特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『またも負けたよ、日本人(笑)』と読書『あなたの会社 その働き方は幸せですか?』(2)

 まだまだ朝は寒いです、
 が、立春を過ぎて陽の光に一層勢いが感じられるようになりました。夜明けとともに家を出て、日が暮れると共に家に帰る生活だと、余計に自然の息吹が感じられます。

 東アジアでは中国を筆頭に旧暦で祝祭日や行事を祝う国が多いようですが、旧暦こそ自然の摂理かもしれません。これも欧米の猿真似に終始した明治維新の弊害でしょう。
●朝と夜の間で。今朝6時、月と白み始めた空


 それにしても、日本って凄い。鳴り物入りで導入したコロナのアプリ、不良品だったそうじゃないですか。不良品は森喜朗だけじゃありません。
www.huffingtonpost.jp

 厚労相の田村が率直に認めている通り、アプリで接触通知が来ないって話は随分前から、ボクの周りでも良く聞いてました。今頃認めたの??しかも厚労省がテストしてなかったって(笑)(比較的まともな田村だからこそ、間違いを認めたのかもしれませんが)。

 このアプリって国民の6割くらいが使ってないと効果がないそうです新型コロナ COCOA普及の意義-接触感染アプリは、感染拡大防止にどのくらい役立つか? |ニッセイ基礎研究所、日本はスマホの普及率が約6割、つまりスマホを持ってる人が全員使わないと意味を為しません。そんなの最初から無理に決まってる(笑)。
 だからボクは最初からアプリなんか全く相手にしていません。1月現在でアプリのダウンロード数は2300万(笑)。
 未だにその、根本的な欠陥を誰も追求しないのが信じられません。

 元々日本の感染症対策は成功している訳じゃありません。謎のファクターXのおかげで(笑)欧米よりマシかもしれないが、依然 日本の感染者数はアジアでインドネシアに続いてワースト2位を保持しています。東アジア随一の先進国の台湾どころか、中国や韓国は勿論、衛生状態が?のインドの3倍も多い(笑)。

●この1週間の人口当たり新規感染者数の各国比較(ジョン・ホプキンス大の資料を基に公立札幌医科大作成)
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人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移【世界・国別】


 ついでにワクチンの件、供給が遅れています。というか、いつ供給されるか、よくわからないみたいですね(笑)。
www.jiji.com

 そもそも厚生省はファイザーなど製薬会社と供給の基本合意は結んでたけど、契約はきちんと結んでなかったそうじゃありませんか。昨年7月の基本合意では今年の6月末までに全量の供給を受けることになっていたけれど、このほど結んだ正式契約では今年の年末までに変わったそうです。
www.jiji.com

 ワクチン承認の問題などの理由はあるんでしょうが言い訳になりません。承認が未だでも、誰かが責任を負って見切り発車するのがビジネス、です。リスクを冒すから利益がある。厚生省って、仕事で契約とかしたことないの(笑)。驚くべき無能さです。

 その結果がこれ。
 2/2時点でワクチン未接種はG7で日本だけ(笑)。
BS-TBS報道1930(2/3)

 
 安全性は100%じゃないかもしれませんが(そもそも100%OKのワクチンはない)、世界的にワクチン接種は進んでいます。なぜか。他国はワクチンを接種することで一刻も早く経済を回復、あわよくば他国のシェアを取ろうと考えているからでしょう。

 自分の命の問題で考えても、コロナの危険性とワクチンのリスク、どちらが大きいか答えは明確です。そんなことも判らない奴は森喜朗なみに脳がコロナに犯されてるとしか思えない(笑)。


 その結果はどうなるか。今週 野村証券IMFの予測を元に作ったグラフを見て愕然としました。

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 20年10月時点の予測では、20年の日本経済の実質経済成長率は-5%(世界は-3.6%)。その後も低迷を続け、19年の実績に戻るのは23年、その後も、日本は延々と世界の先進国の中で一人負けを続ける(笑)。
 しかも1~2月のロックダウンやワクチン接種の遅れで、この数値はもっと悪化する可能性もある(笑)。

