特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『敢えて今、TPPを考える』(笑)と『0619 再稼働反対!首相官邸前抗議』、それに『0619戦争法案に反対する国会前抗議行動』

ボクは20年以上 整体へ通っていますが、その先生が『もう体がきついので営業日を週5日(全日)から、週3回の半日だけにする』と言い出した。60代後半の先生は長年の施術でご自身の頸椎がずれてきてしまったそうだ。こちらの身体の面倒を見てもらっているのにご本人の身体に負担をかけてしまって申し訳ないなあ、と思ったんだけど、同時に、寂しいなあ、と言う気持ちもひとしおだった。ボクだって歳をとっていくけれど、周りの人も歳をとっていく。先日もお世話になっていた80歳過ぎのクリーニング屋さんが倒れて廃業したところだ。ボクは保守的な人間なので、行く店は食べ物屋にしろ身の回りの店にしろ、20年、30年とお世話になっているところばかりだ。そうやって通う良心的な仕事をする店は個人経営なので、後継者がいなければ、いつかはこうなる(日本の中小企業が減少している原因のトップは不況ではなく、高齢化による後継者難だ)。
歳をとっていくのは仕方がないことではある。竹林の中で一人で死んでいくのが、ボクが小学生の時から自分の理想だし(笑)、若い時に戻りたいなんて1ミリも思わないけど、こういう話しを聞くと一抹の寂しさも感じる。これはいったい、どういう感情なんだろう。
●梅雨の合間の夕焼け。陽はいつか落ちる。陽はまた登るかもしれないが、今度登る太陽はこの瞬間とは違うものだ。



さてアメリカの議会ではTPPが暗礁に乗り上げているようだhttp://www.yomiuri.co.jp/economy/20150618-OYT1T50054.html
日本の新聞はあまりはっきり書かないけど、民主党の下院トップのぺロシ女史が大統領に交渉権限を委譲するTPAの関連法案(TAA)に反対に回っているくらい難航しているわけで、ボクの尊敬するクリントン政権の元労働長官ロバート・ライシュ教授が'’TPP is Nearly Dead’’と評するほどになっているRobert Reich (Why the Trans Pacific Partnership is Nearly Dead)
結局 昨日TPAがTAAと切り離されて下院で再議決されたそうだが、これから果たしてどうなるか米下院、貿易権限法案を再可決 上院が焦点に :日本経済新聞

                                                                                         
日本では反対にしろ、賛成にしろ、TPPに関して、まともに聞く価値があると思った意見は正直 殆どみかけないです。何事もメリットとデメリットがあるはずなのに、政府も政治家もマスコミもそれを踏まえた指摘はあまりにも少ない。特に反対派。そもそも内容がはっきり判んないのに絶対反対とか言えるのが不思議でならなかった(笑)。農協とか日本医師会とか既得権益が脅かされることが判っている団体(笑)が反対するのは理解はできる。だけど巷の反対論はほとんどが根拠不明だ。もちろん根拠不明な反対論でもまぐれで(笑)当たっているものはあるかもしれない。だけど反対する論拠としてはっきり言えるのは『政府は秘密交渉はするな』ということだけだと思う。

                                                                                               
例えばボクがTPPで一番心配しているのは国民皆保険の問題だ。自分なりに業界関係者や学者、要するに『ちゃんとした人』(笑)に色々と話を聞いてみたけど、ボクの結論は『判らない』だ。

TPPが発効しても国民皆保険は大丈夫、という人もいる皆保険を導入しているのは日本だけでないから、そう簡単に脅かされるとは思わない、というのだ。確かに調べてみたらTPP対象の他の国、オーストラリアやカナダなどは国民皆保険がちゃんと成り立っている。アメリカのポチの日本はともかく(笑)、それらの国がそう簡単に皆保険を手放すとは思えない。TPPの原型と言われている90年代の北米自由貿易協定(NAFTA)でもカナダ、メキシコの皆保険は守られている。
一方 TPPで国民皆保険が脅かされる、という意見もある。混合診療が進めば医者は次第に儲かる治療を優先する様になり、国民皆保険も次第に有名無実化する、というのだ。

                                  
正直 ボクはどちらも一理あると思います。誰か、どっちが正しいか教えてください(笑)。
強いて言えば今後、医療費高騰の問題で、いずれ保険診療で医療全てを支えきれなくなるとは思う。だから、ボクはこう想像しています。TPPがあろうとなかろうと国民皆保険は無くなりはしないけど、縮小していく。もしTPPが発効したら、それは多少 加速される、とは思います。でもTPPによって新薬や新技術の認可や導入が早くなるメリットもあるかもしれない。昨日トヨタアメリカ人役員がアメリカから鎮痛剤?を輸入したということで麻薬密輸容疑で逮捕されたが、確かにあっちには日本では売ってなくても良く効く薬(勿論 安全が確認されているもの)があって、ボクも友人に買ってきてもらうことがあります。いずれにしても、TPPで国民皆保険が崩壊するかどうかはそう簡単に言い切れる問題ではない。

