特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『ザ・インタビュー』と『話し合える人/話し合えない人』、それに映画『6歳のボクが、大人になるまで』

寒いなあPerfumeかしゆかに似ているNHK9時のニュースのお天気お姉さん、井田寛子さんが『今年は季節の進行が1か月早いと思ってください』と言ってたが、もう完全に真冬状態だ。
毎度の話で恐縮だが、この時期、何がユーウツかというと仕事がらみの宴会ほどユーウツなものはない。人脈とかコミュニケーション促進という大義名分はあるにしろ、どうして業務時間外に宴会なんかやらなくちゃいけないんだよ。しかも寒くて街に人が多い時期なんてサイアク。自分で自分の体を痛めつけているようなもんだ。ということで今週の官邸前抗議はボクはお休みです。


ボクが大ファンの俳優兼脚本家セス・ローゲン大先生(『50/50』、『テイク・ディス・ワルツ』、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』)の新作映画『ザ・インタビュー』が公開中止になりそうだという。ソニー・ピクチャーズ、映画公開見送り テロ予告受け :日本経済新聞
金正恩を暗殺しようと言う、たかがお笑いストーリーに対して、北朝鮮らしき連中がマジのテロを予告してきたからだそうだ。野蛮なテロに屈したソニーピクチャーズも問題だが、それ以前に大日本帝国そっくりのクソ・ゴミ・カス国家のインチキ独裁者はさっさと死ねよ!栃木の渡辺みっちー''8億円''親子の劣性遺伝みたいな面しやがって、このうすらデブ!じゃあ、少し前に堂々世界公開されたこれはどうなんだよ!


●『正義』(笑)の『チーム・アメリカ』(笑)が問答無用で金正日をぶち殺す。リベラルなハリウッドスターもぶち殺す。ついでにエッフェル塔も世界もぶち壊す。パロディになり損ねたお下劣映画。

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ボンボンの3世がふざけやがって。ユーモアがわからないのは白痴の証拠なんだよ。安倍晋三もそうだが、金持ちの3世政治家っていうのはいい加減法律で禁止しなきゃダメだよ。奴らの共通点は我慢ができないこと。だから恥も外聞もなくマスコミに圧力をかける。言論を弾圧する。ブッシュ(SCHOOLの綴りが書けなくて小学生にバカにされた方)、安倍晋三金正恩、並べてみると判るだろう。こういう連中が世界を悪くしているのだ。流行りのトマ・ピケティ流に言うと(笑)、どうか、世界中が相続税100%になりますように!そうすれば世界の大方の問題が解決するだろう。
●『ザ・インタビュー』と同じセス・ローゲン、ジェームス・フランコの主演作。マリファナでぶっ飛びながら世界の終りだ!
●『ザ・インタビュー』の予告。下ネタあり(笑)

     
                                                 
さてこの前の選挙をマスコミは自民圧勝とか言っているが、冷静に考えるとそうでもないのではないか。史上最低の投票率にも関わらず自民は議席をわずかながら減らしたし、極右(くそジジイ次世代)は壊滅、勝ったと言えるのは公明と共産だけだ。
2005年以来、今度の選挙まで小選挙区での自民党の得票数はずっと減り続けており、今や有権者全体の25%に過ぎないと言う(12/15日経夕刊)。実際 選挙後 自民党の支持率は解散直後の41ポイントから選挙後は36ポイントへ、5ポイントもダウンしている。http://www.yomiuri.co.jp/politics/20141217-OYT1T50000.html?from=ytop_main2

自公が議席の3分の2を握っているという最悪の状況は変わらないけれど(それにもかかわらず共産党の志位が『勝った』と喜んでたのは文字通りアホだ。自分の組織が国民より大事な共産党の本音が良く表れている)、サイアク、というほどではないのではないか。それでも棄権をするアホが全体の半分もいるのだから、楽観はできないが。
小田嶋隆tweet。『あの男』って誰だか判るよね。我が高校の先輩ながらデビュー作から変態のカス野郎だもん。

                                                                                               
選挙関連では鈴木邦男氏が書いていたことが印象に残った。今回 右翼の彼は民主党の辻本清美の応援演説に行ったという。彼によると、右とか左とかより、話し合える人と話し合えない人かどうかが重要だから、だそうだ。
デマと闘う選挙運動の異常さ|鈴木邦男の愛国問答-第165回 | マガジン9
意見や好みというのは人によって違う。例えばスポーツが好きとか嫌いとか、ハンバーグが好きとか嫌いとか、それは個人の自由だし、そんなことは合わせる必要はない。だが『私はこういう理由で、こう思う』という会話ができれば、意見が違う人とも何かの共通項を見つけられる可能性は高い。自分の意見を言うだけでなく、理由も加える。これは『最低限(小学生レベル)の知的な訓練』と『相手と会話をしようという意思』の問題だが、民主主義が成り立つ前提条件でもある。近年 日本で怪しくなっているのはその点ではないか
TVの街頭インタビューにすら食ってかかる安倍晋三に日本語が通じるかと言ったら、あまり通じそうにない(笑)。勿論 ネトウヨ在特会にも通じないだろう(笑)。それだけではない。例えば官邸前抗議にだって会話が通じなさそうな、ヒステリックな人は大勢いる(へサヨっていうの?)。2000年に原発反対運動の草分け、高木仁三郎氏が亡くなった時 ボクは居てもたってもいられなくなって、日比谷公会堂で行われた彼の追悼集会に出かけたんだけど、会場は何とか派とか訳の判らない旗や幟で一杯だった。その異様な雰囲気に、これじゃあ、高木氏も浮かばれないし、未来永劫 原発なんか止められない、と正直がっかりした。それでも311以降はまともな人も数多く原発への抗議に参加するようになり、そこにボクは希望を持ったんだけど、官邸前はそこまでひどくはないにしても、訳の分からないことを言っている人はそれなりに、いる(笑)。もちろん他人がどうあろうとボクは興味ないし、自分が意思を表明したいだけだから、それほど目くじら立てるつもりはない(笑)。

