特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

実質賃金と集団的自衛権の帰結と0704 再稼働反対!首相官邸前抗議!

今週の火曜日、7月1日に5月の毎月勤労統計調査が発表になった。
物価の値上がりを換算した実質賃金(下記グラフの赤線)はまた一段と下がった昨年7月から11か月連続下げ幅は前年比-3.6%と前月の-3.4%よりも一段と大きくなった
●2013年1月〜2014年5月の名目賃金&実質賃金の前年比推移


名目賃金(青線)は前年比0.8%の上昇で、ニュースではそちらばかり報じられている5月の所定内給与、2年2カ月ぶり増加 給与総額は0.8%増 :日本経済新聞
けれど実態はこういうことだ。実際 5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比3.4%上昇、12ヵ月連続で上昇している。この物価上昇幅は32年ぶりの大きさ、石油ショック以来だという。僅かばかり名目賃金が上がっても 消費税のアップと円安による物価の値上がりによって昨年夏から実質賃金は下がりっぱなしだ国民の生活水準は悪化し続けているのだ。給与生活者だけでなく、目減りしている年金受給者も大変だろう。ボクも他人のことを心配している場合じゃないんだけど。


アベノミクスの唯一の成果ともいえる株高は、日本のことをよく知らない外国人投資家が勘違いして昨年1年間で15兆円も買い越したからだそうだが(Byリチャード・クー氏)、すでに彼らの勘違いも終わり今年1〜5月の東証は外人投資家は1兆円の売り越しだ。当然なのか偶然なのか昨年冬 安倍が靖国参拝して以来 株価は下降基調なんだよね。だから政府は外人の代わりに、国民の年金積立金(GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人で株を買わせようとしている。成果のないアベノミクスの外観を取り繕うのに必死なわけだ。

このままいけば不況とインフレが共存するスタグフレーション(ex.70年代の石油ショックになるのではないかとボクは疑っている。しかも金融緩和のツケはいずれ、文字通り利子がついて回ってくる。1000兆もの借金を目減りさせるために、国は酷いインフレを狙っていると考えたら辻褄は合う。



7月1日と言えば、集団的自衛権閣議決定の話はボクには相変わらず理解できないまま、だ。デメリットは色々と思い浮かぶが、日本にとってどういうメリットがあるのか、さっぱりわからないのだ(笑)。確かにグレーゾーンの法整備は一理あるかもしれない。しかし集団的自衛権の方は安倍晋三をはじめ、政府の連中が何を言っているのか論理的に理解できない。国外に自衛隊を送ることが何故『自衛』になるのか、ボクには理解できないのだ。田中康夫の『集団的自衛権は、戦勝国戦後レジームの固定化を目指す自家撞着』というのは本質を突いた言葉だと思う。


でも今回は、それほど怒る気持になれない。所詮 今回は議席数で通ってしまうんだろうな、という、ある種の諦めも正直あるし、今後も諦めずに抵抗していけばいい、と思っているからでもある。違憲訴訟だってあるだろうし、また内閣が解釈変更をすれば良いのだ(笑)。

単なる一内閣が憲法の解釈を勝手に変えてしまっていいのか というのは多くの人が疑問に抱いているようだ。それなら、ボクだって勝手に法律の解釈を変えたっていいことになる(笑)。安倍晋三の言ってることは、『憲法に定められた、納税は国民の義務というのは解釈を変更すれば払わなくてよい』のと同じ、極端に言えば大麻精神安定剤と解釈を変えれば、吸っていい』というのと同じことだ(笑)。そんな支離滅裂な話が長続きするはずがない。


これで安倍政権は痛手は受けるだろうし、おそらく安倍晋三の終わりの始まりになるだろう。http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140703-OYT1T50197.html?from=ytop_main2
だが代わりの投票先がない、というのはあまりにも大きな問題だ。民主党集団的自衛権原発に反対することも賛成することもできない。政権当時 マネジメント能力皆無の民主党の議員たちを見ていて、議員という以前に、社会人としてあまりにも幼稚なのに驚いたが(『民主党政権の失敗』によると結局 元官僚の議員たちが殆どの実務をやったらしい)、社民や共産、その他諸々に投票したって反対の意思表示以上の意味はない。いつも言ってるとおり民主党ですらそうだったのだから、彼らが政権を取ったって予算1つ組めない、つまり彼らには現実を変えることはできないだろう。

強欲の帝国』でチャールズ・ファガーソンが言っているように、現実を変えるには『既存政党の中の反乱、第3党の台頭、超党派の社会運動、これら3つが補強しあうこと』が必要だろう。

