特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

最初からそう言ってただろ〜が(笑):★1003 再稼働反対!首相官邸前抗議!

今週になって、さすがに御用マスコミも景気の悪さに言及し始めた。9月30日に発表された毎月勤労統計調査によると実質賃金はまたまた前年に比べて2.6%も下がった実質賃金の低下はこれで昨年7月から14か月連続になる。
アベノミクスが始まってからの実質賃金(赤線)、名目賃金(青線)の前年比推移


http://www.yomiuri.co.jp/economy/20140930-OYT1T50087.html?from=ycont_top_txt
さらに同日に発表された総務省の家計消費状況調査を見てみる。8月の消費水準指数は-4.5となっており、依然 消費増税からの回復も遅れていることが判る。過去2回の消費増税の時と比較した消費水準指数のグラフ(下記)を見れば一目瞭然、今回は過去に例を見ない落ち込みと言えるのではないか。
●消費増税があった89年(青線)、97年(赤線)、2014年(緑線)の消費水準指数の比較(いずれも増税は4月) *2010年を100とする

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014093002000265.html

昨年7月から1年以上も、ずっと給与増を上回る勢いで物価が上がっているのだから消費が増えるわけがない。しかも10月からもまた、各種値上げが相次いでいる。値上げ続々、免税拡大…10月1日から変わる暮らし、家計に重い負担 (1/3ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ) 多くの人にとって生活は厳しくなる一方だろう。http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NCT0XF6S972V01.html

アベノミクスが始まった当初から、『今 輸出は日本のGDPの2割くらいしかないのだから、残り8割の人は円安で損するに決まってる』と書いてきたが、まさにその通りになりつつある小泉時代は円安による輸出で景気は持ち直したが、企業の海外移転が進んでいる今 同じことをやってもうまく行くわけがない。去年の夏ごろ 末端のボクのところにまで役人が『どうして企業の輸出が増えないのか』と聞きにきたけど、最初からそう言ってただろ〜が(笑)。最初からわかってるよ(笑):★0712 大飯原発を停止せよ!首相官邸前抗議! - 特別な1日(Una Giornata Particolare)
外国人投資家ばっかり見て円安を引き起こした結果の人災だよ、人災。


こうなってくると直ぐ円安は大企業優遇とか言い出す単細胞みたいな政党(笑)が居るが、世の中はそんなに簡単ではない。輸出企業は大企業が多いことは確かだが、すべての大企業の景況が良いわけでもないし、円高の時 中小企業の景況が良かったかというと決してそんなことはない(笑)。確かに安倍晋三は国民より大企業を優遇しようとしている。だがそれだけで全てが決まるわけではない。 円安にしろ円高にしろ、結局 グローバルに競争力がある企業の景況が良い、というだけなのだ。あたりまえと言えば当たり前だが、反対することを商売にしている政治家とはちがい、自分が働いている身としては問題を他人のせいにして文句を言っている暇はない。                                                       
ただ、この期に及んで消費税の10%への上げを止めるべきかどうかはボクには正直わからない。増税を止めることによる株・為替への影響がどの程度なのか誰も読めないからだ。消費税を上げたらどうなるかはだいたい判る(笑)。金融緩和の出口戦略も考えないまま、アベノミクスとか言って浮かれているうちに日本経済はとんでもないところへ来てしまっているのかもしれない。


                                         
さて、この夏に『このまま人口減が進めば、日本経済は縮小するし、地方も消滅する』という中間発表をした内閣府『選択する未来』委員会は面白いし、勉強になる。意見は必ずしも同意できない所もあるが、日本が直面している本質的な課題をまともに議論しているからだ。まあ、もう手遅れかもしれないが(笑)。 「選択する未来」委員会 : 経済財政諮問会議 - 内閣府
25日に発表になった『地域の未来ワーキンググループ』(第5回)の議事録で見た小泉進次郎政務官の発言が面白かった。こいつは自分は頭が悪いと公言しながら良くも悪くも思い切ったことを発言する。最初は驚くくらいバカな発言も多かったが地方の現場を回っているうちに、少しは賢くなったのかもしれない。今回は本質を突いたことを言っている。
地元の人が自分たちの地域をどうしたいかという思いがないところに補助金を配っても無駄』、そして『住民の投票率によって補助金の率を変えたらどうか』と言うのだ。 住民が投票にすら行かないような地域に税金を投入する必要はない。まさにその通りだ。ちょっと長いが小泉の発言を引用する。

