特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

読書『日本軍兵士』と『1012再稼働反対!首相官邸前抗議』

来年のゴールデン・ウィークは10連休になるそうじゃないですか(笑)

【図解・政治】2019年の大型連休をめぐる日程(2018年6月):時事ドットコム
天皇の代替わりなんか全く興味ないですけど(ただ、余計な金をつかうんじゃねーとは思います)休みが増えるのは良いことです。だけど企業にとっては稼働日が減るから売上にも影響あるし、休みにできない職種の人、流通・サービス業やインフラ関連の人は大変ですから喜んでばかりもいられません。

折角の10連休、TVは、ずっと同じ場面ばかりのくだらない特別番組ばかりでしょうし(テレ東は違うかもしれません)(笑)、都心は厳戒態勢で身動き取れないでしょうし、どうしようかな。
旅行が王道かもしれませんけど高いでしょうし、家にひたすら籠って隠居生活のリハーサルでもしましょうか。家で料理して、運動して、本を読んで、DVDを見て、ギターを弾いて。そういう平凡な日常が一番楽しいです。


さて、このところの株の乱高下には驚かされます。
先週 27年ぶりの日経平均が高値になったと思ったら、今週の急低下です。10月2日の最高値から約2000円!も下がった
10月初め頃 原宿の洋服屋やスーパーのおせち売り場で話を聞いたら『今年の売れ行きは良い』という答えが帰ってきました。コートやジャケットなど冬物の重衣料の出だしは良いし、おせちは3〜5万円のものが昨年より売れている、と言ってました。
非常に意外でした。個人的には全く景気が良いとは思わないし、客観的にも今の景況感は必ずしも良い訳ではありません。更にこれから消費増税もあるし、米中貿易戦争のおかげで外需にも頼れない。アベノミクスの現状はかなり厳しい

個人景況感が「悪化」 災害が下押しか、日銀調査 :日本経済新聞


株が高いから一部では景気が良いのか、と思っていたのですが、このような状況が続くとそれもぶち壊しです。短期的には株が下がろうと上がろうとどうでもいいですが、株が下がると景気も悪くなるし、企業の決算にマイナスになれば給料も減るし、皆の年金にだって影響が出てくる。本来は景気によって株が動くというのが資本主義の理屈ですが、株が下がると景気が悪くなる、というのは今の『金融資本主義』が如何にいびつか、ということを示しています。金融と格差によって法律や制度が大きく左右される今の時代は資本主義ですら、ない のかもしれません。
良くリベラル・左翼の人は、景気や経済より平和が大事、とか、経済のことなんか判らない、という態度を取りますけど、経済と現実社会は複雑に絡み合っている。平和(理想)と経済(現実)、どちらも大事なんですよ。株だって、下がるよりは適度に上がった方が良い。それが現実です。今の時代、経済音痴じゃ政権なんか取れないし、たとえ政権を取れても長続きするわけがありません。




さて、読書の感想です。
ささっと読めたのが『日本軍兵士 −アジア・太平洋戦争の現実』。昨年末に出た、この本、売れているらしいです。


以下はアマゾンの内容紹介です。
310万人に及ぶ犠牲者を出した先の大戦。実はその9割が1944年以降と推算される。本書は「兵士の目線・立ち位置」から、特に敗色濃厚になった時期以降のアジア・太平洋戦争の実態を追う。異常に高率の餓死、30万人を超えた海没死、戦場での自殺・「処置」、特攻、劣悪化していく補充兵、靴に鮫皮まで使用した物資欠乏……。勇猛と語られる日本兵たちが、特異な軍事思想の下、凄惨な体験をせざるを得なかった現実を描く。


戦争に関する研究について、著者はこう述べています。戦後の歴史学者は戦争への反省から戦争の実態を調査研究することに及び腰だった。一方 旧軍関係者などによる防衛省の戦史は実態を美化する傾向が強い。結果として、日本人は戦争をあまり直視していないのではないかというのです。


