特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『別の世界を作る可能性と必要性』(ケン・ローチ)と『ポピュリズム≒ナショナリズム?』(トマ・ピケティ)、それに『0527 再稼働反対!首相官邸前抗議』&『安倍政権の退陣を求める国会前抗議行動』

たまには楽しい話題から行きたいと思います。今週 水曜に発表されたカンヌ映画祭では、このブログでもしょっちゅう取り上げている映画監督が1,2フィニッシュをおさめました。
                                      
まず、次席である『グランプリ』はこのブログでも度々取り上げているグザヴィエ・ドラン監督の『まさに世界の終り』が受賞したそうです。表彰式で彼は 『僕たちがこの世で求める唯一のことは、愛し、愛されることです。』とスピーチしましたカンヌ映画祭グランプリ受賞!グザヴィエ・ドラン最新作『It's Only The End Of The World』2017年2月日本公開 - AOL ニューストランスジェンダーの愛、同性愛、近親相姦の愛、と常に『愛の形』を描いてきた彼らしいコメントです。
●『まさに世界の終わり』の公式ポスター

                      
                                        
新自由主義が破滅を招き、我々の生きる世界は危機にある。映画は権力に立ち向かってきた。我々は人々に希望を持ち続けるためのメッセージを与え、別の世界を作る可能性と必要性を示さなければならない
現代の危機に立ち向かう ローチ監督に2度目の栄冠|エンタメ!|NIKKEI STYLE
こちらは今年の最高賞(パルムドール)を最新作『俺、ダニエル・ブレイク』で受賞したケン・ローチ監督のスピーチです。来日時 パーティーで中曽根に握手を求められて『戦争屋とは握手したくない』と言って拒否した、いかにも彼らしいスピーチです。

                         
でも、これは映画だけの話じゃないと思うんです。
別の世界を作る可能性と必要性』、今の日本に必要なものはまさにこれ、だと思います。昔の村上龍のベストセラー小説に『日本には何でもある。だけど希望だけがない』というような記述があったと思います。今の日本の現状はまさにそうじゃないでしょうか。『日本の若者の将来は五重苦に苦しめられるだろう。』元朝日新聞主筆、福島事故の民間事故調を主宰した船橋洋一は言います。即ち『歴史に正面から向き合ってこなかったツケ(外交)』、『財政難』、『少子高齢化による人口減』、『英語リテラシーの貧しさ』、『放射能』の5つに苦しめられる、と言うのです。意識はしていなくても、外も見ても内を見ても日本の将来は暗い、と多くの人は思っていると思います。
●今週、電車の中で読んだ本。体系的な『入門』ではなく、コラム集でした(笑)。

21世紀 地政学入門 (文春新書)

21世紀 地政学入門 (文春新書)

                               
別の世界を作る可能性と必要性』は誰かが与えてくれるものではありません。各自が自分で作り出さなければいけないものだと思います。ひとりひとりの出来ることはミクロでも、その積み重ねこそが社会の空気や風潮を変えていくでしょう。仕事でも生活でもやらなければいけないことはいっぱいあると思います。やらなければ変わらないんでね(笑)。
映画や音楽は『別の世界』を見せてくれます。ボク自身は日本の将来なんか興味ないです。 たぶんダメでしょ(笑)。でも酷い時代だからこそ、ボクは別の世界を作る可能性と必要性を信じたいです。だから映画を観たり音楽を聴こうと思うのです。

  




今週 水曜朝日新聞朝刊のピケティのコラムはこんな書き出しで始まっていました。
難民問題、債務問題、失業問題――欧州の危機に終わりはないようだ。一部の人たちにとっての答えは「自国にこもるしかない」というもので、そうした人が増えている。欧州から離脱し、国民国家へ戻ろう、そうすれば全てがよくなる――というのだ。これは空約束だが、分かりやすい。これに対し、進歩主義陣営は逃げ口上をうつばかりだ。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12374608.html?_requesturl=articles%2FDA3S12374608.html&rm=150
                                     
