特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『日本の人口減』と読書『ベルルスコーニの時代』と『0713再稼働反対!首相官邸前抗議』

いやいや、暑いですね〜。
今年の季節の歩みは早いですから、夏の終わりは早いのだと思います。でも、当面はまだまだ暑くなる(笑)。
こんな夏がやってくる東京でオリンピックなんかやって、選手や観客、それに関係者が熱射病になっても、ざまあみろ、です。だけど、こんな所でオリンピックなんかやっていいんでしょうか?文字通り狂気の沙汰としか思えない。誘致した連中はいくらオリンピック委員会に賄賂を払って、いくら儲ける皮算用なのでしょうか。
●3週間くらい前の国立競技場。バカでかい城壁のような工事を見るだけで『ムダ!』という言葉が浮かんできます。堤防でも保育所でも他に作るものはいくらでもあるでしょう。万里の長城ってこんな感じだったんでしょうか😄。ちなみに万里の長城を作った秦はほどなく内乱で滅びました。


昨日の日経朝刊の記事『人口減最大の37万人 9年連続減、生産人口6割切る 』は判っていることとは言え、衝撃でした(総務省の人口動態調査)。昨年1年の人口減が37万人というと全国のランキングで言うと60位くらい、長野市豊橋市吹田市高崎市くらいの大きさです。長野など県庁所在地クラスの都市が丸ごと、1年で消えてしまったわけです。このペースで行くと10年で370万人減少、全国2位の横浜市が丸ごと消滅してしまうことになります。

人口減最大の37万人 9年連続減、生産人口6割切る :日本経済新聞


15〜64歳の生産年齢人口が全体の6割を切った、というのも辛いところです。基本的には6割以下の人間で日本全体の生産やインフラ維持をしなくてはならなければならないわけです。貯蓄などを考慮せずに極論すれば、勤労者1人で1.5人分支えなければいけないことになる。これは厳しい。昨日から世界最大のスーパー、ウォルマートが傘下の西友を売却して日本から撤退するとかしないとかニュースになっていますが、彼らですら日本市場を見限ろうとしている。もちろん彼らは他の国へ行けばいいんですけど、住んでいる人間は中々そうはいきませんし、これからの若い人は大変です。

米ウォルマート、西友を売却へ 日本での店舗運営撤退 :日本経済新聞


更に驚いたのは外国人の人口増加です。外国人人口は前年比7%増(17万人増)の249万人。東京では20代の1割が外国人、東京で外国人が最も多い新宿区では20代の4割が外国人だそうです。

外国人、最多の249万人 人口動態調査 東京では20代の1割に :日本経済新聞


家事をしないバカ男どものせいで少子高齢化が進み日本が衰退していくのは止められないにしても、これからは外国の人と共生していくことを考えないと大変なことになる。コンビニや建設現場だけでなく、企業だって、我々はもう外国の人がいなければやっていけません日本サイコーとか負け犬の遠吠えをしている暇はない。先日見た映画『ワンダー 君は太陽『梅雨明けの大雨』と映画『ワンダー 君は太陽』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)で病気で顔が変形している主人公を苛める生徒に対して校長先生が『彼は生まれつき顔を変えられないのだから、我々の方こそ、自分の見る目を変えなくてはならない』という台詞がありましたが、我々の方こそ偏見をなくし、平等な労働環境を整備していかなくてはならない。実習生なんて世界の恥の奴隷制度やヘイトスピーチなんて以ての外。


人口にしても政治にしても、昭和の高度成長期のやり方、考え方は限界に来ている、ということだ、と思います。新しければ良いという訳ではないけれど、やはり我々の方こそ意識を変えていかなければいけないと思いました。



さて、大雨災害が起きているにも関わらず、政府の連中は宴会(笑)、それにIR法案や議席増の参院改革法を強硬に進めています。安倍晋三は数々の疑惑や官僚の監督責任を頬かむりし居座ったまま。野党も力がない。議席だけでなく国民に訴えるアピール力がない。一方 国民も自国の政治に興味なし。結果として政治家が国を私物化しているような状態です。うんざりしている人は多いと思います。
ボクもその一人ですが、参考になるかなと思って、この本を読んでみました。
ベルルスコーニの時代――崩れゆくイタリア政治

