特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『9月の賃金から政策を考える』(笑)と『1113 再稼働反対!首相官邸前抗議』

段々と冬の足音が近づいてきました。急に寒くなったせいなのか、街では風邪が流行っているようですね。皆さま、どうかお気を付けください。
今週月曜日に9月の賃金(毎月勤労統計調査)が発表されました。名目賃金は前年同月比+0.6%、実質賃金も+0.5%でした。僅かながらとは言え、8月に続いて2か月連続の前年超えです。アベノミクスが始まって半年後から2年以上実質賃金のマイナスが続いてきましたが、やっと歯止めがかかってきたんでしょうか。
アベノミクスが始まってからの名目賃金(青)・実質賃金(水)・消費者物価指数(黄緑)の推移(13年1月〜15年9月)


しかしプラスと言っても、ごく僅かです。消費税上げの影響がなくなった4月以降 実質賃金は上がるのかと思っていましたから、今頃ようやく前年よりプラスになったのはそれだけ景気が厳しいからでしょう。アベノミクスで実質賃金が下がり続けたのは、物価の値上がりに名目賃金が追い付かなかったからです。8月・9月と実質賃金が上がったのは主に消費者物価指数が下がったから(黄緑)です。つまりアベノミクスが失敗しているから実質賃金が上がったのです(笑)。実質賃金がプラスになったからと言って、喜ぶことはできません。下のグラフ、特に水色の実質賃金をみてください。

●2012年9月〜2015年9月の名目・実質賃金・消費者物価指数の推移(2012年を100%とする)

                                   
政府やマスコミはやたらと賃上げと騒いでいましたが、実態はこうです。名目賃金(青線)は民主党政権時代の2012年から殆ど横ばいです。一方 物価(黄緑)はこの3年間で約5%上がっています。その結果 実質賃金(水色)は下がった。15年9月は12年比95%の水準です。要するに、アベノミクスで国民は5%貧乏になったわけです。少しぐらいプラスになったって全く関係ありません。この5%マイナスという数字、物価値上がりなどを考えるとボクは自分の生活実感と一致するのですが、みなさんはいかがですか。


                   
2年前から、たびたび言ってますが、アベノミクスがこうなることは大方予想がついていたし原油安がなければ、もっと悲惨でした)、今 失敗が誰の眼にも明らかになってきているわけです。リフレでデフレ脱却とか言ってた奴のマヌケ面が見たいものです。特に就任会見で『2年以内にデフレを脱却できなければ辞任する』http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJ5ZL46S973201.htmlと言ってた日銀副総裁の岩田規久男はいつ辞めるんでしょうか(笑)。
                                                                                                        
大多数の国民が最も気になるのは安保でもなければ原発でもなければ、経済です。それが失敗してるんだから(笑)、野党の攻め手はいくらでもあるはずです。素人が考えたって、今の経済を改善しようと思ったらこうでしょう。
富の再配分を進めて消費を改善する。冗費を削って財政の悪化を食い止める。良い規制緩和とそうでないものを分けて、良い規制緩和を進める。
                                                                                  
アベノミクスの中心的人物の1人だった内閣参与の本田悦郎に加えて、自民党内で推進していた山本幸三まで『設備投資より消費回復優先を、所得の分配政策必要』と言い出しました 設備投資より消費回復優先を、所得の分配政策必要=自民・山本氏。当たり前です。どうして野党はごの程度のことがさっさと言えないのか。どこかのアホ政党みたいに代替財源の目途もないのに消費税反対なんて非現実的なことだけ言っても、まともな人は相手にするわけないじゃないですか。
                                                  
さらに言えば今後の日本は低成長はどうしたって免れませんから、これからは高度成長期のように全員がHAPPYという政策は難しい。だとしたら何らかの軸を作ってターゲットとなる層を決めざるを得ません(一番たちがわるいのが橋下みたいに仮想敵を作るやり方)。具体的には一番多い層は無党派なんですから、そこにフィットする政策を打ち出せばいいんです。恐らく無党派の人は、経済政策は現実的、社会保障の将来は不安、安保法制と原発再稼働は消極的には反対、そんな感じでしょう。最大公約数を考えることが政治だと思いますが、現実には都市部の住民も組合も農村もすべてにいい顔をする政策は難しい。補助金をもらってる人と税金から補助金を差っ引かれている人の間ではどうしたって葛藤が生じます。だったら中心となる層を決めて、あとは中間層を取り込める穏便な政策を提唱していけばいい。消費者は物価が下がることを期待してますから、今頃TPP反対なんて言ってたって補助金釣り上げを狙っているだけの農協と頭の悪い陰謀論者しか票は見込めない(笑)。民主党だって広告代理店くらい使っているんでしょうから国民のニーズを年代・地方別に調査させて、それに基づく政策を打ち出せばいいんです。答えはそんなに難しくないはず。
富の再配分を進めて消費を改善する。少しずつ冗費を削って財政の悪化を食い止める。良い規制緩和とそうでないものを分けて、良い規制緩和を進める。あとは中間層を取り込むために穏便な政策にする。即ち安保法制は現行法は廃止するが必要な事項は再審議する。原発は『経済的に必要なもの』、『本当に安全・避難対策をしたもの』のみ再稼働する。勿論、そんな原発がある訳ありませんが(笑)。
                                
