特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『枯れ葉』

 毎度のことながら、週末は足早にかけ去っていきます。
 先週末は丸の内で仕事の宴会があって、折角の金曜の夜が台無し(泣)。そんなこともあって休みが余計に短く感じられました。

 それはともかく、丸の内はクリスマスが終わってもまだ、イルミネーションをやっているんですね。確かにきれいな通りです。

 でも、こういう通りで買い物をすると大変なことになります(笑)。

 東京駅もきれいです。

 この辺りはウェディングフォトの名所ですが、この寒空でも写真を撮っている人が大勢います。大寒でも肩を露出したドレスでポーズをとっているのですから、その根性には本当に感心します(笑)。そのエネルギーはどこから来るのだろう、と思うのはボクが年寄りだからでしょう。


 週末の八王子市長選、自民・公明の候補が当選したのは残念でした。

news.yahoo.co.jp

 萩生田の地元ですよね。創価が強い土地柄とは言え、今のような状況でも与党候補が当選する。 


 
 直接的な原因は前回より7ポイント上がったとは言え、38%台と組織票が有利な低投票率だったことですが、その本質は、野党共闘だけでは無党派層を動員するだけの魅力がないということです。
 このざまでは↓そりゃあ、そうでしょう(笑)。立憲とファシスト政党の共産党が組んだって夢も希望もない(笑)。

 野党は現実的な政策を打ち出して中間層を取りに行かないと何も変わらない。自民党もうんざりですが、自分たちの自己満足、心地よさばかり追求する時代遅れの左派もそれ以上にウンザリです。ボクはバカは嫌いなんですよね。


 と、いうことで、渋谷で映画『枯れ葉

 舞台はフィンランドの首都・ヘルシンキ。スーパーに勤めるアンサ(アルマ・ポウスティ)は理不尽な理由で職を失い、建設現場で働くホラッパ(ユッシ・ヴァタネン)は酒浸りで職を失う。ある晩、カラオケバーで出会った二人は、互いの名前も知らないまま恋に落ちるが。

kareha-movie.com

 カンヌ、ベルリンと大きな国際映画祭で受賞経験があるフィンランドの名匠、アキ・カウリスマキ監督の新作です。66歳の彼はベルリン映画祭で銀熊賞を獲った2017年の前作『希望のかなた』で引退を表明していました。ボクはこの映画、大好きです。

希望のかなた(字幕版)

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  • シェルワン・ハジ
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 しかしこの度 引退を撤回(笑)、今作で第76回カンヌ国際映画祭で審査員賞を獲得、第81回ゴールデングローブ賞の非英語映画賞と主演女優賞にもノミネートされています。

 カウリマスキ監督の映画の主な特徴は登場人物の台詞や表情の変化が少ない、悪人が殆ど出てこない、ハート・ウォーミング、犬がかわいい、音楽の趣味が奇妙だけど良い、ということです。どの映画も共通している。

 前作は難民をテーマにしていましたが、今作は労働者階級がテーマに変わっただけで、中身は一緒です(笑)。


 スーパーに勤めるアンサは不安定な非正規職員。いつも彼女は期限切れで廃棄する商品をそっとホームレスに渡していました。ところが彼女はそれを警備員に見つけられて、クビになってしまいます。酷い話です。  
 それに対して怒った従業員達が彼女と一緒に退職する、という労働者が連帯する心温まるシーンもあるのですが。

 一方 建設現場で働くホラッパは朝から晩まで、仕事中も酒浸りで職を失ってしまう。こちらは自業自得です(笑)。

 ある晩 カラオケバーで出会った二人は恋に落ちますが、互いの名前も連絡先も判りません。アンサが電話番号を書いたメモを酒浸りのホラッパは失くしてしまうからです。
 二人の人生は上手くいかない


 
 映画は殆ど台詞がありません。俳優さんの表情の変化はあるけれど、大げさなポーズなどはない。とにかく、動きの少ない苦み走ったドラマです(笑)。
 これが次第にコミカルに見えてくる。この表情↓です(笑)。

 今作では度々 ウクライナの悲惨な戦況を伝えるラジオ放送が挿入されます。世の中は不正義が溢れているし、何よりも恐ろしい。

 そして登場人物たち自身も理不尽な失業やアル中、孤独など、労働者階級のつらい現実に見舞われる。

 だけど、コメディなんです。二人とも良い顔してるでしょ↓(笑)。 

 観客に『それでも世界は素晴らしい』と思わせるのは少しばかりの人間の善意とユーモア

 奇妙だけどかっこいい音楽(笑)。
 このバンドもヘタウマですごく良かったですが、

 昨年亡くなったカナダのフォークシンガー、ゴードン・ライトフットの’’EARLY MORNING RAIN’’(のフィンランド語版)(笑)が流れたのは感動しました。本当に美しい詩とメロディ。フォークと言っても、プレスリーニール・ヤング、パンク世代のポール・ウェラーまでカバーしている名曲です。
 と、言っても、日本ではこんな歌は70代以上の限られた人しか判らないかもしれません。渋い!
 

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 そして、かわいい犬(笑)。

 カウリマスキ監督は犬を可愛らしく撮ることにかけては天下一品です。監督の飼い犬だそうですが、よくぞこんな表情を捉えた、と毎回感心します。

 今回はアル中役の男にボクは感情移入できなかったのですが(バカすぎて)、いつものカウリマスキ映画の特徴をスキがなく高い完成度で再現しています。

 そして志も変わらず、です。カウリマスキ監督は辛い世の中に対して、善意とユーモアで戦っている。

●この映画にはこういう話が散りばめられている、と思ってください。人間なら、誰にとっても『当たり前』です。こんな人たちを『入管法』は虐めている。マジでクソ法務省の木っ端役人もゴミ政治家もさっさと死ねばいいのに。

 こんな酷い時代にこそ、人間の善意を訴える作品が必要です。こんな酷い時代だからこそ、愛を信じたい。内容だけでなく時代のニーズです。だからこそ、この映画は余計に観客の心に沁みるのでしょう。


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