特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『7月の賃金』と『8・30デモを振り返って』:『0904 再稼働反対!首相官邸前抗議』&『戦争法案に反対する金曜国会前抗議行動』

2日の参議院共産党が暴露した自衛隊の内部文書『自衛隊の統幕長が昨年訪米時に「夏までに安保法案整備終了」とアメリカ軍に説明していた』のはさすがに呆れました。http://www.jiji.com/jc/zc?k=201509/2015090200731&g=pol
新聞やTVはTBSはちゃんと報じたみたいだけど、他は黙殺か扱いも極少だったみたいです。さすが この国は東京大空襲の責任者、米軍のカーティス・ルメイ将軍に勲一等旭日大綬章を贈呈しただけのことはあります(笑)。ちなみに推薦者は当時の防衛庁長官、小泉の親父です。例外はあるかもしれませんが、日本に右翼とか愛国者なんて、本当にいるんでしょうか。
小田嶋隆氏のツイート

                                     
                                                                
さて、毎月恒例の賃金のお話から。
厚生労働省が4日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、現金給与総額から物価変動の影響を除いた実質賃金指数は前年同月比0.3%増となり、2年3カ月ぶりに増加に転じた』そうです。実質賃金2年3カ月ぶり増加 7月0.3%、所定内給与伸びる :日本経済新聞
それ自体は大変良かったと思います。アベノミクスが始まって以来 国民の実質賃金(実質的な暮らし向き)は悪化の一方だったからです。でも、これで喜んでいていいのでしょうか。簡単に言うと、2年3か月下がり続けたんだったら、2年3か月以上、実質賃金が上がってもらわないとチャラにはなりません。
アベノミクスが始まってからの賃金(名目、実質)と消費者物価の指数推移(2013年1月〜2015年7月)

                                                
今回 実質賃金(水色のグラフ)が2年3か月ぶりに上がった理由としてマスコミは『基本給や家族手当にあたる所定内給与が名目で0.6%増えたことが寄与した』(日経)としています。まるでアベノミクスが功を奏したかのような口ぶりです。本当にそうでしょうか。
青色のグラフを見ると確かに7月の名目賃金は前年比0.6%に上がっています。でも、わずかそれだけ、です(笑)。アベノミクスが始まってからの期間の上げ幅と比べてみても大した上げ幅ではない。普通です。では、何が違うのでしょうか。
黄緑のグラフを見ると今年の3月以降 消費者物価指数の上昇が急激に鈍化しているのがわかります。3月には前年比2.3%も上昇していた物価が7月には0.3%まで低下しました。今回 実質賃金が上昇したのは物価高が収まりつつあるのが原因です。アベノミクスは通貨発行量を増やして人為的にインフレを起こし好景気にする、と説明されていましたが、それと逆の現象が起きているのです(笑)。

その理由は言うまでもなく原油です。消費者物価指数の内訳を見てみます。
アベノミクスが始まってからの消費者物価指数の推移

                                              
このグラフを見ると判る通り、今年になってからエネルギー関連の物価が低下し、前年を割るようになっています。7月に至ってはエネルギー関連の物価は前年比-8.7%にまで低下しています。一方 食品は前年比2.5%と名目賃金以上の上昇(怒)その他の物価は0.6%の上昇となっています。
要するにたまたま原油が下がってインフレが和らいでいるから実質賃金は上昇しただけ、です。今のところアベノミクスは失敗しています。でもアベノミクスが失敗しているからこそ、今回実質賃金が上昇した訳です(笑)。国民はラッキー(笑)。
国の膨大な赤字を低減する為に人為的にインフレを起こすインフレを起こして国民から金持ち(企業も含む)&国へ所得移転する、というのは気持ちは判らないわけでもありません。ピケティ氏だって財政再建の有効策としては認めていました。しかし経済の目的は国民の生活を改善することですから、手段と目的を取り違えていると言えるでしょう。ピケティ氏はそれだけでなく、所得税相続税の累進強化と再配分を唱えています。これ以上 財政政策には頼れない今、(まともな)規制緩和と成長分野への資源配分を行うことはボクも賛成ですが、やはり消費性向の高い一般人に所得再配分して消費を増やす、経済を改善するにはそれこそが有効な手段ではないでしょうか。




いつも書いている通り、ボクはなるべく自分と反対の意見を目に通すようにしています。そのほうが自分にとって学ぶべきことが多いから、ですが、精神衛生上はあまり良いものではありません(笑)。特にネットのものは理屈になってないくだらない話や偏見にとんだ話も多いです。もちろん原発や安保法案に反対するものでもそういうものが多いのも事実ではあります。
                                                            
今週 目についたのは30日のデモについて、言いがかりをつけている輩です。『発表された参加人数が過大なんじゃないか』(くだらないので引用しません)とか、『日経の世論調査で安倍の支持率が上がったのでデモは失敗だったんじゃないか』みたいなことを例えば、東大の玉井という教授がtwitterで発言してたりします。

  
                                                                
人数は主催者発表12万人のところ、実数が8万なのか10万なのか、14万なのかはわかりませんが、10万近い人数が集まったのはボクは現場をこの目で見ました。連中が言ってる3万とか数千(笑)とか言うのが嘘ってことは明白です。帰り道でしょうけど有楽町の歩道までプラカードをもった家族連れが大勢歩いていたんですよ。それだけ見たって普通の人数じゃありません。ちなみに警察の発表人数は3万ですが、それは彼らの『警備予定人数』だから(笑)。
                                                             