強欲の帝国: ウォール街に乗っ取られたアメリカ

強欲の帝国: ウォール街に乗っ取られたアメリカ

日本の場合 既存政党がダメなのははっきりしている。特に民主、社民、共産は一刻も早く解散してもらうのが世の中のためだと思う。

組織とか集団活動は一切お断りのボクが言うのもなんだが、超党派の社会運動も疑問がないわけではない。4万人が集まったという7月1日の官邸前での抗議運動は知らなかったのだけど、あとで、一部の団体の『絶対負けられない戦いがある』っていう7/1向けのポスターを見て気持ち悪くなった。ボクも抗議には行きたかったが、7月1日の抗議だけじゃ何も変わらないのは最初から判ってる。それなのに非現実的な幻想を煽るのは昔の過激派の『××闘争勝利』や大本営発表の『××大勝利』と発想は同じだ。まして一部の嘘つきや白痴みたい極論、それにオールドスタイルで思考停止しているようにしか思えない『戦争反対、平和を守れ』もお断り。そんなことくらいアホの安倍晋三ですら、そう思ってるよ(たぶん)。
ネガティヴなことを言うようだけど、市民のほうだって、もう少し真剣にもう少し頭を使って『じゃあ、どうしたら良いか』ということを考えていかなければ、政治家のことをバカにできないよ。抗議に来ていない多くの人は、案外そういうことは無意識にでもわかっているんじゃないだろうか。


こんなひどい状況は誰かのせいではない。我々日本人一人ひとりがアホだからだ。市井の日本人には優秀な人が大勢いるにもかかわらず、2世3世のボンボンか下等な人間しか政治家にならないし、そういう人間しか当選しにくい政治システムを作ってしまった。先週も書いたが小沢一郎は万死に値する。

異議を唱える人がこれだけ多くても無視されるのは、異議など無視して言葉の上ではどうとでもつくろえばよいという舐めた態度の政府を、消極的に黙認する人が多数だからだ』 (小説家の星野智幸の7/1のツイート)。


この責任はボクたちひとりひとりが負わなければいけないと思う。焦燥感は募るけれど、ボクは個人としてやれることをやっていくしかないと思っている。暗くならず、諦めず、誰のためでもなく、自分のために、だ。他人のことは興味ない。




ということで(笑)官邸前へ。★1116再稼働反対!首相官邸前抗議 | 首都圏反原発連合
なんだかんだ言いながら反原連の人たちが清濁併せ飲んで、こういう場を毎週作ってくれているのには頭が下がる。それをうまく寄生≒利用しているのが共産党ってとこか(笑)。
今日の東京ははっきりしないお天気だった。6時過ぎの官邸前も時折小雨がぱらつく。6月は熱帯のスコールみたいなゲリラ豪雨ばかりだったので、こういう梅雨らしいお天気は久しぶりだ。
今日の参加者は官邸前、国会前合わせて、だいたい2000人弱くらいか(主催者発表1900人)。こんなお天気の割には多く感じた。
●雨の抗議風景






●道路の向こう側に渡らせろと、警官に抗議する女性たち

                         
雨は降っているけど、参加者から挙がる声はいつもより大きく、熱気を感じた。自分もそうだが、雨が降っている分だけ抗議に集中できるのかな。と言っちゃうと身も蓋もないけど(笑)。

●たんぽぽ舎とドラム隊の諸君。たんぽぽ舎にはボクはあんまり感心しないのだが、今日はチンドン屋みたいにユーモラスなので笑ってしまった

●雨上がりの国会前

今日は福島瑞穂たんが良いことを言っていた。
『政治には戦争と原発事故の責任はとれないんです。』
『そして政治は戦争と原発事故の責任を取る気はありません。』
『だから、どちらもやっちゃいけないんです。』
そう言えば彼女はいつも一人で官邸前へやってくるが、社民党の中では孤立してないんだろうか。ボクはこの人の話し方は好きではないが、文章を書くと表現が柔らかくて非常に好感が持てるんだよな。

福島みずほたん。自称メリーポピンズ、だそうだ(笑)

●吉良ちゃん。この子は笑顔で得をしていると思う。


                                       
今日ふと思ったのだが、集団的自衛権でも秘密保護法でもそうだが、理不尽なことがあったら、官邸前で一般人が声を挙げることがだんだんと習慣になりつつあるのではないだろうか。ここでは変な組織や党派の旗も殆どみかけないし、少しの時間さえあれば普通の人が声を挙げることができることが、みんな少しずつ少しずつ判り始めている。組織の幟なんて、はっきり言って逆効果なんだよ。普通の人、特に若い人は、組合なんて既得権だけの『国民の敵』と思っている人も多いのではないだろうか。電力労組なんて、まさにそうだしな。子供でも老人でも参加できる、こういう場、時間がもっともっと広まっていくことが、為政者の暴走を防ぐ手段だと思う。
●今日の写真