特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

街にサンタが、じゃなくて、不景気がやってきた。。。

 いよいよ年の瀬です。
 道を歩いていると、クリスマスの飾りつけをしている家があるかと思えば、正月用品の売り出しが始まっていたり、季節が良くわかりません(笑)。
●近所の家の飾りつけは相変わらず華やかです。ボクの家は何もなし(笑)。


 12月は忘年会も全滅したし、あとは平穏無事に過ぎてくれればいいなと思ってたら、近年にないくらいバタバタしてきました。

 まず、自分の仕事は今年人事異動があったばかりなのに、来年また!異動だそうです。この10年で5回目(笑)。ずっと同じ仕事というのも飽きますが、しょっちゅう変わるのも疲れます、トホホ(泣)。


 それに就職を控えた姪っ子ちゃんが、IT系のベンチャー企業に行く、とか言い出した。大企業に就職するのが良い、とは全く思わないし、これからは一つの企業にずっと勤めるなんて有り得ないだろうし、何よりも世の中の栄枯盛衰は一層激しくなるから、ベンチャーでも全然かまわない。従業員持ち株会に入って、万が一 会社が上場でもすれば億万長者だし(笑)。

 ただ身内としては(笑)、何も知らない若い子がベンチャー特有の激務で身体を壊さないか心配ではあります。企業なんてどうせくだらないんだから楽な方がいいじゃん、と達観した社畜は思ってしまう(笑)。
 何事もなるようにしかなりません(笑)。愚痴をこぼして少し気が楽になった(笑)。

●昨日のメルケル氏の国民に向けての記者会見。他所の国のボクでさえ、心が動きました。自分の言葉で語りかけることが出来るリーダーを選べる国・国民っていいよなー



 いよいよ、コロナ禍の経済への影響は目に見える形で大きくなってきました。
 冬のボーナスは多くの企業で削減されるみたいですし、これは来年以降の消費にも影響する。

 リーマンの時は製造業が痛い目に遭いましたが、今回は小売やサービス業など非製造業の影響が大きい。実際は全ての企業が悪いわけではなく、PCやTVは売れまくっているそうですし、食品メーカーや食品スーパーなど好調な業種もあります。
 けれど儲かっている企業は自分からは絶対に言わないですから(笑)、余計に厳しいところが目立つ。世の中の雰囲気にも影響してくる。


www.nikkei.com

 リストラも相次いでいます。

 業種的にはアパレル・繊維製品の会社が最も多く、次いで米中貿易摩擦と新型コロナの影響が大きい自動車関連、電気機器、居酒屋チェーンの運営会社を中心に、感染防止で外出自粛の影響が長引く外食などが主だそうです。


news.yahoo.co.jp

 個別では、最多が日立金属の1030人(21/3期、22/3期)。次いでレオパレス21の1000人、コカ・コーラボトラーズジャパンHDの900人、ファミリーマート800人、2年連続の東芝(770人)、シチズン時計(750人)の順。11月以降もセガサミーHD(650人)、三菱自動車工業(550人)など、500人以上の募集が頻発しているそうです。


 飲食業への影響もますます大きくなってきました。今週 今年の飲食業の倒産は史上最悪、というニュースが出たばかりです。

 これから年末年始は閉店ラッシュになると思う。


 最近 ボクの行動範囲でも渋谷、新宿、青山、原宿、銀座とシャッターが閉まった店が、以前にもまして目立つようになりました。

 今週9日、水曜の毎日新聞によると、銀座のバー、クラブ1100軒のうち100軒がコロナで店を閉めたそうです。

mainichi.jp


 今回は今までの不況とは違います
 この30年を振り返っても、バブル崩壊、山一ショック、ITバブル崩壊、小泉不況、リーマンショック、311と言った社会不安すら巻き起こす大きな不況が何度もありました。

 今回はそんな不況を乗り越えてきた老舗や有名店も数多く閉店しているのが特徴です。日本人で初めてパリでミシェランの星を取って凱旋帰国したシェフの店まで無くなってしまったのは驚きでした。

 


 普段 ボクが行く店でも創業約30年の自由が丘のフレンチ、創業約40年の青山のイタリアン(日本で5本指に入るくらい古い)が閉店しました。そういう店って文化遺産のようなものです。他に代わりはありません。個人的にも長年の付き合いで店主のご家族まで知っているので、マジでショックです。
●何度もTVドラマの舞台になった、自由が丘の大きな一軒家の店は、庭の桜が咲く時期 窓際で食べるのが楽しみでした。隣のテーブルで阿川弘之が2時間延々と海軍の話をしてたこともあったなー。

