特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

ローマはアモーレ、東京はケ・セラ・セラ(笑):映画『ローマでアモーレ』

早くも梅雨明けだそうで、昨日、今日、東京は猛烈な暑さ。おまけに夕方は強烈な夕立でびしょ濡れ(笑)。TVなどはやたらと熱中症、と騒いでいるけれど、果たして昔はどうだったんだろうか。

                                        
この芳しくない選挙情勢(笑)は自民党がどうこうより、まず、野党側の問題が大きいと思う。東京選挙区で言えば、相変わらず独善の共産党は別にしても、『みどりの風丸子安子)』、『無所属(山本太郎大河原雅子)』の一本化くらい、どうしてできなかったのか。これでは、はなから勝負を捨てていると言っても仕方がない状態だ。日本全国、そういう状態なんだろう。
今回の選挙だって、みどりの風や生活、社民、それにみんなの党や民主の一部が選挙協力すれば、野党ボロ負けなんて事態は防げるはずだ。 共産党も含めて野党に『お前ら、真面目に政策目標を達成しようと思っているのか』と言いたくなってしまう。脱原発などの目標より、自分たちの組織のほうが大事だと思ってないか?ってことだ。
いかに野党がダメでも『棄権なんて以ての外。少しでも勝ち目がある、よりマシな候補に投票』という原則は変わらないけど、何とも勿体ない。

                                                                                                                                                       
さて、ちょっと流行っている本、『2030年世界はこう変わる』の感想。

2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」

2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」


CIAから発展して独立した米国国家情報会議(National Intelligence Council)という機関が、大統領のために作成した15〜20年後の世界のトレンドが書かれたレポート、だそうだ。
                                                                        
それによると、2030年の世界の構造はこの4つの大きなトレンドについて左右されるという。
1.個人の力の拡大:発展途上国の経済が発展するにつれ、アジアを中心に10〜20億人の新たな中間層が誕生する。ただしアメリカと日本は購買力が減少する(笑)。
2.権力の拡散:欧米の力が衰え、世界は前例がない『覇権国家ゼロ』の状態になる。
3.人口構成の変化:高齢化や若者の減少が世界のあらゆる地域で進む。
4.食糧・水・エネルギー問題の連鎖:天候不順のリスクはあるが、エネルギー問題はシェール燃料の開発で解決する可能性がある。
                                                                                    
その結果 2030年の世界は以下の4つのシナリオのいずれかになるのではないか、としている。
1.欧米没落型:政治的にも経済的にも欧米が対外的な力を失い、世界は混乱期に移行。政治経済ともにワーストシナリオ。
2.米中協調型:米中が協調することで世界は安定し、先進国、新興国ともに経済が成長する。政治的にも経済的にもベストシナリオ。
3.格差支配型:経済格差が世界中に広がり、国毎、個人毎に勝ち組と負け組が明確になる。EUは分裂。欧米没落型よりはマシだが、政治経済ともに衰退シナリオ。
4.非政府主導型:国家の力は衰退するがテクノロジーの進歩を利用してグローバルな人材がNGOなどのネットワークを駆使して、世界をけん引。米中協調に次ぐ発展シナリオ。

ちなみに東アジアの近未来のシナリオは以下の4つ
1.現状維持:アメリカが制海権を維持。
2.新均衡型:アメリカがアジアでの役割を縮小する。その代り新たに核開発に走る国が表れる(笑)
3.欧州式の共生型:アメリカも含めて各国が平和的に共生する。中国の民主化が成立条件
4.中国覇権型:アメリカによる環太平洋諸国を組み込んだ仕組み作りが終わる。日本の衰退が急激に進んだり、インドの台頭が遅れると、こうなる可能性がある。
                                                                                            
いずれにしても日本は衰退、というシナリオしかない。ここで引用されているマッキンゼーの予測によると、日本のGDPが世界に占める割合は2010年の9%から、2030年は6〜7%に低下する。つまり今後 日本はほとんど成長しないってことだアベノミクスの目標 名目成長率3%がいかに頭がイカれているか良くわかる(笑)(3%なんてバブル期なみの成長率を真に受ける奴のほうが頭がおかしい)。日本の衰退の最大の原因はもちろん少子高齢化出生率を上げるためには女性の社会進出や子育ての公的サポート強化、もしくは移民の導入などが必要だが、今から対策を打ったって2030年には、いや、2050年だって、もう間に合わない(笑)。

