週末は烈火のような暑さでした。昨日の東京は36度。
用事があって秋葉原を通ったら、駅前に変な台が組まれていました。興味もないので通り過ぎたら、こんなことが行われていたんですね。
れいわの盆ダンスパーティー、始まってます!秋葉原駅。 pic.twitter.com/ZT0NkeGBMY
— 雨宮処凛 (@karin_amamiya) 2022年6月25日
純粋にキモい。民主主義の劣化もここまで来たか。
#れいわはないわ
— Catz🇯🇵🐾 (@Nhhidktbrkk) 2022年6月26日
似てきたな pic.twitter.com/1IPYZJ0Psi
一方 アメリカでは中絶を非合法化する州法を合憲とする最高裁判決が出されてしまいました。州によっては強姦されても中絶は禁止、なんてバカな事が罷り通ってしまう。当然のことながら抗議が広がっています。
シンディ・ローパーは93年、自身の幼なじみが10代で妊娠して中絶を行った結果亡くなったという実話にインスパイアされた楽曲「Sally's Pigeons」を発表。そして現在、シンディは米連邦最高裁の中絶の権利認めぬ判決を受け、この曲の新ヴァージョン公開 https://t.co/kwcb3VlGEX
— amass (@amass_jp) 2022年6月25日
かっこええなあ。シンディ・ローパー。 https://t.co/5pONOUVlk8
— 小原隆治 (@koharatakaharu) 2022年6月25日
テイラー・スウィフト「これが今の私たちのたどり着いた場所だと思うと本当にゾッとする。女性の権利、女性の体のためにこれまでいかにたくさんの人たちが闘ってきたかと思うと。今日の決断はその全てを奪い取るものだ」@taylorswift13 #roevwadeoverturned https://t.co/ptljd2WPdy
— akemi nakamura ☮️ (@aaakkmm) 2022年6月24日
折しもイギリスでは有名野外コンサートのグラストンベリーフェスが開催されています。
ポール・マッカートニーとスプリングスティーンのデュエット、羨まし過ぎる。ポール・マッカートニーって今年80歳、2時間のステージをやったそうです。
Glory Days footage from Glastonbury.
— Springsteen news - Point Blank (@PointBlankSpain) 2022年6月25日
pic.twitter.com/adIXw8vHre
Sorry, this is all Twitter will let me upload. YouTube has blocked already pic.twitter.com/K9B0gOleGe
— Kev & Daniel’s #autism journey (& Bruce 😉) (@kevharrison_) 2022年6月25日
グラストンベリーの出演者も抗議の声を挙げています。
ビリー・アイリッシュも”Your Power”の時に「この曲は権力を使って人を傷付けないで、ということを歌ったた曲で、今日はアメリカの女性にとって非常に暗い日になった。耐えらないからもう言ってしまうしかないけど」@billieeilish #yourpower #AbortionRightsAreHumanRights #glastonburyfestival2022 pic.twitter.com/rldef1QfOE
— akemi nakamura ☮️ (@aaakkmm) 2022年6月24日
オリヴィア・ロドリゴ!最高&完璧💜💜💜💜💜リリー・アレンを迎えてアメリカ最高裁で中絶反対に投票した判事の名前を読み上げ「結局あんたたちは自由なんてどうでもいいと思ってることがわかった。この曲を捧げる」と言ってリリーの”Fuck You”を楽しく熱唱 @oliviarodrigo genius 💜💜💜💜💜鳥肌立った pic.twitter.com/gm7pJdLORT
— akemi nakamura ☮️ (@aaakkmm) 2022年6月25日
ケンドリック・ラマーの終わり方。”Godspeed for Women's Rights"(女性の権利への成功を祈る)とチャントして、いばらの冠から血を出して終わり😭😭😭🙏🙏🙏去年のツアーの進化系だった。 https://t.co/dLLKhiNoEz