ちょっと前 こんなtweetを見ました。終戦当時の南洋の日本軍の姿です。皆 まともな軍服も着ていないし、病的にやせ細っている。全員がズボンのベルトがないのは食料にしてしまったのでしょうか。少年みたいな兵士もいる。これじゃ戦争どころじゃありませんよね。


これに対して『こんなになるまで戦ってくれてありがとう』とかtweeetしているバカが大勢いました。びっくりです。彼らは戦ったんじゃない。ここには米軍は上陸してこなかった。兵士たちが戦ったとしたら、敵は日本軍というブラック組織です。
戦闘はなかったのに自軍の兵士をこんなにした日本軍ってどういう組織なんだっていうのが普通の知能の持ち主の反応でしょう。実際に戦場になった沖縄を除けば、確かに日本人の多くは戦争を直視していないどころか、理解すらできないのかもしれません。



この本は日本軍兵士の実態に焦点をあて、淡々と事実を記しています。曰く
日本軍にはまともな歯医者が居なかった、休暇もなかった、すぐ壊れるようなものばかりでまともな靴もなかった、末期にはまともな背嚢どころか水筒も最初からなかった、歩兵用のマシンガンもなかった、連絡用の無線もまともなものがなかった
勿論 連合軍は全て持っています(笑)。前線ではアメリカ軍はハンディ無線機で指令を受けていましたが、日本軍は徒歩の伝令か伝書鳩(笑)。滑走路建設は日本軍は人力で数か月、アメリカ軍はブルドーザーで1週間。これだけでも戦争になるわけがありません。


それより驚いたのは、中国に駐屯していた部隊で従来からの兵士と戦争末期に本土から加わった新兵を比べると新兵は体重に6キロ近く軽かった、という話。戦争が進むにつれ従来余っていたSサイズの軍服が捌けるようになったそうです。戦場だけでなく、本土でも国民の生活はそれだけ悪化していた。さらに酷いのはこちら。

ヒロポン覚せい剤を兵士に使っていた、知的障碍者まで兵士に動員していた、更に軍隊内の自殺率の異常な高さ


平時でも日本軍は軍隊内のイジメが横行していました。その結果『日本軍は世界で最も自殺率が高い集団』と陸軍内でも認める声があったそうです。戦艦陸奥の爆沈だってイジメが原因で水兵が弾薬庫に火をつけたのが原因、と言われています。
更に日本軍は、捕虜になることを許さないから負傷兵や体力がなく動けない兵士は自殺しかない。硫黄島の日本軍は殆どの兵士が戦死したと言われていますが、死因は敵弾で死んだのは全体の3割くらいで、自殺が4割、他殺が1割弱、という生存者の証言が紹介されていました。
イジメの横行は今に至るまで続いています。甲子園の高校生酷使もブラック企業もスポーツ界の不祥事も、実は日本軍から受け継いだ伝統かもしれません(高校野球のスパルタ訓練は指導者が旧軍の出身者が多かったからだ、という研究を元巨人の桑田真澄氏が行っています)。


バカなネトウヨは太平洋戦争についてミッドウェイ海戦がなければとか、ルーズベルトの陰謀に引っかかったとか、コミンテルンの陰謀だ、とか言ってます。ボクは読んだことないけど、太平洋戦争で日本が勝ったらみたいな、痴ほう症向けの架空戦記みたいなものだって売られてますよね。
それほどバカではなくても、日本は物量で敗れた、みたいなことは良く言われます。しかし、実態は違います。確かに物量は差があったけど、日本はバカだったから負けたんです



著者は最後に、近年の日本礼賛本は日本軍を美化し、『死の現場』を直視していない、と書いています。安倍晋三稲田朋美も全く直視してないでしょう。9条を守れとしか言わないリベラルもかなりの人たちはそうだと思う。この本を読めば、戦争を始める前から、日本には1ミリも勝機は無かった、ことが判ります。