                            
だが、嘘や筋が通らないことを述べても、その声は世の中に広く広まらないだろう。人間はそれほどバカではない(*一部例外を除く)(笑)。例えば共産党が『輸出戻し税で大企業は優遇されている』とか『大企業の200兆の内部留保で消費税を代替しろ』とか言っても、ちょっとググれば嘘八百ということが簡単に判る輸出戻し税は中小企業にも適用されているし、企業会計の一般常識として内部留保がすべて現金で存在しているわけではない。まともな人なら、そんなことを言っている嘘つきに政治を任せようとは思わないはずだ。残念ながら、嘘つきとは話し合いが成立しないもの。
共産党小池晃twitter。これで政策委員長かよ(笑)。『剰余金で賃上げ』とか『労働分配率を高めろ』なら、まだ判るけど。要するに共産党も麻生と同じ痴的レベル。

                                           
やっぱり話し合いができるかどうか、は大事だと思う。なぜならボクらにカネや権力があるわけでもなければ、マスコミに圧力をかけられるわけでもない(笑)以上、話し合いをしていくことが世の中を変えていく唯一の可能性だからだ。右とか左とかなんて些細な話だよ(笑)。『論理的に話し合いをしよう党』(笑)はどうだろうか。原発だって、補助金や処分費用まで含めたら電気代は本当はいくらかかるか事故が起きたら被害が及ぶことが誰にでも明白な30キロ圏内の避難計画にいくらかかるか計算してみれば、どっちが得かは誰にでもわかるはずだ。ヒステリックに反対する暇があったら『原発を止めるには幾らかかるか』とか『原発を止めた過疎地はどうやって食っていくか』を考えるほうがマシだ。気に入らないことには頬被りし情緒に訴えることばかりの安倍晋三に反対するのだったら、それとは対極の『(論理的に)話し合いをしよう』(笑)路線を取ることこそ大事なように思える。

そうは言っても、話し合いをする気がない『根っからのアホ』や、論理的な会話能力がない『動物以下のマヌケ(犬だってある程度 会話は成り立つ)は相手にしないけどね(笑)。そういう奴に限ってヒマなんだろうけど、ボクは忙しいもん(笑)。


                             
年末にすごい映画にぶち当たった。
銀座で映画『6歳のボクが、大人になるまで』(原題''Childhood'')
恋人たちのディスタンス』などビフォア・シリーズ2014-02-03 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)リチャード・リンクレイター監督の新作。
『映画史に残る傑作』とか『何十年に1度の傑作』とまで言われている非常に前評判が高い作品。ベルリン国際映画祭監督賞受賞。来年のアカデミー賞の呼び声も高いそうだ。それなのに東京では2館でしかやってない。どうなってんだ。

テキサス州に住む6歳の男の子(エラー・コルトレーン)が18歳になるまでを家庭環境や時代の変化とともに描いていく。シングルマザーの母親はパトリシア・アークエット、男の子の姉は監督の実際の娘さん、家族と離れて暮らす父親はイーサン・ホーク

撮影期間はなんと12年(笑)。主役に選んだ6歳の男の子と主要キャストの本当の移り変わりをそのまま描いている。具体的には子供たちの夏休みの時期に少しずつ撮影していったそうだ。

                                                          
映画は男の子が寝転がって、空に流れる雲を眺めていくところから始まる。お話はその彼と家族の変化を描いていく。母親は、ミュージシャン志望で定職を持たない父親と離婚して、姉弟を一人で育てている。経済的にも時間的にも厳しい中で、子供にイライラしてしまうこともある。父親は社会生活には適応できないけれど子供たちのことは大好きで、時々やってきては子供たちとキャンプへ行ったりボーリングへ行ったりして遊んでくれる。
●優しいが生活能力がない父役のイーサン・ホークと。時々彼が出演している同じ監督のビフォア・シリーズを見ているように錯覚する。

低賃金の職のかけ持ち生活(日本やアメリカで今 まさに起きていることだ!)に限界を感じた母親は、より高給な職につくために地元のコミュニティカレッジへ通い始めたが、そこで大学教授と結婚する。経済的にも家族的にも安定したかと思ったが、そいつはアル中のDVのとんでもないカス野郎だった。
●男を見る眼がないお母さん役のパトリシア・アークエット

