日曜夜は暑くて、文字通り寝苦しい夜でした。毎度の事ながら あっと言う間に楽しい週末は終わりです。NHKは編集で見事にカットして、TBSなどでしか取り上げられませんでしたが、土曜日の秋葉原での『安倍やめろコール』には感動しました。ひざが痛かったんだけど、行けばよかった。猪瀬のようなウスラバカが共産党の組織的動員とか言ってたけど、公明党同様 自分でものを考えられない共産党の連中にそんな能味噌があるわけないじゃん😜。官邸前に来ているような普通の市民の自発的な怒りの現われです。
兵庫県知事選で勝谷のクズが、都議選で自民が負けたのは非常に良かったですが、都民ファなんて自民と同じ穴のムジナですからね。禁煙と情報公開はともかく、それ以外は自民党より酷いでしょ。今回の選挙結果はまともそうに見える投票先さえあれば安倍はすぐひっくり返せる、ということを如実に表していると思いますが、それが判っていても民進はまともな投票先になりえない。そのバカさ加減には改めて呆れてしまいます。あと1議席も取れない社民党はマジ、存在する必要なし。500万票のうち、連中が獲得したのは1万票そこそこなんですね。維新ですら5万票とってるのに。社民はさっさと解散して民進に吸収合併されて、地方組織を生かすと同時に民進を左に引っ張っていけばいいんです。ボクが注目していた自民党のクズ議員、世田谷の三宅茂樹(ハイヤー使用回数トップ、4年間質問ゼロ)、大田区の鈴木あきひろ(セクハラ野郎)が僅差で当選してしまったのはかえすがえすも残念でしたし。要するに自民党が負けただけで、野党が勝ったわけではない。それでも安倍おろしはこれからが始まりです。
それにしても都議選の投票率はこんなものなんでしょうか。前回より高いとはいえ、投票率はたった51%。東京都民は選挙に行かないクズばかりかって。『選挙に行かない奴は罰金』(もしくは北朝鮮に追放)、『選挙運動期間の延長』、民主主義がどうこういうのなら、こういう基本的なことから考えていかなくてはいけないんじゃないでしょうか。3回続けて投票に行かないようなゴミ有権者は選挙権剥奪、こういう公約を唱える勇気ある政党はないでしょうか。
●勤務先の女の子たちが持ってきてくれた原宿の『瑞穂』の豆大福。東京 三大豆大福🤗の一つだそうです。つきたてのお餅に品のあるこしあん😻
ということで、新宿で小林政広監督の映画『海辺のリア』映画『海辺のリア』公式サイト
かっての映画スター、桑畑兆吉(仲代達矢)は認知症を患い、長女(原田美枝子)と婿(阿部寛)に遺書を書かされた上に高級老人ホームに送られてしまう。ある日 施設を脱走した彼が海辺をさまよううちに、以前 彼が家から追い出した次女(黒木華)に出会い- - -
小林政広という映画監督の作品は極力見に行くことにしています。イラク日本人人質事件をモデルにした『バッシング』、
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いつも通り、脚本も小林監督が手掛けています。ただ今回はその脚本が無理が ある。まず認知症を患った老人がホームから脱走することはほぼムリです。そういう施設はきちんとオートロックで施錠されています。さらに、姥捨て山じゃあるまいし、家族に邪魔にされた人間が送られる場所が老人ホーム、という発想はおかしいです。そういう面もないわけじゃありません。でも、日常生活に問題が出てきてしまったら、事情が許す限り介護のプロの力を借りた方が家族にとっても本人にとっても良いに決まっています。ボクも親戚が二人ほど、ホームに入っているので、余計にそう感じるんです(もちろん問題がないわけじゃありません)。
だから、酷薄な長女夫婦に往年の大スターが老人ホームに捨てられる、という映画の設定自体 非常に違和感があります。今の日本で老人ホームに入れるというのは恵まれているんですから。これだから男はダメ、全く生活感がない、と言いたくなります😇。映画を見ていてお話に入り込めるまで、かなり時間がかかりました。
それ以外は、すごい映画です。仲代達矢凄すぎ。84歳の仲代達矢が裸足で外を延々歩き回り、海に入っていき、うわ言のような言葉を繰り返す。時折 かっての映画スターだった時代のセリフがフラッシュバックしてくる。殆ど 本人そのままとしか思えない。
それを長回しで撮る。しかもセリフも超長い。リア王からの引用もあるから、10ページくらいのものもあったそうですよ。仲代の一人芝居だけでなく、彼に黒木華と阿部寛が交互に絡むのですが、この迫力で演じられたら相手をするのは大変だったろうと思いました。
●絡むのはこの3人。捨てられた次女役の黒木華、酷薄な長女役の原田美枝子、元弟子で娘婿役の阿部寛
後半 一時的に正気に返った主人公が『これからは白い壁だけの部屋で、思い出の中で生きていくんだ』と述懐するシーンがありま す。これは考えさせられました。確かに認知症を患った身での老人ホームの生活はそういうことでもあるかもしれません。これは他人事じゃない。そりゃ、大スターだった主人公だったら思い出はいっぱいあるでしょう😇。でもボク自身が『思い出の中で生きていく』としたらどうだろうか。うわ、思い出がプアすぎる(笑)。ここで殆ど絶望的な気持ちになりました。個人的な思いですが、救いが全くない🤣。究極の虚無を味わったような気持ちになりました。
