特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

良い知らせと悪い知らせ、『そして、メディアは日本を戦争に導いた』、それに★0110 再稼働反対!首相官邸前抗議!

今日はネタが一杯あったので四題話になってしまいました。ちょっと長いですが、よろしければお付き合いください。

(1)良い知らせ:時間は脱原発の味方=Time is on my side、ストーンズです(笑)
今朝(1/10)の日経1面トップに象徴的な、そして重要なニュースが載っていた。総合商社の丸紅が首都圏で1500億!を投資して火力発電所を作るというのだ。新電力では最大規模だという。丸紅が首都圏で5発電所、新電力最大に :日本経済新聞
                                  
なんで、このニュースに注目したのか。なんで、このニュースが日経の一面トップなのか。それは丸紅がちょっと特徴がある会社だからだ(笑)。同社のホームページによると、こんなことが書いてある。今時 大手商社でこんなことを言っているのはこの会社だけだろう。『日本や米国の拠点を中心にウランの調達・販売、原子燃料サイクルの各工程に係わるサービスの提供や原子力機器・素材の販売などに注力しています。
エネルギー本部 | エネルギー・金属グループ | 事業紹介 | 丸紅株式会社
そして、昨年3月までの丸紅の取締役会長は東電の元会長 勝俣恒久の弟、勝俣宣夫だ。こいつは今も相談役で残っている。
要するにそういう会社なのだ(笑)。
まさに逃げも隠れもしない立派な(笑)原発ムラの一員と言えるだろう。しかし丸紅はウランだけでなく石油や風力など自然エネルギーまで手がけているし、ウランの輸入は三井物産もやっている、それに勝俣兄弟が全員 極悪人と言うわけでもない。世の中の常で、単純に白か黒か判断できるような話でもない。
しかし、原発ムラの中枢の会社がこういう判断をしたというのは事実だ原発が止まっている期間が長いほど、原発ムラから人もカネも逃げ出していくのだ。以前 原子炉を作っている企業がガスタービンへ人員をシフトしている内部情報も聞いたが、このような動きは事業の採算という、ある意味合理的な基準で動いている民間だったら当然の話だ。
とにかく原発を稼動させないようにしようその期間が長ければ長いほど、日本の将来が安全になる。そして日本に新しい産業を育てていくチャンスが生まれてくるのだと思う。


(2)悪い知らせ:靖国参拝に疑問を持たない人々         
安倍晋三靖国参拝に対する一般の人の支持率が案外 高いらしい。きちんとした調査かどうかしらないが、一部のネット調査では7割くらいが参拝を支持しているという話もあるらしい。ボクが日ごろ接している、商売に血眼になっている(笑)ビジネスマンや経営者の間では口に出さなくても『靖国参拝なんてアホじゃないか』という反応が大多数だから、ちょっとびっくりした。
おまけにアメリカ大使館のFacebookネトウヨのコメントで炎上(500以上)しているそうだし(笑)アメリカ大使館 U.S. Embassy Tokyo - ホーム | Facebook、挙句の果てには外国人タレントの女の子が『外国から見たら、靖国参拝ヒトラーの墓参りと思われても仕方ない』と発言したら、ネットで叩かれたりもしたらしい。

外国人がそういう風に考えるのは事実だろうし、その事実を指摘しただけで怒るような連中の発想こそ、ボクにはさっぱり理解できないのだが、強いて理由を想像すると、中国、韓国が他国のことに口出ししてくるのはおかしい、ということなのだろうか。まあ、子どもの言い訳なら、そういうのも理解できないわけでもない(笑)。


義務教育を受けた人間ならフツー、『政教分離憲法で決められている国で、総理大臣が宗教法人に参拝するのはおかしい』ってことくらいは思い浮かぶはずだ(笑)。それ以前に『総理大臣が靖国に参拝しても、日本には外交も経済も損する可能性はあっても何の具体的利益もない。』ってことに考えが及ばないのだろうか。靖国参拝なんて『ただの』ハイリスク・ノーリターンの行動じゃないか(笑)
日本の政治家の仕事は日本人に経済や外交の面で得をもたらすことだ。別に安倍晋三個人の信念や宗教なんか国民には関係ない。安倍晋三の今回の行動はただ自分の私利私欲を満たすためのものに過ぎない。
今回の靖国問題の本質は、『政治家、それも総理大臣が日本にとって損する可能性はあっても利益がないことをわざわざ行った』ってことだ。他国がどうとか、イデオロギーの問題ではない。

