特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

講演会『デジタルが拓く未来』と『1102再稼働反対!首相官邸前抗議』


早くも11月。あんなに暑かったのがウソのように(笑)、そろそろ衣替えです。街にはもう、イルミネーションが光っています。いくら電力消費量が少ないLEDとは言え、311当時の節電はどこへ行ってしまったのでしょうか(笑)。ネオンが消え照明がまばらな当時の街も、ボクは結構良かった、と思うんですけどね。



今回は 直ぐ目の前に来ている未来の話です。
先日 『デジタルが拓く未来』と称する講演会へ行ってきました。毎年、シンクタンク野村総研が開いているものです。

昨年の講演会はアメリカの未来学者、ジェレミー・リフキン氏が『これから、再生エネルギーがどんどん安価になる。原発は日本の負の遺産』と経済界を中心とした聴衆の前で断言してました(笑)。
それまでは再生エネって、どちらかというとマイナー、怪しげな話だったと思いますが、たった1年でNHKや日経などで大きく取り上げられるようになりました。かっては太平洋戦争の敗戦を事前に予測し(それで野村証券は大儲け)(笑)、今は役所が出す白書や報告書を作ってる会社ですから、それなりに影響力があるんでしょう。

スマート・ジャパンへの提言―日本は限界費用ゼロ社会へ備えよ

スマート・ジャパンへの提言―日本は限界費用ゼロ社会へ備えよ


今回はその続きです。コンサル出身で自分が話したくてしょうがない(笑)、同社の社長の講演の内容をご紹介します。言葉は平易なものに置き換えています(笑)。青字が講演内容です。
●同社の調査では、経済の低成長にもかかわらず、近年 生活者の生活実感は改善している。スマホなどデジタル化の進展で、生活の利便性が高まっているからではないか。

→これと同じことは昔 古市憲寿が言ってましたが(笑)、確かに利便性という点ではそうだと思います。ボクも昔は珍しいCDや本を探すのに半日かけて渋谷や新宿の裏町を探しましたけど、今は検索してクリックするだけ。
確かに日本経済は成長してないし、実質賃金も20年下がり続けていますが、デフレとデジタル化でかろうじて我々の生活は成り立っているわけです。


●一方 産業界ではデジタル化による既存産業の破壊(ディジタル・ディスラプション)が進行しつつある。これには良い点、悪い点があって、例えば自動車産業なら自動運転やEV、シェアリングで販売台数が減少する可能性は高いが、保険や自動運転、配車サービスなど新たに生まれる分野まで考えると市場が大幅に拡大する可能性もある。


●アマゾンやグーグルなどデジタルのプラットフォームを握る企業が時価総額のトップになりつつある。アマゾンやグーグルのような企業はプラットフォームによる利益があるため、物はいくらでも安売りできるので、小売業など既存の産業に対して強い競争力を持っている。

→ただ普通の物を売るだけの産業、小売業とか卸売業は世の中から消滅する可能性は高いんじゃないでしょうか。余程マニアックなものを売るか、買い物の楽しさやアドバイスを提供できる店か、出来立ての食べ物やサービス(美容院やクリーニング)以外は、それこそアマゾンで全て済んでしまいます。他にもなくなる職業・産業は沢山出てくるでしょう。
これはしょうがない。消費者にとっては便利なんだから。



●現在は資本主義自体が、労働力と資本家によって成り立っていた「産業資本主義」(『モノの販売』、『労働力』、『企業の利益』が基本)から、プラットフォームによる「デジタル資本主義」(『モノではなくサービス』、『労働力ではなくデジタル』、『企業ではなく、消費者の利益』)へ移行しつつある段階ではないか。
→ある日突然 世の中が『デジタル資本主義』に代わるのではなく、数十年かけて従来の資本主義が衰退して、デジタル資本主義に置き換わる。気が付いたら世の中が全く変わっていた、ということだと思います。これはリフキン氏や水野和夫氏も指摘していることです。


●デジタル化には『フィルターバブル』(自分と同じ意見にしか触れようとしない)、『エコーチェンバー』(同じ意見を何度も聞くうちに、それを信じ込む)というリスクがあり、悪い方向へ行けば民主主義を危うくする可能性もあり得る。

デジタル化がもたらす思考の過激化は、今週10月29日に放送されたNHK『クローズアップ現代+』の『ネットに煽られた約1000人のネトウヨが大挙して弁護士に懲戒請求を申し立てたところ、実名がバレて(笑)逆に業務妨害で訴えられて窮地に陥っている(笑)』という特集でも取り上げられました。なぜ起きた?弁護士への大量懲戒請求 - NHK クローズアップ現代+


この話、ネトウヨがジジイばかりだったことが判った、ということも含めて、数か月前から話題になっています。

往々にして人間は耳に心地よい、自分と同じ意見ばかりに触れようとするものです。この番組で紹介されていたのは、例えば 定年後の暇なジジイがネットでネトウヨの意見に触れ、それだけに夢中になる(フィルターバブル)。


更にネットのリコメンド機能で同じような意見にばかり触れることで、更にアホが増幅される(エコーチェンバー)。


そしてもともと足りない脳みそが崩壊、被害妄想のうわ言↓を呟く廃人になっていくというものでした。

(以上は10/29,クローズアップ現代+より)
これはネトウヨだけの話ではなく、右でも左でも脱原発でも宗教でも同じことが起こり得ます。おしどりマコ堤未果を真に受けてる奴なんてまさにその状態です。フェイスブックのデータを悪用してBrexitやトランプへの投票を誘導したマーケティング会社ケンブリッジ・アナリティカが良い例で、デジタルは民主主義を危うくする可能性もある


