特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

読書『女性の階級』と『キアニーナ牛』

 今日は爽やかなお天気。気持ち良いです。仕事始まりの憂鬱が多少は癒されます(泣)。

 ちょうど先週『あと10年もしたら自動運転が普通になるかも』と書きました。すると今週『ホンダがGMと組んで26年から東京で無人タクシーを始める』というニュースが報じられました。

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 ボクは自動車関連で働いている訳ではありませんし、自動運転なんか興味ない。個人的には徒歩で十分(笑)。
 しかし、世の中の動きは想像以上に速い10年くらい先かと思っていたことが、2年後に始まろうとしている

 政治家やマスコミの妄言、左右を問わずネットのデマに踊らされずに生きていこうとしたら、市井の個人でも世の中の動きを読む努力だけはしなければいけません。本当に大変な時代だと思います。

 この時期 勤務先で、来年の新卒採用の面接をやることがあります。最近の子はやたらと『成長』って言います。『自分が成長できる職場だと思って志望しました』とか『成長して自分の市場価値を高めたい』みたいなことを言うんです。

 流行りなのか意識高い系って言うのか知りませんが、今年は面接した半分くらいの子が『自分が早く成長したい』と言ってた。会社や事業、それに社会を成長させたい、というのは聞いたことがありませんが(笑)、それを責める気はない。誰だって自分が優先です。

 ただ、そう言われると『お前の成長とは何か定義してみろ』って言いたくなります(笑)。ボクはパンク・ニューウェイブの影響をもろに受けていますので、成長や進化より DEVO(De Evolution=脱成長=退化)の方がカッコいいと思っています。斎藤幸平のご高説以前に、脱成長なんて80年代から言われている話です(笑)。

●絶対この方がカッコいいですよ。LAのパンクバンド’’DEVO’’。


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 若い人たちが言ってる『成長』っていうのは転職会社が言う成長なのか、自分の市場価値なのか、自分の内面的な成長なのか、良く判りません。
 市場価値は大事ですが別の物差しも持っておかないとまずい、とは思います。政治家やマスコミが言ってる価値観を自分で内面化してしまうなんてサイアク、奴隷じゃないですか(笑)。
 この国は民主主義ではなく、セルフ奴隷臣民の国だから仕方ないのかもしれませんが、こういうアホ↓を見ると死んでしまえ、と思います。こういう奴が面接に来たら絶対落としてやる(笑)。

 それはともかく、最近の子は短期でも留学している子が多いから英語はある程度喋れるし、真面目で優秀、特に女性はやる気と能力に満ち溢れている。ボクの勤務先だけかもしれませんが、海外へ赴任したいというのもたいていは女性です(笑)。

●セルフ臣民揃いの日本とどっちがまともか、一目瞭然

 ただ社会に入り、特に結婚するとモラルダウンしていく女性が結構いるのは何なんだろう、と思うんです。一部にはまだ偏見などはあるでしょうが、今は制度上は昇進や給与で男女差別なんかありません。だけど組織や仕事の壁にぶつかったり、家事や子育ての負担だったり、年を経るにつれ疲れた顔の女性が増えてくる気がする。

 仕事の壁は仕方ないにしろ、家事や子育てを押し付けるようなバカな男とは結婚なんかしなければいいとは思うんですが、それも個人の勝手だからとやかく言う話でもない(笑)。
 ここまでではないにしても↓、概して今の若い人たちは前の世代より賢い、とは思います。彼らは彼らなりに生きていくのでしょう。


 前置きが長くなりました。ゴールデンウィークのベランダ読書の感想第1弾です。『女性の階級

 社会的格差、階級論を研究している早稲田の橋本健二教授の新著です。
 彼の論考は実際の調査研究を基にした『現代の日本は資本家階級(中小零細から大企業までを含んだ経営者)、新中間階級(企業の管理職や専門職)、旧中間階級(自営業)、労働者階級(一般の正規労働者)に加えて、労働者階級より厳しい状況にいるアンダークラス非正規労働者)という階級社会になっている。』という考え方がベースになっています。


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 今回はその観点に加えて、階級ごとに女性を分析したもの。内容の紹介がてら、本の帯を引用します。

 今の日本の社会は落ち目とは言え、物質的にはある程度充足されていますが、生きづらい社会であるのも間違いないと思います。この国がこれから衰退していくのは確実ですが、政治がまともに機能していないから前途に希望が全く見えない。

 その一方 市場競争は年々厳しくなり、個人としての生き残りも大変です。アンダークラス非正規労働者)や正規労働者の労働者階級だけでなく、衰退しつつある自営業(旧中間階級)、生き残り競争に駆り立てられる専門職・管理職(新中間階級)も皆厳しい。

 資本家階級だって人数的には大多数を占める中小企業の経営者は言うまでもありません。
 大企業の経営者だってマスコミや電力会社のように国の規制や権力に守られた独占企業やオーナー経営者でない限り、大変です。アメリカのように一生遊んで暮らせるほど給料がバカ高い訳ではないし、何かあれば一発でクビが飛んだり、株主代表訴訟の被告になってしまう。
 何でもかんでも経営者や資本家のせいにして済むほど世の中は単純にできていません

 この本を読むと、現代日本の過酷さは女性に対して一層強く降りかかってきていると言うことが良く判ります。日本は女性にとって大変リスキーな国であることは間違いありません。女性が疲れてくるのも当然です。