— akemi nakamura ☮️ (@aaakkmm) 2022年6月27日
最近ボクが推しているフィービー・ブリッジャーズも。
フィービー・ブリッジャーズが初めて出たグラストンベリーで「ファック最高裁!」と叫ぶ「ファックアメリカ。ファックユー。女性の体をコントロールしようとする時代遅れのオヤジたち。オエ」@phoebe_bridgers #Glastonbury2022 https://t.co/Y1jQH7jDEc
— akemi nakamura ☮️ (@aaakkmm) 2022年6月24日
酷い世の中です。
超高齢化社会を迎えた日本、自ら死を選ぶ75歳以上の高齢者を支度金などを渡して支援する「プラン75」という制度が施行される。それから3年、自分たちが早く死を迎えることで国に貢献すべきという風潮が社会に広がっていた。78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)は夫と死別後、ホテルの客室清掃員をしながら一人で暮らしてきたが、高齢を理由に退職を余儀なくされる。行き詰った彼女は「プラン75」の申請を考えるが
happinet-phantom.com
第75回カンヌ国際映画祭で新人賞の次席(カメラドール特別表彰)を受賞したことで話題の作品です。4年前、18年に公開された是枝裕和監督監修のオムニバス『10年 Ten Years Japan』の一編を長編としてリメイクしたもの。
spyboy.hatenablog.com
短編を集めた『10年 Ten Years Japan』でも『PLAN75』は断トツでした。アイデアが卓越している。
確実にやってくる少子高齢化社会による財政難でにっちもさっちもいかなくなって、10万円という僅かな支援金と引き換えに老人に安楽死を勧める、それをマスコミが美化し、パソナや電通が一儲けする制度。いかにも日本がやりそうじゃないですか。
将来は高齢化社会になる中国もこういうことはやりそうだけど、もっとえげつないでしょう。日本はあくまでもソフトに、ソフトに、あくまでも『自分の選択ですよ』という体をとりながら、真綿で締めるように同調圧力や『空気』で追い込んでいく。
映画は薄暗い室内で男が、誰かを銃で射殺するシーンから始まります。『高齢者は社会の負担になる。殺すことが社会への貢献になる』と言い残して、男も自殺する。映画の中の日本はそんな世の中になっている。やまゆり園の事件のようなことが起きているのですから、絵空事とはとても思えません。
78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)は夫と死別後、ホテルの客室清掃員をしながら一人で暮らしてきました。
余裕があるわけではありませんが、身体も元気だし、友人もいるし、それなりに楽しく暮らしてきた。
しかし、高齢を理由に職場をクビになると、彼女の生活は暗転します。自営業の妻だった彼女の国民年金だけでは家賃も払えない。かといって78歳の彼女には新しい職は中々見つからない。やがて彼女はプラン75を申請することを決意します。
一方、市役所のプラン75の申請窓口で働くヒロム(磯村勇斗)の元に男が申し込みにやってきます。それは20年間音信不通だった叔父でした。
ヒロムは今まで全く知らなかった叔父の人生に触れることになります。
この二人の話に加え、死を選んだお年寄りに“その日”が来る直前までサポートするコールセンタースタッフの瑶子(河合優実)、
フィリピンから単身来日して介護職に就いていたが、幼い娘の手術費用を稼ぐためにより高給のプラン75関連施設で遺品処理の仕事に就くマリア(ステファニー・アリアン)、
などプラン75を巡る様々な人々の物語が語られていきます。
薄暗過ぎた冒頭のシーンなど映画の演出が全て成功しているとは思わなかったですが、表情だけで話を作っていく倍賞千恵子の演技はすごい。境遇の変化によって歩き方が変わってくるのも印象的でした。
PLAN75を巡る描写はとてもリアルだと思います。