それでも終盤 監督はなんとか将来を照らす光を見せようとします。かすかな光です。誰でも平等に歳をとります。年老いたときに自分がどうなるか、そんなことは判らない。ただ一つ言えているのは、じたばたし、這いつくばいなりながらも生きていかなければいけないということでしょう。
仲代達矢がすごすぎてバランスを欠いているとは思うのですが(笑)、見る価値がある映画であるのは間違いありません。究極の虚無を見せつけられて、ボクの腑抜けた日常生活が打ちのめされるような作品でした🤣。
新宿で映画『20thセンチュリー・ウーマン』
舞台は1979年のカリフォルニア。元パイロット志望でエンジニアのシングルマザーのドロシア(アネット・ベニング)は、思春期を迎えつつある15歳の息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)をどう育てていったらよいか、頭を悩ませていた。そこで彼女は家に間借りしている20代後半の写真家、アビー(グレタ・ガーウィグ)と、2歳年上で近所に暮らすジェイミーの幼なじみジュリー(エル・ファニング)に父親代わりに教育してくれないか、と相談を持ちかける。
75歳の父親が実は自分はゲイだったことをカミングアウトする(笑)という『人生はビギナーズ』2012-02-13 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)を撮ったマイク・ミルズ監督の自伝的な作品だそうです。
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アネット・ベニングが演じる母親は1920年代生まれ、パイロットを志望しながらも果たせず、エンジニアになったという強烈な個性のシングルマザーです。子供を育てながら、独力で生きてきました。独立独歩で自由奔放ですが、1920年代生まれらしい保守的な価値観を持っています。64年生まれの息子とはどうしても価値観が合わず、会話が成り立たない。
●猛烈な母親と心優しい息子。ジャズが好きな20年代生まれとパンクが好きな60年代生まれ
父親がいない息子の将来を案じた彼女は息子より10歳年上の写真家 アビー(グレタ・ガーウィグ)、近所に住む2歳年上の幼馴染、ジュリー(エル・ファニング)に息子の父親代わりになってくれと頼みこみます。
●あまり物を頼んでいる態度には見えません(笑)。後ろ姿が母親、左がアビー(グレタ・ガーヴィグ)、右がエル・ファニング演じるジュリー。どちらも今 注目されている女優さん。
登場人物たちの造形が非常にこまやかだし、面白いです。アネット・ベニングがど迫力で演じる母親だけでなく、ボウイの『地球に落ちてきた男』を見て髪の毛を染めたというアビー、自分の親とは縁切り状態のシニカルな美少女、ジュリー、それにもう一人の間借り人の元ヒッピーと興味深いキャラクターばかりです。
で、息子のジェイミー君のキャラクターも好きです。気が弱いんだけど独立心旺盛、女性に優しいフェミニスト。その彼が自由奔放に生きる3人の年上女性に囲まれて、どんなことを学んでいくか。ボクはアネット・ベニングの演技はうますぎてうざいと思っちゃうんだけど、グレタ・ガーウィグとエル・ファニング、今 乗っている女優さん二人は素晴らしいです。特に長い手足のエル・ファニングは何とも言えない魅力があります。好き😍。
ポイントなのは舞台は79年であるということ。パンクの波がカリフォルニアにも押し寄せてきた時代です。単に音楽の流れだけではなく、今までの常識をぶち壊せ、という考え方です。1920年代生まれの母親には下手くそな雑音にしか聞こえません。そこいらのギャップに加えて、アメリカのパンクの中でもブラック・フラッグなどの武闘派とトーキング・ヘッズなどのアート・知性派との対立など面白い。それだけではありません。79年はカーター大統領の任期が終わりレーガンが登場する直前です。社会が右傾化し、金融万能主義、新自由主義が始まる時代でもあります。中産階級の没落の始まりです。映画の中で登場人物たちがカーターの演説をTVの前で見るシーンがあります。曰く『 国民は人生の意義を見いだせない。国は歴史の岐路にある』 そんな時代だったんですね。
●この、ほんわかした感じのスチールが映画の雰囲気を良く表しています。
お話の面白さより、個性的なキャラクターや過ぎた時代を語る語り口を楽しむ映画です。既に亡くなった人を語る思いも含めて、センチメンタルだけど爽やかな一種の人生賛歌になっています。どこか漂う寂寥感は『人生はビギナーズ』とテイストは似てるかな。反乱の60年代が終わり、主人公はパンクが生まれた70年代に育ちます。これから人々は激動の新自由主義の時代をどう乗り越えていくか。そして 我々はどれほど遠くまで来てしまったのか。佳品という表現が非常にぴったりする映画でした。文句なしに良い映画!
個人的な話ですが、これほど感性に共感できる作品は珍しかった😂。しなやかで柔軟、どこか寂寥感が漂う。だけどしぶとい。ちなみにマイク・ミルズ監督はゲイだそうです😸。