特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『マイナス金利』と読書『君が戦争を欲しないならば』、それに『0129 再稼働反対!首相官邸前抗議』

甘利経済再生担当相が辞任するのは誰も異論はない、と思いますが(笑)、替わりが石原のドラ息子じゃもっと酷い、と誰もが思っているのではないでしょうか。実際に甘利に政策レクチャーした人の話では、甘利も就任当初は全く!経済のことは判らなかったらしいですが(笑)、就任後それなりに勉強したそうです。勉強した方向が間違ってたから、経済はこのざまですが(笑)。
●日銀取材記者のツイート

甘利の担当分野はあまりバカでも困るんですよね(笑)。TPPの内容を国会答弁するだけだって大変でしょう。石原伸晃は口だけは色んな意味で達者だけど(笑)こんなにあった!石原伸晃氏のこれまでの失言まとめ - NAVER まとめ小泉内閣当時は道路公団もまともにコントロールできなかったし、そもそもTPPに反対(証拠あり⇒2012衆院選 東京ブロック 自由民主党 石原 伸晃 - 毎日jp(毎日新聞))の石原がTPP担当ですからね(笑)。狂気の沙汰ですよ。『「(石原新大臣は)この分野、あまり得意じゃないのかもしれませんけども、頑張ってもらうことを期待してますね」』と、麻生太郎にすら言われる始末です(笑)http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2690859.html

安倍内閣は一刻も早く止めてもらいたいと多くの人が思っていると思いますが、じゃあ野党に変えるかという気にはならないのも実感でしょう。勿論 政治家が汚職をして良いということではありませんがもっと大事なのは国民の生活を良くすることです。困ったもんです。
*甘利が辞めることで検察がこれ以上調べるのを止めるかどうかはマスコミはチェックしてもらいたいですね。甘利の事務所の第3者調査は東京高検のOBがやってるそうですし。


                                  
それにしても今日の日銀のマイナス金利導入はびっくりしました。日本では初めてのことですから、これからどうなるかなんて判りません(笑)。ボクにはマイナス金利にして貸出が増えるとは思えません少子高齢化で人口減の日本に企業は大きな投資をしようなんて思わないでしょうから。問題は需要ですよ。1つ言えているのは、アベノミクスはトコトン追い詰められているということです。今日発表の経済統計の数字も芳しくありませんでした。
●日経記者のツイート:需要(消費)も供給(生産)もマイナスです。

かといって金融緩和をしても実態経済への効果は殆どなかったのはこの3年間で判っているわけです。日銀が買える国債の量だって限度が見えていますし、これ以上金融緩和をするのも限界があります。今回のマイナス金利は円安を促進する効果はあるかもしれませんが、これ以上の円安が国民生活に資するわけじゃありませんからね。とりあえず日銀は「大してやれることもないけど、(文句を言われないように)何かやってみた」というところでしょうか(笑)。


                            
ただし、問題なのは経済がおかしくなってくると皺寄せは一般庶民の方へ行く、ということです。アベノミクスの結末なんて、どうせこんなもの、『格差を広げて日本の実体経済をぐちゃぐちゃにして空中分解』とは思ってましたけど、それで困るのは一般庶民です。
だからこそ、余計に再分配が必要なんです。国会討論では安倍晋三も岡田も口では再分配を言い出しました(笑)。だけど軽減税率みたいなインチキでなく、本当に困っている人、特に教育も含めて若い人にお金を回すようにしなければ日本の将来はないと思いますね。少子高齢化で日本の将来なんか、もう、ないのかもしれませんが(笑)。

                              
さて、今回は軽く読書感想文を書きたいと思います。今週行った人間ドックの待ち時間に読んだのはアニメ監督の高畑勲氏のリーフレット君が戦争を欲しないならば

君が戦争を欲しないならば (岩波ブックレット)

君が戦争を欲しないならば (岩波ブックレット)

                                    
この人は岡山の出身だったのですね。彼は子供の時、岡山大空襲に逢って命からがら逃げまわったそうです。岡山は仕事で何度も行ったことがある、好きな街なので、高畑氏が語る『大雲寺の交差点で爆弾がさく裂した』とか『西川に逃げ込んだ』などの話は、とても身近に感じました。でも彼は『戦争被害を語るだけでは今後の戦争を防ぐことにはならない』ので、空襲の体験は今まであまり話したくなかったそうです。
なぜなら『いざとなったら政府やマスコミは正義や平和などの名目で戦争を煽るし、そうなったら熱しやすい多くの日本人は戦争に賛成するだろうから』だそうです。
                               
確かにその通りだと思います。日中戦争や太平洋戦争も多くの国民が支持した前科があります。朝日を始めとしたマスコミ各社も正義の戦争として煽りました。最近は昔よりマシになったと言え、『日本兵の亡霊みたいな丸刈りの高校生だらけなのを誰も不思議に思わない甲子園大会』や『日本人が優勝したとかくだらないことで急に騒ぎだす大相撲』などを見ていると、今だって日本人の多くは『正義』とか『平和』などの美辞麗句につられて、間違いなく戦争に賛成するでしょう。
                                     
