特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『三杯鶏とエルピス第3話』と『アメリカの中間選挙』

 いよいよ11月も中盤。朝はストールが欠かせないような気温です。
 自由が丘の商店街ではもう、クリスマスツリーが飾られていました。全く華やかな感じはしませんが(笑)。

 こちらはこの前 銀座のガチ中華で食べた『三杯鶏』(鶏肉のバジル炒め)


 
 米酒・醤油・胡麻油を同量ずつ使った垂れにバジルと唐辛子を加え、鶏肉を煮込んだ甘辛い料理です。今は台湾料理だそうですが、もともとは『正気の詩』という漢詩で有名な南宋末の政治家、文天祥がモンゴル(元)に捕らえられて獄中にあったとき、調味料が3種類しか許されなかったことで出来た料理、と言われています。

 文天祥という人は吉田松陰等を通じて明治維新にも大きな影響を与えた人で王朝への忠誠一途、ある意味 後世の朱子学に悪用された人物でもあります。現代的な価値観で考えれば人民より国家、現実よりイデオロギーを優先したバカな輩、とも言える。

 ただ最近の様にマスコミやポピュリズムの様に流されやすい世の中では、時流に流されず一人孤独に『正気』を保とうとする勇気に感銘を感じることも正直、あります。

 そんなことまで考えなくても(笑)、この三杯鶏は美味しかった。鉄鍋に入れて加熱した肉はホクホクで、唐辛子と三杯の甘辛い組み合わせにバジルのアクセントが入る。想像していたより複雑で遥かに美味しかったです。中国醤油でなければ、この味は出ないかもしれませんが、これは家でもやってみようと思っています。


 さて、月曜夜10時から放送の『エルピス』、第3話も面白かったです。


www.ktv.jp

 内容には触れませんが、毎回 長澤まさみの圧倒的な存在感と後半の30分で畳みかけるように話を盛り上げる演出の巧みさには感心します。今回は特にそうだった。

 それにしても『エルピス』のCM時間に流されるフジテレビの番宣を見ていると、ドラマの中で描かれる『軽佻浮薄なくせに忖度だけは一人前のTV局』そのままにしかみえません。そんなTV局でこのドラマが放送されているのが信じられない(笑)。実にシュールです。

 それに脚本の冴え。これ↓なんか、いかにも渡辺あや氏の作品と言う感じがします。単純な勧善懲悪ではなく、様々な読み解きができる。


 今回は浅川(長澤まさみ)とコンビを組むぼんくらディレクターの岸本(眞栄田郷敦)が『正しいことをやってみてえなー』とボヤくセリフがありました。
 正しいこと、過激なことを口に出すのは簡単です。日本の多くのリベラルが典型ですが、『平和』とか『環境保護』とか正しく見えることを口に出すだけならバカでも出来る如何に現実を変えて行くか。付和雷同の日本のムラ社会、上層部への忖度で息がつまりそうな縦割り組織の中で、如何にもがいて見せるか。そこが問題なんです。

 ドラマの中の岸本のように『正しいことをやってみたい』と思っている人は現実でも少なくないのかもしれません。でも、それを試みるのは、今のところ浅川だけ。そこがリアルです。『エルピス』、ここからの展開が楽しみです。
 


 さてさて、心配していたアメリカの中間選挙、結果はまだ出ていませんが、思ったよりは酷いことにならない見通しで、胸をなでおろしています。
 ボクは『アメリ中間選挙に世代交代の波が押し寄せている』という日経の記事が気になりました。
 所謂 ミレニアル世代やX世代と言われる若い人たち民主党を支持したことが今回の選挙結果につながった、というのです。

www.nikkei.com

 出口調査を見ても、若い人ほどトランプを嫌う傾向が出ています。

 今回の選挙の結果を受けて、バイデン大統領は記者会見で「私は特にこの国の若者たちに感謝したい』とまで言うほどです。


米中間選挙、混戦呼んだZ世代 トランプ系の勝敗左右: 日本経済新聞


 日本では野党の支持層は高齢者、アメリカでいうところのベビーブーマー世代以上に偏っているのとは真逆の傾向です。日本の若い人は自民党や維新を支持する傾向が強いのは選挙で度々指摘されています。


安倍・菅内閣、若年層ほど高い支持率 最低は60歳代: 日本経済新聞

 少子高齢化が進む日本と人口増が続くアメリカとでは事情は違います。アメリカでは若い世代の支持を掴むことは日本より遥かに重要なのでしょう。

 しかし、所詮 高齢者は先細りなのですから、日本の野党だって若い世代の支持を掴まなければ未来はない

 自民党創価学会だけでなく、共産党社民党は支持者の超高齢化(笑)が指摘されています。共産党の場合『65歳以上が占める割合は97年に2割ほどだったが10年は4割になった。』と言われています。日本共産党創立100年(上)党員半減、収入4割減: 日本経済新聞

 残る立憲民主も若い人の支持を獲りに行っているようには見えない。


なぜ若者は自民党に投票するのか?~2021衆院選~ | NHK政治マガジン

 アメリカの若い世代は価値観はリベラルだが経済政策は保守的、だそうです。保守的と言うより、現実的な経済政策を支持しているのでしょう。

 そこは日本も同じです。日本でも若い人は同性愛や夫婦別姓に寛容な傾向は強い。この点は野党の価値観に近い。

データからみえる今日の世相~「夫婦別姓」は今どれだけ支持されているのか|調査情報デジタル

 しかし残りの政策、経済や安全保障などは野党の言ってることが不安だから、仕方なく自民党に投票する。そういう事なんだと思います。まともな若い人にしてみれば、消費税減税とか言っても財源はどうするんだ?って思うでしょう。将来 自分に降りかかってくるんだもん。
◎全くその通り。インボイスに文句を言ってるバカはそもそも税を払うのは当たり前、協力共助という発想がない。零細企業には税優遇があるのに盗人猛々しい。

 ネットでは威勢の良い、わかりやすい単細胞な意見が飛び交っています。しかし、野党が如何に現実的な政策を打ち出せるか、少子高齢化や安全保障など如何に現実の問題に対応する政策を打ち出せるか。日本の民主主義が生き残っていけるかはそこにかかっているでしょう。