著者の村上信一郎は神戸市外大の名誉教授。永年イタリア政治を研究してきた学者です。
この本の内容は読売新聞に載った書評をどうぞ⇒『ベルルスコーニの時代 崩れゆくイタリア政治』 村上信一郎著 : ライフ : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)


イタリアと日本の政治は共通していると良く言われます。同じ敗戦国、長らく中道右派政権が1党支配を続けてきた国です。90年代に『政治改革』が起きたのも一緒、そして近年 酷い政治家ばかりなのも一緒です。
言うまでもなくベルルスコーニは4期9年間もイタリアの首相を務めました。元々は政治家ではなくテレビ、出版社などのメディアや建設業を手中に収める大富豪、首相に就任後は数々の汚職や買春、暴言などのスキャンダルで知られています。
こんなひどい奴がどうしてイタリアで何度も首相を務められたのか、不思議で仕方がなかったんです。


ベルルスコーニは北部の出身、戦後のニュータウン建設などで財をなし、自分が開発したニュータウン向けのローカル放送局も手掛けたことから、次第にメディアにも進出していきます。民放は殆ど全て、イタリア最大の規模の出版社、それにサッカーチームのACミラン(ボクは知りませんが有名だそうです)をも傘下に収めるようになります。
なんで、複数の民放を支配するようなことができたのでしょうか。建設業者ですので、元からマフィアとは密接に結びついていました。それだけでなく、ベルルスコーニは有力政治家と結びつきました。与党のキリスト教民主党はもとより、野党の社会党のクラクシ書記長まで盟友でした。さらに裁判官の買収などで、巧みに法の網を逃れてたのです。ついでにベルルスコーニは極右の秘密結社P2ロッジのメンバーであったことも明らかになっています。P2ロッジは財界、政界の有力者が加入しており、100人近くが亡くなった80年のボローニャ駅爆破など白色テロなどを引き起こした極右反共組織です。


ところが90年代になるとイタリアでは、マフィアと政界との結びつきや汚職が大問題になります。マフィアを取り締まろうとした裁判官が何人も爆弾で殺される有様で、流石に国民も怒った。既存政党もマフィアとつながりがあることが暴かれ、与党のキリスト教民主党、野党の社会党も全く信用を無くします。おまけに当時のイタリアは財政破たんの危機にありました。そこで比例代表制が廃止され、日本同様の小選挙区制が導入されたのが93年です。
政治家との癒着で事業を繰り広げてきたベルルスコーニも地位が危うくなり、死なばもろとも、自分も政界に打って出ます。傘下のメディアを使った大宣伝とマーケティング、でっち上げた改革者イメージを売り込むことで、ベルルスコーニの政党『フォルツア イタリア』(がんばれイタリア)は下院の第一党に躍り出ます。議員の9割が新人、3割がベルルスコーニの会社の社員だったそうです。ベルルスコーニはイタリア北部の独立を目指す『北部同盟』、ネオファシストの『国民同盟』と連立を組んで連立政権を作るのです。


経済面の失敗、右派同士の仲間割れなどでベルルスコーニは何度も政権を追われます。しかし左翼、中道左派の側も仲間割れを繰り返し、大きな力を持ち得ません。共産党出身の首相が自分の権力維持のため、政治生命を失いかけたベルルスコーニを救済までしてしまう。ベルルスコーニは度々復活します。裁判官の買収や汚職などのスキャンダルはしょっちゅう噴出しますが、それは『赤い司法の陰謀だ』と言ってベルルスコーニは意に介さず、自分のマスコミで宣伝やデマを流して、対抗します。結果として戦後最長の9年間も首相を務めることになります。

致命傷になったのはセックス・スキャンダルです。『17歳の政治家志望の少女との援助交際』、『若い番組アシスタントを議員に立候補させようとしたことで妻との泥沼離婚』(3億円/月の慰謝料を要求されているそうです)、『42歳の娼婦との乱交パーティ』、『18歳の少女との乱交パーティとその後 窃盗で捕まった彼女を釈放させるために警察に圧力を加えた疑惑』、それに過去の汚職や買収、賄賂、脱税、横領、免責特権の濫用などでベルルスコーニもさすがに追い込まれます。因みに乱交パーティーは仲が良かったカダフィ大佐に教わったそうです。これで当時 70半ばのジイさんですよ😈。ベルルスコーニの政治体制は『ポルノクラツィア』と呼ばれました。現在81歳の本人は19年まで、公職への立候補資格を失っていますが、依然 下院の2割弱を握る政党の党首でもあります。