それくらい難しい問題なのに、『TPPで日本の医療や保健制度が崩壊する』と明確な根拠もなしに一方的な意見をヒステリックに吹聴する堤未果なんかはゴーマンで悪質なデマゴーグだと思います『インサイド・ジョブ(日本版)』(笑)と『嘘ではないが本当でもないこと』、それに★1128 再稼働反対!首相官邸前抗議! - 特別な1日(Una Giornata Particolare)。自分の金儲けのためには誇張やデマもOK、というところなんでしょう。


                                              
だがアメリカでは議員はTPPの内容を見ているし、ウィキリークスでも内容がバラされているから、アメリカでの反対はある意味 信頼性がある。アメリカでのTPP反対の主な論拠は、米民主党の議員が言っているように失業が増える、という点だ。それはごもっとも。実際に先行するNAFTAではこういうことが起きたからだ。

カナダ、メキシコと国境を取り除き、ヒト・モノ・カネを自由にした。米国の穀物企業がメキシコになだれ込み、巨大な農場を作った。トウモロコシ栽培で生きてきた農民は対抗できず、農地を失う。国境を越え米国で労働力を売るしかない。低賃金労働者が激増した米国は、賃金が下がり、仕事の掛け持ちで生計を維持する人が増えた。 TPPにヒラリー氏さえ慎重論、米国議会の紛糾は他人事ではない | 山田厚史の「世界かわら版」 | ダイヤモンド・オンライン

その実態は以前に読んだ名著『繁栄からこぼれ落ちたもうひとつのアメリ『繁栄からこぼれ落ちたもうひとつのアメリカ』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)に詳しい。

繁栄からこぼれ落ちたもうひとつのアメリカ―――果てしない貧困と闘う「ふつう」の人たちの30年の記録

繁栄からこぼれ落ちたもうひとつのアメリカ―――果てしない貧困と闘う「ふつう」の人たちの30年の記録

更にロバート・ライシュ先生なんかは『TPPで今まで獲得してきた労働者保護がないがしろになる』とも指摘している。だからアメリカでは労働者保護(TAA)をTPPとセットで検討していて、今はそこで議会で揉めているわけだ。


この経緯を見ていて改めて思ったのは結局 TPPもアメリカ頼みってこと(笑)。

本当は日本でも、もっとマトモな真面目な議論があってしかるべきなのだ。適当に誤魔化そうとする政府も酷いし、マスコミや野党だって能無しぞろいだ。やることはいくらでもある。NAFTAの前例を研究しても良いし、ウィキリークスを翻訳して解説をつけてばらまいてもいいし、アメリカの民主党みたいにTPPと失業対策をセットで要求してもいい。日本で話し合われているのは農協への補助金増額くらいか(笑)。既に日本の農家の収入の半分以上が補助金(我々の税金)なのに、これ以上増やしてどうするんだよ!『辺野古基金』と『農業について知っている1,2の事柄』、それに0410 再稼働反対!首相官邸前抗議(官邸前のみ!) - 特別な1日(Una Giornata Particolare) 泥棒に追い銭とはまさにこのこと。何よりも政府にきちんとした説明(メリット・デメリット)を要求するべきなんだと思う。一部で強硬な反対をしている人はいるけど、そんな意見は当然 世の中には広まらない。根拠すらはっきりしないヒステリーなんてマトモな人は相手にしないよ(笑)。

安全保障法制もそうだが、日本はマトモな議論が成り立たない国なんだろうか政府が酷いというだけでなくて、マスコミも国民も酷い、ボクはそう思う。これは『(政治的にも知的にも)今のような属国だったら、日本はアメリカの51番目の州になったほうがマシ』という理由の一つでもある(笑)。


小田嶋隆氏のツイート



ということで官邸前抗議へ。
今週は今日も含めて3回も宴会・パーティがあったけど、全部断った。もう、勘弁してください(泣)。宴会を断ってばかりでボクの世俗での評判はますます悪くなる一方だ(笑)。それでも嫌なんだよ。タダでさえ昼間はストレス満載なのに、何でプライヴェートの時間まで他人と関わってストレスを増やさなきゃいけなんだよ! お願いだから一人でいさせてください。子供の時から時々、地球上でボク一人になったらどんなに気が楽でいいだろう、と思うんだけど(SF『地球最後の男』の世界ですな)、そういうのはボクだけだろうか。
そう言いながら、デモへ出かけるのも自分でもなんか奇妙な気がする(笑)。
                                                     
今日の東京は雨。天気予報では午前中だけということだったが、夜になっても霧雨が降り続いた。参加者は官邸前、国会前併せて1000人くらいだろうか(主催者発表1200人)。
●抗議風景







●今 朝日新聞のプロメテウスの罠で取り上げられている『福島 希望の牧場』

今週17日には電気事業法が改正され、発送電分離が本決まりになった。発送電分離を決定、改正電事法が成立 参入・競争促す :日本経済新聞 めでたいことで、普通に市場競争が行われれば電力会社は原発なんかやってられなくなる。今までは採算が取れないものを地域独占の電気代ボッタクリで無理やり維持していただけなのだ。2020年の開始までに電事連は難癖つけて骨抜きにしようとするだろうけど、これは良く見張っていかなければならない。原発反対を唱えている人に限って、どうやって脱原発をするのかあまり考えてない人が多い気がするが(笑)、元来は市場原理で脱原発を図るのが一番スムーズに社会に受け入れられるはず なのだ。これは重要なことだ。

