特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

読書『メディアと自民党』と映画『ジェンダー・マリアージュ』

昨日も今日も東京はまだまだ寒いです。近所の桜並木ではお花見をしている人もいましたけど、根性あるなあと思います。ボクは4月1日にお花見のお店を予約してあるので、そこまで保ってくれ〜と文字通り天にお祈りしています(笑)。
●今朝の桜

                                 
今週のベルギーのテロ、実に酷い話ですが、原発も標的になっていたと報じられています。
地元メディアは、テロで自爆した容疑者のバクラウィ兄弟が、事件前にベルギーの原子力開発の責任者が自宅に出入りする様子をビデオカメラで隠し撮りしていたと伝えた。容疑者が原発を狙っていた可能性が出てきた。
【記事まとめ・ベルギー連続テロ】捜査当局、新たに1人を拘束 | News Socra (ニュース ソクラ)


確かにテロ発生当時 原発の作業員が一斉に退避してたからそんなこっちゃないか、と思ったんです。ISにしてみれば原発は絶好の標的です。これって他人事じゃないですよね。狭い日本に約50基もある原子炉にテロをしかけられたら防げるわけがありません。安倍晋三を始め、日本の安全保障が心配、という人がどうして原発を容認しているのか ボクには不思議でなりません。

今週の金曜官邸前抗議は明日 渋谷・原宿で行われる原発に反対する大規模イベント『NO NUKES DAY』のためお休みです。NO NUKES DAYのことは次回のエントリーで書きたいと思います。

 


                       
さて、最近 クローズアップ現代の国谷さんやTBSのNEWS23の岸井氏などのTVのニュースキャスターの降板が続きました。ボクは国谷さんは高く評価してますが、古館がやってたテレビ朝日のニュースはぺらぺらな内容で嘘ばっかり、経歴詐称で話題になったショーン・K?にぴったりじゃないか(笑)とも思っています。

キャスターの降板に憤る人は『自民党にマスコミが支配されている』って言ってます。比べると悪いかもしれませんが、ネトウヨとか頭の悪い極右政治家は『左翼にマスコミやNHKが支配されている』って言ってます。どっちが本当なんだ(笑)。それでなくても、マスコミに関する陰謀論ってやたらと多い。そういう陰謀論を、日本で一番大きい某広告代理店の部長が『ネットで言われているように韓流や剛力彩芽を無理押ししたり、圧力をかけたことなんか金輪際ない』と大笑いしてましたけどね(笑)。

                              
そこで少し前に読んで面白かった『メディアと自民党』という本の感想を書きたいと思います。この本は東工大の西田准教授が公開資料をベースに自民党の広報戦略を解き明かしたものです。

メディアと自民党 (角川新書)

メディアと自民党 (角川新書)

この本は昨年 安保法制の成立前 テレビ朝日の『朝まで生テレビ』に自民党議員が全員欠席したところから始まります。著者によると、議員にとって露出の機会であるTV番組にスキャンダルもないのに欠席するなんて以前では考えられない、そうです。それは何故か。著者の結論は『自民党はメディアに戦略的に対応しており、メディアのほうがそれに対処できずに「隷従」している』です。

                                   
著者は自民党の広報戦略の歴史を本や新聞などの公開資料から検証します。かっては自民党も行き当たりばったり、マスコミの記者と政治家との個人的な関係に頼って対応していました。それを変えたのが、政界に入る前はJTで広報を担当していた参院議員の世耕弘成。彼は自民党のメディア対応を普通の企業がやっている広報と同じように変えていったそうです。つまりマスコミとの個人的関係に頼らず、こちらから情報発信をしていくことでメディアを効果的に使っていく、ある意味コントロールしていく。これは、どの企業もやっている当たり前のことで、悪いことでも何でもない。お金も殆ど使わずに、マスコミに自分の都合の良い情報を流させる、クリーンなやり方です。記事を取捨選択するのはあくまでもマスコミ、ですから。

一方 民主党も政治でのPRに長けた外資系の広告代理店を起用して『マニフェスト』という言葉を流行させます。ところが小泉時代に選挙で敗北して予算不足になり、大した金額でもないのに代理店との契約を切ってしまいます(バカですね)。

                               
その後 小泉政権自民党の広報戦略は変質します。自民党内で世耕が外され、竹中が大々的な予算をつぎ込み、例の『B層』に絞った選挙戦略や、タウンミーティングなどで世論つくりを始めるのです。これは広報ではなく広告、プロパガンダです。現在の自民党の広報予算の1.5倍もつぎ込んだマスコミ戦略は確かに効果は上がりましたが、やらせや不透明な経費の使い方は後に国会などで糾弾されて続けることはできなくなってしまいます。