こういう根本的なことをマスコミはちっとも指摘しない。枝葉末節の他国の反応ばかり報道して、日本にとって得なのか損なのか、ちっとも論じない。一般の人も大して考えもしないまま、感情論に引きずられる。これは怖ろしい話だ。要するにこの国には安倍晋三を筆頭に、自分の主観を優先して自分の回りの現実を判断することができない輩が街をうろうろしているのだ。この前 川崎で強姦強盗の容疑者が逃げ出して街のなかをうろちょろする騒ぎがあったが、それとおんなじだよ(笑)。
  
                                          
                                    
(3)書評『そして、メディアは日本を戦争に導いた』:日本人全体がバカだった
そこで思い出したのが、お正月に読んだこの本。半藤一利、保坂正康の対談『そして、メディアは日本を戦争に導いた

                                                    
長年 昭和史の研究を続けてきた二人が『ジャーナリズムが太平洋戦争を何故止められなかったのか』について対談したもの。さらっと読めて面白い本だった。本の内容は『今の若いジャーナリストは不勉強な人が多い。本も読まないままインタビューにくる者が居る』という冒頭の半藤氏の嘆き(笑)から始まって、以下のようなことが述べられている。
1.戦前 日本のジャーナリズム、特に新聞は戦争を煽った。それは日中戦争以降 戦争の記事を載せると発行部数が増えたため。所詮 ジャーナリズムも商売であり、企業である以上 ジャーナリズムも所詮そういうものだ。
2.雑誌は新聞に比べるとまだマシだったが、こちらは政府による言論弾圧で息の根を止められてしまった。

3.戦争に表立って抵抗したジャーナリストはせいぜい信濃毎日新聞主筆桐生悠々、それに東洋経済石橋湛山くらいだった。また他のジャーナリズムも国民も桐生や石橋を政府の弾圧から守ろうとはしなかった。
4.戦争はこういう順番でやってきた。教育と言論の国家統制⇒情報の国家統制⇒言論の法的な封殺⇒テロの発動(テロを行うのは警察・軍部などの官だけでなく、民も含む)
5.問題は、軍部や官僚、ジャーナリストだけでなく日本人全体がバカだった、こと。515事件、226事件など軍部のテロを『義挙』として国民の多くは讃えた。日露戦争終結時の日比谷暴動に始まり、日中戦争を含め、太平洋戦争末期 焼け野原になるまで国民の大多数は戦争に積極的だった。ちなみに半藤氏は、明治維新も本質はテロで、勝者の薩長が勝手に歴史を美化したものに過ぎない、と指摘している。

       
                                                      
ちなみに『日本人全体がバカ』という極端な表現は半藤氏の言葉そのまま。ボクじゃないです。同感だけど(笑)。
文芸春秋で専務まで務めた半藤氏が『ジャーナリズムも企業である以上 そんなもの』というのはすこしびっくりさせる。けれど、現実にはそういうものだろう。すごく良い指摘だ。仮に会社のトップがジャーナリズムの使命感に溢れていたとしても、数多くの部下とその家族を抱えていたら、部数減や不買運動などに晒されたらどこまで抵抗できるだろうか。

桐生悠々が弾圧を受けたのは信濃毎日新聞に戦争前の昭和8年に書いた『関東防空大演習を嗤ふ』という記事で、『木造家屋の多い日本で空襲なんかされたら、訓練なんかしても被害は莫大なものになる。敵機を関東の空に迎え撃つということ自体、我軍の敗北そのものである』という、ごく当たり前のことを書いたからだそうだ。そんな意見が不買運動や抗議など官民そろっての言論弾圧を受けてしまう。信濃毎日のオーナー家は桐生悠々を守ろうとしたそうだが、桐生は自ら身を引いたという。
                                                                       