長々と書きました。ボクが言いたいのはこういうことです。
1.ベルルスコーニ安倍晋三と非常に良く似ている
安倍晋三は確かに酷いけど、流石にベルルスコーニよりはマシ、だと思います(笑)。でも、やってることはセックススキャンダル以外はベルルスコーニと良く似ている。自分と自分の取り巻きの利益を優先するのも、国営放送の経営委員会の首を挿げ替え自分への批判を封じるのも、都合が悪いことがあれば『赤い裁判官』のせいにするのも安倍晋三が何でもかんでも朝日新聞のせいにするのと一緒です。自分は無能なので取り巻きを使って富裕層に有利な新自由主義的な政策を採用する。同じ独裁者のプーチンと仲良しなのも一緒。本を読んでいるうちに安倍晋三ベルルスコーニをパクっているのか?と思ったくらいです。


2.ベルルスコーニを生き延びさせたのはバカな国民と無能な野党
改革者イメージに踊らされる国民はイタリアも日本も同じです。小沢一郎の政治改革、小泉ブーム、橋下の維新、アベノミクス、これだけ痛い目にあっても日本人はまだ理解してない。逆にペテン師は改革者のふりをして出てくるというのは歴史の真理じゃないでしょうか。
あと、無能な野党。左翼や穏健な社会民主主義政党は『オリーブの木』という連合を組んで対抗します。日本の野党共闘のモデルです。一見 聞こえは良いですが、左翼の小党は集合離散し、権謀術数を凝らして権力争いをしていたり、現実を無視して理想だけを追い求めたりしたことで、ベルルスコーニの復活を何度も許しています。今年3月の選挙でポピュリズム政党(5つ星)とネオファシスト(同盟)の訳の分からない連立政権が成立しましたが、これも民主党(左派)のレンツィ首相が無用な憲法改正国民投票なんかやったのが原因です。
野党の無能さは日本も一緒です。この1年 安倍晋三を倒すチャンスは昨秋の選挙、今年の4〜5月と少なくとも2度は在りました。それがパーになったのは野党の戦術ミス(小池に騙された、野党分裂、審議拒否)が原因です。そして最大の問題はいつまでたっても野党に政権構想がないこと安倍晋三の最大の応援団は無能な野党とバカな国民です。



今の日本の政治は酷いものではありますが、日本だけではありません。ベルルスコーニ、トランプ、スケールの差はありこそすれ(笑)、全て安倍晋三の同類ですよね。著者はベルルスコーニの政権の本質を『盗賊支配体制』(クレプトクラシー)と呼んでいます。モリカケしかり、オリンピックの派遣労働者パソナが仕切る事しかり、高プロしかり、この言葉はまさに日本でもあてはまる。政治家が酷いのは日本だけじゃない!
ベルルスコーニ安倍晋三より下等だし、力を持っています。国内最大の出版社と民放TVをすべて持っているんですから。でもイタリアの人たちはそれでも何とかベルルスコーニを退陣させた。それは勇気が出る事例ではありませんか。



イタリアを代表する経済学者のラビーニ教授という人が ベルルスコーニを批判する遺著で『政治権力だけが腐敗して、市民社会が道徳的に健全であることはありえない。我々は皆 腐敗にどっぷりと漬かっている。(中略)ああ、奴隷に成り果てたイタリア』と述べたそうです。この言葉もまた、日本にとっても当てはまる。こう述べたラビーニ教授は左翼も含めた既存政党に失望しつつも、市民の抗議活動に希望を見出しながら亡くなったそうです。日本が今の政治状況から抜け出す術もこの言葉の中にあるのではないでしょうか。政治への無関心、金権主義、差別を見て見ぬふりをすること、弱者たたき、たぶん、それらを解決する鍵は我々自身の中にあるんです。



ということで、今週も官邸前抗議へ
暑い〜。東京は今年一番の暑さ。午後6時の気温も31度。三連休前の金曜の夜、参加者は600人。夕焼けが美しい晩でした。
●抗議風景 『安倍晋三は未来のために首相を辞めろ!』






●東海第二原発再稼働のパブコメ。締め切りは8月2日。都民は全員出さなきゃダメでしょ!
パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
*ご参考 日本原電・東海第二原発パブコメガイド|FoE Japan