そこでまた世耕が起用されて本格的な広報戦略を取るように、しかも今回はネットなども含めた総合的な戦略を取るようになります。この前の選挙で候補者一人一人にiPadを配って、演説で言うべきことを毎日 指示してたのはこの本でも取り上げられています。要は今は正攻法できめ細かく対応しているわけです。自民は電通東急エージェンシーなど色々な広告代理店と契約してますけど、この本を読む限り、代理店は普通の仕事をしているだけとしか思えませんでした。

                                              
西田准教授は『本質的な問題は自民党の広報戦略に対して戦略的な対応がとれていないマスコミのほうにある。戦略的な対応を取ってくる自民党に対して、マスコミが『自ら隷従』している。』と指摘します。

ボクも全くそう思います。もちろんNHK会長の人事や高市の恫喝などは全くふざけた話ですが、それを止めさせたって問題は改善しないでしょう。

1つ目の問題は、マスコミが権力の監視という自らの役割を果たしていないことです。その直接的な理由はマスコミ上層部が政権の顔色を見過ぎている、部下は上層部の顔色を見過ぎているということでしょう。更に言えば、ネットなどに押されてマスコミの経営体質が悪化しており余裕がない、ということもある。マスコミに限らず、多かれ少なかれ組織の中にいると理不尽なことにぶつかります。そこで盲従するか、抵抗するか、ってことです。正面から大組織と闘うのは大変でも、押したり退いたり、ゲリラ戦をしたり(笑)、そこで頭を使って抵抗するのが人間の価値、とボクは思いますけど、それってかなり大変です(嘆息)。周りを見渡してもそういう人って、現実にはかなり少ない。マスコミに悲憤慷慨している人だって、多くの人は実生活ではそうだと思いますよ(笑)。マスコミだって例外であるはずがなくて、すべての人にそれを求めるのは現実的じゃないんじゃないか、という気がします。
もっと構造的な問題を考えなければいけないと思います。日本には他の先進国では考えられない独占的な制度があります。新聞とTVの同一経営が規制されてなかったり三者でなく監督官庁が放送局の免許を握る制度だったり、更に長年独占状態にあったことで生まれた(電力会社そっくりの)腐敗体質、例えば朝日の独善性や産経のインチキぶり、などがあります。マスコミの弱腰は問題ですけど、もっと構造的な問題を考えたほうが良い。徹底的に自由化してアメリカみたいに超多チャンネルにしてマスコミを競争させるか、イギリスのガーディアン紙みたいに株式会社ではなく財団形式にして報道の自由を守る、といった改善策を市民の側も考えた方が良いと思うのです。




2つ目の問題は市民、消費者です。昨今 マスコミは権力者に対する監視という機能をあまり果たしているようには見えませんだけど市民(消費者)の側もマスコミに対して監視機能を果たしているでしょうか。NHK、民放を問わず酷い番組は多いですが、そんなもの見なければ良いと思うのです。

                                             
もともとTVって、モノを考えるようなメディアではないのではないでしょうか。ちゃんと物事を取り上げようと思ったら、ワンテーマで最低30分くらいはかかる。判りやすく伝えると言うのは大事ですが、賛否両論の議論を公平に取り上げなければモノを考えられるような番組にはなりません。今の世の中、たいていの問題は複雑です(笑)。
でも消費者はそれを受け入れない。その結果 TV局の執行役員が自らキャスターを務めるTBSの『報道特集』みたいな例外的な番組や深夜などにやっている一部のドキュメンタリーなどを除けば、まともな番組は存在しなくなってしまうわけです(笑)。視聴率ばかりを追いかけるようになってしまうマスコミも悪いけれど、くだらない番組ばかり見ている消費者も悪いですよ

上にあげたような番組やこの前の『クローズアップ現代』の最終回が良い例で、マスコミの現場にも志がある人が少なからず残っています。著者は『(民放に比べれば)NHKは相対的にはリベラルだったし、今もそうあり続けている』と指摘しています。ボクもそう思います。だけど受け取る消費者の側はどうでしょうか。マスコミに踊らされてないでしょうか。多くの消費者が例えば、『一つのマスコミを鵜呑みにしないで複数のマスコミを比較する』、『疑問に思ったら自分で裏を取る』、『良い番組や報道を支持する。クズ番組はボイコットする』、みたいなことをやっていけば、マスコミだって変わるし、放送内容も改善するんじゃないでしょうか。

