特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『安倍晋三だけが戦争を起こすのではない』と『0327 再稼働反対!首相官邸前抗議』

他人の会社の話だから(笑)だけど、大塚家具の話は面白かった。創業者の会長が言ってることは支離滅裂だったから娘の社長が勝ったのは当然ではある。TVのワイドショーでは総会の中継までやっていたようだが、それより前に議決権助言大手の米ISS社が社長側についた時点でもう、勝敗は決まっていた筈だ。銀行など法人株主はそういう意見に逆らって投票するのはよほどの理由がない限り難しいからだ。いずれにしてもこんな親子喧嘩は一般の社員や株主にとっては全くいい迷惑で、今後この会社がダメージから立ち直るのは大変だろう。結局 今回の騒ぎで一番儲かったのは3月初めに高値で株を売り払ったアメリカのファンドってことだろう大塚家具“親子ゲンカ”で外資ファンド大儲け 株の売却益10億円超?:イザ!。徹頭徹尾、マヌケな話ではある。
                                                                                 
渋谷区の多様化社会推進条例は昨日 議会の委員会を通過、31日に採決の予定だhttp://www.asahi.com/articles/ASH3V5H7FH3VUTIL026.html。8名の委員中 自民の2名が反対。共産、公明、民主とその他2会派の計6人が賛成した。他の問題だって野党が手を組めば何とかなるんだよ。この動きは世田谷だけでなく宝塚市も渋谷に続くというhttp://mainichi.jp/select/news/20150325k0000m010171000c.html文明的であろうとする自治体が日本にも3つはあるということらしい(笑)。渋谷の実家近くの人たちに話を聞いてみたが、昔からの住人なんて超保守的な人が多いから、同性カップルのパートナーシップと言っても唐突で戸惑っているのが実態のようだ。結局 良くも悪くも区長の意思が大きいらしい。今週 区長の記者会見で煽り&でっち上げ専門の自称ジャーナリスト田中龍作が条例の足を引っ張るつまんない質問をしていたが、ああいうバカは早く消えてほしい。

                                                          
それより、渋谷で地元の店がどんどん潰れていくことが話題になった。戦前には映画館まであった商店街から店が殆どなくなったという。渋谷にも原宿にも青山にも日用品の店、八百屋も魚屋も肉屋も殆どないし、かと言って地価が高いからスーパーもなかなか出店してこない。高齢者が多い住人も日々の食料品はわざわざデパートで買って、配送サービスを利用している人が多いのだと言う。唯一 コンビニだけは盛況らしい。
これは地方の限界集落とかの話ではなく、これは都会のド真ん中の話だ。安倍晋三の地方創生(うまくいくわけないだろ)(笑)じゃないが、都会と地方の差が度々議論になる。確かにそういう面はないわけじゃない。だが、それだけで片づけられない構造的な問題があると思う。
                                                        
ボクの尊敬する、ロバート・ライシュ先生クリントン政権の元労働長官、現カリフォルニア大教授)が先週、こんな指摘をしていた。『かっての写真業界のリーディング企業コダックは14万人の人を雇用していた。そのコダックが倒産した2012年、その時の写真業界のリーディング企業 インスタグラムはたった13人の従業員でネット上の3000万人の顧客に商売をしていたRobert Reich (The “iEverything” and the Redistributional...)

極論すると、14万人の職がネットによって13人に置き換わった機械が人間の職を奪う、こういう現象がいろんな分野で起こりつつある。
既にタイピストや証券の仲買人などの職業がコンピュータによってほぼ消滅したが、最近は対人的な業務にまで機械が進出しつつある。今週も三井住友銀行がIBMの人工知能ワトソン君を顧客への対応業務に使用することが報じられたばかりだついに人工知能が銀行員に「内定」 IBMワトソン君 :日本経済新聞ソフトバンクのペッパーくんもスーパーでネスレの売り場に立つらしい。介護へのロボット技術の導入研究も始まっているhttp://www.meti.go.jp/press/2013/02/20140203003/20140203003.html。あと10年も経てばタクシーやトラックの運転手だって機械との代替が始まるだろう(石川県では2020年には高齢者向けに自動運転を実用化すると言っている)http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2015030202000196.html

日本中で商店街が潰れていくのは郊外に大型店ができたことやネット通販が理由と言われるけれど、本質的にはモータリゼーションやコンピュータ、ネットなどのテクノロジーの進歩がその理由だ共産党は大企業の陰謀というかもしれないけれど(笑)、それは違う。消費者である我々がその利便性と低価格を受け入れたからだ。