もちろん、安倍晋三には一刻も早く政権から消えてもらいたいですけど、野党が政権を取れないのも理由がある、と思います。皆が一番関心があることに対してすら、解決策を示せないんだもの。

                                                                                                                                                   
ということで、今週も官邸前へ。今日の午後6時の気温は15度。今日からはコートの出動です。今日の参加者は主催者発表で1000人。

●抗議風景:河野太郎の核燃料船への追及はそれはそれでいいと思いますけどね(笑)。




                                                     
昨日 日経ビジネスがスクープした東芝原発事業の赤字隠しはやっぱり〜、という感じですスクープ 東芝、米原発赤字も隠蔽:日経ビジネスオンライン。どうせそんなこったろうと想像はできても内部資料がなければ、こういうことは判りません。日経ビジネスはずっと東芝内部告発を募集していました。内部からメールなども含めて詳細な証拠を手に入れたようです。
                                                       
東芝米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)で、計1600億円の巨額減損が発生していたことが日経ビジネスの取材で分かった。WHの単体決算は2012年度と2013年度に赤字に陥っていたが、本誌が指摘するまで東芝は事実を開示しなかった。
                                                                                
どういうことか拙いながらもご説明します。東芝も採用しているアメリカの会計基準ではM&Aのれん代(企業買収の際に余分に払ったお金)は事業が黒字を出していれば費用として償却しなくていいという決りがあります。しかし 一旦 赤字になったらのれん代は費用として計上しなければいけなくなる。世界有数の原子炉メーカーである子会社ウェスチングハウスで1600億の損が出たのを東芝が隠していたのは4000億(13日朝日朝刊http://www.asahi.com/articles/DA3S12064611.html)とも言われるWH買収ののれん代の償却をしないようにするためです。つまりその分 費用を誤魔化してたってことですね。東芝は『WHは将来利益が出るから、償却しなくて良い』と抗弁しています。ですが会計監査を担当した新日本監査法人も責任が問われますから、来年3月末の決算には数千億単位の減損費用を計上することを迫られる可能性は高いです監査法人も見限り始めた東芝原発子会社の減損リスク | inside Enterprise | ダイヤモンド・オンライン日経ビジネスの記事にある通り、東芝上場廃止になる可能性も十分にある東芝自己資本は1兆5000億ありますからすぐ潰れるという話ではありませんが、のれん代の償却をまともにやったら東芝の経営はかなり厳しくなります。もう東芝の分割・解体は避けられないのではないでしょうか。
                                             
●ご参考(日経ビジネス記事本文)
東芝の中核子会社で原子力発電所の建設や保守を手掛ける米ウエスチングハウス(WH)が、計1600億円の減損処理を行っていたことが日経ビジネスの取材で分かった。東芝経営陣の電子メールのやり取りなどを記録した内部資料から判明した。
WHは原発の新規建設が不調だったことなどを受け、単体決算で2012年度に9億2600万ドル(約1110億円)、2013年度に約4億ドル(約480億円)を減損処理した。資産価格を大幅に切り下げたことが損失となり、2012年度と2013年度はWH単体で赤字に転落している。だが、東芝は「当社の連結決算には影響がなく、会計ルール上も問題がない」(広報)として、本誌(日経ビジネス)の指摘があるまで開示してこなかった。
中略
歴代3社長が辞任し、上場企業としての「みそぎ」を済ませたはずの東芝。しかし、中核子会社のWHで減損した事実を伏せたままでは、「上場企業として投資家への説明責任を十分果たしていない」(東証幹部)と言える。東芝株は1年間の改善期間を経て来年9月に、東証の審査を受ける。これまで通り株式の売買はできるが、管理体制の改善が見られなければ上場廃止の恐れも出てくる。
 東芝における原子力事業は、2006年に約5400億円を投じてWHを買収した頃から大きく変容する(後に出資額は計6600億円に増加)。買収当時の社長の西田厚聰や副社長の佐々木則夫は、2015年度までに30基以上の原発新設を受注し、原子力事業の売上高を1兆円規模に伸ばすと公言していた。もくろみは2011年の東日本大震災で大きく揺らぐ。新規の受注実績は、2015年に至っても計10基にとどまる。それでも東芝は、WHを含む原子力事業で5156億円の「のれん及び無形資産」を9月末時点で計上している。一方でWHの売上高や利益、資産状況は明らかにしていない。
●抗議風景2





                                                                                            
ボクはむか〜し(笑)東芝EMIが親会社の東芝の圧力でRCサクセションの反原発ソングを含むアルバムを発売中止にして以来、東芝製品は断固ボイコットを続けてきました。文字通り、天罰が下ったという感じでしょうか(笑)。それはともかく、原発は事業としてなりたたないというのが名実共に証明されたと思います。
                                                      
もう一つ大事なのはこれをスクープしたのは赤旗でも朝日でもなく、日経だということ。スクープと言っても事前に東芝に発表するよと断った上で流したと思われる心優しい(笑)ものですが、それだって少し前だったら考えられなかったことに違いありません。いよいよ原子力ムラの自壊が始まっている。そう思うのはボクだけでしょうか。


                                           

*情報拡散:12月5日〜6日はまた集会&デモが日比谷であるそうです。5日は反原連が反原発、6日はSEALDs、ママの会、総がかりなどが安保法反対。これは忙しいな(笑)。



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