流石に話が大きすぎて一つ一つデータの裏を取ることもできないし、そもそも予測なんて当たらないものだ。たとえば3年前にシェールガスなんて信じた人はほとんどいなかったのと同じで、前提条件が変われば予測なんかいくらでも変わる。
だが、ここで書いてあることは、今わかっている範囲ではそれなりに信憑性があると思う。日本が衰退したってボクは構わない。高い電気料金を国民に押し付け原発を推進するなど高度成長期そのままの経済体制にしがみついていたり、時代錯誤のニセナショナリズムを前面に押し出したり、この期に及んでも女性の社会進出を本気で進められないようじゃ3年育休なんかより、男が家事をやれってこと)、日本の行く末なんて衰退に決まっている。移民でも受け入れて活性化しなければ、老人ばかりになっていく社会はどうにもならないはずだ。
                                                                                        
                                       
だけど個人は違う。日本全体のGDPが減少したって、一人当たりのGDPが減らなければ何も問題はない。国や政治屋や官僚が個々人の足を引っ張ったとしても個人がやれることはずいぶんあるはずだ。原発補助金などの既得権に頼らない自律した暮らしマスゴミが提供する使い捨ての安っぽい刺激やファーストフードみたいにゴミのような食い物に頼らない生活そういう生活が出来る社会を目指していけばいい。そうすれば、世界的に高齢化が進む中で日本は課題解決先進国になれるだろう。日本にはそれができるだけの技術も資本もある。日本人全員が高度成長期そのままの経済構造という泥舟に乗り込んで沈没する必要はないのだ。
                                                                                                                                      



新宿でウッディ・アレンの新作『ローマでアモーレ

婚約した娘の彼氏の父親をオペラ歌手として売り込もうとするオペラ演出家(ウディ・アレン)の話、田舎からローマへ出てきた若夫婦の部屋に娼婦(ペネロペ・クルス)が間違って入ってくる話、ローマに住む建築家の卵(ジェシー・アイゼンバーグ)とエキセントリックな新進女優(エレン・ペイジ)との恋にアメリカ人建築家(アレック・ボールドウィン)が絡む話、ある日 突然有名人になってしまった一般人(ロベルト・ベニー二)の話、など4つのエピソードを絡めたローマを舞台にした艶笑劇

                                     
いつもにも増して豪華な出演陣が美しいローマの街を舞台に繰り広げられる喜劇が面白くないわけがない、と思って見に行ったのだが。
●愚痴とボヤキ(笑)は手慣れたもんのウディ・アレン

それぞれのエピソードが時系列や話のつながりを無視して、勝手に進行していく(笑)。ペネロペ・クルスの娼婦役とか、エレン・ペイジの気まぐれでサイコな女の子ぶりとか、存在そのものが詐欺師みたいなアレック・ボールドウィンのうさん臭さとか、各俳優の得意技が見事に炸裂している。あとイタリアの俳優さんが演じる若夫婦がいつの間にか二人とも浮気に追い込まれるところがすごく良かった。俳優たちはみな楽しんで演じている感じ。

●鼻ぺちゃキュートなエレン・ペイジちゃんとフェイスブック男(ジェシー・アイゼンバーグ
 
ロベルト・ベニーニの気弱な男役はむしろアレンのいつもの役柄みたいだったかも。

●ボクには詐欺師にしか見えないアレック・ボールドウィン

●こんな色っぽいペネロペ・クルスに迫られたら、男は俯くしかない(笑)

                                                    
だけど、お話はすごーくいい加減。よく出来たウディ・アレン映画にあるセンスのよさも皮肉の鋭さも、もちろん人生のアイロニーもあんまり感じない。あえて言えば、アレンが勢いで適当に作ったという感じ。豪華な出演陣+適当なでっちあげ、は前作『恋のロンドン狂想曲』と瓜二つだ。
そう思うと、ロマンティックな夜のパリが魔法のようにお話のあらを覆い隠していた『ミッドナイト・イン・パリ』は良くできた映画だったなあ、と改めて思った。
                                        
陽光あふれるローマの街並み、豪華な出演陣、この映画は見ていて楽しい。楽しくはあるんだけど、やっぱりお手軽過ぎ。酔っ払いながらTVででも見るのにちょうどいい、という感じかなあ。