特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

今見るしかない!:『続·ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』

 大阪市廃止の住民投票、否決されたのは良かった、と思います。
 ボクには大阪のことはよくわかりませんが大阪市廃止を推進するのは、雨合羽の松井にイソジン吉村、それに汚職やスキャンダルばかりの維新の議員や首長。それだけでもどういう連中か判ります。吉村なんか9月にワクチンができる、とか言ってなかったでしたっけ。

 まともな大人だったら、そんな連中の言う事なんか相手にしないはずです。

 朝5時に起きてNHKをつけたら松井が記者会見で『我々の敗北でした』とやっているところが流れてました。

 これには驚きました。大阪を良くしようと思っているなら、いきなり自分たちが敗北したとか勝利したとか言わない、と思うからです。本当に大阪を良くしようと思っているなら『構想が理解されなくて残念でした』くらいのことを言うはずです。
 松井や吉村、それに公明党の考えていることは『自分たちの勝ち負けだけ』。記者会見の冒頭に思わず本音が出た、のでしょう。

 前回より差が広がったとは言え、僅差です。邪教政党の公明党を味方につけて、維新は前回より遥かに有利だったはずです。当初は大幅に賛成が多かったようですから、良くひっくり返した。実際 大阪の中心部(都市部?)、30代、40代は賛成が多かった。一方10代~20代は賛否が拮抗している。ここは考えなくてはいけない。

●結局 今の30代、40代がガンなのかな??

 イソジンや雨合羽を真に受けるなんて、頭が悪いにもほどがありますが、僅差であることは事実。そういう人たちが大勢いるという事です。そのおかげで大阪市民は100億ものムダ金を使いました。


 今回の投票を総括すると、こういうこと↓だと思います。

 そして国民が政治に無関心なままだと、大阪も含めてまた、同じことが起きる。

 

 しょうがないから、明日は国会前へ行ってくるか(笑)。総がかりとかのオールド左翼連中ってバカさ加減は維新と大して変わらないかもしれないんだけど、菅みたいな新自由主義者を調子づけるのはムカつくし(笑)。



 さて、今週は今見るしかない映画です。アマゾン・プライムで『続·ボラット  栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画


 先週ご紹介した『シカゴ7裁判』で主演したイギリスのコメディアン、サシャ・バロン・コーエンが脚本・主演。07年に公開され、世界24か国でNO1ヒットになりゴールデングローブ主演男優賞を受賞、アカデミー脚本賞にノミネートされた大ヒット作『ボラット』の続編です。

 今作は大統領選直前の10月23日に公開され、アメリカで大ヒットを飛ばしています。配信開始初週の4日間で米国だけで推定160万世帯が視聴、同じく配信だけで公開されたディズニーの曰くつきの大作『ムーラン』をはるかに超えているそうです。
サシャ・バロン・コーエンは先週ご紹介した『シカゴ7裁判』で有名左翼のアビー・ホフマンを演じました(写真左)。来年の映画賞の呼び声も高い

 前作はサシャ・バロン・コーエン演じるカザフスタン人の架空ジャーナリスト、ボラットによるドキュメンタリー映画という形式を取ったフェイク・ドキュメンタリーでした。

 偽カザフスタン人のボラットアメリカを訪れて男尊女卑や反ユダヤ思想を発露させて人々を困惑させる様はひどいけど、面白かった。映画は大ヒットしましたが、本人は撮影中に何度も逮捕されたし、騙された人たちから多くの訴訟を起こされました。
カザフスタン政府も映画を発禁にするだけでなく訴えようとしましたが、『大人げない』ということで断念したというエピソードが残っています(笑)。その後 カザフスタンへの観光客が増えて、観光相が公式に感謝の意を表明したそうです(笑)。


 今作では独裁者であるカザフスタンの大統領が、トランプの歓心を得るためにアメリカへ行って贈り物をしろ、とボラットに特命を下します。プーチン金正恩、ボルソナーロ、トランプと仲良しなのは独裁者ばかりなのに俺が入ってないのはおかしい、というのです(笑)。ちなみに独裁者仲間には我らが安倍晋三は入ってませんでした。スケール小さいからかな。

 しかし前作でボラットはNYのトランプタワーの前でズボンを脱いで野グソをしています(マジです)。そこでターゲットを副大統領のペンスに切り替え、彼に女性を貢いで歓心を得ようとします。お話と言っても、実際にアポなし撮影を続けたフェイクドキュメンタリーです。宣伝ポスターですら、これです。

