特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『賃金とGDPに見るアベノミクスの成果』(笑)と『4つの処方箋』、0522 再稼働反対!首相官邸前抗議

昨日 通勤の途中 今はもう青々と葉が茂る桜並木を歩いていたら、風で葉が揺れる音がざわざわと、まるで海の波の音のようでした。すれ違う人が誰もいない静かな朝だったから気付いたのかもしれませんが、その日は少し得をした気がした。今は一年のうちでもごく僅かな、寒くもなければ暑くもない、心地良い季節を実感しました。
●少し前 DMMのCMで石橋貴明とローラがこの木の下を歩いていました。

*最近は一週間経つと、今までにも増して言いたいことが山ほどあってブログが長くなってしまいます。ごめんなさい。 

                                                 
さて、今週19日に厚生労働省が2014年度の毎月勤労統計調査(確報)を発表がありました。日経には『給与総額、14年度0.5%増 増税で実質は3.0%減』という見出しが載っている。見出しに騙されず(笑)記事の内容を読むと、『物価の影響を加えた実質賃金は3.0%減り、1990年度の統計開始以来、最大の減少幅だった。』とある。給与総額、14年度0.5%増 増税で実質は3.0%減 :日本経済新聞


いつも賃金の推移は書いてますけど、今回は93年から長期の時系列を見てみます。我々が立っている場所はどんなところなのか、見渡しやすいからです。

●93年〜2014年 名目・実質賃金の推移(2010年を100とする

青色のグラフ、名目賃金が最も高かったのが97年。2010年を100とした指数で104.4となっている。アベノミクス前の2012年が99.8、始まった2013年が100.2、2014年が101.1。名目賃金が上がったと言っても上昇幅は全く大したことない。                        
一方 生活実感に近い値である実質賃金(水色のグラフ)が最も高かったのも97年。2010年を100とすると109.5。当時は約1割も高かったことになります。そこからどんどん下がっていく。特にアベノミクスが始まると実質賃金の低下は加速する。13年が98.3、14年が95.5。下げ幅はどんどん大きくなっている。そればかりか2014年は統計が始まってから最低の値だ!
                                                             
さらに雇用形態による名目賃金の推移。
●93年〜2014年 雇用形態別の名目賃金の推移(2010年を100とする)

正規社員など常用の雇用を表す『一般』(茶色線)は2014年は98.9と、2013年の98.5から僅かばかり上昇した。だが、アベノミクス前の2012年の水準に戻ったに過ぎない。せこい賃上げです(笑)。勿論 ピーク時の97年の113.6には遠く及ばない。一方 パート(薄赤線)は2014年は101.6と、2013年の101.2からわずかに上昇はした。だが、これもアベノミクス前の2012年の101.5と殆ど変っていない。93年当時は93.6だから、パートの名目賃金は長期的に上昇傾向ではある。だけど2014年の水準はたかだかアベノミクス前の2012年、民主党政権当時の水準に戻っただけだ(笑)。これがアベノミクスによる『賃上げの実態』です。
                                                                                                                       
まとめると、この約20年間で常用の雇用者の給与はピーク時に比べて1割以上下がり、パート雇用者の給与は1割弱上がった。その結果 全体の実質賃金も約1割下がった。この傾向はグローバリゼーションや製造業の衰退など構造的な産業変化が大きく影響しているのでしょう。だが、アベノミクスでその傾向が加速し、実質賃金は統計が始まって以来 最低の値になった。山一や拓銀が潰れたときよりも、小泉不況よりも、リーマンショックの時よりも、あの酷かった民主党政権当時よりも、今のほうが生活は厳しい。
                                                                                                                                                                         
