特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』

このまえのアメリカ大使館のFacebookに続いて、こんどは自民党の東京支部のBBSがネトウヨで炎上している。自民党都知事選で舛添要一を支援することに対する抗議らしい。https://www.tokyo-jimin.jp/bbs/forum.php?proc=ThreadList&pointer=0&log=present
舛添は厚生大臣時代、生活保護母子加算を怠け者と言い切った人間、だ。舛添要一「怠け者発言への釈明」に対し 新たな抗議文 - 薔薇、または陽だまりの猫 人間のクズ同士なのに(笑)、なんでネトウヨが炎上させるのかよくわからん。別に彼らに論理があるわけじゃないだろうから、どうでもいいけど(笑)。
あ、細川が都知事に立候補するとかしないとか言ってるけど、そんなもの、まだわかるわけないじゃん。前科が複数あるんだから(笑)。前回の総理大臣の投げ出し方は爺さんの近衛文麿そっくりだった。近衛文麿大政翼賛会を作り、どうしようもなくなって政権を投げ出した男だ。もちろんボクは、もっとも勝ち目がある反原発候補に投票する。今の日本にはそれほど余裕はないのだ。でも一言言いたい。細川にしろ、安倍にしろ、どうして戦争犯罪人の孫ばっかり、政治に出てくるのか。要するに家業だから、なんだろうなあ。そんな連中をいつまでも跋扈させている日本人は反省しなければいけないよ。



新宿で映画『フォンターナ広場 イタリアの陰謀
映画『フォンターナ広場─イタリアの陰謀』公式サイト

                                                                        
1969年のミラノ。世界的に学生運動やデモが頻発する中、イタリアも同様で、世の中は騒然としていた。そんな中、12月12日ミラノの繁華街 フォンターナ広場の銀行で爆弾が爆発し、約100人もの死傷者が発生する。警察は非暴力主義者のアナキストのリーダーを逮捕するが、彼は警察署で謎の死を遂げる。警察は事件は彼の犯行という発表をして事件の幕引きを図る。だが取調べに当たった警視はアナキストが犯人だとは思えず、調査を開始する。
                                                           
そんなお話。約40年前 実際に爆発があった際 爆発に遭遇した監督が実話ベースで事件を映画化したもの。ノンフィクション映画とでも言ったらよいだろうか。事件のことは、恥ずかしながら全然知らなかった。死傷者の数の多さだけでなく、それ以降 イタリアやドイツではテロや事件(元首相のモーロがテロリスト『赤い旅団』に誘拐されて殺される事件まであった)が頻発する70年代の『鉛の時代』に入っていくことで、イタリア人にとっては大きな事件らしい。
●当時のイタリアの騒然とした世情

                                          
だが この映画で語られる中身は非常に衝撃的だった。各地で頻発する市民の異議申し立てに脅威を覚えたイタリアの諜報部が極右のネオファシストを使って左翼に見せかけたテロを起し、世の中の緊張感を高めようとしたものだったのだ。
逮捕された非暴力主義のアナキストとは別に、グループから追放された過激派が居て、彼は確かに銀行に小さな爆弾を仕掛けた。だが人的被害を最小にするため、閉店後に爆発させる予定だった。スパイ活動でアナキストたちの動向を把握していた諜報部は、その爆弾の脇にもう一つ強力な爆弾をセットさせて営業時間中に爆発させ、大勢の死傷者を出したというのだ。イタリアの諜報部恐るべし。ここまでやっていたのか、という感じ。事件に巻き込まれて亡くなった人はさぞ無念だろう。
●非暴力主義のアナキストとその妻

                                                                         
さらに映画ではこんなことも示唆される。事件を起した内務省の諜報部はCIAの影響も受けており、事件にはCIAも関与した可能性もある。またNATO軍内の強硬派もネオ・ファシストに爆薬を渡すのに協力した。これらの内容を政治家はほぼ黙認しており、比較的リベラルな外相のモーロは事件の背景を調べあげたが、やばすぎて公表することは出来なかった。
●元首相で外相のモーロ(左)でも真相を世に出す度胸はなかった

                                                                      
映画はとうとう真相にたどり着いた警視が謎の死を遂げて終わる。これも事実だ。また映画では描かれないが78年にはモーロが誘拐され、殺されたのは非常に有名な話だ。ちなみにモーロを誘拐したのはテロリスト『赤い旅団』だそうだが、今では赤い旅団は左翼の政治運動と言うより、政治家や保守派から金をもらってテロを起していた集団だったことが判っている。実際 モーロの夫人は葬儀で殺害は同僚の政治家が関係していたことを示唆しており、当時のアンドレオッティ首相(保守派)は真相を暴こうとしたジャーナリストへの殺人罪で後日起訴される(一審有罪、最終的には無罪)。
●警視とその妻。大勢の無実の人が犠牲になった。

                                                                                                                             
アナキスト(非暴力主義者、過激派)、ネオ・ファシスト、極右ジャーナリスト、諜報部、警察、政治家、判事、様々な登場人物が入り乱れるストーリー展開は一級のエンターテイメントだ。こういうと何だが、お話として、かなり面白い。登場人物が入り乱れる話が複雑すぎるという評判もあったが、全然そんなことない。抑制された語り口は整理されていて非常に判りやすかったし、そもそも実際にそういう陰謀があったのだからしょうがない(笑)。あと、敢て書くけど、登場人物が着ているスーツが実にお洒落だなあと思った(笑)。こういうところもイタリア映画の良いところだ。
                                                           
ボクは知らなかったが映画とほぼ同様の内容はNHKスペシャルで2002年に放送されたらしい。関係者一同を全て実名で描いた、この映画は陰謀論とは程遠い、ほぼ本当の話なんだろう。それにフォンターナ広場に爆弾を仕掛けたらしい極右の男はなんと、帰化して今も日本に住んでいるという!
http://www.47news.jp/CN/200505/CN2005050401000260.html


それにしてもイタリアの政治の闇がこれほど深いものだとは。イタリアでそうだ、ということは他の国でも同じだろう。他人事じゃない。フォンターナ広場の事件ではアナキスト、極右、政治家、様々な人間が容疑者として逮捕されたが、全員 嫌疑不十分で無罪になったという。それでも、この映画で指摘されたようなことが明るみになってきたのは一部の司法関係者やジャーナリストが頑張ったからだ。日本ではどうだろうか。
実に深刻な内容を描きつつ、ものすごく面白い映画だったんだけど、面白いと喜んでいたらやばいかな、やっぱり。