特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

アベノミクス不況と0206 再稼働反対!首相官邸前抗議!

節分の恵方巻きというものが関東でも定着してきたが、子供のころ、東京でそんなことをした覚えもいなければ、そういうことをやっていた人の記憶もない。てっきり、関西の風習を大手流通業者が商売のために持ち込んだものだと思っていた。
今週 京都生まれの人に聞いたら、彼も子供の頃、『そんなことをした覚えは一切ない』、と言う。『大阪の寿司屋がでっち上げた風習じゃないか』と言っていた。そういえば以前 大阪の老舗の寿司屋で若い衆が『節分の前の晩は徹夜で巻くんですよ。夜遅くなってくると意識が朦朧として具を入れ忘れたりするんです(笑)。』と言っていた。
まあ、バカらしいという言えばバカらしいが、日本で伝統とか風習とか言われているものなんて、そんなものが多いんじゃないかと思う。君が代だって明治期に役人が適当に作ったものだそうだし、相撲は国技とか威張り腐ってるが昔は囲碁が国技だったという話も聞いたことがある。悪く言えば、いい加減、良く言えば柔軟性、そういうところが日本人の特徴なんじゃないだろうか


                          

さて、4日に厚労省の毎月勤労統計調査12月分の速報値が発表された。各紙の見出しはこう伝えている。各紙の性格がわかって面白いです(笑)。
賃金4年ぶり増 14年0.8%、物価上昇で実質は2.5%減(日経)
賃金4年ぶり増 14年0.8%、物価上昇で実質は2.5%減 :日本経済新聞
給与総額17年ぶりの高水準 平成26年毎月勤労統計(産経)
給与総額17年ぶりの伸び率 平成26年毎月勤労統計 - 産経ニュース
勤労統計:実質賃金2.5%減 物価上昇に追いつかず(毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150204k0000e020156000c.html
給与総額増えたが…実質賃金下げ幅、過去2番目(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150204-OYT1T50074.html?from=ycont_top_txt

アベノミクスが始まった2013年1月からの名目賃金、物価高を考慮した実質賃金の推移を見てみるとこぉんな感じ。
名目賃金、実質賃金の推移(2012年を100とする)

この12月の名目賃金は前月の前年比+0.1から+1.6と大きく上がったが、それ自体はボーナスがあるから当たり前で、むしろ伸び率は7月の前年比+2.4より下がっている点の方が気になる。また実質賃金は前年比-1.4と、前月の-2.7よりはマシにはなったものの、これで実質賃金は18か月連続前年より下がっていることになる。
つまり国民の暮らしはこの18か月間、ずっと悪化し続けている。これでいいのかね。まあ、ボクが株を1億くらい持ってたら利回りでカバーできるからアベノミクス万歳〜って言うけどね(笑)。
    
                                                                                
もうちょっと長いスパンで見てみる。前回 消費税を上げた97年から名目賃金と実質賃金の推移を作ってみた。途中 役所の方で賃金指数の基準年を2回変えているので、それは計算し直して、基準は97年を100としている。
●前回消費税を上げた97年からの名目賃金、実質賃金の推移(1997年を100とする)

2014年の名目賃金は97年比83.2にまで下がった。実質賃金はそれよりマシで97年比88.8。97年以降 国民の賃金はずっと下がりまくっている。
今まで実質賃金が大きく下がったことが3回あった。97〜98年の消費税導入時(−2ポイント)、次は01〜02年の小泉不況(-2.4ポイント)08〜09年のリーマンショック(-3.1ポイント)。そして今回のアベノミクス不況(笑)では14年は‐2.3ポイント13〜14年で見ると-2.8ポイントも実質賃金が下がっている。実質賃金の低下率で言えば今回のアベノミクスは前回の消費税導入を超えて小泉不況並みだ。あの時は銀行再編や無謀な緊縮財政、それにNYのテロで世の中てんやわんやだった。
14年は名目賃金が前年より上がったからインフレ脱却の傾向がある、と言う意見はあるかもしれない。だが今までも名目賃金が上がったことは何度かある(下表 青色の年を参照)。その時は名目賃金以上に実質賃金が上昇しているか(00年、05年)、ごく僅かな減少にとどまっている(06年)。それは純粋に経済の好循環だったからだろう。
●前のグラフの数値=名目賃金、実質賃金の推移表(1997年を100とする)

                               
今回のように名目賃金以上に実質賃金が大幅に減っている、なんてことはない。勿論経済が好循環しているという話でもない。単に一般庶民を犠牲にして、富裕層や株屋(主に外人)に富を再分配しているだけだ。民主党政権は耐え難いほど酷かったが、実質賃金に限って言えば3年中2年は上がっていた分だけ、今よりマシだったのだ(これから出る経済成長率も同じ結果になるはずだ)。                