1から5まで、今の雰囲気と実に良く似ているあまり現実をみない。自分の頭で突き詰めて考えない。色んな立場からの意見を知ろうともしない。自分の希望的観測を絶対的に正しいと思い込んでしまう。
今回の安倍晋三靖国参拝に賛成している人って、極論するとそういう人たちじゃないかな。太平洋戦争直前のように幼稚な感情論がまかり通るようなら、この国の先行きは真っ暗だ。『日本人全体がバカ』になったら、また国中が焼け野原になっても仕方がない。いよいよやばくなったら、ボクはさっさと逃げますけどね(笑)。
                                                
この本の最後で、二人はこう述べている。70代の保坂が『昭和史をまた繰り返してはいけない』と述べたのを引き取って、齢80を超えた半藤はこう締めくくっている。『私はあと10年も生きていない。だから将来に向けた責任ある発言なんかできない。未来を作れるのは若い人だけだ。だから勉強してほしい。

口うるさい爺さんの言い逃げ、という感じもしないでもないが(笑)、まあ、言っていることはそれほど間違ってない。じゃあ、どうしたらいいか。すくなくとも皆が自分を取り巻く現実を、自分の頭で考えなければいけないことだけは確かだ。世の中には白か黒かの安易な回答なんかない。だが原発の問題と同じように、誰もが自分にとって本当に得か損か真面目に考えるようになれば活路は見えてくるんじゃないだろうか。


(4)★0110 再稼働反対!首相官邸前抗議!
ということで今週も官邸前へ。86回目の抗議の今日からはウィンタータイムで時間短縮と言うことで6:30〜。今日はこの冬一番の寒さということだそうだが、ほんと寒いもんなァ。気温は5度。今日の参加者は官邸前1500人くらい、国会前他で4〜500人、大体2000人くらいだろうか(主催者発表1900人)。何となく盛況(笑)のように感じた。
今日はスピーチで『原発輸出を広げようとする安倍晋三は生物の敵!』と言っている人がいて、思わず笑ってしまう(だがPUBLICで、そんなことを言っても何の得もない)。そのあと福島から来た人が『原発補助金がなければ地方はやっていけないと錯覚させられてしまった。東京みたいになりたいと思うような卑しい根性が見透かされてしまった。』と言っていて、なるほど〜と思ってしまった。高度成長などの時代的な背景もあるから一概には弾劾はできないけど(それでも高度成長は40年前に終わったのだが(笑))、東京でも地方でも、個人でも企業でも一緒だ。それぞれの特色を生かしていくことがグローバル時代の生き残り条件に決まっている。そういう意味でも原発で地方経済を何とかしようって発想自体がアナクロだよ(笑)。
国会前、ファミリーエリアへ回るために列を離れるとき、見ず知らずのご婦人が『ご苦労様』と声をかけてくれた。ちょっと嬉しかったな。
●官邸前へ向かう人

●抗議風景








●長く続く抗議の列



ファミリーエリアへ着くと火炎瓶テツ氏が、スピーチと言うかアジっている。彼は秘密保護法反対の議員会館前の抗議を主催した人。あの時の彼は恰好よかった。今日もアジはうまいんだけど、『三菱マテリアル劣化ウランを採掘して、原発ムラとつながっている』とかわけのわからないことまでまくしたてている。ボクだって悪口は全部裏を取ってから書いてるぞ(笑)。内容、音量の大きさ、共に耐えられなくて、さっさと退散。
●ファミリーエリア。火炎瓶テツ氏。
                                  


                 

で、冒頭の話に戻る。色んな人が居るのはいい(笑)。大事なのは、少しでも多くの人で抗議の声を挙げて、原発を止める時間を少しでも長くすることだ。その期間が長ければ長いほど、日本の将来が安全になる。そして日本に新しい産業を育てていくチャンスが生まれてくるのだ。
●今日の写真