 自らの階級だけでなく配偶者のリスクにも影響されるのですから、日本の女性は階級とジェンダー、複合的な格差にさらされていることになります。言い換えると、二重に差別されていると言っても良い。

 一方 希望がない訳でもありません。
 調査結果を見ると、女性でも資本家階級の多くは保守的な価値観を持っていたり、自民党の応援団だったりします。資本家と言ってもこの本では平均世帯収入は1000万そこそこ、殆どが厳しい中小企業主です。それでも自民党や維新を応援する。
 過去のイタリアやチリ、ドイツなどでファシズムの支持層は自営業主が多かったのと同じメンタリティです。

 他の階級も野党を支持する割合が多い層はそんなにない。労働者階級(正規労働者)は比較的野党を支持する人が多いですが、アンダークラスは案外 自民を支持したり自己責任論を内面化する人が多い


 だけど、価値観の面では男と比べると明らかに女性はリベラルです。同性婚や男女別姓は資本家階級を除き、女性はどの階級でも支持が多いし、格差拡大や自己責任論を否定する人の割合も多い。

 結局 今の日本を変えていくには政治に女性の声を反映させていくのが有効と橋本教授は結論付けています。その昔のルーズベルト連合(南部の労働者+北部のリベラル+マイノリティ)のように、政治勢力としての中間階級+労働者階級+女性の連合を成立させよう、ということです。
 勿論 女性だって山谷えり子杉田水脈のようなクズや小池百合子丸川珠代のような権力亡者もいる。だけど女性の方がマシな確率はたぶん(笑)高い。

 今の野党がいまいちなのも、女性候補者の数が少ないだけでなく、政策に女性の声を取り入れていないことも大きいでしょう。
 共産党女性候補者数が多いと威張ってますが、書記局長の小池が現委員長の田村に公衆の面前でパワハラをやったのを見れば、正体は一目瞭然。共産党は男社会のファシスト集団です。

www.jcp.or.jp

 立憲民主だって神奈川かどこかの県連のパワハラ・セクハラで女性候補者が降りる騒動があったし、社民党でもセクハラ・パワハラで将来を嘱望されていた八王子の佐藤市議が引退する事件があった。市民運動だって総がかりみたいなオールド左翼の上層部は肩書大好きの頭が悪いジジイだらけじゃないですか。市民連合だって主だった面子はジジイばかり。
 正直、どいつもこいつもどうにもならないんじゃないですか。

●これが男社会、Boy’s Clubの典型

 ということで、この本は実証データの分析から学ぶべき点が多々ある、説得力のある本でした。さっと読めますが、とても良い本です。


 さてゴールデンウィーク後半は中目黒のイタリアンへ行ってきました。普段は行かない店ですが、1年半くらい前にたまたま入ったら結構おいしかったので、たまには気分を変えようかな、と。夜は珍しや、キアニーナ牛/キアーナ牛を出すというんです。

 キアニーナ牛トスカーナの希少種で肉牛の原型ともいわれています。イタリアでも月当たりの生産数が規制されているので滅多に食べられません。これは『良い規制』です(笑)。
 それでも最近は日本でも出す店が出てきました。日本人が現地へ行って、パッキングまでやっているそうです。もう和牛みたいなものは食べたくないのですが、キアニーナ牛なら食べた~い(笑)。

 最初は泡、フランチャコルタ。

 アミューズは手前からライスコロッケ、ヤシの若芽と桜肉のタルタル、パプリカのマリネをトウモロコシの皮で巻いたもの。この店は日本人シェフがベネズエラ生まれで、イタリアンに南米テイストが混じっているのが特徴です。

 トウモロコシと言っても紫のもの。香り高い。

 白アスパラと真鯛のセビーチェ。セビーチェとは生魚などをレモンとオイルでマリネにした南米の料理です。

 新玉ねぎのズッパ(スープ)。トーストの上にコクのあるチーズ(名前忘れた)がプラスされてアクセントになっています。

 合わせるのはシャルドネ

 バナナの葉で蒸したポレンタ・ボロネーゼ・サルシッチャ・こごみなどの山菜

 合わせるのはオレンジワイン。

 もちもちしたパスタにハマグリとフレッシュトマト。デカいハマグリです。左上はグアサカカという南米のアボカド。

 この店のスペシャリテアニョロッティ ダル プリン。15種類の野菜と肉がつまったラビオリです。バターソース。

 合わせるのはナポリかどこかのロゼ。

 じゃーん。キアニーナ牛のロースト。部位はヒレ。これもココットでバナナの葉の香りをつけています。

 切り分けられて出てきました。やっぱり赤身の味が濃い。美味しい!和牛みたいに脂っこくないし。これならいくらでも食べられます。

 合わせるのはバルバレスコ。この頃はもう、天国状態です、酔っ払っているし(笑)。 


 デザートはチョコのテリーヌ。左上にはパッションフルーツのブリュレ

 カモミールとお茶菓子。

 やっぱりキアニーナ牛は美味しい。本当に赤身の味がするキアニーナ牛を食べちゃうと、脂ギトギトの和牛なんかゴミみたいなもんです。
 この店の料理はお皿の上に載っているもの全部の組み合わせで味が決まって調和する、という面白いものでした。だからunitoという店名なのでしょう。


 夜になって風も涼しくなってきました。帰り道 目黒川沿いの緑が美しかったです。