特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

新宿アルタ前街宣『#私は黙らない0428』と映画『ダンガル きっとつよくなる』

今日で4月も終わりです。つい、この前2018年になったと思ったばかりなのに。
花粉も減ったし、陽の光の強さと新緑の香りも感じる気持ちのいい気候です。こういう季節がずっと続けばいいのに。連休もずっと続けばいいのに(笑)。
駒沢公園の新緑


●一方 アベノミクスはひっそりと終了(笑)




この 土曜日は新宿アルタ前の街宣に行ってきました『#0428私は黙らない


昨年 安倍と懇意なTBS元支局長、山口敬之のレイプ疑惑がもみ消された問題、また最近もセクハラ事件を起こした財務省前次官の福田が謝罪もせず事実関係も明らかにしないまま、5300万の退職金が僅か100万ちょっと削られただけという極甘な処分のまま自主退職したばかりです。勿論、全くふざけた話です。


事件自体が許し難いのは勿論ですが、もっと問題なのは日本の社会は被害者を庇うどころか、被害者のせいにする風潮があることです。日本はまだまだ男性社会であるにしろ、公的には性差別は許し難いこととなっている、とボクは思っていました。しかしそうではなかったことが最近 よくわかりました。ネットに沸いている、社会不適合者の貧乏くさいバカウヨの蛆虫どもだけではありません。
『記者を男性にしろ』という麻生の発言、経団連会長、東レの榊原の『女性記者をマンツーマンで会食などの取材に行かせなければよい』という発言が失言にならないというのはまったく信じられない話です。後者についてはあまり取り上げられませんが、接待や会食などで誤解を招かないよう注意するのは女性だけでなくお互いの問題です。ある程度社会的地位があるグローバル企業の人間が、女性の側にだけ責任を転嫁するのは全く信じがたい話です。



ボクがこの問題になぜ怒っているかというと、誰もが普通に感じるであろう、身内がそういう扱いを受けたらどう思うか、ということだけではありません。結局、性差別はボク自身の自由を脅かす問題だからです。


野球もゴルフも酒も大嫌いなボクは、いわゆる男らしさ、男社会の慣習?なんか実にくだらないと思っています。仕事が終わっても飲みにも行かず、休日にゴルフもしない、『今日の夕飯 何に作ろうかなー』と言って、定時を少し過ぎたくらいで毎日さっさと職場を後にするボクを奇異の目で見る人もいないわけではない(笑)。いわゆる『男社会』(煙草を吸う場所や飲み会で重要事項が決まる空気。トランプ言うところのBoy's Club)を鼻から無視しているわけです。ニコっと笑って喧嘩売ってる(笑)わけです。バカは相手にしてないから(笑)それはそれで構わないんですが、やっぱり外人扱いされているような難しさはないわけではない。やっぱり不愉快(笑)。他人にボクのやることを決めつけられるのはゴメンです。


かといって、怒っている女性ばかりがいるような集会もいたたまれない感じがする。フェミニズムには賛成だけど、男だからと言って罪悪感を感じさせられるようなのも間違ってると思います。逆の意味でもボクはボクなので。でも、こういう場に男が参加することも大事なので頭数になりに行ってきました。


今回のイムリーな街宣は元SEALDsや『未来のための公共』の子たちの『有志』が企画しています。定刻の4時過ぎには人々が三々五々集まってきました。最初は数百人くらい、スピーチに足を止める人も含めて段々と増えて参加者は1000人くらいにはなったと思います。


いつもの集会とは違い、司会の子から『前の方の参加者は座ってください』という指示がありました。いつものようにラップ調のコールはなく、今回の街宣はスピーチが主体だったからです。


マイクを持ったのは大学院生、高校生、元SEALDsの子(男女)、雑誌編集者、セックスワーカーの援護活動をやってる人、主婦、同性愛の啓もう活動をしている子、フェミニスト、様々です。あと女性ラッパー(ラップというのはストリートに近い反面、元来 男性優位主義、マチズモが強い世界です)や、今はアメリカにいるという伊藤詩織氏のメッセージの代読もありました。性犯罪の被害を受けた子の話を聞くと、自分が男であることが恥ずかしくなります。齢をとるにつれ感性が鈍ったのか、賢くなったのか、そういう自責感は若い時よりは減ってきたのですが、久々に感じてしまった(笑)。高校生の子が言ってましたよ。『性差別は別に難しい話じゃありません。ただ、人が嫌がることをしない、ということだけです』って。高校生にこんなこと言わせるなんて、実に情けない。ったく、ざけんなよ。




●敢えて写真は撮らなかったのですが、共産党参院議員の吉良ちゃんと池内しおり氏が出番はなくても、後ろのほうで黙ってスピーチを聞いていたのが印象的でした。ボクは共産党はバカだと思っていますが、こういうところは評価できる。




スピーチの内容は個人的なことが色濃く表れたものが多かったので、ここでは敢えてあまり触れないでおきます。ちょっと泣きそうになった。特に元SEALDsの福田さんのスピーチは聞くのが辛かったけど、それに負けないリズム感あふれる彼女の文体にはマジで感心しました。才能ある。スピーチに関心がある人は『未来公共』tweet未来のための公共 (@public4f) | Twitterを追ってもらえればいい。それぞれが、自分なりに賢明に生きていようとする、感動的なものが多かった、ということだけは書いておきます。マスコミが街宣を取り巻いていましたが、カメラを持ったマスコミの女性記者(共同通信時事通信)が取材を忘れて?スピーチに大きな拍手をしてたのが印象的でした。


