特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『鯨のレストラン』

 いよいよ10月。今年もあと4分の1となりました。
 これから年末にかけて仕事の行事・雑事も増えてきます。面倒くさ。何も起きない、日々穏やかに過ぎていく、というのが一番いいなあ。

●家の前の中秋の名月🌕はこんな感じ。風情もありませんが、お団子は沢山食べました(笑)。


 『知能指数がゼロ』、じゃなかった『永遠のゼロ』の作者、百田尚樹保守政党を作ったそうです。冗談かと思ってましたが(笑)。

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 マトモな会話ができないという点においては、ジジババばかりの旧来の左翼も似たようなものですが、世の中に不満が溜まってくるとこういう輩が出てくるのでしょう。左右を問わず『永遠のゼロ』で泣いてたバカは大勢いるでしょうから、同じような知能指数の連中は沢山いると思う(笑)。

 どっちもやだやだ。無能な政府は論外だけど、野党の側もインボイスや消費税反対とか頭がお花畑の連中バカりだから、消去法で自民党の政権が続いちゃうんだと思います。

 

 と、いうことで 吉祥寺でドキュメンタリー『鯨のレストラン

 日本のクジラ漁は国際的な非難を浴びていることもあって、国内の消費量は、全盛期の1960年代に比べて大幅に落ち込んでいる。仙台の鯨料理店の店主、谷光男氏は鯨の食文化を守ろうと上京、神田で一乃谷というクジラ専門店を営んでいる。カメラは彼の出身地である国内屈指の捕鯨基地、石巻市や国際会議の舞台裏を探っていく

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 東京神田にあるクジラ料理専門店を中心に、クジラを食と科学の両面から捉えたドキュメンタリー。監督などを手掛けるのは『ビハインド・ザ・コーヴ捕鯨問題の謎に迫る~』などの八木景子。出演はクジラ専門店の経営者・谷光男氏のほか、ワシントン条約元事務局長ユージン・ラポワント氏、『シン・ゴジラ』などの樋口真嗣監督など。

 監督の前作『ビハインド・ザ・コーヴ捕鯨問題の謎に迫る~』はかなり面白いドキュメンタリーでした。アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー『ザ・コーヴ』は例の港が血に染まるシーンなどやらせ満載だったことや反捕鯨運動の内幕と欺瞞を公平な目で描いたもので、目からウロコの作品でした。

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 環境保護団体もピンキリ、頭がおかしい連中も大勢いる訳です。

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 今作はその続編です。

 1960年代、鯨は日本人にとって主要なたんぱく質の取得源でした。それが今や全盛期の100分の1にまで減ってしまった。


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 映画は仙台で鯨料理店を営んでいた店主が東京神田で始めた鯨料理店「一乃谷」を舞台に、鯨を巡る状況をルポしていきます。

 鯨というと和歌山県太地町が有名ですが、実は日本最大の捕鯨拠点は仙台にほど近い宮城県石巻だそうです。店主には鯨料理という文化を守っていきたいという強いこだわりがあります。

 ただ、お店の料理自体はボクはあまり魅力的に見えなかった。竜田揚げとかお刺身とかはともかく、

 鯨ラーメンとか鯨スパゲティとか居酒屋料理が結構多いんです。悪いけど、そういうものはわざわざ食べたくありません。

 お刺身なんかはかなり美味しそうですが、店主が手作りするという鯨ベーコンも気持ち悪い。ボクは鯨肉は大好きですけど、鯨ベーコンだけは脂っこくて食べられません。余計に料理全体がまずそうに見えました。
 それでも、この店は一度食べに行こうとは思っています(笑)。

 それと同時に映画では国際会議の内情が証言されます。ワシントン条約の事務局長をやっていたユージン・ラポワント氏は環境保護団体の圧力で不当に辞めさせられたそうです。
 鯨資源は回復しつつあり、鯨資源だけを保護すると生態系が崩れるだから捕鯨と資源保護の共存を目指そうとする彼の姿勢は環境保護団体にとっては目障りだったからです。
 後日 国連側から更迭は誤りだったという文書が出ましたが後の祭りです。

反捕鯨団体が抗議に押しかけてくるので、この鯨を解体するようなシーンも普通は撮ることができないそうです。

 彼は現在の国際会議の場では科学的根拠に基づく議論が行われていない、と告発します。
 映画ではジュヌビエーヴ・デスポーテス(NAMMCO事務局長・科学者)、加藤秀弘(東京海洋大学名誉教授)、八木信行(東京大学教授)などの学識経験者が、人間と鯨は古来から共存してきたこと、保護するだけでなく適度な漁を行うことが生態系全体を守ることに繋がるということを述べていきます。

