特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

世界を変えるつもりはない:『株価と2つの判決』と『0424 再稼働反対!首相官邸前抗議』、『安藤裕子 LIVE 2015 「あなたが寝てる間に」』

なんだか株が上がってるなあ。ボクは3月末が当面のピークだと思ってたので、売れるものはもう、処分してしまいました。くっそ〜(笑)。と言っても子供のお小遣い程度だけど(泣)。GPIFに株は買わせるは、スチュワード・コードシップで機関投資家を脅かすは、コーポレートガバナンス・コードで上場企業を脅かすは、今の政権は株価が自分の命綱だと思っているんだろう。権力維持のためにはなりふり構わない連中だ。どうせアメリカが金融緩和を縮小するまでの話なんだろうけど。

     
そんなこととは対照的に、何故か発表が遅れた、この前の毎月勤労統計調査2015-04-17 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)、修正後の数字を精査したら、実は昨年は実質賃金だけでなく、名目でも所定内給与が前年より下がっていた、という記事が今週の東洋経済に出ていた。

2014年度の賃金は前年割れだった! | 政策 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
                                              
やっぱり統計の発表遅れは何か意図があったんじゃないか、という疑いが濃厚になってきたけど、陰謀論は興味ない(笑)。
いろんな企業の賃上げのニュースが流れているけど、経営者の内心は今はバブルじゃないかと思っているから、まともな企業なら所定内給与(残業や賞与を別にした毎月普通に払う給与)を簡単に上げるはずがない。今まで通り合理化の手を緩めず、おこぼれを賞与で払う、のが普通の経営者だろう。ボクが経営者だって、そうする。例えば少し前 ローソンが賃上げしたというニュースが大きく流れていたけど、関係者に話を聞いたら、あれは何年間も賃上げしてなかったので、たまたま今回上げた、というだけだった(笑)。内情はそんなもんだ。

これはすご〜く大事なことだ。株が上がるのは悪いことではない。自然に上がるのなら、ね。だが、今のように(人為的に)株価を釣り上げることだけに血道を上げていると、アメリカのように株価を上げるために企業が従業員をリストラするような国になってしまう。それが『日本を取り戻す』ことなんだろうか(笑)。今の政権の連中のどこが保守なのか、ボクにはさっぱり理解できない。
国民の方も株が少し上がったくらいで欲ボケしてると長期的にはエラいことになるぞ

                        
                                                                                                                                                                            

さて川内原発の再稼働差し止め仮処分の件は残念だった。http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/164414
これで川内、高浜と司法判断が二つに割れたことになる。ボクは福井地裁の判決より今回の鹿児島地裁の判決こそ、よく読んで考えなければいけないと思う。世論調査を見れば今でも原発に反対する人の方が多いけれど、特に原発立地には原発に賛成する人だって数多くいるからだ。一部の反対派のように『不当判決』とか切り捨てて一顧だにしないのもどうかしている。
ボクは自分がバカだと思っているから、自分と異なる意見の方に興味がある。もちろん、あまりにもバカバカしい話は門前払いだけど(笑)、きちんとした反対意見なら、そこから学ぶことが出来るからだ。福井地裁の判決はむしろ批判的に読み、鹿児島地裁の判決からは学ぶべきところは謙虚に学ぶ。反対派が裁判所で『私たちは屈しない』って言ってたそうだけど(笑)、どうして そんなことを簡単に言えるのだろう。反原発を宗教と勘違いしてるんじゃないの(笑)?自分が絶対的に正しいと思ってるんじゃないの(笑)?そんな料簡の狭さでは世界は変わらない、だろう。
●福井地裁の判決に対する批判的な論評:基準地震動や避難計画の問題などボクが先週書いたこと『選挙について知っている1,2の事柄』と『2月の実質賃金』、それに『0417 再稼働反対!首相官邸前抗議』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)をもっときちんと(笑)書いている。ちなみに論者は原発には批判的だけどフツーな経済評論家。
関電原発差し止め、事実誤認だらけの仮処分決定 狭い視野と不可解な人事、司法の信用失墜 | ビジネスジャーナル
西日本新聞による鹿児島地裁の判決まとめ

鹿児島地裁の判決要旨を軽く読んでみたけど、ボクはこう思う。
1.耐震性:△(ボクは判断保留)
判決が言ってる、基準地震動に対して余裕を持っているというのはそれはそれで一理あると思う。だが福島以降 どれだけ基準を厳しくしたのか、また、どこまで余裕を持ったのか、それを判決が客観的に述べていないようにもボクには思える。そもそも基準地震動の定義は『まれな地震』で、『考えられる上限の地震動』ではない。しかもそれを超える地震がどの程度の頻度で起きるのかも定量的に示されていない(日経朝刊4/24)。そんなものを基準にするのはおかしいのではないか
2.火山噴火:○’(理由は違うけど判決に賛成)
原発があろうがなかろうが、あの地域で破局噴火が起きたら九州全滅、下手すれば西日本全滅、だ(空が真っ暗になった天岩戸の神話は南九州の破局噴火を記録したという説もある)。そんなことを再稼働停止の理由で申し立てる方がおかしい。
3.避難計画の評価:×(判決に反対)
判決は、避難計画には一応の合理性がある、っていうけど、人の命がかかった話で一応ってなんなんだよ(怒)。どの程度の時間でどれだけ避難出来て、どの程度の被害が想定されるんだよ。現実には避難できない人や地域だって出てくるだろ。裁判官の家族がその地域に住んでたら「一応」なんて判決文書けるんだろうか?前田郁勝とか言う裁判官は納税者をバカにしてるのか!お前、職務怠慢だよ!税金返せ!                                                                                                               
よく、『原発よりも命が大事』と言う人がいる。ボクだって、そう思う。だが、そう思ってない人もいる。特に原発立地には大勢いる。結果的に、かもしれないが再稼働を望んでいる人たちは、(自分だけでなく家族も含めた)命より原発(カネ)の方が大事、なのだ。
もちろん それが悪いと言うわけではない。人間はお金がなければ生きていけない。仕事がなければ、ボクだって原発の仕事を受けて生きて行こうとするかも。中小企業の経営者が資金繰りに困ってサラ金や高利貸しに手を出すのと同じだ。大局的には愚かかもしれないが、人間には良くあることだ。そういう人を無視して『原発より命が大事』と念仏のように唱えているだけじゃ、どうにもならないだろう。それを乗り越えて議論をしなければいつまでたっても原発は止められない、と思う。