                           
ただ、良いニュースがないわけじゃない。
●上場企業、15年3月期最高益に 車・電機で1.2兆円増益 
上場企業、15年3月期最高益に 車・電機で1.2兆円増益 :日本経済新聞
民間は頑張っているんだよ(笑)。共産党はバカの一つ覚えで『輸出大企業優遇』とか言うが、輸出企業なのに円安で赤字になってるシャープみたいな例だってあるんだから円安が輸出大企業に対して一様にプラスになってるわけじゃない。今 好調なのは苦しい時期に体質改善を進めた企業が主ではないか。
だが経済の目的は企業じゃなく、国民の暮らしを良くすることだ。企業は利益を出さなくてはいけないけど、それは良い製品を作り、給料と税金を払って国民の暮らしを良くするために、だ。民間は結果を出している。あとは政治家が国民の暮らしを良くしなければならない。行政改革も税制見直しも社会福祉改革も大したことをしてない癖に、企業に『賃金を上げろ』なんて言ってる政治家は、自分たちの仕事を放棄して企業に押し付けているだけだ。そこをはき違えるような政治家や役人なら税金で養っておく必要なんかない。




ということで、今週も官邸前へ
雪で中止になった先週に続いて、今週も昨夜は雪で積雪を心配したけれど殆ど積もらずにラッキーだった。今日の午後6時の気温は7度。凍り付いていた朝と比べれば少しは暖かく感じる。
今日の参加者は官邸前600人くらい、国会前他で500人くらい、併せて1000人強くらいだろうか(主催者発表1400人)。この時期 来るような人は大体が見かけた顔だ(笑)。始まる前『先々週は帯状疱疹が出て来られなかった』と大きな声で話している爺さんがいた。帯状疱疹はすごく辛いそうだから本人には笑い事じゃないだろうけど、少しおかしかった。官邸前の男性は年齢層が高いからなあ(嘆息)。

●抗議風景








どの世論調査を見ても国民の過半数以上が原発に反対しているというのに、政府はどうして原発を諦めないのだろう。減価償却が進んだ原発を動かした方が発電コストは安い、というのなら、そういうデータを示せばいいのだし(これは反原発の立場の人も計算してないと思う)、アメリカに脅かされてるとか(笑)、役人の利権があるとか(笑)、他に理由があるのなら説明すればいいのだ。これだけ反対の声があるのに、まともな理由を説明することもなしに政府や経産省原発を動かそうとするのは暴力的だし、怒りだけでなく正直、徒労感も感じないこともない。
それでも、それだからこそ、反対している人間が居るぞという存在を示しておくことは大事だと思う。官邸前のように、即時全原発廃止と言う人も居れば、ボクのように原発には反対でも『原発即廃止』は大丈夫か?と思ってしまうような人間も幅広く参加できる場が作られている、というのは日本の市民運動の一つの成熟の形だろう。

●おなじみ播磨屋トラック

●国会前の吉良ちゃん。こうやって見るとアジテイターみたいだ。常に怒りつづけている、非難し続けるというのも疲れるのではないか(笑)。

                                           
                                            
原発の話と重なるけれど、一部の政治家は、邦人救出のために自衛隊を海外派遣できるようにしようとか、全く理解できないことを言っている。例えば、6か月かけてもイスラム国とまともな直接交渉もできなかったのだから、情報収集機能とか人脈を強化しよう、というのなら判る。だが土地勘もなければ言葉もわからないようなところへ自衛隊を出して、何か出来ることがあるのだろうか。世界最強のハイテクと軍事力を持つアメリカだって人質救出は失敗しまくってるじゃないか。
そんなことは素人でもわかる。まともな知能指数があるのなら誰でも判るはずだ。もしそんなことすらわからないのなら与野党を問わず政治家、官僚の多くは恐らくバカ、なのだ。
                                               
だが、ボクらは彼らとは違う。ボクは自分が何も知らない愚かな人間だと思うけれど、少なくとも自ら好き好んで他人に危害を与えたり、それにつながるような行為をしようとは思わない(知らないで他人に害を為していることはあるかもしれない)イスラム国の連中やヘイトスピーチをやってるような白痴を除けば、多くの人はみんなそうだろう。希望はそこにあると思う。                                                   
                                                                                                                                          
今日 日経ビジネスデジタル版でコラムニストの小田嶋隆氏がとても良いことを書いていて、ちょっと感動した。2月4日の午前、自民党高村正彦副総裁が後藤健二氏について『蛮勇』と語ったことに関しての話だ。小田嶋氏は、慎重な言い回しを選んだ高村雅彦の言うことに多くの人が納得はするだろう、としつつも、『違和感を感じる』として、こう書いている。

勇気は、必ず一定量の蛮勇を含んでいる。そういう意味で、蛮勇だから勇気ではないという言い方は不当だと思う。お国が、国民よ臆病者たれというのなら話を聞かないでもないが、蛮勇を排して勇気を持てという言い方には、耳を傾ける気持ちになれない。その言葉は、私の耳には「国のために死ぬのが勇気で、自分のために死ぬのは蛮勇だ」というふうに聞こえる。
私は、自分のために死ぬ所存だ。
他人の勇気は「自己責任」 (5ページ目):日経ビジネスオンライン
お坊ちゃまの安倍晋三には理解できないかもしれないけれど、勇気って言うのは、戦場で発揮されるだけのものではない。ビジネスでも家庭でも(笑)必要なものだ。日本の大きな課題である起業なんか、その最たるものだろう。社会でも日常生活でも、官邸前で抗議するにも、ほんの少しくらいは蛮勇が必要なんだよ(笑)。
そしてボクは自分が臆病であることに誇りを持っている(笑)。だからボクは、せめて自分のために死ぬ所存だ(笑)。
●ついでに。小田嶋氏のtweet