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この地方創生、地方活性化に関して言うと、3つの批判をするためにマスコミが手ぐすねを引いて待っている。1つは地方の自立を促すために北風政策をやったときに、地方に対して血も涙もないという批判。そして、補助金を使って太陽政策をやると、それはばらまきだという批判。両方バランスよくやると、今までと何が違うのかという批判。
では本当の地方創生は何になるのか、というのがまさにこれから知恵の絞りどころであるが、最後、大南氏(*当日のパネリスト。徳島の山村に多くのIT企業を誘致した人)が言ったところが全てかと思う。結局、役所や国は邪魔しないでくれと。それが一番だと思うが、では何もしないのかというとそういうわけにもいかず、では何ができるのかとなると、どうやって先ほどの補助金の費用対効果を高めていくか。しかし、それに関しては今、太田氏(*当日のパネリスト。岡山県恵庭市の市長。例の里山バイオマス燃料を普及させている人)が言ったように、それでがちがちやり過ぎることがだめなんだという地方の声もある。本当に考えていけば考えていくほど答えのない現状になってくるが、私の中で1つ最後に思うのは、結局、大南氏もそうであるが、地元の人が自分たちの地域をどうしたいかという思いがないところに金を配っても無駄である。
それでよく考えていくと、その地域その地域で若い人たちも含めて地域住民、全員世帯を含めて自分たちの町の首長選挙、地方選挙に投票に行っているのかという話である。今、地方選挙は良くても 40〜50%である。そうすると自分たちの町の未来を決めるための1票も投じないところにまちづくりが本当にできるのかということになるので、これは実現できるかどうかわからないが、投票率がより高いところほど地方交付税の算定をつけるとか、これぐらいやって初めて本当の地方の自立があるのかなと思いながら、これから地方創生政策をしっかり打っていけるようにしたい。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/wg3/0917/gijiyoushi.pdf
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こういう意見が出てきたのは当日の発表者が良かったからでもあるだろう。一人が徳島の山村、神山村に光ファイバーを引いてIT企業や芸術家を誘致して村人と共存する暮らしを目指しているNPOの大南氏、もう一人が『里山資本主義』でも紹介されたバイオマスを市の新たな産業にしようとしている岡山県恵庭市の市長だ。国や他人に頼らず、自分たちで考え、工夫し、地域の未来を切り開いている人たちだ。                    

神山プロジェクト 未来の働き方を実験する

神山プロジェクト 未来の働き方を実験する

                                              
東京都知事選の低投票率を考えると東京都民が偉そうなことを言えた筋合いではないが(泣)、地方の問題にしろ、原発の話にしろ、結局は自分たちの運命は自分たちで切り開かなくてはならないのだと思う。例えば90年代後半から行われている中心市街地の活性化は莫大な金がつぎ込まれたにも拘わらず、プロジェクトの9割以上が失敗したと言われている。今や地方都市はそこいら中シャッター商店街だらけだ。また原発補助金をもらってた自治体が経済的に自立した例があるだろうか。立派なハコものをそこいらじゅうに建てた挙句 維持費すら払えなくなって、原発の寿命が来そうになったら新たな原子炉を誘致して補助金をおねだりする原発立地の自治体は阿片窟の阿片患者よりたちが悪い。補助金なしじゃやっていけないと恥ずかしげもなく訴える姿はシャブ中と何が違うのか。 もちろん 選挙に行かないなんて論外のアホだ。
勿論 口で言うほど簡単な話ではないし、失敗もあるだろう。だが、それでも我々一人一人が我が事は我が事として自分で自分の運命を切り開いていかざるを得ないのではないか。政治家も政党も小指の先ほども信用できない。一人一人が自分で考え、参加し続ける政治プロセスを経ることでしか、民主主義は永続敗戦国家のこの国に定着しないのではないかと思う。

*必読!『里山資本主義』の藻谷浩介氏がアベノミクスについて『反日』とまで言っている。細部に間違いもあるけど、主旨はその通りだ。日本の経常赤字転落は円安が悪いのであって原発停止のせいではない。日本総研・藻谷浩介氏 「安倍政権は経済的な“反日”の極み」|日刊ゲンダイDIGITAL