●7時のNHKニュースでもやってました。マイクロソフトtwitterなどネットから会話を自動学習する人工知能『Tay』を作ったら、数時間でヒトラーを賛美するネトウヨになってしまったそうです(笑)。ネット上のクズどもからヘイトを学習しちゃったったんですね(笑)。如何にネット上にバカが多いかを証明しています。

●Tayのツイート:ヒトラー万歳、ユダヤ人嫌い

                             
3番目の問題は、無為・無策・無能な野党です。民主党が成果を上げていた広告代理店を切ったのは西田准教授が挙げていましたが、それだけではありません。1月か2月頃、社民党が今夏の参院東京選挙区に資金横領疑惑がある女性候補者を選び、その選出理由を社民党twitterが、彼女の父親が社民党に貢献したから、と公言したことがありました。当然ネットではクレームが噴出しましたが、社民の反応はありませんでした。それは社民党の上層部は未だにネットを全く見ていないからだ、という話が内部の人らしきところから漏れていました。真偽は知りませんけど、それじゃどうにもなりません(笑)。

野党は世の中に対する感度、意識があまりにも低いんじゃないか。これはボクの想像ですけど、野党の上層部はジジイばかり、組合の上層部もジジイばかり、既得権益に浸かったジジイ同士で馴れ合っているからそうなるんです。ボクが他人の事を言えた話じゃありませんが、要するに世間が狭い。時代遅れの幟やプラカードを見れば判りますよ。


この本を読んで、自民党のマスコミ支配がそれほど強いわけでもない、とは感じました。政治家の恫喝やNHKの人事は別にして、他は普通の企業だったら普通にやっていることを、自民党も普通にやっているに過ぎない。単に野党の側が頭を使ってないだけ。この本では共産党の小人数のネット拡散チームが大きな成果を挙げていることも触れていました。莫大なお金がかかるわけじゃないんです。野党も広報のプロを5,6人集めてチームを作れば自民党と勝負できるのに〜とは思いました。その程度で勝算は充分あります。民主や共産党でそのための経費、年間1億くらい出せないのかなあ〜。
ということでだいぶ脱線しましたが(笑)、冷静な目で昨今の状況を分析した有益な本でした。


ということで、渋谷で感動的なドキュメンタリーを見ました。映画『ジェンダー・マリアージュ 〜全米を揺るがした同性婚裁判〜映画『ジェンダー・マリアージュ ~全米を揺るがした同性婚裁判~』 | 愛する人を 愛するために

2008年5月 カリフォルニアで同性婚が認められました。ところが11月、それに反発する人たちが提案した、同性婚を禁止する『提案8号』が住民投票で認められ、同性婚が禁止されてしまいました。その無効を訴えて訴訟を起こした二組の同性婚カップルとそれを支えた多くの人たちの物語。

2008年、カリフォルニアで同性婚を禁止する『提案8号』は同性婚反対派の約200億円もつぎ込まれた大々的なキャンペーンが行われた結果、可決されました。その頃 ボクもそのニュースを聞いてがっかりしたのを覚えています。映画では触れられていませんでしたが、『提案8号』推進派には強大なバックが居たのでしょう。可決されたのは奇しくもオバマ大統領の誕生と同じくして、だったそうです。
                                                      
それに対して同性婚の権利を守ろうとする人たち(American Foundation for Equal Rights平等の権利を求めるアメリ基金AFERと略します)は違憲訴訟を起こすことにしました。訴訟を起こすのに、原告があまり変な人ではまずい(笑)。できれば家族を持っていた方がよいし、定職をもっている普通の人の方が世論に訴える効果があります。スキャンダルがあったり、ヤク中じゃ、同性愛者のイメージダウンになる(笑)。白羽の矢が当たったのは女性同士のカップルと男性同士のカップル一組ずつ。皆 定職を持ち、女性同士のカップルはお互いの連れ子を3人育てています。
●州に対して訴訟を起こした二組のカップル。ポール&ジェフ(右)、クリス&サンディ(左)

                                 
アメリカの裁判では弁護士の手腕が大きく判決を左右します。AFERのメンバーには映画『スタンド・バイ・ミー』や『恋人たちの予感』で有名なロブ・ライナー監督がいました。彼の伝手で大物弁護士 テッド・オルソンに声をかけます。彼はブッシュVSゴアの大統領選挙が無効ではないかと争われた裁判の際 ブッシュ側の代理人を務めたゴリゴリの保守派。でも彼は『結婚の権利は誰にとっても平等だ。これは基本的な人権の問題』だと言って訴訟を快く引き受けます。もう一人はブッシュVSゴアの裁判でゴアの代理人を務めたデヴィッド・ボイズ。同じ裁判で敵味方だった保守とリベラル、二人の大物弁護士が手を結び、訴訟を始めます。誰かを愛する気持ちに性別もイデオロギーも関係ないってことを証明するためにです!
●ブッシュの代理人だったテッド(右)とゴアの代理人だったデヴィッド(左)

