特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

読書『ダーク・マネー』と『0512再稼働反対!首相官邸前抗議 feat. #高浜原発再稼働反対』+『#金曜国会前抗議』

穏やかで、暖かな天気が続いています。気候的には一年で一番良い季節かもしれません。


この前通りかかった道端のハンバーガー屋の店先にいきなりニール・ヤングのでかいポスターが貼られていて、びっくりしました。ボクは大ファンですが日本ではそんなにメジャーじゃないでしょ(笑)。中を見ると店のご主人は老婦人のようでしたが、この人何を考えているんだろう(笑)。人間のこういう意外な行動、突拍子もない行動には何となく感動します。
●店先に爺さんのでかいポスター(右)が貼られていて、びっくりしました。高級店は別ですが、一般的な飲食店は外から店内がよく見えるようにするというのが鉄則ですが(笑)。

●ちょうど去年の今頃 ニール・ヤングがトランプに選挙運動で曲を使われて、本人が激怒したのがニュースになってました。ボクもこういう爺さんになりたいです。


さて、ボクは韓国のことは良くわからないんですが、先日の大統領選の投票率の高さは素晴らしいと思いました。だけど前大統領の汚職に怒った国民の多数が汚職で自殺した元大統領の最側近に投票する、というのも非常に面白い(笑)。慰安婦合意の件もそうです。慰安婦合意は安倍晋三の殆ど唯一の功績じゃないでしょうか。日本も韓国もアメリカの命令で合意しただけですがアメリカ様ありがとう)、安倍のような極右でしか日本国内のバカ右翼は抑えられないからです。韓国の側も、実際に生存されている慰安婦46人中34人もが拠出金受け取りに合意しているのにどうして候補者も国民も合意反対になっちゃうのか、ボクの理解を超えます。今 生きている慰安婦の人をサポートすることが最優先に決まってるじゃないですか。


それでも韓国は日本の第3位の貿易相手国です。仲良くしなくちゃいけないのは当たり前なのに政治家もマスコミも、どうしてこう反日とか変な感情を煽りたがるのか。今回の合意だって、安倍とは言わなくても菅あたりが訪韓して慰安婦の人に頭を下げれば話は全然違ったはずです。ビジネスでよく言うんですが頭を下げるのはタダなんですから、相手を札束と思って頭下げればいいんです(笑)。靴の裏でも舐めて来い。英仏独、独伊仏なんかを見ても隣国同士は仲良くなれないのが常かもしれませんが、大漁旗(アホか)旭日旗にしても、せめて双方とも挑発だけは止めればいいのに、と思います。愛国心とかせこい感情を満足させても誰も得しません。『愛国心は悪党の最後の隠れ家』(サミュエル・ジョンソン)、『ナショナリズムは小児病である。それは国家のはしかである』(アインシュタイン)など先人の格言の正しさを目の当たりにするような思いです。


さて 今回はゴールデンウィークに読んだ『ダーク・マネー』というノンフィクションのことを書きたいと思います。ちょっと長くなりますが、重要なことを言っていると思ったので、ご紹介します。

ダーク・マネー

ダーク・マネー

本文600ページ、脚注70ページもの大冊ですが、内容はシンプルです。コーク兄弟というアメリカの超大富豪を中心に富豪たちが近年 アメリカ政治に著しく影響力を持ってきている、ということを具体的に金の流れを挙げながら示した本です。チャールズ、デビッドのコーク兄弟の名は日本では殆ど知られていませんが、非上場の石油・化学・エネルギー・日用品のコングロマリット企業『コーク・インダストリー』を率いる大富豪です。『コーク・インダストリー』は2013年の売り上げがグループ全体で1150億ドル(約13兆8000億円)、従業員数は約10万人。コーク兄弟の資産は、それぞれ約480億ドル(約5兆5000億円)、今年のフォーブス誌によると兄弟はそれぞれ世界大富豪ランキングの8位。二人合わせれば世界1位のビル・ゲイツを遥かに超えます。ちなみにトランプは544位。コーク兄弟に比べれば物の数ではありません。


●デジタル版 日本版フォーブスより。日本版はバカだから、『コーク』をコックと表記しています。普通はコークです。
世界の富豪 上位10人


世界長者番付2017、ビリオネア数は史上最多に | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
http://www.geniuslab.net/2017world/

企業は非上場だし、コーク兄弟が極端な秘密主義をとっていたことから、彼らの存在はベールに包まれていました。しかし著者などの報道で草の根の右翼運動と思われていたティーパーティは実はコーク兄弟の資金で広がっていったことが明らかになって 近年その動向が話題になるようになりました。