幟やマーク、テーマソングまで作ってプラン75を明るく印象付ける。申し込めば支度金10万円を進呈、あくまでも『気が変われば、いつでも中止できます』と強調しつつ利用者を誘導していく職員たち。コールセンターの相談員や勧誘、処置をする医療スタッフに安楽死のための大型施設、遺品回収までプラン75を巡る一大産業が出来上がっている。それだけでなく民営化された高級施設まで出来ています。更に政府は65歳までの引き下げを検討している。
フィクションとは思えません。
リアルだからこそ、やるせない描写が続きます。現実でもこの数年、炎天下でも真冬でも工事の警備員に老人が増えたような気がしませんか。
プラン75のような話って、維新や自民党の新自由主義的な連中、国民には自助を説くけど自分たちには関係ないと思っている連中が如何にも言い出しそうな話です。民営化とか行政改革とかいう美名の下で、役所やその周りの一部だけが甘い汁を吸って、大多数の人は買い叩かれて安価に使い捨てで働かされる。今は自分は平気だと思っていても役に立たなくなれば、プラン75が待っている。
しかし、この映画が提起している問題はもっと根が深い。国や政治家、新自由主義だけの問題じゃなく、現実には日本人は結構な数の人が自らプラン75のような選択をすると思います。
これ、まんまPLAN75という映画の設定なんですが、こういう風潮に問題提起をしようとしていた監督が少し前のNHKのラジオ番組に呼ばれてインタビューされてた時のリスナーの反応が8割ぐらいこの制度歓迎で、監督の声がどんどん小さくなっていったのを聞いて何とも言えない気持ちになったのを覚えてます。 https://t.co/Jpn8TbxKf7
— ざらめ煎 (@zarame_senbee) 2022年6月22日
公という概念も薄ければ、生命観などの哲学も薄っぺら。いつの間にか社会を覆うようになった自己責任という安易な雰囲気に流される。感情論やはした金など目先の合理性にもごまかされる。GOTOなどの安っぽいキャンペーンに引っ掛かる連中が多いのを見れば明快です。
ここの「頂いたご意見紹介」見たら雰囲気分かると思います。https://t.co/brwiPhYYM4
— ざらめ煎 (@zarame_senbee) 2022年6月22日
実際 早川監督はNHKのラジオ番組に出演した際、プラン75のような案に賛成するリスナーの意見が多くて困っていたそうです(笑)。日本人のそういう体質はそう簡単に変わるものではない。
この作品を見ていて、少し前に見た映画『マイ・スモールランド』のことが思い出されました。
あちらは差別的な入管行政と無関心で善良な市井の日本人たちのせいで、クルド人である高校生の主人公が追い込まれる。こちらでは老人たちが追い込まれる。役所も周辺の産業で働く人も老人たちに対して無関心ですが悪意があるわけではない。むしろ善意を持って仕事をしている。その中で老人たちが自ら死を選んでいく。
少子高齢化と言いながら、この国は子供も老人もモノとして扱っている。いや、人間そのものをモノとして扱っている。それも善意を持って。
これをどう考えたらよいのでしょうか。監督はこの問題に対して怒りを抱いているのは判る。監督は『PLAN75はアウシュビッツのことが頭にあった』と語っています。それでも、ここでは生への微かな希望が描かれている。
【新着】『PLAN 75』が示す不寛容な社会に対する危機感と、そこにある希望 早川千絵・監督インタビューhttps://t.co/PlOJ3KeVcK@PLAN75movie
— TOKION (@TOKiONjp) 2022年6月25日
PLAN75の世界を一概に否定はできない、とは思うんです。ボク自身、健康とか経済的問題など環境によっては将来 PLAN75みたいなものを自ら望んでしまうかもしれない。
社会的な価値観によっても変わってくるかもしれない。例えばコロナによって医療施設がひっ迫したとき、北欧では高齢者はICUを使わないで若い人に回すのが社会的なコンセンサスとして成り立っていたそうです。この映画が日本だけでなく、フランス資本が入っていたりフランス政府の助成金がつけられているのも高齢化社会が日本だけの問題ではないからでしょう。
でも、生を求めることが社会へのアンチテーゼになってしまう。そんな社会であって良いのか、いや我々はそういう生き方をして良いのかとも思うんです。合理的で善意に溢れたプラン75の世界には人間の尊厳は、ない。
答の無い疑問を感じてしまう。そんな映画です。必見。