かねがね、ボクもこう思っていたんです。一部の人たちにとっての答えは極論すると「自国にこもるしかない」のように思えるのです。

これは怖いなあと思います。欧州だけじゃなくて、日本でもアメリカでも、右とか左に関わらず多くの人がこうではないか。景気が悪いのも、失業も、国家財政の赤字も、基地問題も、左側の人が言う『TPPを結ぶと全部アメリカに支配されるという話』も、極右が移民や他国の人を排斥したりヘイトをまき散らすのも、極論すると「自国にこもるしかない」と言っているように見えるんです。
                                       
例えばイギリスではEU離脱の声が盛り上がっています。年配の人はEU離脱に賛成、若い人は反対の傾向が強いそうです。普通に考えたらイギリスがEUから離脱したら、工場だって減るだろうし、ロンドンの金融市場(シティ)も少なからず痛手を受ける。シティの連中なんか死んじまえと思いますけど、イギリスがEUから離脱して困るのは、本当に困っている人です。雇用も減るし、景気も悪くなる。ちなみにケン・ローチ監督はEU離脱について「EUを出れば英国は一気に極右に向かうだろう。EUにとどまって、ヨーロッパの中で一緒に闘う方がいい」と答えています。河北新報/(3)国家への怒り激しく/ケン・ローチの「俺、ダニエル・ブレイク」 - シネマに包まれて-映画祭報告
トランプが良く言う『アメリカ・ファースト』だって、要はそういうことです。。トランプが自分のビルを建てるのに移民を多用してたのが暴露されてますけど、メキシコとの間に長城なんか築いたら労働力不足で困るのはアメリカ人です。
                                                         
日本も一緒です。国内でTPP反対って言ってる人でまともな根拠がある話はボクは一度も聞いたことがありません。山本太郎を筆頭に気が狂ってるんじゃないかと(笑)。サンダース氏やライシュ先生が言ってるように『(競争力が弱い米の)製造業で失業者が増えるから反対』、これなら判ります。こうなることはNAFTAで実証済みです。ところが国内でTPPに反対している人は具体的な証拠が殆どない陰謀論ばかりです(ちゃんとした話があるなら読んでみたいくらいです)。一方 政府の言ってることだって怪しくて、現実にはTPPに大したメリットもない、とボクは思ってます。関税は既に結構下がってますから。バカさ加減はどっちもどっちです。最新の経団連の機関誌(笑)のTPP特集を読んだら、政府も農業を変革したいと思ってるけど口に出すのはやばいから誤魔化しているんだろうな〜とは思いましたけど。

                                   
TPPの本質は『産業構造の変化が促進される』ということであって、そこにはメリットもデメリットもあります変革したほうが良い分野とそうでない分野をきちんと切り分けて、日本にとって得なのか損なのかを誰も論じないんですね。

安倍晋三の上からのナショナリズムなんて御免です。でもそれとは異なる、右左を問わず広がるこのような感情、これを ポピュリズムナショナリズム と呼べばいいのでしょうか。ボクはどうにも違和感を覚えてなりません。この件については、またいずれ書きます。



                        
ということで、今週も官邸前抗議
今日の午後6時の気温は19度。上着を着てちょうどいいくらい。今日の東京は午前中は大雨でしたが、午後は晴れました。すがすがしいお天気でした。今日の参加者は主催者発表で850人だそうです。
●抗議風景




●こういうセンス、好き。ルンバ以下、犬以下のクズ議員が一杯います。

共産党の田村智子議員。身振りから口調まで、ファミレスのように画一的なテンプレート通りの喋りはある意味感心します(笑)。

官邸前も含めて都内中心部はサミットの警戒(アホか)(笑)とやらで何となく物々しい。サミットのほうは相変わらず大騒ぎしてますが、あほらしいですね。安倍晋三はサミットで他国から財政出動のお墨付きをもらって責任転嫁で人気取りをして選挙、というストーリーでしたが、安倍の妄言『リーマンショックなみの危機』はさすがに外国には呆れられたそうです(笑)。
World leaders disagree on Shinzo Abe’s economic gloom | World | The Times

