特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『エルピス第4話と家畜系人類(笑)』と『成田悠輔氏の講演』

 朝はめっきり冷えるようになりました。それと同時に朝陽もきれいになった。大自然でさえも物事には裏表、悪い点もあれば良い点もあるものです。

 これは今週見かけた近所のカフェの貼り紙です。なんて幸せな人だろう!


 さて、今週 放送の『エルピス』第4話、前半で浅川(長澤まさみ)がボンクラディレクターの岸本(真栄田ゴードン)に言い放った、

おじさんたちのメンツとプライドは地雷なの。死んでも踏まないようにして歩かなければいけないんだよ!

 これ、脚本の渡辺あや氏やプロデュ―サーの佐野亜裕美氏の心の叫びのように聞こえました。男だけど酒も飲まなければゴルフもしない、一切つるまない、オトコ村社会の部外者であるボクにとっても突き刺さるような言葉です。ホント、このムラ社会の陰湿さ、これだけは何年経っても馴染めません。『飲みにいこう』って言われると『家畜になれ』って言われている感じがします。

 第4話ではパワハラ、セクハラ連発のプロデューサー、村井(岡部たかし)にも見せ場がありました。


『エルピス』問題プロデューサー役も好演 作り手たちから信頼される俳優・岡部たかし|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 お坊ちゃん育ちのボンクラディレクターの岸本と村井との会話は『いかにも慶應幼稚舎みたいだなー』と思いながら見てましたが、二人の迫真の演技は素晴らしかった。

 わかりやすい善悪二元論で片づけない、渡辺あや脚本の良い点が現れた典型的なシーンでした。人間社会はそんな単純なものじゃありませんからね。

 このドラマ、最も優れたところは『お前はどうなんだよ!』と問いかけてくるところです。それだけは1話から4話まで一貫している。こんなドラマがテレビで、しかも民放で放送していると言うのは本当に驚くべきことです。


 ところが、政治の話になると善悪二元論で片づけようとするアホがあまりにも多い(笑)。不思議なものです。
 先週行われた新宿区の区長選、野党統一候補として立候補したれいわの元候補者が大惨敗しました。

 そりゃあ、無党派だってアホじゃありません。いくら自民党に問題があっても、消費税廃止とか非現実的なことばかり言ってるような候補者に投票するわけがない。

 事実 先日の立憲民主の枝野前党首の『消費税減税という公約は間違いだった』の発言も支持率には影響はありませんでした。


 ボクの勤務先に出入りしている新聞記者に聞いたのですが、自民党内では’’岸田降ろし’’が始まったようです。広島サミット後の解散総選挙という話が出ている。もう、色んなところでそういう話が囁かれている。
www.yomiuri.co.jp

 でも、野党が今のままではまた選挙に負けるでしょう、間違いなく(笑)。
 物価対策も統一教会の問題も閣僚の問題にしても、岸田は問題大ありです。だけど野党は未だに政策の方向性すら定まってない。だいたい『消費税減税という公約は間違っていた』という枝野の発言がニュースになるようじゃ、政策どころじゃない。

 少子高齢化の日本で消費税減税、なんて幼稚な政策を本気で信じてるような奴は統一教会の信者レベルでしょう。 
 ましてインボイス反対なんて、益税という自分たちの既得権益固執するゆすり、タカリの部類です。

 インボイスは消費税を入れているような国では万国共通に使われています。日本はただでさえ中小には様々な優遇税制があるのに人から預かった消費税をくすねるなんて人間として恥ずかしくないのか
 アニメ関係の連中までなんか言ってたみたいですが、そもそもの労働条件の問題であってインボイスは関係ねーじゃん、バカ😇。まず、ストでもなんでもやって権利のために自分の力で戦えばいいのに。今まで自分達は益税で他人の金をチョロまかしてきた癖に盗人猛々しいにも程が有る。

 そもそもインボイス反対とか言ってる奴は納税と言う義務に反する憲法違反ですよ。こいつらも統一教会(笑)、いや家畜系人類です♪

 福祉は拡充させたい、でも消費減税はやれって、どうやったらいいのか教えてもらいたいですよ(笑)。法人税所得税を上げるにしても、20兆円もの消費税収をどうやってカバーするんでしょう(笑)。MMT国債?。今回のインフレで、MMTアメリカですら相手にされないようになったって聞いてますが(笑)。