ついでにGDPのお話し。20日に内閣府が発表した1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値前期比0.6%増、年率換算で2.4%増という話しだった。国内のTVや新聞はおおむね好意的な論調だ。GDP年率2.4%増 1~3月期、景気緩やか回復示す :日本経済新聞
実際はどうなんでしょうか(笑)。マスコミは前期比で報じている、というのがポイントです。前の3か月と比べてどうか、というのは現時点での勢いを考えるには良いけれど(微分値みたいなもんだ)、全体はそれだけでは判断できない。そこで同時に発表された前年同期比の数値でグラフを作ってみた。年間を通して経済を見る時は結局 前年同期比で考えるのだから。
●2010年1月〜2015年3月までの経済成長率推移(前年同期比)

名目(青色のグラフ)では昨年9月以降は回復傾向にあるけれど、それほど回復しているわけではない。変動はあるにしろ民主党時代と大して変わっていません。
一方 実質成長率(水色のグラフ)を見ると消費増税以降下がりっぱなし、特にこの1〜3月は−1.4%と東日本大震災が直撃した2011年4〜6月の−1.5%に次ぐ落ち込みの酷さだ。

名目成長率は大して上がっているわけではないし、生活実感を表す実質成長率は悪化している。GDPの面から見てもアベノミクスは全然成果なんか出ていないことが判る。ヨイショモードの国内マスコミとは対照的に、ロイター通信は『さえないGDP』と報じている15年ぶり高値の日経平均、中身さえないGDPとギャップ拡大 | ロイター

実質賃金は下がり続け、経済成長率も大したことない、上がったのは株だけ、国民の生活は苦しくなった。これがアベノミクスの成果です(笑)。与野党ともに、これでぼ〜としてる政治家はどうなってるんだよ。


じゃあ、どうするか、ということなんですが。
先週も触れた世界各国(アメリカだけじゃない)の歴史学者安倍晋三宛てに出した、日本の戦争責任の清算に関する『日本の歴史家を支持する声明』の賛同者が先週の約3倍になったそうだ。http://www.jiji.com/jc/zc?k=201505/2015052000023&g=pol

●原文 毎日の記事:http://mainichi.jp/select/news/20150520k0000m030109000c.html ホントの原文:https://networks.h-net.org/system/files/contributed-files/japan-scholars-statement-2015.5.4-jpn_0.pdf


この文章ほど色々な読み方ができるなあ、と考えさせられた文章はない。池田信夫のように『世界的な学者に強制連行が否定された』と思い切りミスリードかましてる奴もいたし(笑)、韓国では『日本の慰安婦歪曲、世界的学者が我慢ならないと立ちあがった』(朝鮮日報)と報じた新聞もあるらしい。「ヴォーゲル声明」に逆襲託す韓国 (5ページ目):日経ビジネスオンライン
世の中には文字すら読めない輩が多い、と改めて思った。ちゃんと原文を読んでみれば、日本の戦争責任を認めつつ建設的な方向性を説いた、事実に基づいた公平な声明文にしか読めないんだけど(韓国の一部の批判もヒステリックだと指摘している)自分で物事を確認し考える人が如何に少ないか、ということを改めて認識した。

その声明に署名したエズラ・ヴォ―ゲル氏(ハーヴァード大名誉教授)が今日5月22日の日経『経済教室』で非常に良いことを書いていた。

                                               
彼は日本の現状についてこう述べている。
・日本の工業製品の一部は人件費の安い他国の製品に駆逐された
・政府債務は巨額に達し、なお膨らみ続けている。
・近隣国との政治問題は悪化している。
・高校&大学卒業者はやりがいのある安定した職に就くことが次第に困難になってきた。
・労働者の約4割が非正規雇用社会保障が十分でない。
・多くの世帯が生活水準を維持する為に貯金を取り崩している。
                                                                                                        