                                                                                                     
観る前は少し暗いお話かも、と思っていたけど、直接的に陰鬱なシーンはない。それに抑制が効いている。DVもストーリーのごく一部でしかなかった。お話は厳しい現実を直視しながらも、笑いとほのぼのとした感じで進んでいく。
なによりも、可憐な男の子だった主人公と姉が、実際に大きくなっていく姿を見るのはマジで感動する。メイクとか服装の変化なんかじゃない、子供が本当に大きくなっていき、大人たちはしわが増え、肉がついていく(笑)。今はメイクもCGもすごいけれど、やっぱり、本物にはかなわない。他の映画はなんだったんだという気になってしまう。
●お姉ちゃん(監督の娘さん)と少し大きくなった主人公

                                                                 
カスのDV野郎から逃れた母親と姉弟は自立した生活を始める。初めての学校生活も楽しいことばかりでもないし、母親も時にはヒステリーは起こすけれど頑張っている。それに父親は頼りないけれど、絶えず見守っていてくれる。
大学教師の職を得た母親はまた再婚する。相手はイラク戦争に従軍して学費を稼いで大学に入った学生だ。頼りない父親はやっと就職し(笑)、再婚するが、子供たちのことは見守り続けている。
●本当に子供が大きくなっていくのはそれだけでスペクタクルだ。どんな演技もかなわないよ(笑)。

                                                 
主人公にもガールフレンドが出来る。学校生活、アルコール、マリファナ、いろんなことが起きる。と、同時に湧き上がる将来への不安。自分は何をやっていったら良いのだろうか。
●大きくなった主人公と歳をとって就職した(笑)父親。

                                   
この映画で素晴らしいのは演出に抑制が効いているところだ。セリフや画面で語り過ぎない。直接的な描写も少ない。事情が判る人には深く受け止められるし、そうでなくてもすらりとお話を受け入れていくことができる。だけどぶっきらぼうな映画ではなく、セリフがとても生き生きしている。この監督の『ビフォア・シリーズ』と同様にアドリブが非常に多いそうだが、登場人物たちが自分の言葉でしゃべっているのが非常に良くわかる。映画を見ながら『ふん、ふん、そうだよなあ』と思う人は多いのではないか。

                                                                                
この映画のもう一つの側面はアメリカの近現代史の雄弁な証言となっていることだ。イラク戦争リーマンショックオバマの大統領選出、登場人物に直接関わりなくても、大きな影響を与えていることが、映画を見ていると良くわかるようになっている。イラク戦争を批判し、子供と一緒にオバマの大統領選の運動に熱中するリベラルで能天気な親父は超保守的な一族の中で育った女性と再婚する。イラクに従軍して大学の学費を稼いだ努力家の継父はリーマンショック後の不景気で身も心も転落していく。
                                                                                                 
人間は善と悪の二つになんか割り切れるものではない。リベラルと保守なんて決めつけられるものでもない戦争、不況、格差の拡大、男女差別、市井の一般人である主人公たちにも激しい環境変化が降りかかってくる。それを文字通りリアルタイムで捉えているこの映画が素晴らしいのは『彼らはそれでも自分の力で生きていこうとする』ところを描いているところだ。現代の不況に苦しむ人たちを描いたノンフィクションの傑作『繁栄からこぼれ落ちたもう一つのアメリ』もそうだったが2014-01-20 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)、ポイントはここだ。政府は国民のことなんか考えてないし、大企業は横暴だ。一般人が生きる環境はどんどん厳しくなってくる。だけど人間はなんとか自分の力で生きていかなければならない。『今 私たちは傷つき打ちのめされて、途方に暮れている。けれども私たちはこの試練から立ち直る。』(『繁栄からこぼれおちたもう一つのアメリカ』より引用)。同じ現代アメリカ社会を描いていてもこの映画は、嘘や誇張を使って不正を告発する『だけ』の堤未果のインチキ本『インサイド・ジョブ(日本版)』(笑)と『嘘ではないが本当でもないこと』、それに★1128 再稼働反対!首相官邸前抗議! - 特別な1日(Una Giornata Particolare)とは対極のスタンスに立っている。現実がいかに厳しくても人間が生きていくことの素晴らしさを静かに見つめ続けるこの映画の人間観はなんと豊かなことか。
                                                                                                    
男の子は18歳になり、学費の安い地元のテキサス大学に入る。自分の進みたい道もおぼろげながら見えてきたし、女の子とも知り合った。彼は6歳の時と同じようにハイキングへ出かけ、空を眺めるところで12年間の旅は終わりを告げる。

                                         
声高に何かを主張したり告発したりするのではなく、人生の過酷さと素晴らしさを、静かに、だが説得力を持って描いた作品。3時間近い上映時間が全然長いとは感じられない、素晴らしい作品でした。今年のベスト10には絶対入る。DVDが出たら、人生の羅針盤として高校生の姪に贈るつもりだ(笑)。