特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『入管法改悪反対デモ #0527川崎』と映画『午前4時にパリの夜は明ける』、『それでも私は生きていく』

 土曜日は川崎へ。入管法改悪反対デモ
 今回も朝刊代わりに朝の更新です。
 今 国会では人権を無視した法律の改悪の準備が進んでいます。なのにマスコミのまともな報道はTBSの『報道特集』と『報道1930』くらいです。


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 とりあえず自分なりにやれることはやろう、と思っています。高円寺、渋谷に続いて、入管法改悪反対のデモに参加するのは3度目です。

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 川崎なんて滅多に行ったことがありません。7,8年前にクラブチッタへ行ったくらいか。馴染みが全くない土地ですが、デモを大学生が企画したそうなので応援がてら、行ってきました。

 渋谷で映画を見てから出かけたボクが着いた時は集会が終わって、ちょうどデモが出発するところでした。間に合った。川崎の目ぬき通りを約1時間のお散歩です。

 参加している人はいつもデモで見かけるような人たちとはやや異なっています。原発や安保法に対するデモの参加者とは違う種類の若い子たちが参加しています。上智ICUは勿論、最近は各大学に国際関連の学部が増えていますが、普段から留学生と接しているような子には、この問題は他人事とは思えないのでしょう。

 その一方 沿道の反応を見ると一般の人たちは『入管法改悪』への関心は必ずしも高いとは言えない、とは思いました。それも判らないでもない。
 でもこんな非道なことをやっていて、将来日本が戦争や災害に見舞われることを考えたら恐ろしくないのでしょうか自滅・特攻が日本の政治的伝統とは言え(笑)、何のためにわざわざ国際的な孤立を煽るような法案を作るのか

 さすが川崎だけあって?開店前のフィリピンパブの前を通るとお姉さんたちが『頑張って~』と声をかけてくれたのは嬉しかったです(笑)。

 

 主催者の発表ではデモ参加者は約400人。ボクが数えてもそれくらいの人は居ました。同時代にこんな酷い話が進んでいるのに、知らんぷりは出来ないです。

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 と、いうことで、今回はパリを舞台にした女性映画2つです。
 銀座で映画『午前4時にパリの夜は明ける

 1981年、フランソワ・ミッテランが左翼として戦後初めて、大統領に就任した晩、エリザベートシャルロット・ゲンズブール)は夫と別れ、彼女の結婚生活は終わりを告げる。シングルマザーになった彼女は政治活動に夢中の高校生の姉と文学が大好きな中学生の弟を育てることになる。職探しにも苦労した彼女だったが、大好きだった深夜放送のラジオ番組『夜の乗客』の仕事に就く。やがてエリザベートはそこで家出少女のタルラ(ノエ・アビタ)と出会い、彼女を家に連れて帰るが。

 当初はスルー予定でしたが、評判が良かったので見に行った作品です。
 80年代の回顧もの、当時の風俗を背景にシングルマザーの自立を描いたお話です。

 全然意識していなかったのですが、第2次大戦後初めて左翼が大統領に就任したミッテランの登場は左翼贔屓が多いフランスの若者にとって大きな意味を持っていたそうです。町はお祭りムードですが、専業主婦だったエリザベートは他の女性に心を移した夫に出ていかれて途方に暮れている。80年代はまだ専業主婦がいたんですね(笑)。

 今までまともに働いたこともないエリザベートは大好きだった深夜ラジオ番組『深夜の乗客たち』で職を得ます。様々な人々が電話や投書をしてくる番組です。

 ある日 エリザベートは番組に投書してきた家出少女、タルラ(写真右)と知り合います。そして行くところがない彼女を家に連れ帰ります。

 彼女の存在はエリザベートだけでなく、彼女の子供たちにも影響を与えます。

 この映画の良いところは夜の光景が非常に美しいところです。印象深い。それに登場人物たちが80年代のエリック・ロメールの映画『満月の夜』を見に行くところなんか琴線をくすぐられます。堤清二が作った、今は亡き六本木の映画館、シネ・ヴィヴァンを思い出します。今ほど街が殺伐としていなかった80年代、夏の夜の六本木の外れの光景が思い浮かびます。

 現在と地続きだと思っていた80年代がノスタルジーみたいに感じられるのは感慨深かった。

 お話は左翼政権が終了する87年で終わります。タルラは何処かへ去り、子供たちは成長し、エリザベート自身も大人になった。

 左翼政権の始まりと終焉、それに80年代の風俗や深夜ラジオなど美味しそうな材料は転がっているのに脚本でうまく使い切れていない、とは思いました。けれど失敗というほどでもない。すごく面白いとか感動する映画ではありませんが、少し苦みが混じったスイートなお伽話(笑)として楽しい90分でした。


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 同じく銀座で、映画『それでも私は生きていく

 シングルマザーのサンドラ(レア・セドゥ)は、パリの小さなアパートで8歳の娘リンと二人暮らしをしながら、英語の同時通訳として働いている。更に彼女が大好きだった父、哲学の教師だったゲオルグパスカル・グレゴリー)は病で視力と記憶を失いつつあり、サンドラは父と別れた実母フランソワーズと共に父のもとを訪ねては介護にあたっていた。
 育児、介護、仕事で息をつく暇もないサンドラだが、旧友の宇宙物理学者、クレマン(メルヴィル・プポー)と偶然再会する。彼女は妻子ある彼と恋仲になるが。

 レズビアンカップルを演じた『アデル、ブルーは熱い色』でカンヌのパルムドールを受賞し、007でボンドガールも務めたレア・セドゥ主演、監督は『未来よ こんにちは』や『ベルイマン島にて』などのミア・ハンセン=ラヴ。この監督の穏やかな作風はボクの大好きな故エリック・ロメールそっくりなので、ロメールファンのボクはとりあえずは見に行くことにしています。

 シングルマザーのサンドラは同時通訳の仕事で生計を立てています。一人娘の育児に加えて、認知症が進行する父の介護で肉体的にも精神的にもハードな毎日を過ごしています。現在のフランスは正式な婚姻は少数派で、事実婚が5割を超えており、女性の社会進出も進んでいます。時代背景は80年代とは全く異なっています。
●母と娘

 厳格な哲学教師だった父が次第に認知機能を喪失していく描写は結構リアルで、身につまされました。元々ファザコン気味の主人公にとっては、戸惑いやショックは猶更です。

●父と娘

 そんな毎日を過ごす中、サンドラは娘の友人の父親、クレマンと恋仲になります。 

●彼氏と彼女

 この主人公はボクに言わせれば、男に甘すぎるので(笑)全く感情移入はできませんでした。が、平凡な女性がハードな毎日の中で、性欲も含めて自分の欲望に忠実であろうとするところは共感出来ます。ここはいかにもフランス映画らしい、大人の感覚です。

●母(中央)と娘(左)

 主人公を演じるレア・セドゥは普段は生活に追われる平凡な主婦にしか見えないのですが、時折 鬼のような美しさ(さすがボンドガール!)を見せるところは流石でした。ここは一見の価値がある。

 介護、子育て、恋愛と平凡な市井の女性が苦闘する様を平凡に描いた作品。レア・セドゥが出てなかったら厳しかったかもしれないけど、彼女の演技を堪能できるのはいいかな(笑)、という感じです。


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