セクハラ:「私は黙らない」新宿駅前で抗議集会 - 毎日動画



ということで有楽町で映画『ダンガル きっとつよくなる映画『ダンガル きっと、つよくなる』公式サイト

レスリング選手だったマハヴィルは、生活のためにオリンピック選手へのら道を断念し、生まれ故郷の地方の村で若者を育だ成していた。彼の夢は息子を金メダリストにすること。しかし、生まれてきた4人の子供は全員 女の子だった。絶望に暮れる彼だが、ある日、長女と次女が、男の子をボコボコにやっつけたのを見て、二人をレスラーにすることを思いつく- - -


インドの国民的俳優と言われるアーミル・カーンが主演した『きっと、うまくいく』、『PK ピーケイ』という2本のインド映画はボクにとって心のいか宝物のような作品でした。思い切り笑って、驚かされて、泣かされる、これらの作品は世界的にも大ヒットしています。

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PK ピーケイ [Blu-ray]

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世界最大の映画大国インドで興行記録を作った、これらの作品は『バーフバリ』に興行収入は抜かれてしまいました。『バーフバリ』も面白さだけなら生涯ベストクラスの呆れかえるくらい超面白い作品でしたので文句はありませんが、その興行記録を抜いたのがアーミル・カーンが主演した、この『ダンガル きっとつよくなる』です。
今回の映画は主役のマハヴィルと長女のギータ、次女のバビータの二人は実在の人物だそうです。この二人はインドで初めて女子レスリングにメダルをもたらしました。

でも、ボクはスポーツものは苦手です。自分で体を動かすのは嫌いじゃないですが、他人がやってるのなんか全く興味ない。アーミル・カーンが出てなければ、絶対見に行かない。


映画の前半は、マハヴィルがレスリング選手をあきらめるまでの顛末、諦めてもレスリングが大好きで息子をレスリング選手にしたいという夢を抱き続けるありさま、だけど女の子しか生まれない、これらがユーモラスに、テンポ良く描かれます。
●マハヴィルを演じるアーミル・カーンは壮年期からでっぷり太った老年期まで体重を30キロも増減させたそうです。

嫌がる二人の娘に猛特訓を続けるマハヴィルはまるで星一徹かという感じです。おまけにインドはまだまだ男社会。女性は家事か結婚して子供を産めばいいという風潮が強い。刈り上げられた頭で土の上でレスリングの特訓をさせられる姿に村人は呆れかえり、嘲笑します。もちろん怖ーいマハヴィルがいるので、面と向かっては言いませんが(笑)。
●トレーニングと言ってもインドの田舎です。設備もなくすべて土の上です


女優さんたちの演技は素晴らしいです。ボクはレスリングのことは良くわかりませんが、本当にやってるぞ、というのが判ります。土の上のレスリング大会で男相手に戦う姿に対して、観客の嘲笑が次第に感嘆の声に代わっていくシーンなんか見事な説得力がありました。素晴らしいです。この身体演技の素晴らしさは娘たちが大人役に代わっても続きます。文字通り手に汗握ってしまいました。
●ギータ(中央)はオヤジに髪の毛を切られて、土の上で行われるレスリング大会で男と闘わされます。



この映画で最も素晴らしいのは、ただレスリングをやっているだけではない、というところです。
子供時代の娘たちはレスリングなんか嫌で嫌でたまりません。しかし結婚が決まった14歳の同級生に『うらやましい』と言われます。同級生は姉妹にこう語るんです。
私たち インドの女の子は子供を産む道具と同じ』、
私たちには家事をやらせられるか、早く結婚して子供を作る人生しかない。レスリングをやらせてくれるあなたたちのお父さんは、本当にあなたたちを愛している。未来を考えてくれている
ガーン。


そして、クライマックスの試合の前、父は初めて本音を娘に語ります。
お前はメダルのために戦うのではない。家事と結婚しか未来がないインドの大勢の女性のために戦うのだ

ガーン。ガーン。
こういわれると、この映画を全面支持せざるを得ません(笑)。感動的です。


アーミル・カーンは今まで大学生を演じたり、素っ裸の宇宙人を演じたりしてました。今度は筋肉を作って元レスラーの筋骨隆々猛烈オヤジから、贅肉がだぶついた髪の毛が白いジジイ姿までを演じています。見事な変身ぶりです。大げさなものは見せずに感情をうかがわせる渋い無言の演技は文字通り泣かせます。でも時折動く濃い眉毛が面白い(笑)。アーミル・カーンはやっぱり超名優です!

●サントラも笑えて痛快でカッコいい!

ダンガル きっと、つよくなる

ダンガル きっと、つよくなる


個人的には題材がスポーツなので『きっとうまく行く』や『pk』ほど、感情移入は出来ませんでしたが、笑って、手に汗握って、泣かせる、素晴らしい映画であることは間違いありません。音楽も良いです。サントラ買っちゃいました。間違いなく面白くて、間違いなく感動する。世界的に大ヒットしたのも当然です。名作です。

ルさn