 野党の政策が不明瞭のままでは、当然 選挙協力の体制なんかも出来る訳がない。岸田が良いわけでもないけれど、他に選択肢がない。困ったものです。

 問題は頭の悪いクソウヨだけではありません。日本には統一教会補助金目当ての農協や商店街、消費税やインボイス反対のバカ連中まで、ゆすり、タカリの家畜系人類が多すぎる。だから社会が身動き取れなくなる。与野党ともに時代遅れ、政治が機能不全のまま、日本は沈んでいく。この30年の日本の転落はそういうことかもしれません。


 さてさて今週 話題の経済?学者、イェ―ル大助教授の成田悠輔氏の講演を聞いてきました。ボクはNHKスペシャルに出たのをちらっと見ただけですが、色々マスコミに出ているらしい。

 以前 彼のベストセラー『22世紀の民主主義』の感想を書きました。『今後 社会のデジタル化が進めば、22世紀ころには政治家なんか要らなくなる。政策判断はAIにでも任せて政治家は猫で充分だ』という、鋭い指摘と危なさを持った本です。

spyboy.hatenablog.com

 1時間余りの講演の内容を皆さんとシェアします。

1.日本はどんどん『低賃金国』になっている。2015年には購買力平価で韓国に抜かれ、今や台湾にも抜かれている。

2.その原因は日本の生産性が先進国の中でも断トツに低いから。言い換えれば高く売れるような価値があるものを作っていないから。アメリカの生産性は日本の1.5倍である。その割合は最低賃金とほぼ同じ。

3.特に第1次産業とサービス業の生産性が低い。飲食や宿泊はアメリカの4割程度、金融でもアメリカの5割程度の生産性しかない。国内中心で規制が強い業種ほど生産性が低くなっている。

4.日本の生産性を上げるためにはデジタル化は避けて通れない。だが今の日本には役所を中心に、ハンコ、電話、紙、エクセルなどが蔓延しており現状はデジタル化どころではない。デジタルがどうのこうのより、まず くだらない書類、会議、許認可権、役職を止めるべきだ。

5.デジタル化は大乗仏教唯識派が言うところの『八識』の方向へ進むのではないか。『八識』とは眼識、耳識、鼻識、舌識、身識、意識(知性と情動)、末那識(無意識)、阿頼耶識(集団意識)を指す。要は人間の五感と意識(知性と情動)、無意識(エゴ)、集団意識である。現在のところデジタルは視覚や聴覚、身体性、知性などは再現に成功している。味覚や嗅覚もデジタル化が進むだろう。

6.今後ウェラブルデバイスが普及すれば、感情や無意識、集団意識もデータ化することが可能になる。22世紀には殆どのモノはデータ化されるのではないか。データ化される、ということは商品化され市場経済に組み込まれることでもある
それが19世紀の産業革命に続く、生産性の大革命になるのではないか。100年後には従来の資本主義は乗り越えられることになる。

7.すでにその萌芽は出てきている。例えばアメリカの刑務所の一部では囚人の保釈はAIで決めるようになっており、揉めている(笑)

8.民主主義も選挙も要はデータの変換である。今はあまりにも低次元のデータやアルゴリズムで行われているが、集団意識までデータ化が進むようになれば、もっと精密なエビデンスに基づく民主主義が可能になるのではないか。

9.世界のデジタル化は『くだらないものを止める』⇒『物事をデータ化する下積み活動』⇒『世界の自動化』といったプロセスをたどるだろう。日本はまだ『くだらないものを止める』段階。しかし一部ではチャレンジが始まっている。例えば 埼玉県戸田市では成田氏が加わって『子供データベース』を作り、不登校の怖れがある子供をいち早く発見する、などの実験を行っている。


 どうでしょう。『八識』の話は凄く面白かった。成程、と思いました。しかしデジタル化が進むと情報やお金の寡占化がさらに進むだろうから、ボクは彼の様には楽観的にはなれません。そもそも全てのものが市場経済に組み込まれる、って恐ろしすぎる。

 しかしデジタル化が進んでいくのは誰にも止められない。だったら デジタル化の弊害である寡占を抑える法制を強化したり、人権など市場経済に組み込んではいけない部門を定義しながら、効率性や情報公開と言ったデジタルの良い面を生かしていくのが良い。で、総理大臣も国家元首も犬やパンダにやってもらえばいい(笑)。
 
 ボクは成田氏の意見に全面的には賛同はしないけれど、これからの世界のためにこういう議論が必要なのは間違いないでしょう。それができないような時代遅れの政治家や学者、運動家なんか、さっさとお払い箱にしないと、いつまで経っても日本はただただ沈んでいくだけです。
 インボイスとか消費税とかくだらないことにかまけている余裕はこの国にはない筈です。