特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『大連旅行記(日本の脅威は日本人)』と『1124再稼働反対!首相官邸前抗議』

TVでも各地の冬支度のニュースが流れるようになってきました。11月も終わりかけています。時の過ぎる速さはまさに、『えー』という感じです。
●日本人の知的劣化の速さも『えー』という感じで進んでいます




今週は 仕事で中国の大連へ行ってきました。ボク自身は出不精、面倒くさがりなので、仕事でもプライヴェートでも、そんなに海外へ行きたいとは思いません。行く前はかなりユーウツになります。でも毎回 行けば行ったで、勉強になって良かったなと思います。今回もそんな2泊3日でした。

初めて行った大連は日清・日露戦争の舞台となった旅順を含む港湾都市南満州鉄道の本社があったところです。日本人が設計した大連駅は旧上野駅のデザインを模しています。


習近平に失脚させられた薄熙来が長らく市長を務め、近年は外資を導入して著しく経済発展が進みました。ただ外資を導入するのではなく、早くからITやハイテク関連に絞って誘致を進め、市内に理系の大学を沢山作って優秀な人材を供給しています。中国では農民工と言って農村部と都市部の戸籍差別が問題になっていますが、大連は農村部の人がハイテク企業に勤める場合は都市部の戸籍も与えているという話も聞きました。優秀な人が集まるわけです。
強引ではあるけれど、失敗続きの日本の地方興し、地方創生と比べると圧倒的に賢いと思います。日本の原発立地みたいに補助金にたかりながら地域の人が子々孫々下請けに従事するんじゃなくて、大連では教育を受けた地域の人が誘致した企業の幹部になっていきます。補助金乞食に甘んじる日本の原発立地と大連の自主自立の精神とはまさに雲泥の差です。


今 大連は多くの日系企業や欧米企業の一大拠点となっています。誰もが知っている日本企業の業務だけでなく、電話や証券などのインフラ系業務、日本政府の白書に載せる資料の作成までこちらで行われている。ボクが訪問したドイツ企業に至っては大連を日本を含めたアジア全般のサービス拠点にしています。
●大連政府はこのようなビルを何十個も作って外資系IT企業を誘致しています。

上海や北京、深せん、重慶などと比べると地方都市という先入観があったのですが、行ってみるとこんな感じです。


大連の人口は約700万。地方都市どころか、横浜と大阪を足したくらいの大都会です。でも中国には人口1000万以上の都市がいくらでもあるのですから、向こうの基準ではそうではないのかもしれませんが。
●そこいらじゅうにタワーマンションをバカバカ作っています。10や20といった数じゃありません。100や200でも足りないかも。


●泊まったホテルの部屋からは全長7キロの星海湾大橋が見えました。夜はLEDで何色にもライトアップされます。これだけのものを作る技術があるわけです。




行きの飛行機は北朝鮮を殆ど掠めて飛んでました。一瞬 大丈夫かとも思いましたが、誰も心配しているようなところはありません。まあ何かあれば中国が黙ってないでしょう(笑)。中国のTVでも北朝鮮問題はトップで扱われていました。アメリカ大使を出演させて、とにかく平和的解決に努力する、とかやってました。日本の論調とは全く違います。今や日本のマスコミは共産党政権以下でしょう。日本に戻ってNHKをつけたら相撲協会のデブの暴行事件がトップニュースですから、さすがにバカすぎる。マスコミだけでなく民度という意味でも、この差は大きい

 



改めて思ったのは『あちらの人の方が日本人より一生懸命』、ということです。ボクが話を聞いた中国の人たちは仕事は極力 定時で上がって、そのあと勉強しています。大学にMBAを取りに行ったり日本語を勉強したりしている。日本人のようにダラダラ残業したり、ほぼ毎日飲みに行って会社の愚痴をこぼしたりなんてことはしない。もちろん全員じゃありませんが、中国でもベトナムでも、そのように向上心のある人はかなり多い。特に女性はそう。


日本のTVでは日本万歳、日本サイコーなんてやってますが、こんな調子では、長い眼で見て どちらが勝つのか、言うまでもありません。ボクが訪問した企業は中国人従業員の約3割が修士卒、6割が日本語を話せます。ついでに管理職は女性ばっかり(笑)。中国企業でも女性が幹部に登用されている例は多いと思います。


今や日本の仕事はどんどん海外へ流出しています。でも日本語や日本の資格まで取得して一生懸命に仕事をしている人たちを見ると仕方ないと思ってしまいます。同じ仕事ならコストが優位な方へ行くのは当然、かつて日本の企業もそうやってシェアを取っていったのですから。
我々がもっと自由に頭を働かせて、付加価値のある仕事を作っていかなければ、10年か20年かしたら、日本の企業や労働者の多くは中国や新興国の下請けになっているか、国内で食えなくなって海外へ出稼ぎに行くようになるかもしれません。実際 戦前はそうだったのですから。