●将来の資本主義の姿はいくつかのシナリオが考えられる、
(1)デジタルによって資本がより一層強くなる「純粋デジタル資本主義」(例.中国)、
(2)デジタルが資本と市民のシェアリング(コモンズ)を強化する「市民資本主義」、
(3)デジタルが市民のシェアリング(コモンズ)を強化する「ポスト資本主義」(リフキン氏の『限界費用ゼロ社会』)。
(1)は民主主義と両立しないディストピアだし、(3)はユートピアに過ぎる。我々が今後目指していく方向は資本を強化しつつ、新しい形の市民社会を構築していく(3)の「市民資本主義」ではないか。

→幾つかのシナリオで考えるのは良いですよね。未来は必ずしも一方向と決まっているわけではありません。例え資本主義が限界に来ているとしても、その後 バラ色の未来が自動的に訪れるわけではない。人口が減っていくとか、デジタル化が進むという大きな流れは変わらなくても、将来は色々なケースがあり得る。
●デジタル化による資本主義の未来シナリオ。彼らが柄谷行人の意見を基に作った図にボクが講演の内容を付け加えたもの。

普通に考えるとデジタル化が進むことによって、格差は広がります。従来の資本主義、つまり物を作って売るという行為は時間がかかります。一方、デジタルは拡散が広く早いですから、勝者は莫大な富を握る傾向にあります。アマゾンやグーグル、マイクロソフト、枚挙にいとまがありません。
そしてテクノロジーを利用して、国民を徹底的に監視できる。中国が良い例です。昨年行った大連でも、あちらの人は絶対に信号無視をしませんでした。信号機ごとにカメラがついていて、違反者の顔をAIで認識、交通違反切符が自動的に送られてくるからです。
●中国は2000万台以上、イギリスは600万台以上の監視カメラが既に設置されています。小説『1984』のような暗黒世界、ディストピアはもう、目前まで来ている。



デジタル化とそれに伴う社会の変化は避けることは難しいでしょう。良いことだけじゃなく、小売や卸など既存の産業を破壊したり(デジタル・ディスラプション)、人々の間の格差を拡げたり、監視社会が強まったり、人々を過激化させて分断を広げたりするなどのリスクも大きいかなり大きい
●講演内容の元ネタ。

デジタル資本主義

デジタル資本主義


でも、希望はない訳ではありません。デジタル化は余っている資源を人々が効率的に共有するシェアリング・エコノミー再生エネルギーなどの活用にもつながります。人種や性、貧富に関係なく人々が意見を直接出し合うデジタル民主主義というものも考えられない訳でもない。優れた教育、もしかしたら医療も安価に提供することは出来るでしょうし(しょうもない大学は潰れるし、無能な教師は失業でしょうけど)地産地消地域通貨などで地方経済を回していく、リフキン先生が言う様に再生エネルギーを効率的に活用して費用がゼロに近づくことも期待できる。


唯一 厳しいのは政治です。特に日本は与野党ともに全然ダメじゃないですか(笑)。また投票率の低さなど国民も全然他人事(笑)。個人個人はわからないけど、日本という国全体では見通しは超暗そうです(笑)。


結局 気が付いた人が少しずつ自分の生活を変えていくことこそが、限界に達しつつある資本主義の世の中をよりマシな方向に向かわせる、と思うんです。例えば男が家事をやるとか(笑)。当たり前のことだけど、日本の現状を考えれば これが、もっとも革命的なテーゼじゃないの。




と、いうことで、今週も官邸前へ。#金曜官邸前抗議
ちょっと風は冷たいけど、秋晴れの気持ちの良いお天気でした。午後6時の気温は17度、参加者は550人。
来週は11日の日曜に大規模抗議があるので、金曜の抗議はお休みです。今日はその分まで抗議しておく(笑)。

●抗議風景『東京電力ふざけるな!』


今週30日、業務上過失致死罪に問われている東電の元会長、勝俣恒久の被告人質問がありました。

東電元会長「責任は現場にある」 旧経営陣強制起訴 - FNN.jpプライムオンライン


勝俣は「原発の安全は、一義的に現場が全て行うので、責任も現場にある」と答えたそうです。言いかえると『俺は会長として高給をもらってたけど、責任は取らんぞ』ということです。これについては昨日、11/1付けの中国新聞の社説が言いつくしていると思います。


【社説】東電の旧経営陣裁判 誰も責任負わないのか


安倍晋三を見習っているわけではないでしょうが、勝俣も旧日本軍の多くの将軍と同じで、責任は部下や同僚になすりつけ、自分は保身に明け暮れているオリンパス東芝、その他 各種のデータ偽装、こんな連中が最高責任者じゃ組織がまともに動くわけがありません。
勝俣恒久は今も四谷の豪邸に住んでいて、徒歩1時間近くかかるボクの実家近くまで時々散歩に来るそうです。良くもぬけぬけとお天道さまの下を歩けるな。こういう社会のリーダー層のモラル・ハザードは日本の衰退を象徴していると思います。ほら、言うじゃないですか。魚は頭から腐るって。