世論調査の方は日経の調査日が28日〜30日ですから、デモとは関係ない(笑)。記事にあった通り『70年談話の影響』でしょう。ボクとしては東大教授のレベルがそんなものかって言う方が驚きでした(笑)。ちょっと前の『SEALDsは共産党の別動隊』というデマが良い例ですが(あの話はどこ行っちゃったんでしょうか)、そういうデマが拡散すること自体 30日のデモは一部の人にとって何故か(笑)脅威だった、ということなんでしょう。
●70年談話を要約すると、こういうことだと思うんですが---

●デモにいちゃもんつけてる奴は右も左も大多数はこんなもんでしょ。要するに何にもやらない奴、何にもできない阿呆が自分を正当化する為にデマを飛ばしてるだけ。
●安保デモ「就活に影響」…書き込んだ自民市議が陳謝(笑) http://www.yomiuri.co.jp/national/20150901-OYT1T50127.html
                                                       
今週 水曜に放送された東京ローカルのMXTV(笑)『バラ色ダンディ』でラッパーのライムスター宇多丸氏と室井佑月氏が30日の映像を見ながら『あたしたちも当然 デモ行ったもんね〜』、『普通に楽しかった〜』とあっさり喋ってたのは凄く良かったんですが、音楽ファンとしてはライ・クーダー大先生(凄腕のスライド・ギタリスト、ブエナビスタ・ソシアルクラブのプロデュースで有名)が8・30のデモについて言及してくださっているだけで大成功だったと思ってます。客観的に外部の目から見ても日本は少しずつ変わりつつあるんですよ。

ライ・クーダー大先生曰く『この群衆から学ばなくてはならない』

アメリカの反戦団体からの8・30デモへの連帯エール。沖縄から米軍基地を無くせ、とも言っています。
ANSWER solidarity statement to "Bring Down Abe!" protest in Japan - ANSWER Coalition
●デモの影響を報じる東京新聞の記事。これはウソじゃないでしょ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015090202000136.html
                                                                                      
でも、安保法案は強行採決されてしまうかもしれないし、60日ルールも使われてしまうかもしれません。法案が成立する確率は高いでしょう。問題はその後、です。そこから支持率を下げて安倍を如何に倒すか世の中に海外派兵を忌避する雰囲気を作っていくか、更に言えば、どうやって平和を守っていくか真剣に考える風潮を作っていけるか、なんだと思います。国会前で女の子が持ってたプラカードに書いてあった言葉を借りれば、『忘れるって言ったこと、忘れないから』ってことでしょう。バカ政治家やインチキ・マスコミにボクらの将来を決める権利なんかない。『勝手に決めるな』は安保にしろ、原発にしろ、税金にしろ、この国の本質の問題なんだと思います。

●SEALDsがリツイートしていたこの論考は面白かったです。『デモはある種の敗北(安保法案の成立)を前提としなければならない』というものです。ここで書かれている左翼の運動史とか興味深かったです。全然知らなかった。
国会議事堂前の「敗北主義」 -最後に笑うものが最もよく笑う・・戦後左翼史のなかの市民ナショナリズム | Football is the weapon of the future

                                   

と、いうことで、今週も官邸前+国会前ダブルヘッダーへ。
東京は昼間、大雨が降りましたが、夕方には上がりました。午後6時の気温は27度と蒸し暑かったです。
●抗議風景@官邸前







                                               
今日の参加者は主催者発表で1500人。天気が良い割には少なかったけど、ボクは他人には期待しません(笑)。311以前の反原発運動のことを考えれば、これでも凄く多いと思うし(笑)。今 最も大事なのはとにかく原発に反対する声を絶やさないことだと思うんです。

                                                                             
それからプラカードを持ち替えて国会前のSEALDsの抗議へ。今日の参加者は主催者発表で5000人だそうです。開始時間の15分前には人が一杯でしたけど、後から若い人がやって来ると大体の参加者は『若い人はなるべく前へ』と声を掛け合って前を譲ります。今日は子供連れや妊婦の人を結構 見かけました。夜のデモ・抗議ではあまり見かけないんですが、安保法案への女性の危機感は大きい と思いました。案外 バカな男どもから選挙権を取り上げちゃえば、世の中は結構良くなるんじゃないでしょうか(笑)。それが答えだったりして。
●抗議風景@国会前。一枚目はボクのプラカード(笑)






脳科学者の茂木健一郎忌野清志郎の物真似を披露(笑)(*声だけ)

●コール風景。良く考えたら『ノー・パッサラン(奴らを通すな)』(2つ目)は強行採決に対するアンチでもあるんですね。

SEALDsの子たちは良いなあ、と思う理由の一つは『バカじゃない』、『精神主義じゃない』ってことです(笑)。彼らは今日 こんなことを言ってました。
最近 これが終わったらどうするんですかって良く取材で聞かれるんですよ。』、『確かに安保法案は通ってしまうかもしれません。

あの子たちはこういう現実的なことを言うんです。集会とかで良く聞く『頑張りぬきましょう』みたいな、くだらないことは彼らの口から聞いたことがない(笑)。しかし、それだけでは終わりません。

『でも 民主主義はもう、止まらないんですよ!』
                                            
これが今の抗議の本質でしょう。311以降 素人の乱の抗議でも官邸前抗議でも同じことを感じましたが、今回の抗議でも世の中に大きな風穴が空きつつある、と思うんです。一般の人は政治に関心を持たずにムードに流される、与野党ともに政治家も訳の分からない奴ばかり(笑)。それが少しずつ変わってきたような気がするんです。確かに議席数を考えれば今の状況はあんまり芳しくない。でも当初の予定では7月に安保法案は成立するはずでした。仮に法案が通っても、抗議の声が大きければ運用は慎重になるはずだし、後日潰すチャンスだって出てくるでしょう。非暴力直接行動の抗議は無駄ではなかった。それは自信を持って言えます。
だから、ボクはまだまだ自分のやれることをやろうと思います!
●SEALDsの諸君のtweet