                                            
こうやって技術の進歩が進んでいくと、人間に残る仕事は何かを考えざるを得ない。我が身を省みると、ボクはマジでやばいと思ってますよ。特に日本は人口減が進んでいくのだから、機械への仕事シフトのスピードは速いだろう。そうなると技術を発明したり活用する少数の人は大きな富を得るし、機械を補完する単純不規則労働の側はグローバリゼーションで賃金は下落していく。ごく一握りの高給を得る人と低賃金の人に2極化するトレンドが明らかに存在しているように見える。これは大企業のせいだけでもないし、TPPのせいでもない(笑)。
だが我々は消費者であると共に労働者だから、労働者の賃金が低下すると経済や社会そのものが破壊されてしまうライシュ先生は、今 富を再分配する方法を考えることは未来を創ることだ、と指摘している。

ピケティ先生が言うように累進課税や資産課税の強化は良いと思うが、低成長時代には富には限りがあるのだから、それだけでは問題は解決できない。これもピケティ先生も指摘しているが、大きなポイントは教育だと思う。更に言うと学校教育も大事だが、自分が学び続けることはもっと大事だ。学校教育の期間より、そのあとの方が長いのだから(笑)。技術の進歩がこれだけ激しいのだから、地方創生も格差解消も、一人一人が自分自身で学び続けていくことを考えなければ絶対にうまく行きっこない
                                                                   
ボクがネットにはびこる陰謀論や煽りが大嫌いなのはそれが大きな理由だ。原発のことで言えば、政府や電力会社が言う『原発がなければ電気は足りない』や『原発は安全』は大嘘だったが、それでもCO2や電気代の問題、エネルギー安全保障は問題として残っていると思う。一方 原発に反対する側は政府の嘘は指摘するけれど、CO2や電気代、原発を止めるためのコスト(費用や雇用)は言及すらしない人が多い。先週見た『小さき声のカノン』のように同じ意見のお仲間同士しか視野にないのがその典型だ。
たぶんCO2や電気代はクリアできるとボクは思っているし、原発を止めるコストは5兆円で楽勝とも思っているけれど、正直 エネルギーの安全保障はちょっと考えてしまう。結局 異なる意見を持つ人たちの間で論理的な対話をしていくことでしか問題は解決しないだろう。経済の問題も格差の問題も一緒だ。

                                                                 
最近の日本社会は『反知性主義』が蔓延していると言われる。何を言ってるかわからない安倍晋三ネトウヨ的な言説はその代表だろう。だが、現実に向き合おうとしない反原発派やただ憲法9条を守ってさえいればいい、と言ってるような連中もボクには同類に見える。どちらも思考停止状態だからだ。と、言っても左右を問わず『反知性主義』みたいなものは流行り病みたいなもので、何時の時代でも存在するものだと思う。
●売れてるらしい。

小田嶋隆のツイート

けれど、それではうまく行かないのも確かだ。日本の場合、そこで社会全体がやけくそになって、取り返しのつかないことになってしまう(笑)。今回も、そういう可能性はあるんじゃないだろうか。将来の危機が戦争なのか、ハイパーインフレなのか、原発事故なのかはわからない。けれど安倍晋三が戦争を起こすのではなく、安倍晋三とそれに対する対案を出せない反対派、その弁証法的な止揚(笑)として戦争が起きるのではないだろうか。
22日の反安倍デモで一部の参加者が『NoNukes Or Die』と唱えていたのは実に軽薄な物言いで、ボクはすごく嫌な気持ちになったんだけど、『Think Or Die』なら納得できる。結局 一人一人が疑い続け、学び続け、考え続けることでしか活路はないのだとボクは思っているし、自分自身、その点は凄く危機感を感じています。
●毎度お馴染み日本人♥ジョーク。っつ〜か、ジョークじゃないって。


                                                                                                                          
ということで、今週も官邸前へ
朝方はまだ寒いが日中は春の陽気だ。今日の午後6時の気温は14度。寒くはないけれどスプリングコートが丁度いい季節。官邸前抗議も今日から4年目。今日の参加者は官邸前600人くらい、国会前他で600人くらい、併せて1200人くらいか(主催者発表1200人)。

●抗議風景








                                                   
今日は国会前でスピーチに立った福島の人の話が印象に残った。『放射能を気にする人も居るし気にしない人もいるので、洗濯物を外に干すかどうか迷ってしまう。外で散歩したネコが帰宅したら思わず足を拭いてしまう。』。こういうリアルさは現場でなければ判らない話だ。最近の官邸前のスピーチはヒステリックだったり、訳の分からない話ばかり聞かされて閉口することが多かったが、久しぶりにまともな話を聞いた感じがした。
●国会前

                                               
今日はデモへ行った後、庭に桜の木があるお店で夜桜見物。まだ満開には早いけれど、1年ぶりの桜の花はやはり美しい。かといって人混みの中でお花見なんてまっぴら。静かなところでこっそりやってるのが良いんだよ。ボクは植物の種類って全然わからないんだけど、これから桜が散るまでの約1週間、なんとなく風流な気分(笑)。
●夜の桜