特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『老教授の嘆きと若者の食い気』と『0222再稼働反対!首相官邸前抗議』

 雨水が過ぎて寒さが緩んできたと思ったら、花粉が飛び始めました。眼がかゆい~。
 辛かった冬ももうちょっとの我慢です。まして昨年の今頃はバカ政治家どものせいで戦争のリスクすら感じていたんですから、遥かにマシというものです。
●原宿の街角で素敵な光景を見ました。買い物中の飼い主を待つ二匹のちょっと不安気な表情には愛おしさと同時に生来の賢さが感じられます。 
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 この前、以前から時々話を聞いていた経営学の教授先生に3、4年ぶりにお会いしました。今は名誉教授になって慶應を退職していますが、75歳を過ぎても大学院で元気に講義をやっています。ハーバードでは有名なマイケル・サンデル教授と一緒だったという人です。
 その老教授(こう言うと怒られますが)がこう言ってました。

 今の日本は大きな危機にある。このままでは日本は世界で一番良い物を一番安く提供する下請け国家になってしまう

 老教授の下には海外の学生もいるし、毎年 アメリカの大学で講義もしているそうですが、中国やアジアなどの新興国からの、日本人学生より積極的で優秀な学生がどんどん増えているそうです。ただ優秀なだけでなく、自分で起業したり、組織を変革しようとしたり、金儲けだけでなく世の中を変えようとも試みている。
 その一方 日本人は政府を筆頭に大企業も、過去の焼き直しや根性論ばかり唱えている。つまり 相変わらず 他人に言われたことやモノマネに励んでいる。高度成長時代なら他社追従や根性で数字は伸びたが、今は違う。『これでは彼らに勝てるはずがない』と言うのです。

 学生云々は別にして、このままでは日本は新興国に負けて下請け国家になってしまう、というのはかねがねボクも感じていたことなので、ちょっと嬉しかったと同時に、やっぱりそうなんだ~という思いも湧きました。

 先生曰く、日本が勝てないのは個人もさることながら、組織の中に異質なものが少ない、つまり異論を唱える人が少ないから、だそうです。だから新しいアイデアが出てこない

 それはそうなんですよね。厚労省の統計不正が典型ですが、組織の中で永年行われてきたことに対して異論を唱える人がいない。確かに波風を起こさない方が当面は楽なんですけど、あとでロクな結果を生まない。

 厚労省だけでなく、自動車メーカーの検査不正や耐震ゴムの偽装、オリンパス東芝粉飾決算なども同じです。
 組織の中に異論が出てこないのは共産党はもちろん、市民運動なんかでもそうです。例えば原発に反対している市民運動や集会で即時全廃以外の意見なんて滅多に聞いたことがない。こういう同調圧力の強さは、もはや日本的病(やまいと言ってよいのかもしれません。
 


 この前、姪っ子ちゃんの二十歳のお祝いでご飯を食べに行きました。彼女が『成人式なんかくだらない』というので、代わりにお寿司を食べに行ったんです。
●食い気が炸裂する女子大生。

 エラい!と褒めたのは単なる身内贔屓ですが、良く考えたらその日テーブルを囲んでいた姪っ子ちゃんのシングルマザーの母親(ボクの妹)も、ボクも、誰も成人式なんか行ってない(笑)。同級生の同調圧力着物屋の陰謀に騙されなかったんです(笑)。

 姪っ子ちゃんがそのまま、自分の頭で考えられる人生を送ってくれればいいんですが、早くも就職の圧力が襲ってきているようだし、呑気な子でも中々大変そうです。ホントはそういうときこそ、自分なりに価値観をはっきりさせ、何を選ぶか明確にしなければいけないんですけどね。

 ちなみにボクは『社会的に悪事を働いてない(武器、原発、自然破壊など悪徳商売に関わってない)』、『潰れにくそう』、『仕事が楽そう(笑)』という基準だけで就職先を探しました。企業規模、知名度、給料は全く興味なかった。
 クラスの同級生は高給や企業規模に惹かれて大半が金融機関へ行きましたけど、『バカじゃねえの』と思ってました。彼らもボクのことをそう思ってたでしょうけど(笑)、バブル崩壊に山一ショック、ITバブル崩壊にリーマンショックで、殆どの金融機関は原型をとどめていません(笑)。彼らは今 どれくらい会社に残っているんだろうか。

 今、多くの企業は、こういうこと↓を言ってます。ルールに従うというより、ルールを造ることが出来る、自分の頭で考えられる人間がいなければ生存競争に勝ち抜けないからです。
business.nikkei.com