もちろん、トランプはこの作品に激怒しています。

 それに対してサシャ・バロン・コーエンは『無料の宣伝有難う。来年 新しい仕事を探しなよ』と返しています。


 ボラットは前作で有名になり過ぎてしまったため顔が割れています。そこで、突入取材はペンスに貢ぐボラットの娘という設定の女優さんも頑張っています。

 男尊女卑・反ユダヤ主義というキャラのボラットと娘は主にアメリカ南部の保守的な人々の間に入り込みます。例えば反人工妊娠中絶の団体、美容整形外科、カネさえ払えば参加できるインチキ臭い社交パーティー。このシーン↓は二人のダンスで会場は地獄絵図になります。

それにユダヤ人教会で極右の真似をして『ホロコーストはでっち上げだ』と主張したり(実際の彼はユダヤ人)

民主党小児性愛悪魔主義者だと主張する陰謀論=Qアノンを信じるトランプ支持者の家に押しかけたり、プラウド・ボーイズのような銃で武装したトランプ支持者たちの集会に潜り込む。
●反人工中絶の団体で。娘役の女優さん(中央)と変装したボラット(右)。二人はケーキの上に載っていた赤ちゃんの人形を食べてしまったということで押しかけたんです(笑)。

 本当にヤバいんじゃないかとハラハラします。ペンスの集会が行われるホテルにはKKKのマントをかぶって入り込み、途中でマスクを被ってトランプに変装、演説会場に入り、ペンスではなく『マイケル・ペニス、女を持ってきてやったぞ』と呼び掛けるんです。笑うしかない。

 ペンスはゴリゴリの宗教保守派で頭が悪いとバカにされることもありますが、トランプの取り巻きには珍しく、女性関係には謹厳実直なことで知られています。
●写真左がトランプに変装したサシャ・バロン・コーエン。肩には貢物の女性を載せています。
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そういう人にこういうことをやるのですから、嫌味がきつい。もちろん追い出されますが、よく無事だったなと思います。
●右はベビーシッターの黒人女性。これはマジで良い人でした。

 前作も本当にやばい(危ない)と思いましたが、今作はもっと危ない。コロナ禍の中で撮影が進んだそうですが、トランプ支持者の集会は武装している連中が大勢いるだけでなく、殆どマスクをしてない。それは流石のサシャ・バロン・コーエンも怖かったそうです。

 怖いといえば、これは凄い。彼がアメリカの有名TVショーで語っているのですが、実際に正体がばれてトランプ支持者たちから襲われそうになったそうです。トレーラーの中に逃げ込んで、撃たれないように頭を下げるところが映っています。
●7分過ぎ、トランプ支持者の集会に入り込んでカントリー歌手に変装したボラットが『オバマを牢屋にぶち込め。武漢ウィルスを注射しろ』と歌っているシーン(笑)。その後 変装に気づいたトランプ支持者に襲われそうになって避難するシーンが映っています。

www.youtube.com


 女性をペンスに上納することに失敗したボラットはトランプの顧問弁護士、元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニにターゲットを変更します。
 ちょうど今 一部のタブロイド紙でバイデンの息子のスキャンダルもどきの話が取り上げられていますけど、それはジュリアーニが証拠を見つけたと自ら売り込んだものです。極右のFOXニュースを除く大手マスコミやTwitterは証拠が不十分として掲載すらしないような話です。ジュリアーニはバノンと組んでいるらしい。そういうことをする人物です。
wedge.ismedia.jp

 娘役の女優さんはTVレポーターに扮し、胸に風船を入れて胸を膨らませ、体にぴったりした服を着て(笑)、ジュリアーニ(写真右)にインタビューを申し込みます。

 インタビュー場所はホテルです。インタビューが進んで二人きりになると、ジュリアーニは彼女の腰に手を回し、ベットに寝転んでズボンを脱ぎ始めます。やらせじゃありません。そこにボラットが『彼女はまだ15歳なんだ』と言って乱入してくる(笑)。これはジュリアーニだけでなく、民主党のトップは小児性愛者だという陰謀論者のQアノンに対する当てこすりでもあります。
 これ、マジです。元から女性スキャンダルはある人ですが、ジュリアーニの面目は丸つぶれです。引っ掛かるほうも引っ掛かるほうですが、良く撮ったなと思います。

トム・ハンクスも出演しています。


 1時間半 本当にゲラゲラ笑いました。それでいて、ほろりと泣けるシーンもあるし、女性の社会進出も訴えています。コメディとしては何年に1本かの傑作です。大ヒットした前作をはるかに超えています。で、最後に『VOTE』(投票しよう)と出る。

 このコメディセンスと知性、それに勇気(笑)は日本のコメディアンも劇映画も逆立ちしてもかないません。それにトム・ハンクス、こんな映画に良く出演したと思います(笑)。
 アマゾンプライムで無料配信してます。はっきり言って、酷いけどサイコーです(笑)。

Borat 2 - Official Trailer (2020) Sacha Baron Cohen