                                                      
結局 原発の本質はこういうことじゃないだろうか。
原発立地の人にとっては『いざとなったらオシマイだけど、小銭はばらまくから我慢してね、という仕組み』
●都会の人にとっては『最悪の場合 事故リスクはあるし、電力料金は安いかどうかわからないけど、税金や電力料金で余分にカネをふんだくられて地方へ補助金をばらまく仕組み』
●政治家にとっては『補助金をばらまく権限で議席を確保する仕組み』
●電力会社にとっては『莫大なカネを投入して作っちゃったから使わなければいけない&自分たちの高給を維持する仕組み』
●役人にとっては『今まで原発政策を進めてきた自分たちの正当性と将来の天下り先を維持する仕組み』
                                                                  
そんなところでしょうか。これでも自分では極力客観的なつもりなんだけど(笑)。他にもエネルギー安全保障(ほんとかな)や安全保障原発北朝鮮のミサイルが飛んできたらどうすんの?)、それに核兵器地球温暖化の問題はあるかもしれないけど、こちらは確証がないから良くわからん。

                                     
とにかく、原発に賛成でも反対でもいいから、いい加減 本音で話すべきだと思う。絡まりあった糸は本音で話さなければ解きほぐせない原発立地の人たちにとっては『普段は小銭はもらえるけど、いざとなったら死ぬかもしれない。本当にそれでいいのか』、都会の人にとっては『なんで原発立地の豪華温泉施設や電力会社の高給のために割高な電力料金をはらわなければいけないのか』、そういうことを頬かむりしたまま、再稼働を進めるのは原発推進側にとっても良いことはないだろう。
原発に反対する側はもっと冷静に推進側の意見を聞くべきだし(このことは故高木仁三郎氏が散々仰ってた)、原発をもっと進めたい側だって、誤魔化してないで堂々と意見を主張すればいい。そうやって話し合いをしていくことでしか、世界は変わらない。この世界は動物も含めて、皆の手で作るものだ。ボクは自分だけで、世界を変えるつもりはない
●『原発を続けたいなら正々堂々と建て替えの話をすべきだ』 橘川武郎東京理科大教授
Listening:<3・11後のサイエンス>「再生30% 原発15%」の意味=青野由利 - 毎日新聞
●おまけ:原発ホーリズム
4月23日 日経の大機小機、『原発ホーリズム』はちょっと面白かった。原発について「規制委員会は事物は要素の単純合計と考える『要素還元論』に立っている」が、「福井地裁は、要素が集まってできた全体は文化や歴史など要素の合計を超えた価値を持つという『ホーリズム』の立場に立っている」、というのだ。要素還元論の立場に立てば事故の確率が小さければ原発は使うべきだということになり、ホーリズムの立場に立てば原発事故によってかけがえのない日本の文化や国際社会の地位が劣化するなど事故の直接的被害以上のものが失われるので原発は使うべきではない、ということになる。賛否は別にして中々面白い発想だと思った。少なくとも、『原発事故による損失は経済的なものや生命健康に関する直接的な損失以上のものを真剣に考えるべきだ』と思った。原発の賛否より、ボクは自分が思いつかないような考えや発想を知りたいんだ

 

                                                                                         
ということで、今週も官邸前へ。
午後6時の気温は18度。やっと、良い季節になってきた。参加者も少し増えてきたかな。今日は官邸前しか見てないんだけど、官邸前だけで7〜800人くらいは居ただろうか(国会前他と併せて、主催者発表1500人)
●抗議風景













30分、大声を上げたあと(笑)、この日は更に、中野でコンサート。安藤裕子 LIVE 2015 「あなたが寝てる間に」Ando Yuko Official Site - Andrew Page

前からこの人はライブでは凄そうだ、と思っていたけど、曲がピンとこなくて、今まで手を出さずにいた。最近 NHKの夜10時のドラマの主題歌『人魚姫』を含んだ新譜を出したばかりで、NHK−BSで歌ってる姿を見ているうちにどうしても生を見たくなった。

あなたが寝てる間に

あなたが寝てる間に

歌が上手い、と言うより、強力な歌声だ。ウィルソン・ピケット矢野顕子パティ・スミスという感じか。一歩間違えると、ボクの大嫌いな日本語フォークになりかねない要素もあるけど、声が良いから ちゃんと音楽になっている荒ぶる感情とそれをコントロールしようとする歌声のせめぎあいが何ともスリリングなステージだった。元女優さんだけあってルックスは華やかなんだけど、滑りまくりの武骨なMCも対照的で好感が持てた。ファルセットを時折織り交ぜたアルトの歌声がまるでリード楽器のように腕達者なバンドと絡み合う様は実に素晴らしかった。
もっと早く見に行けば良かった。

●今日のブログのテーマソング:『世界を変えるつもりはない』
彼女曰く『今までは自分のためだけに歌を作ってきたが、他人のために書こうと思って作った』という歌を聞いたら、恥ずかしながらボクは平静な心ではいられなかった。勿論、これは311の後に作られたものだ。