特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『銀座の大蛇』と『世界サブカルチャー史 欲望の系譜』

 3月も半ばになって、近所の河津桜も満開です。暖かくなって先ず思うのは、身体が楽になったってこと。
 朝や夜、家の廊下や洗面所で寒さに震えて身体が強張ることが無くなりました。それだけでも全然違います。我ながら歳をとりました(笑)。

 


 明日は311。12年前は今日と同じ金曜日でした。あの日はもっと寒かった。今 流れている原発の再稼働や運転延長のニュースを見ると、日本社会はあの事故から何も学ばなかったように見えます。日本人は歴史から学ぶことが本当に苦手です。

 ドイツもウクライナ侵略による原油天然ガス値上がりで一時期は電気代が跳ね上がりました。しかし再生エネへの転換が進んでいましたから、47.5セント/kwhから37.7セント/kwhと現在の電気代は侵略前より安くなっています政治家の質でこれだけの差が出てくる


過去の放送内容と『1930』まとめ | 報道1930

 チェルノブイリ事故はソ連崩壊の一因にもなったという説がありますが、将来の歴史では『311は日本の衰退の引き金の一つになった』と記憶されるのでしょうか。

●ドラマ『エルピス』の佐野プロデュ―サーが文科省の賞を受賞しました。文科省にも良心がある役人がいるのか、あれくらい権力は何とも思っていないのか。


 少し前から、銀座の街角には大蛇🐍が居ます。

 宝飾品のブルガリのビルの装飾です。各種CGを手掛けるチームラボという企業が作ったブルガリの宣伝だそうです。
●夜はこうなるそうです。

www.teamlab.art
チームラボ、ブルガリ 銀座タワーを彩る、光り輝く蛇の作品《セルペンティ スパークル》を、11月11日(金)から展示。ブルガリのアイコン「セルペンティ」が、インタラクティブに変化。|チームラボのプレスリリース

 確かに夜の写真は綺麗だと思いますが、蛇自体はあまり感じが良いものではない。中国では『蛇は吉兆』とも言われていますが、街角にデカい蛇が鎮座しているのは不気味です。蛇をモチーフにした商品の宣伝にしても、あまり趣味がよろしくない。
 弱肉強食の世の中、若しくは外国人向け安売り天国と化した今の銀座を象徴しているのでしょうか。

 先週 NHKBSプレミアムで放送された『世界サブカルチャー史 欲望の系譜』(シーズン3 日本 逆説の60-90s)、興味深かったです。これもまた、歴史に学ぶ(笑)。


www.nhk.jp

 今までアメリカ、ヨーロッパのサブカルチャーを取り上げてきたこの番組、今度は日本の60年代から90年代までを映画や社会風俗の面から取り上げるようです。正直、アメリカ、ヨーロッパ編は物足りなかったのですが、今回は面白そう。
 
 先週の第一回では60年代安保、東京オリンピックから高度成長を背景にした時代の雰囲気、それを反映した大島渚植木等の映画が取り上げられていました。そちらより、編集者の松岡正剛の解説が面白かった。

 まず、日本のサブカルチャーについて彼はこう言っています。

www.nhk.jp

 ボク自身は『敗戦後に日本のメインカルチャーが無くなったのではなく、薩長のイモ侍連中の明治維新で江戸期まで延々と続いてきた民衆のカルチャーが分断された』と思っています。だから未だに安倍晋三のような歴史修正主義者が跋扈する。
 だから松岡の言ってることはちょっと違うとは思いますが、欧米とのサブカルチャーの性質の違いは面白い。

 敗戦後の日本と言う国家のアイデンティティ戦後日本とは何なのか。何によって立つのか

それを模索し続けたのが60年代だと言うのです。

 番組で取り上げられていた大島渚の作品などは時代の雰囲気を反映し、前途を予感することには成功していた。

 しかし、戦後日本と言う自分たちをアイデンティファイすること、自分たちのビジョンを描くことには失敗した

 以前 東大全共闘三島由紀夫との対話のドキュメンタリーを見ましたけど、全共闘三島由紀夫も言ってることは『対米自立』で全く一緒でした。なんで立場が違うのかボクにはわからなかった。全共闘や三島の『戦後日本とは何か』という問いの答えは宙ぶらりんのまま、今に至っている。

 松岡は番組で『三島由紀夫は勘違いした』と言っていました。確かにそうかもね😸。三島も全共闘も屁理屈を捏ねた割には単に的外れなだけだったのかもしれません。

 的外れだったのは三島や全共闘だけではなく、日本全体がそうだった。権力維持に汲々とする政府もそれに対するリベラル・左翼の側も、ノンポリの国民も間違っていた。自分たちを直視しなかった。

 松岡は『60年代末は戦後の日本を問い直す本当のチャンスだったが失敗した』と述べていました。自分たちの国を定義、アイデンティファイしなければ、平和国家という理念も減ったくれもありません。

 政府権力のせいなのか、民衆が高度成長の夢に溺れてしまったからなのか、安保闘争や学生紛争がごく一部の自己満足でしかなかったせいなのかは判りませんが、結果として日本の社会、サブカルチャーは『戦後日本とは何か』を自己定義することに失敗した
 所謂『根無し草』ですね。時間が解決する問題かもしれないから、ボク自身は根無し草が悪いとは思いませんが。

 現代にいたるまで左翼・リベラルが対米自立に拘りつつも、戦後日本のあるべき姿、ビジョンを描くことに成功していないのはその流れではないですか。言い換えると『頭の中が60年代で止まっている』(笑)。
 絶対平和主義を唱える左翼・リベラルの言ってることが説得力がないのは、ウクライナ侵略や中国の台頭など国際情勢の変化だけではなく、自分たちの存在が定義できていないからです。端的に言うとアメリカの核の傘の下でいくら『絶対平和主義』を唱えても説得力がない。それは外国だけでなく、日本人自身も薄々は判っていた。

 番組が提示していることは一つの捉え方に過ぎません。が、松岡が言ってることは、ボク自身も感じていた問題意識を形式知化・言語化した、と思いました。
 60年代の失敗が現代に至る左翼・リベラルの退潮、戦後日本の変質に大きく影響している簡単に言うと、ツケが回ってきている(笑)。

 番組の今後の展開がどうなるか、ボクの考えをどう揺さぶってくれるのか楽しみです。

 因みに今後の展開に関するボクの意見は、戦後日本は70年代から80年代半ばまでは続き、バブル崩壊、山一不況、小泉不況(緊縮財政)で崩壊し始め、民主党政権と311に続く安倍政権で戦後日本は崩壊(笑)。
 これから日本は更に転落するかもしれないが、そのあとは50~60年かけて再生or滅亡フェーズ。でもボクはそのころまで生きていないから知ったこっちゃない(笑)。
 こんなところでしょうか。