挙げる義務があるなーと思いました。

 ウィシュマさんの妹さんもいます。マイクを持っているのは32年間 難民申請をし続けているエリザベスさん。自身も不安定な立場にありながら同じような立場の人の手助けを続けています。牛久市議会は自民党も賛成して、国に彼女の在留許可を出せという決議を出しています「オブエザさんに在留特別許可を」茨城・牛久市議会が意見書を可決 感謝の女性「私の国、私の県、ありがとう」:東京新聞 TOKYO Web

 マイクを持つ指宿弁護士。『国や法務省は改悪入管法を施行しても、どうせ市民は忘れてしまうと思っている』、『法律が施行されても、市民が黙らなければ影響力を削ぐことができる』と。

 指宿氏の隣にいるパキスタンの人は10年以上申請して、先週やっと在留許可が出たばかりだそうです。

news.yahoo.co.jp

 ちなみに指宿氏はアメリ国務省から『人身売買と戦うヒーロー』として表彰されています。日本政府はアメリカの言うことはなんでも聞くんじゃないのか(笑)。


www.tokyo-np.co.jp

 東京新聞はこの日のデモをちゃんと報じました(笑)。 


 と、いうことで、新宿で映画『ブルックリンでオペラを

 潔癖症精神科医、パトリシア(アン・ハサウェイ)と現代オペラ作曲家のスティーブン(ピーター・ディンクレイジ)はニューヨークのブルックリンで暮らしている。もともと非社交的でプレッシャーに弱いスティーブンはスランプに陥り、曲が全然書けなくなる。パトリシアの勧めで気分転換のために愛犬と行くあてのない散歩に送り出されたスティーブンは寂れたバーで飲んだくれていたタグボートの船長、カトリーナマリサ・トメイ)と出会う。スティーブンは彼女に誘われてタグボートに乗り込んでみるが。

movies.shochiku.co.jp

 監督は『50歳の恋愛白書』、『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』などのレベッカ・ミラー。『レ・ミゼラブル』などの大スターのアン・ハサウェイ、大ヒットした『ゲーム・オブ・スローンズ』や昨年の素晴らしかった『シラノ』のピーター・ディンクレイジ、『レスラー』のアカデミー賞俳優、マリサ・トメイと、キャストも豪華です。アン・ハサウェイはプロデューサーも兼ねています。

spyboy.hatenablog.com

 現代最高のロックバンド、ザ・ナショナルの中心人物のブライス・デズナーが音楽を担当、主題歌「Addicted to Romance」はブルース・スプリングスティーンということで、ボクとしては昨年から手ぐすね引いて公開を待っていた作品です。ちなみに「Addicted to Romance」は昨年のゴールデングローブ賞の歌曲賞にノミネートされています。

 しかし原題「She Came To Me」が「ブルックリンでオペラを」なんて訳の判らない邦題に変えられていたので、危うく見逃すところでした(笑)。ふざけんなよ。
 ボクが見たのは公開後3週目でしたが、小品ながら評判は良いようで、映画館にお客さんは結構入ってました。

 パトリシアとスティーブンはブルックリンで暮らす夫婦です。パトリシアは精神科医、スティーブンはオペラの作曲家。

 パトリシアが若い時に産んだ息子を含めた3人家族です。多様なバックボーンはありつつも経済的にも恵まれた、仲良し家族です。

 社交が大嫌いで引っ込み思案のスティーブンは深刻なスランプに陥いり、曲が書けない状態が続いていました。一方 病的な潔癖症のパトリシアは周囲に嫌悪感を覚え、修道院通いを始めています。理想的なカップルのように見える二人の間にはどことなく隙間風が吹き始めています。

 高校生の息子は成績は優秀、ハーバード大に推薦されてもあっさり断るくらい自分の意志がはっきりしています。母とも継父のスティーブンとも表面上はうまくやっています。

 18歳の彼には16歳の彼女がいて深い仲です。彼女も優秀で高校を飛び級で進んでいる。家庭環境は大きく異なり、彼女の父は裁判所のお堅い速記者、悪人とは言えないけど超保守主義者(容赦のない描写がなされています)、一方 母は北欧からの移民ですが、偶然 パトリシアの家の家政婦だったことが判ります。これはひと悶着ありそうです(笑)。

 スランプのスティーブンは精神科医のパトリシアの勧めで犬を連れて、行き先を決めない散歩に出ます。途中立ち寄ったバーで昼間から飲んだくれているタグボートの船長、カトリーナに出会います。

 カトリーナはスティーブンを自分の船に誘います。そこで思わぬことが起きます。

 いかにもNYが舞台のドラマらしい、人種も家族の形態も階級も思想も多様性に富んだ人たちのお話です。

 お話は前半はアン・ハサウェイ、後半は息子たちカップルとマリサ・トメイがフィーチャーされています。
 アン・ハサウェイは超きれいで、ファッションもすごいんだけど、パーティーならともかく、普段の街角でこんなハイファッションで着飾った人がいるんだろうか?とも思ってしまいます。NYなら居るのかもしれませんが(笑)、違和感は否めない。目の保養ではあるんですが。

 マリサ・トメイはいつもどおり、ワーキングクラスの役柄がお似合いです。

 この映画、わざわざオリジナルのオペラのシーンを二本も作っています。スランプを脱したスティーブンが作ったという設定ですが、さすがブライス・デスナーだけあって、本気でかっこいい。説得力がある。ただ彼が音楽を担当した昨年の「シラノ」みたいなミュージカルならいいけど、コメディで使ってしまうのは若干勿体なくもあります。舞台演出も含めて、オペラシーンはこの映画の見ものです。

 ラブコメ、ロマンスの映画ではあるけれど、最新型で多様性に富んだ作品です。突飛なところもあるけれど、若い二人に導かれて大人たちが新しい家族の形を作っていくのもユニークだし、希望を持てます。

 監督の前作「マギーズ・プラン」でもスプリングスティーンの歌が2度も使われ、強い印象を与えていました。今作ではスプリングスティーンのオリジナルが主題歌です。その「Addicted to Romance」はコメディの主題歌としては名曲過ぎるのですが(笑)、この曲が流れるシーンでは映画のランクがもう一段引き上げられるような気がしました。曲を聴きながら、画面を見ると意味が全然違う。それだけの力がある曲でした。


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 登場人物たちの事情があまりにも多様で前半は判りにくかったところもありましたが、後半は良く練られたプロットでさすが、と思いました。美しいラストシーンは忘れがたい。小品ですが、良い映画でした。


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