                                              
当初 保守派のテッドを起用することで、同性愛者の団体やリベラル派からは抗議が殺到したそうです(笑)。気持ちは判ります。でも、原発でも何でもそうですが、そういう頭の悪い、偏狭な連中が結果として足を引っ張るのです。映画ではAFERの人が保守派の攻撃より、偏狭なリベラルの抗議に対処する方が忙しかった、と証言しています。そんなこともあって、スタッフが、ブッシュの副大統領、保守派の総本山チェイニーが同性婚容認を表明した際『自分が正しいことをしているのか自信を持てなくなった』と笑いながら言ってたのがおかしかったです。チェイニーは娘が同性愛者だったのです。

保守的なテッドと他の人たちとの対比も面白かったです。食べ物すら違うんですね。ケータリングの食事でタコスを勧められると彼がそれを嫌がって、ピザを探しに行くシーンがあります。偶然かもしれませんが、文化的にも大きな違いがあるのが面白かった。

                                  
印象的だったシーンがいくつかあります。まず提案8号を支持する人たちがどういう人たちか、という描写です。推進団体の中心人物は同性婚に反対するだけでなく、かってヘイトスピーチをしていた証拠を弁護士たちは探し出します。やっぱり 同性婚反対なんてそういうクズ人間がやっているんですね。日本ではいざ知らず、アメリカでは公的にヘイト発言をしたらアウト、社会的信用を失います。彼は法廷でテッドに『あなたのそのような認識の根拠はなんですか』と質問されて『インターネットです』と答えます。陰謀論を真に受ける人の発想は日本と全く同じです(笑)。 また裁判所に押し掛ける提案8号支持派の多くは『HOMO』とか『FAGGOT』とか極端に汚い言葉を使います。連中は薄汚い服を着た、だらしない体型のデブが多い。これもまた、日本の在特会とそっくり(笑)。

                                            
だけど、なかにはマトモな人もいます。提案8号を支持していた、ある作家は『自分が同性婚に反対していたのは単に彼らのことを知らないだけだった』と告白し、同性婚支持に転向します。

同性婚反対の理由として同性愛への偏見の他に、子供のことをどうのこうの言う奴がいます。でも実際に養子を育てている同性カップルもいるし、人工授精だってある。現実に判決当時 カリフォルニアでは同性カップルに育てられている子供が4万人もいたそうです。異性婚で子供作って虐待している奴だって大勢いるんだから、子供を理由に同性婚ディスるのは幼稚且つ無知以外の何物でもありません。この映画に出てきた女性カップルは実に暖かな家族でしたし、虐待されていたダウン症の子供を同性カップルが引き取って育てる実話をもとにした映画『チョコレートドーナッツ』を見たら、そんなこと口が裂けても言えなくなるはずです。それでも、戦うんだよ:映画『チョコレート・ドーナッツ』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)
●一昨年公開の名作です。

   
                                                   
感動的なシーンが数多くあります。訴訟を起こした二組のカップルが法廷で延べていることはごくごく当たり前のことにしか聞こえません。ただ結婚したい。相続や面会など普通の法的権利を平等に認めてほしい。シンプルだけど、当たり前のことです。しかし彼ら・彼女らにはバカどもから卑怯な嫌がらせや脅迫が殺到します。そうなることは判っているから、レズビアンカップルは裁判を起こす際 高校生、大学生の子供たちに相談しました。子供たちは裁判を起こすことに全員一致で賛成、法廷でも取材カメラの前でも二人のママに寄り添うんです。家族の愛情に性別なんか関係ないことが良くわかります。

裁判の際、裁判所の周りには賛否双方の人たちが押しかけてきています。感動的だったのは同性愛者の人だけでなく、異性婚、異人種婚の人も応援に来ているんですね。画面には、彼らの同性婚の人たちは自分たちと同じだ』という趣旨のプラカードが写っていました。問題はそこなんです!みんな一緒なんです。彼らの姿を見て、ボクは涙が止まらなくなりました。

                                             
                        
訴訟は最高裁までもつれ込みます。そして2013年6月 提案8号は違憲であるという判決が下ります。理由は同性婚を求める人たちの利益を害する権利はアメリカの誰にもない、というのです。オバマ大統領は専用機の中から祝福の電話をしてきます。
●裁判所に向かう二組のカップ