そんな日本の将来への処方箋としてヴォ―ゲル教授は以下の4つを挙げている。
1.女性とシニアの労働者を増やし、福利厚生の不平等を減らすこと
人口が減っていくとしても健康で長寿の人が増えたのだから60歳を過ぎても働ける仕事はあるだろう。非生産的な長時間労働を減らせば、教育水準の高い女性が仕事を続けることが期待できるし、ホワイトカラーの生産性向上にもつながる。福利厚生の不平等を減らせば、非正規労働者の意欲は高められるだろう。                                                                   
2.対中・対韓関係の改善
必要なのは改めて謝罪することではなく、これらの国の人々が経験した苦しみに対して日本の国民が思いやりと理解を示し、日本の責任を明確に認識することだ。慰安婦問題が重大な意味を持つのは韓国女性だけでなく、日本の占領下で抑圧されたり、奴隷同然の強制労働をさせられた人々の象徴だからだ。日本の若い世代はこうしたことをもっと教えられるべきだ。                                                   
3.日本の大学の質を高め、国際化を図ること。
日本は義務教育と科学分野の国際化では輝かしい実績を挙げたが、大学の教育・研究の質は国際標準に達していない。そのためには官僚体質の抑制、教員採用基準の引き上げ、教員の事務的軽減が必要だ。                                                 
4.国家戦略を担う指導者の能力を高めること
日本の政治指導者の多くは国際情勢や国内問題の理解度が低い。若い政治家や経営者にはもっと幅広い教育訓練や英語能力、外国人の発想への理解力が求められる。また官僚が使命感を持って総合的な政策を導く責任を担うよう育成しなければならない。


『Japan As No1』の著者らしく(笑)、富の再分配のことが抜けているが、それ以外は大変建設的で、長期的な方向性としては概ねその通りだと思う。右とか左にかかわりなく、頭がおかしくなければ(笑)、たいていの人は納得できる意見ではないだろうか。目先の株価を上げることにムキになったり、世の中の問題を他の誰かに責任転嫁することばかり考えてないで、そろそろみんなで少しは将来のことを考えるときだと思う。『マスゴミ』でも、時にはまともな意見が載る。あとは読む側の問題だ。上にあげた4つなら、老若男女一人一人にできることがたくさんあるはずだ。ガタガタ言ってないで、各自がやれることをやるしかない。


と、言うことで、今週も官邸前へ
午後6時の気温は22度。良い気候だ。今日の抗議は150回目だそうだ。参加者は官邸前800人くらい、国会前他で800人くらい、併せて1600人くらいだろうか(主催者発表1300人)。気候が良いと参加者も元気だし、数も多く感じる。官邸前でも相変わらずバカみたいなスピーチやビラも多いんだけど、先週、大阪 関電前の抗議で頑張っておられるmyrtus77さん風と、光と・・・雨音につつまれてのコメントを頂戴して、あんまりネガティヴなことを言うのも良くないと反省したので(笑)、余計だ。少なくとも反原連の人たちはマトモだし。
●抗議風景








                                            
伊方原発3号機が再稼働審査に『合格』したそうだがhttp://www.yomiuri.co.jp/science/20150520-OYT1T50094.html、実にふざけた話だ。今日も『伊方原発に反対する会』という団体の女性がスピーチしていたが、彼女によると『愛媛県民の7割が再稼働に反対しているし、依然 避難計画も出来ていない』と言う。ボクは官邸前に来るようになるまで、伊方なんてところは見たことも聞いたこともなかった。が、官邸前で伊方再稼働に反対する大学生の話を何度も聞いて、とんでもないと思うようになった。原発は半島の付け根に立地していて、事故が起きたら半島の住民が避難するのははっきり言って難しい。おまけに瀬戸内海に面している。いったん事故が起きたら、広島の牡蠣もフグも大分の城下鰈も関サバも関アジもアウト、と考えるのが普通だ。そんなところに原発を作る方が間違っている。まして再稼働なんてとんでもない!
東京都民としては、正直 高浜とか敦賀とかはこちらに被害はなさそうだから『そんなに地元が再稼働したければ、事故がおきたら自分のツケは自分で払え、勝手に●ね!』と思わないでもなかったが、伊方はダメに決まってるだろう!そんな酷い立地の伊方原発を動かさなければやっていけないのなら四国電力なんか、さっさと潰れちまえ。
●国会前

●警笛をならしながら、久しぶりに播磨屋トラックが登場!(笑)




●今日も子供の姿が。