 日本経済について、失われた20年とか30年とか言われてますが、我々の給料を見ても日本は先進国の中で一人負け、です。


www.nikkei.com

 ドル換算の年収では約4万ドル、今や世界の20位。ほぼ韓国と一緒。抜かれるのも時間の問題です。

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日本が圧倒的に「低賃金の暮らしにくい国」に堕ちた真相 訪れる“最悪の未来”とは (1/3) - ITmedia ビジネスオンライン

 ちなみに一人当たりGDPの順位では、日本は96年をピークに落ちる一方。今やG7の中ではイタリアに続いてワースト2位

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 コロナをきっかけに日本はまた負け続ける(笑)と言う訳です。政治に関心を持たずにバカな政治家ばかり選び続ける日本人の自業自得です。

 せめて「ニッポンサイコー」とか「反日」がどうの、みたいな幻想は止めなきゃどうにもならない。そう思いませんか(笑)。



 さて、先週 ご紹介した『あなたの会社 その働き方は幸せですか?』の後半部分のご紹介です。

 後半はまず、上野、出口がそれぞれのキャリアを振り返ります。これが面白かった。ボクも働いているので共感できる部分とそうでない部分が一層強く感じられたからです。
 
 上野は京都の短大、京都精華大、東大で教職を務めてきました。当時の時代背景、しかも文系で社会学、就職は大変だったそうです。卒業後は専門性とは関係なく、教師として面白そうということで短大に採用されたそうです。その後は自分でフェミニズムという学問をアカデミズムと社会の中で確立してきた。

 キャリアを語りながら上野は、『空気を読め』と言います。自分のやりたいことを実現するためなら、周りの空気を読み、手練手管を使って賛同意見を増やしていけ、と言うのです。完全な職場などないのだから仕事と割り切って糧を稼ぐべきだ。その上でやりたいことをやれ、と。

 更に孤立しないために味方を作れ、とも言います。新しいことをやろうとすると反発が起き、組織から抹殺されかねない。そこで孤立しないためには工夫が必要、と言う訳です。『正しい意見』を言えば良いわけではないんですね。

 ともすれば日本のリベラルに欠けている部分です。正しいことをやっていることが正しいわけじゃない(笑)。

 ここまでの話は彼女が昔から言っていて、ボクも影響を受けた部分でもあります。自分が集団のなかで孤立しがちなのは判ってるので、そこは考えた。明確な敵はなるべく作らないようにしよう、と心掛けています。まあ、それでも悪口を言ってる奴は一杯いる(笑)。
 ただボクは上野のように、味方を作る、なんて芸当はできない。敵とか味方とか面倒くさい。一人で居ることの安穏さに負けてしまう。物事に対する情熱が足りないんでしょう。

 上野によると『人間は論理で動かない。男は利害で動き、女性は感情で動く』と言います。特にNPOや社会運動など利害があまり絡まない場合は、活動を楽しいものにすることでしか存続させることは出来ない。そのためには成功事例を積み重ねて仕事自体を楽しくするか、人間関係を良くするか、どちらかしかない、というんです。

 ここも日本のリベラルに著しく欠けている部分。『無能で良い人と仕事をするより、性格が悪くても有能な人と仕事する方が成功事例を作りやすいから、その方が良い』っていうのは如何にも上野らしい、そして、『上司とは利害で繋がれ、部下とは信頼で繋がれ』というのは至言だと思いました。


 一方 出口氏は京大卒業後、何となく日本生命に入ったそうです。飲みにはよく行ったが、ゴルフはしなかったから周囲から浮き気味ではあったようです。それでも大蔵省担当(MOF担)を務めたあと、国際畑の部長になります。ここまではエリート街道。

 しかしバブル崩壊後、社長が替わって海外進出は取りやめ、そのあとは社内で干され、子会社へ出向します。その後 還暦で独立、ライフネット生命を作り、69歳で立命館アジア太平洋大の学長に選ばれます。

 出口氏は『仕事は人生の3割』と『早く諦めることが大事』と言います。仕事に全精力を費やすのも馬鹿げている。世の中やってみなければわからないことばかりだから、自分の希望とか愚痴より、早く『諦めて』現実をありのままに見ることに専念したほうが良い、というのです。
 『愚痴、妬み、他人に評価してもらいたいと願う、この3つほど無駄なことはない』は全く同感です。他人のことなんか考えているだけでも時間が勿体ない。
 