                                     
勝訴して直ぐ 彼らが役所に婚姻届を出しに行くのは見ていて楽しい光景でした。取材に来たマスコミも含め、大勢の人たち、それに家族から、彼らは祝福を受けます。そこには同性婚も異性婚の違いもありません。判決後 未練たらしく婚姻の受付を渋る窓口があることを聞いた州の司法長官(黒人女性)が嬉しそうに自分で電話して、即刻!婚姻を受け付けるよう窓口の役人を脅かす(笑)姿がカメラに収められています。さすがリベラルな風土のカリフォルニア、州の高官も内心では、同性愛も平等と思ってるのが良くわかりました。
●ポールとジェフの結婚。涙が超美しい。

                           
驚くべきことに彼らの5年間の訴訟の間に、社会の同性婚に対する意識がどんどん変わっていったそうです。少し前まではアメリカでも同性婚の否定派の人が多かった。だけど訴訟が進み、彼らの言い分がマスコミで報じられたり、AFERをジョージ・クルーニーブラッド・ピットが支援するのを見て、同性婚を肯定する人がどんどん増えてきたそうです。声を挙げるってことは大事なんですね。今ではアメリカでは同性婚を肯定する人の方が多い。特に若い人の間では圧倒的、だそうです。それが昨年6月の全米での同性婚解禁につながっているわけです。ちなみに日本でも60歳以下の人は同性婚を認める文明的な人の方が多いはずです。
同性婚の経済効果は1年で200億(NY市)
CNN.co.jp : 同性婚の経済効果は1年間で200億円 米NY市
                              
                                   
映画が終わったあとはトークショー。登場したのは渋谷区で同性カップル証明認定の第1号になった東さんと増原さんの二人です。彼女たちが頻繁にマスコミで取り上げられるようになったのは2012年にディズニーランドで結婚式をしてからだと思います。冒頭 その話をしていました。まず電話でディズニーランドへ問い合わせたら、『同性でも構わないが恰好だけ男と女の服装にしてくれ』と言われたそうです。最初から門前払いしないだけマシですけど、なんてバカな固定観念なんだ(笑)。その後 アメリカの本社に問い合わせます。当然 アメリカのディズニーはOK。ちなみにカネ儲け主義で悪名高いディズニーですが、この問題に関しては信頼できるようです。ちょうど昨日も、聖職者が同性婚の儀式を執り行うことを拒否する権利を認めた法律が成立しようとしているジョージア州に対して、『もし そのような差別的慣行を認める法案に知事が署名・成立したら、ディズニーはジョージア州から事業を撤退する』、と声明を出しました。偉いっ!CNN.co.jp : 米ジョージア州法案に同性愛差別の批判、ディズニーなど撤退通告 - (1/2)
●東さんと増原さん。21日深夜放送のNONFIX『二人のママが待っている』(フジTV)より

                                              
この1,2年でLGBTを巡る状況はどんどん変化してきた、と彼女たちは言ってました。渋谷区の試みは世田谷区や宝塚市など他の文明的な自治体にも広がりつつあるし、保険など企業の動きも活発だそうです。あとは法律的な問題(結婚)だけ、と言ってました。今 彼女たちは妊活を始めているそうです。丁度、この二年間の二人の妊活を描いた、3月21日深夜にフジTVで放送されたドキュメンタリー、NONFIX『二人のママが待っている』 (フジTVでもまともな放送もあるわけです)を見ました。二人は男性から精子の提供を受けて人工授精をしようと試みるのですが、将来子供が出自を知りたいと思った時のことまで考えて、精子提供者も含めて二年間 散々議論をしている。これだけ子供の事を考えて妊娠をしようとする人は中々いないでしょう。これだけだって同性愛者だって子どもを持つ資格があるのが良くわかります。ちなみに日本の病院では同性愛者の人工授精は行わないそうです。理由は法律じゃなく、産婦人科学会のガイドライン。ふざけんなよと思いました。

                              
映画の中で原告たちは、散々嫌がらせを受けていました。東さんたちも本当に大変だと思いますが、それでも敢えて広告塔になっている。でも だからこそ 自分たちが声を挙げることで世の中を変えてきた、という実感があるんでしょう。メルマガや本、企業への講師業などで収益を確保しながら、世の中を変える活動を続ける彼女たちのやり方はとてもスマートです。ここは非常に考えさせられました。彼女たちは、『ここに見に来ている人は世の中を変えようという意識を持っていると思うんです。少しずつでも一緒に世の中を変えていきましょう』と締めくくってトークショーを終えました。
ジェンダー・マリアージュ』は冷静な語り口なんだけど、面白い、そして何度も泣かせる大変感動的なドキュメンタリーでした。