 シェフの腕は勿論ですが、サービスマン、材料の仕入れ、歴史を経た店の空間、バカやガキ、成金を寄り付かせない客層(笑)、どんなにお金をかけても代わりはない。店と客が時間をかけて作り上げてきた空間です。
 おまけに肉にしろ、魚にしろ、野菜にしろ、生産者にも影響が及ぶ。そういう店が仕入れるのは、丁寧に育てられた材料ばかりです。身体に悪いのでボクは食べませんが(笑)、毎日新聞には神戸牛も存続が危ぶまれると書いてありました。
 今 起きているのは単なる閉店ラッシュではない、文化の破壊です。

●舌の上でとろけるような、青山の店のイカのソテー。某俳優がTVで『生涯最高』とこの料理を紹介する際、ミュージカル俳優の奥さんに『TVで紹介したら離婚する』とまで言われてました。

 
 原因は不景気だけではありません。
 本質的な原因は店主の高齢化と後継者不足、建物の老化、世相の変化(ちゃんとした料理の価値が判る客は年々確実に減っているそうです)などで、コロナは切っ掛けに過ぎない。一番大きいのは後継者不足でしょう。要は『先が見えない』ということです。
 いつ終わるか判らないコロナ危機は、人間から未来に立ち向かう気力を奪いつつあるのかもしれません。

麻布十番の仔羊一頭丸焼きの閉店もショックでした(こちらはもう1軒ありますが)。


 色々な話を聞いてボク自身かなり落ち込んでいるんですが、冷静に考えれば撤退できるうちに撤退するのは賢い方策ではあります。
 仕事で様々な中小企業の倒産を見てきましたが、自分から撤退できるというのは幸せな部類です。無理して倒産に追い込まれれば夜逃げ、下手すれば経営者や従業員が心や身体を病んだり、最悪 命に係わる事だってある。失踪した従業員の靴が海沿いの神社できれいに揃えたままで見つかった、なんてこともありましたもん。
 その一方 経営不振で顔色が悪かった中小企業の経営者が、引退した途端 やたらと元気になった例も今まで沢山あります(笑)。

 これから、閉店が決まった店には行ける限り行って、笑顔を作ってガンガン食べることにします。今までのお礼、お別れの挨拶(これはいやだなあ)もしなくちゃいけない。
 外に出ないつもりだった12月はめちゃめちゃ忙しくなりました(笑)。


 どんなものにでも終わりはあります。非常に残念ですが、それは仕方がない。ボクの人生だっていつか終わりが来る。

 今更ですが、世の中が根本的に変わりつつあるような気がします
 今まで、戦後日本の社会を支えてきたもの、文化や価値観が衰退しつつある。今まで社会のコンセンサスとして『いくら何でも』と思っていたような、嘘をついても平気な政治家や官僚、自己責任を求めたがる一般国民が増えてきたのが典型です。



 大筋としては、少子高齢化や教育の劣化、中国や韓国、タイ、インドネシアなど東アジア諸国の発展による相対的な地位低下など、日本の衰退の流れは止められません。少子高齢化や教育の劣化などの影響は何世代にも続く日本の衰退は最低でもあと50年。ボクはもっと続くと思う(笑)。

 でも、それは従来の価値観や常識からみれば、の『衰退』です。従来の価値観や常識とは経済成長優先だったり、日米安保に寄り掛かった偽善的な戦後日本であったり、男性中心の社会というものでもあります。


 その根本にあるのは個人の存在を認めないムラ社会山本七平流に言うと『空気』、阿部謹也先生曰く『世間』、鴻上尚史曰く『同調圧力』、日本の国全体がそういうものに寄り掛かった思考停止のムラ社会です。
 右翼でも左翼でも市民運動でも、空気や同調圧力は存在する。でも、そんな価値観、構造は別になくても良い。

●古典的な名著から今年出た本まで。どれもほぼ同じことを言っている。この『全体主義的な無形の圧力』は日本社会の宿痾ということでしょう。

「空気」の研究 (文春文庫)

「空気」の研究 (文春文庫)

「世間」とは何か (講談社現代新書)

「世間」とは何か (講談社現代新書)


 個人の生活でも、仕事でも、政治でも、なんでもいい。今回の危機を契機に、チャンスを見つけられないか、良い兆しを見つけられないか。ボクはそう思うんです。
 従来の価値観に拘ればお先真っ暗ですけど、人間、新しい考え方や価値観を生み出すことはいくつになってもできるはずです。ホントはこの方が早いけど↓。

 ボク自身は早く定年になって引退、家で一日ごろごろしながらネットフリックスでも見て暮らしたいなーとも思ってますけど(笑)、それでも、どんな形にしても、未来に立ち向かわなければならない。
 じゃないと、これからも美味しいものが食べられないからな―。



 と、いうことで、感染がこれだけ拡大した今週も官邸前抗議はオンラインです。