特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『電力システム改革』のパブコメと映画『ネオン・デーモン』

このまえ 豊洲にあるキッザニアと言うところへ行ったんです。子供に遊びながら就労体験をさせる、一種の遊園地みたいなところです。小さな子供たちがユニフォームを着て、仕事のマネごとをやっている姿は超可愛かった。親たちも夢中になって写真を撮っている(笑)。
●今揉めている(笑)豊洲辺り:環境基準がどうのこうの言ってますけど、辺りには山ほどマンションがあります。表面上は綺麗な再開発地域です。ボクはほぼ初めて来ました。


                
で、気になったのは、写真を撮っているお母さんたちが殆ど全員、おんなじような感じだったこと。ちょっと知的そうで、教育熱心で、小奇麗にしている。それなりの値段がしそうなお母さんたちの服も似たような感じ。それはそれで悪いことじゃないけど、み〜んな同じ感じです。これにはかなり違和感があった。確かに高い入場料を払って子供をこういうところへ連れてきているというのは、特定の層ということになるのかもしれない。特定の層の子供たちはこうやって楽しみながら質の高い?教育を受ける。それはそれで仕方がないことかもしれないけれど、日本では普段あまり目に見えない『階級』というものがこんなところに顔を出しているんでしょうか。子供たちの笑顔から格差は広がっていく。少し考えてしまいました。
●子供のときのボクの夢は電車の運転手さんでした!いいなあ。ボクもやりたい。



それにしても 寒いですね〜。昨日など昼間歩いていても手袋が必要なくらい、まさに凶暴な寒さです。大雪が降ってた地域もあるみたいで、TVを見たら京都?かどこかの女子マラソンは前も見えないどころか、走っている選手の頭の上にも大雪が積もっている始末。笑いごとじゃなくて、こういうのが人権侵害だって言うんです。ボクは日本人が嬉しそうに甲子園とかを見ている間は日本には民主主義は根付かないし、ブラック企業も無くならないと思います。元プロ野球選手、今 東大の桑田真澄氏の研究によると日本のスポーツ界は軍隊帰りの連中が指導者になった例が多く、水を飲むなとか、丸坊主にしろとか、訳の分からない精神主義が未だにはびこっているのはその影響が大きいそうです。オリンピック委員会の役員がビジネスクラスで、肝心の選手をエコノミーで遠征させたりするのなんか、上層部だけ楽して現場に負担を押し付けた昔の日本軍の発想そのもの、でしょう。このバカ・マラソンもその典型こんなことやってるから日本はダメなんですよ。今回は事故は無かったから良いようなものの、こういう非合理的な発想がまかり通ってしまう。誰もおかしいと思わない。

                                    
さて、合理的でないと言えば、東芝がまさに潰れそうな状況ですけど、NECと合併させて生き残ろうという案があるそうです。共にメインバンクは三井住友ですから、そのあたりの発想でしょうか。案の真偽は判りませんが、どんどんバラしちゃう(笑)。でもNECだってそんなに体力があるわけじゃありません。東芝の主力は原発半導体、NECでも半導体だけならともかく、原発部門は引き取りたくないでしょう。一方 東芝原発だけ残されても、会社は立ちいきません。まさに国策企業の断末魔という感じです。旧ソ連や中国の国営企業を思い起こさせます。やっぱり日本って社会主義なんだ〜(笑)。こういうのを見てるとカネがすべての新自由主義のほうがまだマシに見えてしまいます。少なくとも日本のような非合理的なムラ社会よりは自浄能力がありますからね。自業自得とは言え、10万人以上もいる東芝の従業員が気の毒です。相場の2倍以上というアホな値段でWHを買い、どうにもならなくなって不正会計に走った東芝の上層部は責任取らないんだろうし。この無責任さも典型的な日本軍の発想です。


無責任と言えば、福島の賠償不足額を電力会社以外の新規参入業者(東京ガス自然エネルギー会社)に押し付け、強いては我々に賠償を押し付けようとする経産省の案に対するパブコメの締め切りが明日17日に迫っています。ふざけるなって言うの!
とりあえず、ボクは以下のように書いて出しました。文章は堅苦しくて恐縮ですが、コピペしていただいて結構ですので、福島の賠償を負担するのが納得できない方は是非パブコメの提出をお願いいたします。
パブコメ提出先パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
************************************
【ご意見】
<該当箇所>
原子力事故に係る賠償の備えに関する負担の在り方(中間とりまとめのP17)

<意見内容>
賠償への備え(過去分)をすべての需要家が負担する、というのはおかしい。不足分が生じたのは制度上の不備を生じさせた政府及び経産省、更に福島の事故を起こした東京電力の責任である。『賠償への備え』の過去の不足分は原子力事業者が全て負担すべきである。