なおかつ、許せないのは当時の指導者層、それに官僚たちが国民を最初から勝ち目のない戦争に駆り立て、しかも殺したこと。310万人の犠牲者は敵に殺されたより、餓死などで自国の官僚に殺された数の方が多かったのは絶対忘れちゃダメ、だと思います。この本によると日本軍の戦没者の37〜61%が餓死です!
大虐殺ということで言えば、日本の政治家・官僚はヒトラーか、アイヒマンか、ポル・ポトか、毛沢東ってところです。それで誰も責任取ってない。今の政治家もマスコミも国民もどういう精神構造だ と思ってしまいます。


この本は、ただ兵士たちの事実を並べただけで、判りやすいし説得力があります。ボクは金輪際、この国は信用しないし、日本的組織なんてものも信用できません。集団になった時の日本人、特に日本人だけでつるんでいる時は、頭がおかしいカルト集団くらいに考えていた方がいいんじゃないでしょうか(笑)。オウムだって旧日本軍のことを考えれば、それほど奇異じゃない。こういうことばかり言ってるから、ボクは普段の人付き合いがおっくうになるんですが(笑)。




ということで、今週も原発再稼働反対の官邸前抗議へ。#金曜官邸前抗議
悪天候で中止になった先週とは違い、今日は秋晴れとはいきませんでしたが、寒くもなく暑くもなく、気持ちが良いお天気です。午後6時の気温20度、参加者は主催者発表で600人。 久々に国会前も行って見たのですが、ボクが見た感じだとトータルで400人くらいかも。でも主催者発表は延べ人数だし、ボクが自分の目で見たのと大きく違うわけじゃありません。団体主催の際は特に顕著ですが、集会やデモの主催者発表は実数の2倍くらいのことがあることを考えれば(笑)、抗議が始まった当初から今に至るまで、反原連の数字はずっと信ぴょう性が高い。
●抗議風景





昨日の日経に、世界では原発への投資が大幅に減っているという記事が載りました。


世界の原発投資45%減 昨年、5年ぶり低水準 再エネシフトが影響 :日本経済新聞


安全対策費などで原発のコストが大幅に上がる一方、再生エネは原発以下の水準にまで低下しているため、です。
今やドイツやスイス、イタリアは原発を全廃することに決め、原発大国フランスも現在7割の原発比率を5割にまで下げるそうです。台湾も原発廃止、韓国もベトナム原発の新設を取りやめました。
一方 日本は再生エネへの投資さえ、減少しているそうです。


これからは各国が『再生エネ』と『デジタル技術を生かし効率的に電力を使うスマートグリッド(次世代送電網)』で競争することになります。原発に足を引っ張られて、この分野への投資がおろそかになることは日本の未来をより一層暗くします。この分野で負けたら、日本経済だって将来 立ち行かなくなるかもしれませんメルケル独首相のアドバイザー、未来学者のジェレミー・リフキン氏が昨年来日して指摘していた『原発は日本の負の遺産』が目の当たりになりつつあります。
こういう記事が載ってるのは赤旗じゃない、日経、ですからね(笑)経済界でも役人でも原発ヤバいと思っている人は結構いるはずです。
●ボクは反原発を唱えている人で、こういう観点に着目する人をあまり見たことがありません。判っているのはむしろ、電力会社の一部を含めた経済界や役人の一部かも。
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スマート・ジャパンへの提言―日本は限界費用ゼロ社会へ備えよ

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先日の北海道の地震で、原発、火力(石炭、石油)などの中央集中型の電源に頼ることの危険性は十分に判りました。ただでさえ災害が多いこの国で、分散型の電源網を構築していくことは災害対策としても、経済の面でも、日本の未来を左右する超重要課題のはずです。そういう議論が活発にならないのは、如何に我々が、視野が狭い、将来のことを考えていない政治家ばかりを選んでいるかということを示しています。