 最も感心したのは、現実をありのままに見る、というところ。自分の能力を含めて現実をありのままに見るから『早く諦めることができる』というのです。諦めるくらい現実を冷徹に見る、というのは自分でも出来てなかった。ここは勉強になりました。

 出口氏によると、現代の日本の最大の問題点は社会的構想力に乏しいこと。
 例えば香港の民主化の問題でも、本当に民主化を支持するのなら香港の人を何万人でも受け入れればよい。特に学生は日本人より優秀なのだから、受け入れた方が得である。それこそが社会的構想力だ、と。

 今の日本では、一流大学を出て大企業に入っても、滅私奉公で飲みュ二ケーションをして家に帰ったら『飯、風呂、寝る』になりかねない。勉強する時間がなければ、社会的構想力や戦略的な思考ができる筈がない。そのためにも年功序列』、『定年制』、『男女差別』の日本的雇用をぶち壊していく必要がある、と出口氏は指摘します。

 最終章は二人のまとめ、日本の社会は今後どのようにしていったら良いか、という事です。
 上野も出口も共通しているのは『好きなものではお金にならない』から、『流されて生きてきた』と言っているところです。やりたいことは必ずしも明確じゃないし、やってみなければわからないことも世の中には沢山ある。このことは若いときにはよくわからなかった(笑)。

 また上野が『独立すると仕事を選べないし、クオリティが下がる。組織に属して最低限の食い扶持だけセーフティネットは確保しようと思った』と言っているのはその通り、と思いました。

 あと二人とも50代は転機である、というのも面白かった。50代で上野はフェミニズムに加えて介護、出口氏は起業、とフィールドを変えています。違う分野に進出することで自分の創造性を保つ、は正解かもしれません。そこまで自分に対して自覚的である訳です。


 日本の活路として、二人は教育の重要性を挙げます。教育というのは学校教育だけではなく、社会人になっても自分で勉強することでもあります。自分の言葉で考える力を育てるのが最も大事であり、それを培うのが教育という訳です。

 学校はビジネスじゃない、と目くじら立てる奴がいるが、教育でグローバルに競争できるような付加価値をつけることが必要、と出口氏は言います。更に、日本に劣悪な企業が退出する仕組みが必要、と言います。今は補助金や規制でゾンビ企業でも生き残るパターンが多い。ゾンビ企業は付加価値がないから安売りをする。安売りをするから日本企業の利益率(生産性)は低いし賃金も低くなる。
 最低賃金を上げて、社会保険の適用範囲をひろげ、ゾンビ企業を潰していくことが大事、と出口は指摘しています。。

 二人とも学び続けながら働いてきたそうですが、ボクも同感です。こんなひどい世の中です。大金持ちの生まれでもない一般人には、学ぶことが自分の安全保障ではないか。更に強力な安全保障と言えば人脈ですが、これはボクにはムリだった。

 結局、政府にも企業にも頼れない。スーパーヒーローが現れるはずもないし、そんなものは偽物に決まっています。個人が自分の頭で考えつづけるしかない、そのためには教育が必要、というのがこの本の結論でした。


 とても面白かったです。年寄りの繰り言にも聞こえるかもしれませんが、徹底的に現実主義に立脚しているところは好感が持てました。ボク自身は人とつるんだりするのが嫌いだし、それ以上に仕事が嫌いです(笑)。現実逃避しがちで空理空論に陥りやすいのは自戒しているので、余計に良かった。
 いつも引き合いに出して悪いけど(笑)、それこそ今話題の「人新世の『資本論』」なんかより、この本には現実を変革する理論が豊富に詰まっていると思うのはボクだけでしょうか。

人新世の「資本論」 (集英社新書)

人新世の「資本論」 (集英社新書)

 まあ、日本の場合、森喜朗みたいなジジイ連中の弊害があまりにも大きすぎるから定年制は続けた方が良いと思いますけどね。
 
news.yahoo.co.jp



 ということで、今週も金曜官邸前抗議はお休みです。