伊勢志摩サミット:首相の認識に疑問 世界経済「リーマン前に似る」 市場関係者「無理ある」 - 毎日新聞
●ラガルドお姉さま(IMF専務理事)は安倍の妄言を即座に却下(笑)

IMF専務理事「危機の中にいるわけではない」 :日本経済新聞
                                         
W選挙云々はサミット後の世論動向を見て決めるんでしょうけど、消費増税ができないくらいの不況を作ってしまったのだからアベノミクスは失敗だったことがはっきりした訳です!今までアホなことを言ってたリフレ論者の吠え面がみたい(笑)。だけど、失敗したことを責めるだけじゃなくて、『これからどうする』が重大なわけです。読売によると、政府は『給付型奨学金もやる』と言い出しています。http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160527-OYT1T50018.html

ここでバラマキ合戦になるのも愚かなことです。北海道4区の池田真紀候補が言ってた『普通の人から豊かになろう』、こういう本質的なことで勝負しなければいけないのかもしれません。政治がクローズアップしなければいけないのは、組合でもなければ労働者でもない、『普通の人』ですから。
                                               
                                            
そのあと国会前の高校生の応援へ。

●抗議風景





●高校生は元気だわ。勢いがあります。菅直人も来たそうですよ。


                                                
今日は抗議の最中、オバマの広島訪問をネットで見てたんですが、やっぱり安倍晋三オバマでは天と地ほど人間の質が違うなあと思いました。知性は勿論、他人を思いやる心情が違います。安倍晋三は昨年 安保法廃案を申し入れた被爆者に『見解が違う』と突き放しました。オバマはどうか。これを見ればわかります。

                                 
謝罪がどうの言ってる人もいますけど、日本がそんなことを言える筋合いじゃありません。まず、原爆投下は国際法違反ですけど、日本だって重慶爆撃を始め国際法違反はさんざんやってるんだし、まして国際法違反の東京大空襲の指揮官カーティス・ルメイに勲章を出しているんです。原爆投下に謝罪を求めるなら、日本政府に重慶爆撃他の謝罪とカーティス・ルメイへの叙勲取り消しを要求するのが先でしょう。勿論 日本政府はオバマに謝罪してもらっては困ると思っているでしょう。自分もやらなければいけなくなりますからね(笑)。
更にオバマが謝罪して実利的に何の得があるのか。それこそトランプやアメリカのバカ右翼に足を引っ張られるのがオチです。それで大統領選に影響があったらどうするのか。超優秀な頭脳のオバマですから、被爆者(日本語で発音したそうですね)をハグするシーンが世界に、いや、歴史にどういう意味をもたらすか計算してやったはずです。彼の立場では言える事と言えない事が有ります。よほどのバカじゃない限り、この写真を見れば彼の気持ちは判るでしょ!
理想を掲げて登場したオバマ氏ですが、出来なかったこともあったし判断ミスもあった。だけど実績を見れば経済の立て直しもキューバやイランとの外交関係復活も見事なもんです。後者で言えば、イランと戦争したがるイスラエルの圧力にも彼は負けなかった。今日のスピーチなど詳しいことはまだ良く知らないんですが、この写真だけ見ても彼は 理想とリアリズムを兼ね備えている、と思いました。繰り返しますけど安倍晋三とは大違い。安倍晋三じゃなくて、オバマ氏が日本の総理大臣だったらどんなにマシなんじゃないでしょうか。彼もまた『別の世界を作る可能性と必要性』を信じている。そういう思いを胸に、世界は一歩一歩変えていくしかない、とボクは思います。