ということで今週も官邸前へ★1116再稼働反対!首相官邸前抗議 | 首都圏反原発連合
今日の東京は10月とは思えないくらい暑かった。午後6時の気温は26度だ。地下鉄の駅を出て官邸前へ向かう銀杏並木の坂道、夏のような気候と潰れた銀杏の臭い臭いが奇妙なコントラストを為していた。
今日の参加者は官邸前1200人くらい、国会前他で500人くらい、併せて1800人くらいだろうか(主催者発表2000人)。この前の日曜日に鹿児島へ行った人も居るらしいから、そういう人はお疲れ様だ。顔ぶれは見知った人が多いけど、少しずつ入れ替わりもある。学生が集団で来ていたりするし、少しずつでも若い人が増えるのはやはり嬉しい。

●抗議風景






                             
香港ではアンブレラ革命』と呼ばれる民主化要求デモが盛り上がっているが、現地の人に聞いたら、若い人ほど危機感が強いと云う。実際TVで見ても抗議に参加しているのは若い人が圧倒的に多いようだ。香港返還にあたっては返還から50年、2047年までは社会主義政策を実施しないで1国2制度を維持するという約束があるそうだ。2047年以降も生きているであろう(笑)若い人は、それ以降本土並みの圧政になるのを恐れているから積極的なんだそうだ。問題点がはっきりしているということは、やはり人々の問題意識を掻き立てるのだろう。
一方 日本はどうだろうか。経済政策にしろ、原発にしろ、集団的安全保障にしろ、マスコミや市民の側に問題点をはっきりさせる努力が足りないと思う。アベノミクスだって、つい最近まで国民にとって良いんだか悪いんだか有耶無耶で、こんなところまで来てしまった。実質賃金は1年以上下がっているんだぞ。原発だって、反対する側も稼働を止めることによるメリット、デメリットをきちんと論じている例はとても少ない。嫌だ、怖い、というのは気持ちとしてはわかるが、それだけじゃ議論としては幼稚だし、その声が世の中に広がる可能性は少ないだろう。挙句の果てにはデマまで飛ばしている奴までいる(もちろん 原発賛成派にもデマは多い)。今週 映画評論家の町山智浩氏がこのように言っていたのは良くわかるし、ボクも100%そう思う(笑)。バカは何を言っても通じないから、バカって言うんだ。

そのような中で反原連が原発に反対する全ての人を包含して訴える場を作っているのは本当に偉いと思う。右も左もない。まともな人も考えない人も居る。嘘つきも居るかも(笑)。それでも本当に原発を止めたいのなら、間口は広げなければ。親鸞だな(笑)。必要なのは中間層を曳きこむ努力だ。逆にそれが出来ないのなら足手まといだから、反対運動なんてやめた方が良い。自分たちの党派だけで一生マスタベーションやってろって!
●動画を貼り付けられるのを始めて知りました(笑)。多くの人が自分の声を出している。ボクの声も入ってます(笑)。


今日 スピーチしている人は御嶽山の噴火と川内原発を絡めている人が多かった。まあ、気持ちは判るけど、いつも書いているように川内原発に届くような噴火(破局噴火)があったら原発があろうがなかろうが南九州は終わりなので、それを理由にするのはアホらしい、とボクは思っている。原子力規制委員会の委員だってそう思ってるだろう。
それでも抗議の列の中で、お父さんに連れられた子供がおもちゃのマイクで『原発反対』と言っているのを見かけて泣きそうになってしまった(笑)。だって可愛いんだもん。だけど子供にこんなことをさせるなんて、大人としては情けない(泣)。普段は仕事でも『冷めている』と言われるボクだが、子供と動物には感情的になる(笑)(*本当に可愛かったが、正面から顔が映るのでマイクを持っている写真は撮らなかった)
●お父さんと子供

                                                                
この3年間、ほぼ毎週来て、ほぼ毎回スピーチをしている老婦人が居る。彼女はほぼ毎週 総理大臣に説教している(笑)。今日 この人が89歳だということを始めて知った。市役所や議員事務所を回って、原発を止めてくれと言うロビー活動をやってるそうだ。びっくらこいたと言うか、まさに尊敬に値する。
●国会前。1枚目が89歳の斎藤さん



播磨屋トラックが今週も登場。皆、ぎょっとしている(笑)。

 
言いたいことが多くて、また長くなってしまった(笑)。とりあえず、理屈だけはダメ、現場も見なきゃ(勿論 現場だけでもダメ)と改めて思った第120回目の官邸前抗議でした。

●今週の写真。白髪のご婦人のプラカード