 例えば現在 鯨は人間の捕獲量の4~7倍の量の魚を捕食しているそうです。明らかにアンバランスな状況になっている。鯨の禁漁を主張する環境保護団体は木を見て森を見ず、で生態系全体を見ていない。

●『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督によると、ゴジラはゴリラとクジラからの造語だそうです。

 将来予想される食糧危機に備えて、菜食や昆虫食などの重要性を唱える向きもありますが、菜食で人類を養おうとすると莫大な畑や用地や資源が必要になって却って環境を破壊してしまうそうです。唯一の道は現在の環境に存在している鯨など様々な資源を持続可能な範囲でバランスよく消費していくことではないか、と言うのです。この主張は説得力があります。

 上映後は八木監督のトークショー。電車が遅れたとのことで、彼女はぜーぜー言いながら駆け込んできました(笑)。


 
 監督はいきなり『私は日本なんか大嫌い』と話し始めました(笑)。彼女は子供の時からはっきり物事を言うので日本の社会とは合わないそうです(笑)。本当は外国で暮らしたかったけど、家庭の事情でそれは出来ず、外資系の映画会社へ入って働いていた。しかし日本支社が解散することになり、その退職金で前作『ビハインド・ザ・コーブ』を作ったそうです。

 『ビハインド・ザ・コーブ』は環境保護団体の妨害を受ける危惧があって、中々上映してくれる映画館が見つからなかったそうです。確かに妨害を意に介さないような映画館は新宿のK’Sシネマや青山のイメージフォーラムなど、東京でも数えるほどのミニシアターしかありません。
 言論の自由と言っても日本の場合は組織は頼りにならない。頼りになるのは結局は数少ない心ある個人だけなんですよね。

 映画は世界ではモントリオールなど各地の映画祭で高く評価されました。捕鯨禁止に対して日本人が初めてまともな反論をした、しかも説得力があるということで非常に注目されたそうです。

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 反響が大きくなると、環境保護団体から監督への嫌がらせも殺到したそうです。上映しようとする映画祭への妨害、監督のPCへのハッキングなど日常茶飯事だったそうです。モントリオール映画祭に出品する際はファイル送付ではなく、DVDを送るという意表を突いた手段で出品したから連中の妨害をすり抜けることができた、と監督は言ってました。あいつらがこんなに酷いとは思いませんでした。

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 世界的に評価が高まった『ビハインド・ザ・コーブ』は日本制作のドキュメンタリーとしては唯一、ネットフリックスで世界配給されたそうです。配給されると監督の下には世界各地から環境保護団体の欺瞞に対する怒りや反響が大量に寄せられた。多くの人が保護団体への寄付を止めると訴えていた。ネットフリックスによる世界配給が始まると、暴力的な活動で知られるシーシェパードは活動を停止します
 『ビハインド・ザ・コーブ』を見て、この映画がもっと広まればいいなと思っていたボクも、その話は嬉しかったです。

 興味深かったのは鯨は軍需物資だということ。鯨の油はマイナス数百度でも凍らないので、ミサイルやロケットには必須の物質だそうです。そのためにアメリカは今も捕鯨を続けている。
 エドワード・スノーデンが暴露したそうですが、沿岸捕鯨をしているに過ぎない石巻も含めて日本の捕鯨は今もCIAに監視されているシーシェパードに日本の捕鯨船南氷洋での位置の衛星情報を流していたのもCIAだそうです。だから連中は捕鯨船の妨害をすることができた。

 その話にはビックリです。環境保護団体の連中は結局はCIAの掌で転がされていた訳です。
 自分たちの主張は正しい、だから何をやっても良い、という連中は往々にして間違いを犯すだけでなく、権力に利用されます。かっての社会党にはソ連から資金が入っていました。ソ連崩壊後に公開された秘密文書で暴露された。今で言えば 野党の足をひっぱることしかしないれいわなんか、裏で権力に利用されていてもボクは全く不思議とは思わない。

 鯨食という文化は今や風前の灯です。鯨の資源は回復しているにも関わらず、全面禁漁のような極端な保護を続けることは、逆に地球全体の生態系のバランスも狂いかねない。自然保護も経済も政治も共通すると思いますが、極論は往々にして破局的な結果をもたらします
 映画自体は整理しきれていないところがあって雑然とした印象も受けましたが、トークショーも含めたら非常に満足度が高い、エキサイティングな体験でした。1時間ちょっとと見やすいし、お勧めです。


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