あと、もう一つ。今回は街中に共産党のプラカード、宣伝が目立ちました。最初は習近平の政敵だった薄熙来元大連市長の影響力を削ぐためかと思ったのですが、あまりにも多いので、そうでもなさそうです。こういうことは胡耀邦の時代にはなかったことです。富強はともかく、スローガンで自由や平等を謳っているのは笑っちゃいますけど。
●1枚目 空港、2枚目以降は街中のスローガン。



その割に中国人って自由なんです。信号にはAIで顔を判別する監視カメラがついてますから車は信号を厳守しますが、歩行者は信号を守りません(笑)。お年寄も身障者も車がびゅんびゅん走る大通りを平気で渡っていきます。こういう風に(写真の右側)(笑)↓

走っている車はクラクションを鳴らしながらバンバン割り込んできます。それに対して誰も怒らない。ただ自分はここにいるぞという感じです。ボクが載ったタクシーは街中を100キロ近いスピードでぶっ飛ばしながら、前の車がブレーキをかけると、更にアクセル踏んで車線変更してました。怖かったー(まともな運転手さんも居ました)。


確かに共産党を批判する自由はありませんが、それでも中国人は日本人より自由に見える。仕事でも自分の意見や主張すべきところは主張するし、思ったこともはっきり言います。自分のキャリアにも自覚的です。飲みに行かなきゃいけないとか組織内の空気を読むことなんかしない。もちろん中国にもわいろや利権はありますが、それはメリットがあるからです。日本のように権力者のご機嫌取りで、自分から物事を忖度したり、自主規制するなんて彼らに考えられないのではないでしょうか。
●駐車場には高級車も多いですが、停め方は前後左右バラバラです(笑)。


ほんの2泊3日の旅、限られた場所を見て限られた人と話しただけですが、非常に考えさせられる経験でした。ボクがお会いしたのは主にホワイトカラー=中産階級で、2億人とも3億人ととも言われる農民工の人たちとも違うし、わいろを要求する役人や警察とも違います。ちなみに空港の警官はリンゴをかじりながら警備をしていましたが(笑)、街に出ると電子マネーの嵐です。大連の街中で大声で喧嘩している汚いおっさんとオフィスで働く若い人とは服装や考え方が明らかに違います。若い人は考え方も感性も我々と変わりません。ただ 社用車の運転手のおっさんが車内で掛けている音楽は、ジグ・ジグ・スパトニックみたいな中国版テクノ歌謡ロック→テレサ・テンみたいなオリエンタル・ムード演歌→沢田研二の『時の過ぎ行くままに』の中国語大合唱(間奏はキング・クリムゾン風)の繰り返しで、さすがに頭が痛くなりました(笑)。
ジグ・ジグ・スパトニック。昔懐かしいイギリスのバンドです。音楽はこのジャケットそのまんま。ご参考まで(笑)



結局 日本の衰退って日本人自身がもたらしていると思いました。日本の最大の脅威は北朝鮮でもなければ中国でもない、日本人です。男も女もパワフルで前向きな中国の人と比べると良くわかります。日本人は後ろ向き、内向き、現実を見ないで他人の足を引っ張るばかりです。やらないことの言い訳ばかりで、総理大臣や役人は内向きの嘘ばかりついてごまかそうとする。バカな国民は無関心で現実をみようとしない。少子化や産業構造の変化への乗り遅れを見て見ぬふりをする。ま、後ろ向きという点では自分も反省しなければいけないんですが(笑)。久しぶりの海外で2泊3日と言えども少し疲れました。が、非常に勉強になった3日間でした。

●朝陽を浴びながら海岸線を散歩する人が大勢います。幸せそうな光景です。





と いうことで 今週も官邸前抗議へ  #金曜官邸前抗議
大連も寒かったですが、東京も寒くなってきました。今日の気温は11度。もうコートの季節です。
中国にはこういう抗議をする自由はないわけです。日本に残されている数少ない美点はそういうところかもしれない。それを生かさなければ中国共産党の政権下にいるようなものです。今日の参加者は500人。
●抗議風景





今日 日本原電が40年を迎えた老朽原発、東海第二の運転延長を申請しました。311の時はあと数十センチ水位が高ければ電源を喪失して大事故が起きるところだった原発です。周囲30キロの人口は約100万人です。もちろん、それだけの人を避難させる計画などあるわけがありません。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171124-00000021-asahi-bus_all
東海第二を動かさなければ日本原電の経営が傾く、とのことですが、そんなことは知ったことではありません。原電の経営と100万人の命をリスクにさらすのとどっちが重要か、というのは誰にでも判ることだと思います。そんなことすら判らない人もいるのですから日本人の病は深いようです。日本の脅威は日本人、東海第二の再稼働はまさに、それを示していると思います。