だからこそ、高畑氏は『日本人への歯止めとして、憲法9条が必要なのだ』と言います。日本人の付和雷同、すぐ熱狂するところは自分も含めて信用できない、と彼は言うんです。確かに説得力があります。ボクも集団心理に捉われた時の日本人は1ミリも信用できないと思っています。太平洋戦争だけでなく、イラク人質事件、最近のSMAPだの、ベッキーだの、感情的な集団バッシングがしょっちゅう起きているからです。原因は農村社会の同調圧力のせいなのか、なんなのか知りませんが、日本人は集団になったとき理性的な判断はできない可能性が高い。それだったら強制的な歯止めを持っていた方がマシです。
高畑氏の観点はアメリカが日本を占領統治した時と同じ発想かもしれませんが(笑)、それはそれでリアルなものだと思いました。薄いリーフレットですが、考える材料の一つになりました。良かったです。
                                                   
ということで、今週も官邸前抗議へ。
とにかく、今日から高浜3号機が再稼働だそうですが、それでいいのか、と言いたいです。東京は冷たい雨、夜半は雪になると言うお天気でしたけど、それなりに多くの人が集まっていました。主催者発表600人。
●抗議風景。傘ばかりですけど、傘の下には再稼働反対のプラカードと気持ちが隠れています。







                                    
先週から今週にかけて、元原子力委員会委員長代理の鈴木達治郎長崎大教授がマスコミに登場しました。1月20日の日経『経済教室』、1月26日のNHKクローズアップ現代、1月28日の東洋経済オンラインと立て続けです。この人はいわゆる原子力ムラの1人でしょう。今回は原発への賛否を明確にしていません。でも結構いいことを言っているんです。

●1月26日のクローズアップ現代NHK クローズアップ現代
●1月28日の東洋経済オンライン:http://toyokeizai.net/articles/-/102189


1/20日経『経済教室』の内容を抜粋します。鈴木教授は、今エネルギー政策ではこんな課題があると言っています。
1.福島の廃炉、避難地域の迅速な復興
2.使用済み核燃料と廃棄物処理、核燃サイクルの見直し
3.プルトニウムの在庫量削減

その課題に対処するためには『政策決定過程への民意反映の仕組みが必要』というのです。なぜなら『国民は政府や電力業界は信用していないし、原発推進・反対の立場を明確にしている既存団体の信頼度もそれほど高くない』。具体的には『第3者機関を設立して政府の政策を独立の立場から検証するメカニズムを政府は真剣に検討すべきだ』、としています。

                                   
ネットでは反原発の立場の人がこの記事を『微温的だ』とか『原発ムラがどの面下げて』とか『実現できるのか』とか言っているのを見かけました。微温的で何が悪いのでしょうか。ボクはそういうバカは相手にしない(笑)。
原発に賛成だろうと反対だろうと、彼がここで言ってることには多くの人が納得するでしょう。まして課題の1〜3に反対する人はこの世の中にいないのではありませんか。また政府や電力業界を信用している人もいないでしょうし、放射脳の人はともかく国民の大多数は原発再稼働は反対でも、ヒステリックに反原発運動をやっている人たちのことは信用していないでしょう。ボクもそうだもん(笑)。鈴木教授がここで言ってることは原発の賛否に関わらず、多くの人にとって最大公約数じゃないでしょうか。
映画『リンカーン』で印象的だったのはリンカーン奴隷解放を実現できたのは立場の違う人々の最大公約数を見つけることに努めたからだ、ということです。政治ってそんなものじゃないでしょうか。欠陥だらけとは言え、オバマ・ケアだってそうやって実現したのかもしれない。

                                 
結局 世の中を平和的に変えていくには違う立場の人同士の最大公約数をなんとか見つけ出していく努力が必要だと思います。絶対反対とか死ぬまで妥協しない(笑)とか、そんなこと言ってたら、あとはただ力の問題になってしまいます。それでは辺見庸や過激派の認知症ジジイと一緒です。

立場や意見が異なる人との最大公約数を見つけるためには議論が必要です。そのためにはこちらも議論をしようとしなければいけない(相手が議論がする気がない、若しくは、議論をする能力がないのなら別です)。ボクが若い時、反原発運動の草分け、高木仁三郎氏と直接 話したときに印象に残ったのは、彼は原発ムラも含めて常に議論をしようとしていた、ということです。彼の言うことには電力会社や政府ですら(少しは)耳を傾けたし、それ以上に多くの人が賛同しました。だから今の日本に反原発運動が育ってきたんです。原発絶対反対とヒステリックに叫んでた連中は何の役にも立ってない(笑)。
                               
鈴木教授が原子力委員会の元委員だろうが原発ムラだろうがどうでもいいです。問題は言ってること、です。彼がここで言ってることは原発に賛成の人も反対の人も、よくわからない人にとっても納得できるのではないでしょうか。こういう最大公約数を足掛かりにして議論を始めていくことが原発をなくしていくことに繋がる、とボクは思います。