この本は、コーク兄弟を中心にした大富豪のネットワークが全米の政治に大きな影響力を持っていることを暴露したものです。暴露本って大抵は眉唾物です。例えば よく兵器産業が世の中を支配してるっていう人が居ますけど、今はアイゼンハワーの時とは産業構造が全然違うんだし、いったい何十年前の話をしてるんだ(笑)。勿論影響力はあるにしても、どれだけ影響力があるのか具体的な証拠や数値を挙げてみろって(笑)。(今 アメリカ抜きで発効することが検討されている)TPPはアメリカの陰謀だって言ってた堤未果みたいな連中も同じです(笑)。


ですが、この本は違います。著者は雑誌「ニューヨーカー」の記者で、かって全米図書賞の候補にもなりました。この本もNYタイムスの『2016年の年間ベストブック』ワシントンポスト『注目すべきノンフィクション2016』に選ばれました。それでもボクは最初は疑いながら読んだんですが、大げさな表現は無いし、莫大な証言も含めて出典はしっかりしています。
東洋経済オンラインでのこの本の紹介 米国民を洗脳し続ける「コーク兄弟」の真実 | アメリカ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準


具体的な内容はこんな感じです。
コーク兄弟の父親が創業した『コーク・インダストリー』はヒトラースターリンに製油所建設を指導することで財を成しました(笑)。金儲けのためなら何でもやる父親の後を継いだ兄弟は極端なリバタリアンに育ちました。政府は小さいほうがいい、規制は無い方が良い、社会福祉は少ない方が良い、自分たちがやりたいようにさせろ、という考え方です。


コーク・インダストリーを大企業に育てたあと 80年の大統領選にコーク兄弟の兄は共和党ではなく、リバタリアン党の候補として立候補して惨敗します。その悔しさをばねに彼らはスタッフを集め、計画を立てます。
彼らの政治参謀が立案した計画では、政治を3段階で乗っ取るとしています。
第一段階では『知識人への投資』。大学の講座や教員、大学そのものへの寄付を通じて自分たちの意のままになる知識人や法曹を育てるということです。
第二段階は市場で通用する『シンクタンクへの投資』。象牙の塔だけでなく自分たちの意見を具体的に政策に反映させる政策を立案するシンクタンクを育てていくということです。ご存知のようにアメリカ政治ではシンクタンクが大きな役割を果たしていますからね。
第三段階はロビイストだけでなくNPOなどの団体、右翼メディアを操って議員に圧力をかけるとともに、それを後押しする草の根の市民集団を育てていく自分たちの『兵隊』を作ると参謀は言っています。使い捨ての駒ってことです。


大学、シンクタンク、慈善団体、メディアを操作するだけじゃありません。反抗するものには尾行し、盗聴し、脅迫し、フェイクニュースをでっちあげる。著者も尾行、でっち上げをやられたそうです。彼らは手段を選びません。

著者の調査によると、コーク兄弟は09年から13年まで5年間で9000万ドル(約100億円)という巨費をNPOや学術界に投じています。それだけじゃありません。コーク兄弟はアムウェイの経営者一族、それに石油化学企業の経営者など他の富豪たちもネットワーク化しています。著者によると匿名の富豪たちを含むコーク兄弟のネットワークからティーパーティなどを支援する政治団体に流れた金額は5年間で11億ドル(約1100億円)です。この資金を集めるため 半年に一回 コーク兄弟は富豪たちを集めた集会『コーク・サミット』を開いているのは最近は一般ニュースでも報じられています。内容は極秘ですが、次第に内容は漏れてくるようになっています。


紆余曲折はあったにしろ、彼らは30年かけてこの計画を着実に実行してきました。やがてコーク兄弟はフリーダム・パートナーズなど、草の根の中立を装った団体を使ってティーパーティ運動をでっち上げ、極右の国会議員(フリーダム・コーカス)を数十人作り出すことに成功します。彼らはオバマの政治にことごとく反対し、予算案を採決させずに一時的に政府閉鎖になったのは記憶に新しいところです。共和党のまともな議員も民主党と妥協しようとすると、選挙区にコークの金が投入された団体がCMなどを流して圧力をかけるので動きが取れない。2010年代にはコーク兄弟は共和党に大きな影響を与えるようになります。


