特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

読書『22世紀の民主主義』と『肉挟馍』(ロウジャモー)

 今週2度目の3連休です。楽しい。精神的にほっとします。
 それにしても台風が過ぎたと思ったら、また台風とは。どうせ来るなら27日の東京に直撃すればいいのに。

 この連休、ヤケクソ紛れに中核派国葬反対!武道館包囲!とか言ってますけど(笑)、統一教会中核派も似たようなもんだろ(笑)。政府だけでなく、この国はホント、アホには事欠きません。

 資本主義が高度化すると同時に、組合や地域共同体などが弱体化して、政治と人々をつなぐ『回路』がどんどん薄れている。れいわ新選組や参政党、N国党などのポピュリズム、宗教団体やスピリチュアルが台頭するのはその表れでしょう。統一教会のような邪教が政治に関わりをもってしまうのも、政治家がアホだからというだけでなく、国民が政治に無関心という構造的な問題でもある。
 


 誰だってウンザリするような状況で、政治不信、民主主義そのものへの不信はどんどん強まっているかのように思えます。日本だけでなく、アメリカ然り、EU諸国ですらちょっと油断すると極右が台頭してくる。日本の民度が低いのは判ってますが、イタリアやスウェ―デンのような文明国ですら極右が政権に手がかかっているのですから、民主主義の病は深い。

 かねがねボクは『仔犬やパンダを総理大臣や国家元首』と思っています。
 仔犬やパンダは余計なことはしない。彼ら・彼女たちは食べ物や愛情、遊びを求めるだけで、権力や富を際限なく追及するなんてことなしません。自然破壊もしない。しかもルックスは可愛い💛。安倍晋三のような訳の判らないアホ連中より、仔犬やパンダの方が1億倍はマシです。

 最近『政治家は猫かゴキブリで良い』と主張する本がベストセラーになっている、と聞いて読んでみました。書名は『22世紀の民主主義』です。

 著者はMITを出てイェ―ル大の准教授をやりながらベンチャー企業などをやっている人。ボクは良く知りませんが、TVなどにも良く出ているらしい。たまたま、お盆に放送されたNHKーBS『欲望の資本主義』に出演しているのは見ました。今日 再放送されたみたいですね。 
www.nhk.jp

 本の内容を要約すると、こんな感じです。
民主主義各国は経済成長の面でも自由の面でも限界が見えてきている。対策として、『政治参加を高めたり、政治家の評価方法をエビデンスベースに変える、議席配分を年代別にする、など民主主義を昨今の情勢に合わせてリニューアルする』、『民主主義を放棄して、完全に市場競争に任す』などの手段は考えられるが、どちらも難しいだろう。
 だったら将来(22世紀)は政策決定はAIに任せ、政治家はアイドルとしての役割を果たすだけ。善玉だったら猫、悪役だったらゴキブリ、にでもやらせればよいのではないか

 良くも悪くも、敢えて刺激的な論理を持ち出し注目を集める、いかにも外資の高級コンサル的な発想ではあります。本人も本気ではないと思う。
 ただ、政治家を長期指標で評価する仕組みを取り入れるなどの発想は面白いと思いました。何よりも今みたいに国民が政治に関心を持たないなら、AIにでも政策決定を任せた方がマシ、というのは気持ちはわかります。

 同じくベストセラーになった斎藤幸平氏の『資本主義をグリーン社会主義で乗り越えよう』という『人新世の資本論』は、その社会主義を誰が、どうコントロールするのか、が根本的な欠陥です。社会主義に関して、昔から良くあるような話です(笑)。

 同じように、成田氏が言ってることは『そのAIに誰がどのような価値観を植え付けるか』という根本的な問題があります。

 例えば少し前に、マイクロソフトがAIを開発してネットに公開したら、AIがヘイトばかり学習して僅か16時間で慌てて停止させた、という事件がありました。

wired.jp

 多数決にも、そこから学習する機械やAIにも価値判断はできません。価値判断こそが人間の人間たる所以です。拝金主義や自己責任だけを強調する新自由主義などでそこがおかしくなってきているからこそ、現代の諸問題が起きている。
 成田氏はセンサーなどで人間の無意識までAIに学習させればよいと言ってますが、そんなことが信頼できるのか。行きつく先はテクノ・ファシズムでしょう。

 ただ、一人一票、多数決など旧態依然とした手段に依存した選挙による民主主義を一度疑ってみよう、というのは十分考える余地があると思います。

 例えば 今のような議会だったら国会議員なんか男女比別の抽選の方が良いと思う。今の国会議員なんて家業でやっている二世三世議員か、維新やれいわのように就職先がなくて政党公募で議員になった連中ばかりなんだから、抽選の方が絶対質は高くなる
 また国の元首は天皇なんかより、仔犬かパンダの方が相応しいのは勿論です。ルックスが違う。

 この本はそういう頭の体操として読む分には良い、と思いました。日本の政党も国会議員も市民運動もあまりにも旧態依然としている。そこから脱却しない限り、日本の民主主義はますます形骸化していくばかりでしょう。


 最近 良く行く銀座の四川料理屋で『肉挟馍』(ロウジャモー)を見かけたので、味見をしてみました。
 『肉挟馍』はいわば、中国式のハンバーガー。小麦粉でできたバンズの中に漢方やスパイスで煮た肉を挟んだ、西安など陝西地方の名物料理だそうです。
 戦国時代からあるそうですが、10年以上前にボクが西安へ行った時はあまり見かけませんでした。ファストフード宜しく手軽に食べられる料理として最近 流行っているらしい。日本でも出す店が増えて来ていて、かねがね食べてみたいと思っていました。

 今回は重慶のローカルフード、甘・辛・酸のスープにサツマイモの春雨が入った『酸辣粉』とのセットです。

 肉挟馍のバンズはあまり発酵させていないのか、素朴な味がします。インド料理のチャパティみたい。現地で食べたら小麦粉の味がして、さぞ美味しいのでしょう。中の肉は良くわかんないスパイスや漢方の味にパクチーがアクセントになっています。コンフィみたいな感じ、熱々ですごく美味しい。

 酸辣粉の方も甘・辛・酸・麻辣のスープにピーナッツがアクセントになっていて、これもまた、すごく美味しい。ただ春雨の量が多すぎ。麺よりマシとはいえ春雨だって太りますから、こちらは残しました。
 惜しむらくは惜しむらくは、もっと野菜が多いと嬉しかったのですが、肉挟馍は手作り感が満載でハンバーガーなんかよりは遥かに美味しかったです。