●伊方のパブコメ:今日が締切!ボクは避難対策とテロ対策のことを書いて出しました。
パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
●エネルギーミックスのパブコメ:こちらは7月1日が締め切り!
パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
                                                                                                        
更に、国会北庭へ。『戦争法案に反対する国会前抗議行動』へ。
先週に続いて、学生諸君(SEALDs SEALDs)がやってる抗議に合流。プラカードも『再稼働反対』から『戦争法案反対』に差し替え(笑)。
先週は1000人以上も集まったが、今週は更に凄い人だ。基本的に若い人が中心だが、今日は年寄(笑)も結構いる。だが、誰ともなく「若い人が前へ行って」という声がかかって一部のボケ老人を除いて年寄は後ろへ引っ込み、若い人が自然に前へ出てくる。恥ずかしがる子もいるが、時間がたつにつれ若い人が増えて名実ともに若者中心の集まりになった。
●抗議風景





                        
SEALDsのメンバーがひとしきりコールした後、マイクを譲られたのは作家の澤地久枝氏。この人は見識ある立派な人だと思ってるけど、話が長すぎて良くわからなかった(笑)。前日 病み上がりの瀬戸内寂聴氏がマイクをとったのを見て、そしてこうやって若い人が立ち上がってるのを見て、我慢ができなくなったらしい(笑)。若い人と老人がスクラムを組むために来た、と言うようなことを言っていた。7月19日に反安倍のメッセージを日本中のみんなで掲げよう、と仰っていたが話がごちゃごちゃしすぎて聞き取れなかった。
                                         
そのあとマイクを取ったのが『安全保障関連法案に反対する学者の会』の呼びかけ人の一人、堀尾輝久東大名誉教授(日本教育学会元会長)。『学者の会』も出来る限り、毎週この抗議に参加する、という。美しい話だ。教師の鑑!(笑)。大人が若者を応援しなくてどうするんだよ と ボクも思う。あともう一つ、鋭い指摘を仰っていた。
18歳の選挙権が通ったが、それは若者が政治家に舐められているからだ。それを見返してやらなければいけない
●ベレー帽のおっちゃんが堀尾教授

                                                   
今日は『報道ステーション』を始めとしてマスコミも多く詰めかけていた。撮影用の明るいライトが余計に熱気を煽る。そんな中で若い人が自分の言葉で話し、自分の言葉でコールをしている。『私はデートをさぼって、ここへきた(笑)』、『安倍ふざけんじゃねえ(笑)』、とかそんな感じだ。実に活気がある。噓くささがないこちらまで元気をもらえる。コールの様子を一応 ビデオを撮ったんだけど、うまく伝わるでしょうか。

                                                        
帰宅して『報道ステーション』という番組を始めて見てみたけど、抗議の様子が流れたのは5分くらいだった。勿論 放送しないよりは遥かに良いけど、なんかなあ、という感じ。最初は『集まった若者は数百人』とか言うインチキなナレーションを入れてたし(最後に、主催者発表で参加者2500人、とテロップ)、それに限らずこの番組、派遣法の話も内容は凄くいい加減だった。想像通りだったけど、こんな番組 真に受けたらクルクルパーになっちゃうよ。何で自民党はこんなアホ番組にめくじら立てるんだろう?あ、どっちもアホ、だからか(笑)

●当日の報道ステーションより

●SEALDsの諸君のtweet

●抗議風景2





                                               
集会とかで配られているリーフレットは内容が薄かったり意味不明のものが多いけど、SEALDsの諸君が配ってたリーフは実に立派だった。最初に、自分たちはなぜ安保法制に反対するかを1ページでまとめたあと、反対理由を詳しく述べ、Q&A、ミュージシャンや高橋源一郎のコメント、そして自分たちが何者か、これからの活動予定を理路整然と、美しいグラフィックでまとめたものだった。リーフだけでなく、学者など大人の引きこみ方とか、色んな意味でこの子たち、賢い。
                                    
リーフの内容もマジでちゃんとしているだけでなく独りよがりでないし装丁も美しい。これは大変だったろう、と感心してしまった。思わずカンパを集めている子を探して、『ありがとう』と言って、お札をカンパ袋へ突っ込みました。こういうときこそ、オヤジの出番だ(笑)。                                                                         
                                                                
帰る頃には参加者は国会前から後ろの方までずらっと並んでいた。主催者発表は『参加者2500人以上』(『報道ステーションは『以上』と言うコトバは伝えなかった)だが、ボクが見た限りでは3000〜4000人くらい居たんじゃないだろうか。学生たちは、『来週はもっと人を集める』と言っている。今日の抗議のことは、彼らが言ってることをそのまま伝えた方が良いと思う。少なくとも、自分で自分を恥ずかしいと思わないような行動をしないとなあ、と感じた。

●毎度おなじみ、日本人ジョーク。失礼(笑)