ですが、コーク兄弟が世の中全てを動かしているわけではありません。コーク兄弟はリバタリアンですが、ネットワークの中の大富豪にはただの右翼もいますから支持する候補者を巡って分裂もあります。またオバマの2回目の選挙では共和党の候補者ロムニーにコーク兄弟は莫大な金を投入しましたが、ロムニーの『税金をまともに払ってない労働者なんかどうでもいい』というアホな失言で一気にパーになりました。昨年の大統領選挙では下院議長のライアンやクルーズ、クリスティなどの候補がコーク兄弟の肝いりでしたが、コーク兄弟の支援を受けないトランプが台頭したのは皆さんご存知の通りです。コーク兄弟も選挙中 トランプを支持しないことは公言しています。それでも副大統領のペンスは側近がコーク兄弟の政治団体の出身ですから、彼には確実に息がかかっていますコーク兄弟、トランプ政権の税制改革を巨万の富で封じ込めへ ? – アゴラ。当たり前の話ですが、世の中は善悪で割り切れるものではなく、まして誰かひとりが全てを支配しているのではなく、さまざまな要素が作用して形成されています。 


昨年の大統領選では民主党共和党もそれぞれ10億ドル(1100億円)の選挙予算を計上しています。一方 コーク兄弟たちのネットワークも10億ドルを投入する予定だったそうです。既に彼らにはそれだけの力がある。ちなみに日本の自民党の年間収入はトータルで260億円です(笑)。
今後 彼らは表向きには右翼色を薄め、社会の福利ということを前面に出して運動を進めていくそうです。中道層の取り込みです。連中はバカじゃありません。
●この人たちとは違うようです(笑)。



ボクの感想は以下の通りです。
一つはコーク兄弟が30年かけて作った地方の右翼ネットワークは日本会議と非常によく似ている、ということ。資金はシンクタンクNPO経由で提供して、金持ちたちは前面に出ない。草の根の振りをして地方から攻め上っていったのは非常に賢かった。プロが戦略を立て、一つの州に40人程度のフルタイムの運動員を張り付ければ情勢をひっくりかえせるんです。その程度の人数ですよ。日本会議も少人数で地道に運動して地方から既成事実を作っていったわけです。
この本の中でもリベラルの牙城マサチューセッツ州ケネディ上院議員の死後 共和党にひっくりかえされた例が書かれています。ケネディ議員はオバマケアの有力な推進役でしたから、オバマは法案の中身を大きく妥協せざるを得なくなります(堤未香がオバマケアについて言ってたことがいかに馬鹿げているかよくわかります)民主党だけではありません。共和党の議員が民主党と妥協しようとするとすぐ草の根組織が圧力をかける。彼らが雇った運動員が活動したり、誹謗中傷CMを流したりする。選挙に刺客を立てる。ボクは共和党の元大統領候補マケインのことが記憶に残っています。一匹狼といわれるマケインはウォール街規制や移民保護など自分が納得する法案には民主党のものでも平気で賛成します。今回のトランプのFBI長官罷免にも反対しています。そんな彼は一時期 ティーパーティーに対抗候補を立てられ議席が危うくなりました。有力議員のマケインだから勝てましたけど、普通の議員だったら逆らえません。それで議席を失った議員や知事は民主、共和ともにこの本に何人も挙げられています。


もう一つは大学や知識人を押さえるというのは重要だということ。『政府は最小に、規制や福祉も廃止しろ』というコーク兄弟の極端な思想は当初は学界では相手にされなかったそうです。それを金を出してシンクタンクや大学に講座を作ったりするやりかたで、自分たちに都合のいい学説や研究成果を作っていく。このやり方はたばこ会社に学んだようですが、今や大きな勢力になってしまいました。これは日本にも関係があります。AEI、ケイトー研究所などのコーク兄弟の息がかかったシンクタンクの名は日経などでよく目にします。日本の政治家や学者にも影響力がある。決して他人事じゃない。

●ちょうど5月10日(水)の日経朝刊に『コーク兄弟が議会を操っている』という写真入り記事が載りました。共和党主流派が主張していた国境調整税を取り下げる代わりに、コーク兄弟の息がかかった保守強硬派(フリーダム・コーカス)が共和党主流派のオバマケア修正案に賛成することになったそうです。国境調整税は導入されるとコーク・インダストリーに打撃を与えます。