 しかし、日本の社会も学校もむしろ、やんちゃな人間を排除しています。
例えば、これ。全国2位の大都市である横浜市は中学校に給食がありません。手作り弁当がどうのこうの言うバカ議員が大勢いる、遅れているというより反動的な自治体ですが、子供が昼食を食べる時間まで15分以内、と指定しているそうです。
www.asahi.com

 びっくりしました。これじゃあ、自分の頭で考えられるどころか、人間を人間として扱っていない。こんな教育を受けて育てば、子供を虐待する親が出てきても不思議ではありません。

 大人どもがよってたかって、子供のお昼ご飯にまで口を出して、子供から自分の頭で考える習慣を奪おうとしている。既存のルールや組織に疑問を持ったり、納得できなければ反抗したりして、新しい物を創りだす人間が育つわけがありません。自分が抑圧されているから、他人の揚げ足取りに励む、他人を抑圧しようとするのです。

 日本のように個人の精神的・知的自立をこれほどまで抑圧する社会は珍しいのではないでしょうか。昨年 中国に行ったとき、あちらのほうが人々は自由だ、と感じましたが、それは日本社会のこういうところからきているのでしょう。

 これをどうするかと言っても、気が付いた人が一人一人、自分の場で戦うしかない、と思います。しかし、このような同調圧力は日常生活にまで及んでいますから、抵抗するのは実に難儀なことです(笑)。
 もう慣れましたけど、たまにはボクも、疲れるなーとため息が出ることもあります。波風を立てるにしても自分のやり方が下手過ぎて反省ばかりだし、たまには自分も同調圧力に加担している時もあるだろうし。
 
 呑気にお寿司をぱくつく女子大生を見ながら、この子達は大変な時代を生きなければいけないなあ、と思いました。それも彼女たちの人生ではあるけれど、ちょっと申し訳ない。
●ちなみに銀座に本店があるこの寿司屋も既に香港資本の筈です。そういう時代です。

●明日は銀座で安倍辞めろデモ『AbeOut0223』。沖縄県民投票の前日です。この様子は月曜日のブログで。



ということで、今週も官邸前へ。 #金曜官邸前抗議
今日の午後6時の気温は10度、暖かい〜。 参加者は450人。
●抗議風景



 今週 日本原電の東海第二再稼働の意向を決めたというのにはムカつきました。

 しかし、こんなニュースもありました。フィナンシャル・タイムス(FT)から転載している日経のコラムです。内容が濃いので愛読しているのですが、今回は2月7日に民主党のオカシオコルテス議員らが米下院に出した環境対策法案「グリーン・ニューディール」のことが載っていました。
www.nikkei.com

グリーン・ニューディール』はこんな内容です。
「10年以内に米国の電力需要の100%をクリーンかつ再生可能で、CO2排出ゼロのエネルギー源で賄う」
「AIを活用した省エネで分散型の送電網を新たに構築するか、既存の送電網を刷新する」
「省エネを徹底すべく米国内のあらゆる既存建築物を改修し、新築では最大限のエネルギー効率を達成する」

 これらを巨額の政府投資と規制で実現しようとするものです。数兆ドルと巨額の予算がかかるため、実現性は?がついていますし、エネルギー業界を牛耳る世界最大の金持ち、超保守派のコーク兄弟や共和党は激しい抵抗を示すでしょう。

 しかし フィナンシャル・タイムズやロイターが言っているように、
jp.reuters.com

オガシオ・コルテスなどの影響力ある議員(日本の1年生議員とはえらい違いです)や、エリザベス・ウォーレンバーニー・サンダースなど民主党の大統領候補が賛成しており、何よりも下院は民主党が多数を持っているのですから、これからアメリカ社会全体を巻き込んだ大きな議論になることは間違いありません。

 こういう野心的な目標、新しいビジョンを掲げるということが、今の日本に欠けているものです。10年で実現させた月着陸は言うまでもなく、パソコン、スマホ、インターネット、再生エネ、EU(ヨーロッパ共同体)、これらはビジョンを唱えたときは誰もが『無理』と思いましたが、スティーヴ・ジョブスなど有名無名を問わず、新しいことへの挑戦を恐れない人たちが実現させた。日本が王者だったガラケーやデジカメ、カーナビがあっさりスマホに駆逐されてしまったように、新しいルール、パラダイムを作ったものが勝ちなんです。


 日本が原発なんて時代遅れのものにすがっていると、10年後 グリーン・ニューディールでも同じことが起きるでしょう。アベノミクス(だけではありませんが)積もり積もった借金も相まって、そんなことが起きたら日本の経済自体が壊滅しかねないと思います。
 老教授が言うように、今の日本は危機状態にあると思いますが、その危機はこれからますます深まっていくのかもしれません。

グリーン・ニューディール法案のホームページ。2/25にワシントンで大規模集会をやるそうです。
www.sunrisemovement.org