<理由>
・制度上の不備や原発事故とは無関係で何ら責任がない原子力事業者以外の需要家が過去分の賠償への備えを負担するのはおかしい。かえって事業者間の公平性を損ねることになる。
・新規に電力市場に参入する事業者にまで賠償負担を要求するのは、事業者の新規参入を遅らせ、市場の活性化を妨げる。その機会ロスまで国民負担になってしまうばかりか、我が国全体の競争力を損ねることにもつながってしまう。



●とうとう、メタリカもBABYMETALに陥落@ソウル(笑)

●ボクは仕事で行けなかったんだけど土曜日 渋谷では反安倍のデモが行われました。参加者2000人。このプラカード、当然だよね。

●デモを伝える毎日新聞の記事デモ行進:東京・渋谷で「安倍政権NO!」 - 毎日新聞







ということで、六本木で映画『ネオン・デーモン

ジョージア出身の16歳の女の子ジェシーエル・ファニング)が大都会LAにやってきて、華々しいファッション界にデビューする。天涯孤独な彼女だが、次第にモデルとして頭角を現していく- - - - -

                                     
ドライブ』で衝撃を与えたニコラス・ウィンディング・レフン監督の新作です。これは見に行かなくてはいけない。『ドライブ』はボクの2012年のベスト12012-04-23 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)です。殆ど台詞がない映画。夜のLAでライアン・ゴスリング演じる主人公が若妻を救うために、ひたすらギャングを殺し続ける。殺すのではなく、ぶち殺し続ける。けだるくて、スタイリッシュで、無慈悲で凶暴な、純愛。耽美的な美しい画面と超カッコいい音楽、その中に血なまぐさい暴力が存在する衝撃作でした。暴力ものはボクは嫌いですが、映画自体の美しさにどうしても惹かれざるを得ない、そんな映画でした。

ドライヴ

ドライヴ

                                             
今回の『ネオン・デーモン』は日経の映画評では4つ星、かなり高い評価をしつつも『この映画は奇作中の奇作。見終わったあとは唖然呆然』と批評されています。そうとでも言わざるを得ないんでしょう(笑)。奇想天外な話であることは確かです。
●こんなシーンから始まります。主人公を演じているのは18歳のエル・ファニング

                                           
画面は非常に美しい。今までは青色が基調の画面でしたが、今回は赤色、それも血のような赤色が基調となっています。まるで絵画を見ているようです。夜の画面が圧倒的に多い映画ですが、その上に赤い光、そしてエル・ファニングの白い肌が塗り重ねられて行きます。

                   
そして、音楽。『ドライブ』に続いてクリス・マルティネスという人が担当していますが、音響系の電子音楽が画面の上で文字通り鳴っている感じです。音楽が入った画面を見ているのが非常な快感なんです。で、音楽が入らない画面での静寂。動と静のコントラストで、見ていて全然飽きません。
●静と動


                                                                            
主役のジェシーを演じるエル・ファニング。最近大活躍していますよね。スピルバーグ製作の『スーパー8』も良かったですし、昨年の『トランボ』での娘役は非常に印象に残っています。童顔なんだけど、実は理知的で意志の強さを感じさせる非常に良い女優さんだと思います。透明感があるんです。

その透明感がこの映画では遺憾なく発揮されています。セリフは非常に少ないし、彼女も感情の変化をあまり出しません。でも彼女の表情と身体の美しさがひたすら存在感を発揮するんです。後半になるに従い、彼女の表面上の感情変化はますます少なくなる。ただ白い肢体が赤い光と蒼い光が交錯する夜の風景に浮かび上がる。背景にはLAの夜景、カリフォルニアの海岸、豪華な建築物。画面は非常に美しい。本当に美しい。その中にどことなく危うさが漂っている。
●メイク係(ジェナ・マローン)(左)と主人公

                  
その反面 登場人物たちは実に醜い(笑)。モデル業界でジェシーが頭角を現していくのですが、出てくる奴は皆 まともじゃない。外観は美しく内面は正反対のモデルたち。ジェシーに優しいが不穏さを漂わせるレズビアンのメイク係(ジェナ・マローン)、それに怪しいカメラマン。ジェシーが泊まっている安モーテルの粗暴で一癖ありそうな支配人(キアヌ・リーブスが汚いオヤジを怪演)。



お話のほうは滅茶苦茶ですが、全然飽きないし、面白い。後半 監督お得意の容赦ない暴力が顔を出してくるところは個人的には嫌でしたが、とにかく画面に魅力があるんです。勉強になったとか、元気が出るとかそういう作品ではありません。ただ美しい物を見る快感を味わうために観る映画。そのためには醜いモノ、文字通り吐き出しそうになるくらい醜いモノにも触れなければならないのかもしれません。
何度も見たい映画じゃありませんが、得難い体験でした。ここには間違いなく「美」があります。ボクは嫌いではありません。