トランプ大統領100日(2)議会操る大富豪 :日本経済新聞



もちろん民主党にもバフェット氏のようなお金持ちやウォール街など大企業からもお金が入っています。
アメリカはスーパーPACと言う候補者と独立した政治資金団体があります。これだと政治資金に上限はありません。中立を装いながら相手を誹謗中傷するCMを流し放題です。著者によると、当初オバマは本当に右派とも妥協を図りつつ、『一つのアメリカ』を実現しようとしていました。しかしコーク兄弟の息がかかった議員たちは全く妥協する気がありませんでした。溢れかえる誹謗中傷キャンペーンに対抗するため、オバマも最終的にはスーパーPACの活用に踏み切ったそうです。金持ちが金で票を左右できるんですね。まず、この政治資金の問題を何とかしないとダメなんでしょう。


同時に、この本のようにジャーナリストが連中の正体を暴いていくこと、更に『オバマアメリカ生まれじゃない』(トランプも公言)とか『ヒラリーは幼児売買をしている』(これで殺人事件すら起きました)など連中のデマ情報や御用学者に騙されないように、我々一人一人がより賢くなっていくこと必要だと思います。


連中の主な武器はデマ、です。連中は金の力でデマを作りだし、議会や社会を操っているんですまともなマスコミが殆どなく、一般人もデマにすぐ騙されたり拡散までしてしまう日本で本格的にやられたらイチコロ(笑)でしょう。原発安全神話だってそうだったじゃないですか

日本にはコーク兄弟のような金持ちはいませんが(スケールがだいぶ小さいアパホテルの社長夫妻のような奴はいます)日本会議という極右の草の根組織に地方から国全体が乗っ取られつつあります。この本、ボクは危機感を持って読みました。本自体はアメリカに対する知識がないと厳しいし、読みにくいです。でもロジックはシンプルなのでわからないところは流していけば3日で読めました。匿名の証言も含めてこれだけの内容を調べ上げたのはまさにジャーナリズム魂だと思います。


興味深い内容ですので、図書館にあったら、一読されるのは無駄じゃありません。金持ちや権力者がデマやフェイクニュースで一般大衆を操る、この本で描かれたアメリカの姿は日本の将来の姿の一つのシナリオでもありますから。
●『恐怖新聞』、若い人は知らないだろうなぁ(笑)。




ということで、今週も#金曜官邸前抗議へ。
今日の午後6時の気温は20度。気持いいお天気です。上着を着なくても平気なくらい温かいですが、気分をアゲるために昨年買ったジャケットを着て出かけました。今日の参加者は主催者発表で700人。


●抗議風景


17日にも高浜4号機が再稼働するという話が伝えられています。

https://this.kiji.is/234724668572827651

再稼働は滋賀県知事は不賛成だし、舞鶴などの近接する市町村の首長も不安を口にしています。再稼働するにしても30キロ圏内の自治体との協議を必要とすべきだと思いますが、どうしてそういうごく当たり前のことがこの国では通らないのか。無関心な国民、無能な野党、方向転換が出来ない無能な経営者、責任逃れの役人と政治家、それぞれが絡まりあったのがこの有様なんでしょう(嘆息)



今日もダブルヘッダーです。共謀罪反対の#金曜国会前抗議


●抗議風景2


●大東文化大の渡辺准教授:感動的なスピーチ&コールでした。『読売勧める総理はいらない。』

●弁護士の中川さん。主催の『未来のための公共』の諸君は毎回 弁護士の人を読んで判り易い話を聞かせてくれるのには感心しています。


今日はニュースステーションのクルーも来ていて、カメラ割を必死にやっていました(笑)。


確かにちょっと難しい話題かもしれませんが世論調査を見ても、まだ共謀罪に賛成の人が多いのは驚きです。ボクが言うまでもなく、与党が『一般人は対象外』と言い張る導入の論議治安維持法の時とそっくりだし、それでなくても言論や思想の自由を脅かされるリスクが高い法律だと思います。実態は役所が自分たちのやりたいようにやるための法律なんでしょうが、国会の議論も酷いし、世論も盛り上がらない。国民のほうも言論や思想の自由なんか要らないのかなあ(笑)。まともな議論もせず、都合が悪くなったら直ぐ強行採決通す法案は秘密保護法にしても安保法制にしても、今度の共謀罪にしても国民の安全や自由を脅かすような法案ばかり。こんなことばかりやってると、まともな人、能力のある人はどんどん海外へ行っちゃうでしょう。


ま、それならそれで自業自得。どうせ将来の日本は頭の悪いアホ老人ばかりの貧乏国でいいのかもしれません(笑)。ボクは他人のことは興味ないんで(笑)、自分のやるべきことをやります。
●全国各地の抗議行動まとめ
https://twitter.com/i/moments/861495996307591169