特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

斬新過ぎて面白い:映画『search/サーチ』


また、食べに行ってきましたニュージーランド・ラム。9月に、マグロの赤身みたいな、さっぱりとしてジューシーなラム・チョップを食べて、早くもお代わりが欲しくなったんです(笑)。上の写真は店頭にある肉の熟成庫です。


ニュージーランドの食肉公社がやっている店だそうでファミレスみたいな感じの気楽な雰囲気です。相変らず満員でしたが客層は若かった(笑)。この日も山ほど肉を食べましたけど、さっぱりとした肉を炭で焼いただけですので、次の日の体重計も平気でした(笑)。前回もそうでしたが、これは驚きです。


肉の断面図:左から放し飼いの牛のヒレ肉、仔羊ちゃん、熟成肉



店のテラスから


それにしても 国会を見ているとうんざりですね。スキャンダルのオンパレードの閣僚は嘘と開き直り、ばかり。マスコミはくだらないスポーツニュースや弱者たたきばかりで、政治も外交もまともに報じない。夜7時とか9時とかメインのニュースでスポーツなんかやってるの日本だけじゃないんですか? 
TVの制作側も視聴者も白痴の集まりか。


ただ、あまりにもひどすぎて慣れっこになってきてしまった気もします。正直 ボク自身は段々怒る気力も無くしてしまった。こういう無関心、絶望こそがファシズムの温床だと思うのですが、これだけ酷いと、どうしてもその傾向は強くなる。でも、ただうんざりしているだけでなく、人間の気持ちの弱さを補強する『仕掛け/システム』みたいなものは知恵として考えてみても良いのだと思います。


一つは新しいもの、知らないこと、人、さまざまな新しい物を取り入れていくこと。日本のような同質性の強い、ある意味閉鎖社会に暮らしていると意識的に新しい物・多様性に触れることを考えていかなければいけないのかもしれません。



と、言うことで 新宿で映画『search/サーチ映画『search/サーチ』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

妻をがんで亡くしたばかりのIT技術者、デビッドの16歳の娘、マーゴットが突然姿を消す。行方不明として捜査が行われるが、家出なのか誘拐なのか判らない。デビッドはマーゴットのパソコンのパスワードを解明、メールやSNSにログインして、交友関係などから手がかりを探し出そうとする。しかし彼が見たのは自分が知らなかった娘の一面だった


監督は今年27歳、アニーシュ・チャガンティという人の初作品です。今年8月に全米9館で限定公開されて、大ヒット、公開規模は1200館、興収は全米4位を記録したという作品です。主役はスタートレックシリーズに出ているジョン・チョー。先日はキャストがアジア系で固められた『クレイジー・リッチ』が全米1位を記録して大きな話題になりましたが、インド系監督が作った、この映画も韓国系の一家が主人公です。問題はある国ですが、それでもアメリカは変わりつつあります。その反動でトランプのような排外的なバカが出てくるにしてもです。さて、日本はどうでしょうか。政治にしろ、経済にしろ、民度にしろ、変化があるとしたら、どんどん劣化するばかりではないでしょうか。自己責任病がその典型です。


この映画の一番の特徴は、ほぼ全ての映像がPC上の画面で展開される、ということです。それだけ聞くと画面を狭く感じたり、せせこましい感じがするかのような印象を受けます。が、映画ではIT技術者の主人公が、写真や動画などPC上のデータだけでなく、メール、フェイスブック、インスタ、YouTube、それにワッツ・アップなど日本ではなじみが薄いアプリまで、PC上の画面を次々と切り替えていきます。展開はスピーディだし、限られた画面でサスペンス場面では緊迫感が一層盛り上がります。PC画面を映像にするというのは大正解でした。


失踪したティーンエージャーの一人娘の行方を必死で探す主人公がPCで手がかりを探すうちに、娘の意外な一面に触れていきます。親一人、子一人、仲良し親子だと思っていたが、自分は娘のことを全く判っていませんでした。
●妻を早くに失くし、主人公と高校生の娘は二人で暮らしています。

警察の捜査担当官は息子を育てるシングルマザー。子供を一人で育てる親同士、気持ちが通じるはず、と思いましたが!(笑)
●捜査担当(左)はシングルマザー、娘を案ずる主人公に献身的に寄り添います。


ネタバレになるので、お話はこれ以上書けません(笑)。派手なアクションシーンがあるわけじゃありませんが、次から次へとスリリングな展開が待っています。残酷なシーンがないのもボクは好き(笑)。お話はすっごく面白いです。全く退屈しない。
●お話は常にPC画面のアプリの中で展開されます。
 
●疾走した娘の足取りを追って友人を探すのもフェイスブックだったり、PCのテレビ電話の中です。


この映画が特に優れているのは、ジェットコースターのようにくるくる展開する脚本、スリリングな画面展開、一人娘を必死に探すオヤジのジョン・チョーのブチ切れ演技。あと、感心したのが、ただのサスペンスには終わらず、現代の社会、マスコミやネットに対する批評性を盛り込ませていること。ネット社会が下劣なのはアメリカも日本と同じなんだな〜と変なところで感心したりもしました。
●悲劇のただなか、TVのワイドショーが主人公に殺到します。


後味も悪くありませんし、凄く面白い、少しだけ皮肉が混じったエンターテイメント。監督デビュー作でこんなに完成度が高い、というのはどうなってるの??結構 公開規模も大きいようですし、地味な印象にめげずに見てみると、これはとても面白い、一見の価値がある作品です。